ブリーチ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ブリーチ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所グロース市場に上場する同社は、初期費用不要のレベニューシェア型報酬体系によるシェアリング型統合マーケティング事業を展開しています。2025年6月期より連結決算へ移行し、売上高172億円、営業利益4億円と増収黒字転換を果たしました。


※本記事は、株式会社ブリーチ の有価証券報告書(第16期、自 2024年7月1日 至 2025年6月30日、2025年9月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ブリーチってどんな会社?


同社は、初期費用ゼロ・完全成果報酬型の「レベニューシェア」モデルで企業のマーケティングDXを支援する会社です。

(1) 会社概要


2010年に設立され、2016年に現在の主力であるシェアリング型統合マーケティング事業を開始しました。2023年7月に東京証券取引所グロース市場へ上場を果たしています。2025年3月には、販売インフラ構築等の支援強化を目的として子会社オーラムテックを設立し、事業領域の拡大を進めています。

連結従業員数は126名(単体126名)です。筆頭株主は代表取締役社長の資産管理会社である株式会社大平事務所、第2位は創業者の大平啓介氏であり、経営陣が株式の過半数を保有するオーナー企業としての側面を持ちます。

氏名 持株比率
大平事務所 53.17%
大平 啓介 18.45%
宮田 一成 2.11%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は大平啓介氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
大平 啓介 代表取締役社長 2010年4月ジャパンウェブリンク(現同社)設立、代表取締役社長就任。2018年大平啓介事務所(現大平事務所)設立、代表取締役就任。2025年オーラムテック設立、代表取締役社長就任。
小西 勲 取締役CFO 2007年新日本監査法人入所。2011年公認会計士登録。2019年デジタルアーツ入社。2024年同社入社、執行役員兼管理部長を経て、同年9月より現職。


社外取締役は、外川穣(元シーエー・モバイル代表取締役社長)、中川修平(元ココナラ執行役員CFO)です。

2. 事業内容


同社グループは、「シェアリング型統合マーケティング事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) シェアリング型統合マーケティング事業


主に化粧品、日用品、機能性表示食品などを扱う通販会社や美容サロン、金融サービス企業に対し、インターネットを通じた売上拡大を支援しています。マーケティング戦略の立案から広告制作、運用までを一貫して提供し、顧客企業のCMO(最高マーケティング責任者)機能を代替することで、商品のポテンシャルを引き出しています。

収益は、顧客企業から初期費用やコンサルティング料を受け取らず、実際に獲得した新規ユーザー数に応じた報酬を受け取る「レベニューシェア型」です。広告宣伝費は同社が先行負担するため、顧客はリスクを抑えて導入できます。運営は主にブリーチが行っています。

(2) その他事業


2025年3月に設立された連結子会社において、新たな事業展開を開始しています。具体的には、自社で商品を保有し、物流・在庫管理・受発注管理などの販売インフラ機能を提供することで、マーケティングだけでなく販売手法やインフラ構築に課題を持つ企業を支援しています。

収益モデルの詳細は立ち上げ段階のため明記されていませんが、商品の企画・開発・販売等を通じた収益獲得を目指しています。運営は連結子会社のオーラムテックが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2025年6月期より連結財務諸表を作成しているため、過去の連結数値はありません。当期は売上高172億円、経常利益4億円となり、単体ベースの前年実績(売上138億円、経常損失4億円)と比較して増収および黒字転換を果たしています。

項目 2025年6月期
売上収益(または売上高) 172億円
経常利益 4億円
利益率(%) 2.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 3億円

(2) 損益計算書


当期より連結決算へ移行したため、前年は単体、当期は連結数値となります。売上高は前期比で大幅に伸長し、営業利益も黒字化しました。これは主力であるシェアリング型統合マーケティング事業において、独自データに基づく商材選定と広告運用の最適化が進んだことによるものです。

項目 2024年6月期 2025年6月期
売上高 138億円 172億円
売上総利益 14億円 23億円
売上総利益率(%) 10.1% 13.4%
営業利益 -4億円 4億円
営業利益率(%) -2.7% 2.5%


販売費及び一般管理費のうち、人件費が5.4億円(構成比29%)、採用教育費が4.6億円(同25%)を占めています。売上原価においては、広告宣伝費が大部分を占める構造となっています。

(3) セグメント収益


主力のシェアリング型統合マーケティング事業が全社売上の大半を占めています。当期よりその他事業(子会社オーラムテック)が加わりましたが、規模は限定的です。主力事業においては、既存顧客との取引拡大に加え、新規商材の発掘が進んだことで売上が伸長しました。

区分 売上(2024年6月期) 売上(2025年6月期) 利益(2025年6月期) 利益率
シェアリング型統合マーケティング事業 138億円 171億円 4億円 2.6%
その他 - 0.7億円 -0.1億円 -19.5%
調整額 - - 0.1億円 -
連結(合計) 138億円 172億円 4億円 2.5%


※前期(2024年6月期)は単体数値であり、単一セグメントでした。

(4) キャッシュ・フローと財務指標


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は3.2%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は72.0%で市場平均を上回っています。

項目 2025年6月期
営業CF 4億円
投資CF -4億円
財務CF -7億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「世界を照らす。」という経営理念を掲げています。独自のマーケティング支援により「世の中に普及していない魅力ある商品やサービス」に光をあてて輝かせるとともに、従業員一人ひとりが成長して輝くことで、より豊かな社会の創造に貢献することを目指しています。

(2) 企業文化


成果報酬型のビジネスモデルを支えるため、独自の行動指針を浸透させています。具体的には、高く設定した目標から逆算して課題を徹底的に洗い出し、その解決に向けて全力で行動することや、マーケター各々が仮説構築・実行・検証・改善の高速PDCAを回すことを重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、独自のビジネスモデルと高いマーケティング力により、消費市場全体とEC化率の両方を牽引することを目指しています。経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標(KPI)として、以下の項目を重視しています。

* ランク別コア商材数(月次売上高1,000万円以上の商材)
* ランク別コア商材に係る平均売上高
* ROAS(広告費用対効果)および広告利益
* マーケター人員数および1人当たり売上高

(4) 成長戦略と重点施策


「コア商材」を再現性高く生み出すため、バリューチェーンの強化に注力しています。具体的には、人材採用と育成による組織体制の強化、商材パイプラインの拡充、マーケティング手法の多様化を進めています。また、ITツールやAIの活用により業務効率とマーケティング精度の向上を図ります。

* 動画広告市場の拡大に合わせ、ショート動画等の新フォーマット活用を推進
* Google、Facebook等、広告媒体の幅を広げ配信面を拡大
* 顧客ランディングページや商品設計等の上流コンサルティング力を強化

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


事業拡大に対応するため、優秀な人材の確保と育成を最重要課題と位置付けています。新卒や未経験者を中心に採用を拡大しつつ、ステップ毎に必要なスキルを体系化した育成プログラムの拡充やナレッジ共有体制の構築により、早期戦力化を図っています。また、個人の能力向上が利益創出につながるとの考えから、書籍購入やジム代補助等の支援も行っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年6月期 27.0歳 2.1年 6,576,000円


※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は従業員規模が300人以下のため、有報には男女賃金差異等の記載がありません。

項目 数値
女性管理職比率 21.1%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規) -
男女賃金差異(非正規) -


※男性労働者の育児休業取得率および男女の賃金の差異については、公表義務の対象ではないため記載を省略しています。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性社員比率(51.6%)、2030年6月までの女性管理職比率目標(35.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) レベニューシェア型モデルのリスク


同社の収益は顧客企業の売上成果に連動するため、マーケティング施策が奏功せず顧客が新規ユーザーを獲得できない場合、売上が発生しません。広告宣伝費等を先行負担しているため、想定した成果が出ない場合は費用回収ができず、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。これに対し、厳しい基準での商材選定や撤退ルールの運用でリスク管理を行っています。

(2) 特定の販売先への依存


売上高の37.6%(2025年6月期)が、主要な広告代理店である株式会社アール経由の取引に依存しています。商材ポートフォリオの拡大により比率は低下傾向にありますが、依然として高水準です。当該代理店との契約変更や、その先の広告主の事業戦略変更があった場合、同社の業績に大きな影響を与える可能性があります。

(3) 広告関連の法規制対応


事業において、景品表示法、医薬品医療機器等法(薬機法)、健康増進法などの法的規制を受けます。独自の広告審査体制を構築し、外部専門機関のレビューも受けていますが、万が一法令違反や不適切な広告配信が発生した場合、社会的信用の失墜や損害賠償請求により、業績に影響が及ぶ可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。