※本記事は、株式会社And Doホールディングス の有価証券報告書(第17期、自 2024年7月1日 至 2025年6月30日、2025年9月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. And Doホールディングスってどんな会社?
「ハウスドゥ」ブランドのFC事業やハウス・リースバック事業を展開する不動産サービス企業です。
■(1) 会社概要
1991年に創業し不動産仲介業を開始。2006年にフランチャイズ事業、2013年にハウス・リースバック事業を開始しました。2015年に東京証券取引所マザーズへ上場し、2022年には持株会社体制へ移行して現在の商号となりました。直近では2024年に第一生命ホールディングスと資本業務提携契約を締結しています。
連結従業員数は663名、単体では171名です。筆頭株主は代表取締役会長CEOが代表を務める有限会社AMCで、第2位は資本業務提携先である第一生命ホールディングスです。第3位には信託銀行が名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 有限会社AMC | 34.81% |
| 第一生命ホールディングス資産形成・承継事業ユニット | 15.69% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 5.34% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性2名の計12名で構成され、女性役員比率は17.0%です。代表者は代表取締役会長CEOの安藤正弘氏と、代表取締役社長の冨永正英氏です。社外取締役比率は41.7%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 安藤 正弘 | 代表取締役会長CEO | 1991年三伸住販有限会社(後の有限会社AMC)代表取締役就任。2009年同社設立とともに代表取締役就任。2024年9月より現職。 |
| 冨永 正英 | 代表取締役社長 | 2003年株式会社オリエントハウジング入社。ハウスドゥ住宅販売代表取締役等を経て、2024年9月より現職。 |
| 富田 数明 | 取締役副会長CFO兼経営戦略本部長 | 1979年株式会社滋賀銀行入行。(一財)日本バブテスト連盟医療団専務理事等を経て、2016年同社入社。2024年9月より現職。 |
| 松本 裕敦 | 取締役副社長CHO兼CTO兼CAO兼CISO兼事業推進本部長兼キャリアデザイン室長兼安全品質推進室長兼指名・報酬委員 | 1987年日本電信電話株式会社入社。エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社取締役等を経て、2018年同社入社。2024年7月より現職。 |
| 市田 真也 | 取締役副社長兼不動産事業部長 | 2001年株式会社リステアホールディングス入社。2012年同社入社。ハウスドゥ・ジャパン代表取締役等を経て、2025年1月より現職。 |
| 佐藤 淳 | 取締役CCO兼CLO | 1996年弁護士登録。2017年同社入社。2018年CLO就任。2019年8月より現職。 |
| 古山 利之 | 取締役(常勤監査等委員) | 1981年株式会社第一相互銀行入行。株式会社キャンドゥ常務取締役等を経て、2019年同社入社。2019年9月より現職。 |
社外取締役は、蟹瀬令子(株式会社ケイ・アソシエイツ代表取締役社長)、長田忠千代(株式会社T&Aマネジメント代表取締役)、信実克哉(株式会社ストラテジック・エンゲージメント代表取締役)、山本邦義(中小企業金融円滑化センター株式会社代表取締役)、本多利枝(弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「フランチャイズ事業」「ハウス・リースバック事業」「金融事業」「不動産売買事業」「不動産流通事業」「リフォーム事業」および「その他」事業を展開しています。
■フランチャイズ事業
不動産売買仲介および賃貸事業のノウハウを提供する「ハウスドゥ」ブランドのフランチャイズ展開を行っています。中小不動産事業者や新規参入企業に対し、集客戦略やITシステム、教育研修などを提供し、全国チェーンネットワークを構築しています。
加盟店からの加盟金、月会費、システム利用料、広告分担金などが主な収益源です。運営は連結子会社のハウスドゥ住宅販売が行っています。
■ハウス・リースバック事業
個人住宅のセール・アンド・リースバック商品「ハウス・リースバック」サービスを提供しています。顧客が所有する自宅を同社グループが買い取り、賃貸借契約を締結することで、顧客は売却後もそのまま住み続けることができます。
主な収益源は、保有物件からの賃料収入および将来的な物件売却による売却益です。運営はAnd Doホールディングス、ハウスドゥ販売管理、京葉ビルドが行っています。
■金融事業
金融機関と提携し、不動産担保融資やリバースモーゲージ保証事業を行っています。特にリバースモーゲージでは、同社グループが不動産担保評価および債務保証を行うことで、金融機関による商品提供を促進しています。
主な収益源は、不動産調査料、保証料、および融資に対する利息収入です。運営は連結子会社のフィナンシャルドゥが行っています。
■不動産売買事業
中古住宅の買取再生販売、新築戸建分譲、用地開発などを行っています。「家・不動産買取専門店」などを通じて不動産を取得し、リフォームや新築などにより付加価値を付けて販売します。
収益源は、一般顧客や不動産業者への不動産販売代金です。運営はAnd Doホールディングスおよびハウスドゥ・ジャパンが行っています。
■不動産流通事業
直営店における不動産売買仲介事業を行っています。ウェブやチラシなどの集客手法を駆使し、顧客の住まい探しをサポートするほか、リフォームや保険などの関連サービスもワンストップで提案します。
主な収益源は、不動産売買の成約時に顧客から受け取る仲介手数料です。運営は連結子会社のハウスドゥ住宅販売が行っています。
■リフォーム事業
住宅のリフォーム工事請負を行っています。原状回復からデザインリフォームまで幅広く対応し、ホームインスペクションや耐震診断を標準仕様とするなど、品質と安心を重視したサービスを提供しています。
収益源は、顧客からのリフォーム工事請負代金です。運営は連結子会社のハウスドゥ・ジャパンが行っています。
■その他
海外事業や欧米流不動産エージェント業など、報告セグメントに含まれない事業を展開しています。
収益源は当該事業からのサービス対価等です。運営は海外現地法人や同社グループが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は2024年6月期まで拡大傾向にありましたが、2025年6月期は減収となりました。経常利益も2024年6月期をピークに減益となっています。当期利益については、2022年6月期以降、比較的高い水準を維持しています。
| 項目 | 2021年6月期 | 2022年6月期 | 2023年6月期 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 390億円 | 414億円 | 496億円 | 676億円 | 647億円 |
| 経常利益 | 25億円 | 29億円 | 34億円 | 35億円 | 29億円 |
| 利益率 | 6.4% | 7.1% | 6.8% | 5.1% | 4.5% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 16億円 | 20億円 | 22億円 | 25億円 | 23億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で減少しましたが、売上原価も減少しており、売上総利益率は若干低下しています。営業利益は前期比で減少しており、利益率は低下傾向にあります。
| 項目 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 676億円 | 647億円 |
| 売上総利益 | 164億円 | 145億円 |
| 売上総利益率 | 24.3% | 22.5% |
| 営業利益 | 36億円 | 26億円 |
| 営業利益率 | 5.3% | 4.0% |
販売費及び一般管理費のうち、給与及び手当が33億円(構成比28%)、支払手数料が23億円(同19%)を占めています。売上原価については、大部分が商品原価等で構成されています。
■(3) セグメント収益
2025年6月期は、不動産売買事業が増収となった一方、ハウス・リースバック事業が減収となりました。利益面では、ハウス・リースバック事業や不動産売買事業での減益が影響し、全体として営業利益は減少しました。金融事業は増収増益となり、成長を見せています。
| 区分 | 売上(2024年6月期) | 売上(2025年6月期) | 利益(2024年6月期) | 利益(2025年6月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| フランチャイズ事業 | 31億円 | 31億円 | 20億円 | 19億円 | 61.5% |
| ハウス・リースバック事業 | 260億円 | 194億円 | 32億円 | 23億円 | 11.7% |
| 金融事業 | 5億円 | 6億円 | 1億円 | 2億円 | 32.1% |
| 不動産売買事業 | 344億円 | 384億円 | 24億円 | 20億円 | 5.3% |
| 不動産流通事業 | 11億円 | 11億円 | 6億円 | 5億円 | 48.3% |
| リフォーム事業 | 24億円 | 22億円 | 2億円 | 3億円 | 11.7% |
| その他 | 0.0億円 | - | -0.1億円 | -0.0億円 | - |
| 調整額 | -8億円 | -6億円 | -49億円 | -45億円 | - |
| 連結(合計) | 676億円 | 647億円 | 36億円 | 26億円 | 4.0% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業活動によるキャッシュ・フローはプラスで、投資活動による支出を上回っており、財務活動によるキャッシュ・フローはマイナスで借入金の返済等を行っていることから、健全型と言えます。
| 項目 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 74億円 | 75億円 |
| 投資CF | -13億円 | -7億円 |
| 財務CF | -64億円 | -81億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は13.1%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は25.6%で市場平均とほぼ同じ水準です。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「お客様から必要とされ、お客様へ尽くします。」という経営理念を掲げています。社会問題解決を新たなビジネスチャンスと捉え、「不動産×金融×IT」の展開により、時代のニーズに即したソリューションサービスを提供する不動産サービスメーカーを目指しています。
■(2) 企業文化
「住まいのすべてを、スマートに。」をスローガンに、不動産情報のオープン化を推進しています。全国に店舗ネットワークを構築し、お客様にとって安心で便利な窓口を創り出すことを重視しています。また、人材教育システムを充実させ、業界全体のサービスレベル向上に貢献する姿勢を持っています。
■(3) 経営計画・目標
2030年6月期を最終年度とする中期経営計画を策定し、資本収益性を高め、持続的な企業価値向上を目指しています。
* 売上高経常利益率:10%
* 自己資本比率:30%
* ROIC:6%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
フランチャイズ事業、不動産売買事業、金融事業に経営資源を集中し、事業ポートフォリオの再構築を図ります。全国の店舗ネットワークを活用した情報収集と事業シナジーの強化、首都圏への展開、リバースモーゲージ保証事業の拡大などを重点施策としています。また、中古住宅の買取再販強化や、第一生命ホールディングスとの業務提携による協業推進も進めていきます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人材を最も重要な経営資源と位置付け、新卒採用を中心に将来の中核人材を確保するとともに、即戦力となるキャリア人材の採用も積極的に行っています。教育・研修システムの充実により人材育成を強化し、多様な働き方を支える環境整備にも努めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年6月期 | 39.2歳 | 6.5年 | 4,995,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 24.5% |
| 男性育児休業取得率 | 33.3% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 59.3% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 69.1% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 79.1% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、係長職以上の女性割合(23.0%)、管理職に占める女性割合(15.5%)、男性の育児休業取得率(21.4%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 法的規制について
同社グループは宅地建物取引業法や建設業法、貸金業法などの規制を受けて事業を行っています。これらの免許や許認可が取り消された場合や、法規制の改廃・新設があった場合、事業活動に支障をきたし、経営成績や財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 住宅市況及び金利状況、経済情勢等の変動について
不動産業界は景気や金利、地価動向の影響を受けやすい特性があります。金利上昇や地価変動、住宅税制の変更などは顧客の購入意欲や同社の資金調達に影響を与える可能性があります。また、人口減少による住宅需要の縮小も懸念され、これらは経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 代位弁済の増加リスクについて
金融事業のリバースモーゲージ保証において、顧客の債務不履行時に代位弁済を行うリスクがあります。不動産市場の悪化による担保価値の下落や、物件売却が困難な場合、貸倒れが発生し、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 競合について
不動産業界には多数の事業者が存在し、大手企業を含む競合他社との競争が生じています。同社は直営店やフランチャイズ展開で差別化を図っていますが、資本力やブランド力に勝る他社との競争が激化した場合、想定通りの事業拡大ができず、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。



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