※本記事は、京都機械工具株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月29日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
京都機械工具は、工具の製造販売を主軸に、ファシリティマネジメント事業も展開しています。自動車整備用工具や医療用工具、電設関連工具など多岐にわたる工具の製造販売を手掛けています。
単体従業員数は205名、連結従業員数は248名です。セグメントは工具事業、ファシリティマネジメント事業の2つです。
主な国内グループ会社は、北陸ケーティシーツール.、HI-TOOL(工具事業)などです。
直近では、連結子会社における不適切な会計処理事案や、戦略製品の自主回収事案が発生しました。これを受け、京都機械工具は経営基盤の立て直しに注力しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
京都機械工具は、従業員の安定的な就業を重視し、長期的なキャリア形成を支援する環境づくりに取り組んでいます。給与水準は個人の成果や役割に基づき決定され、働きがいのある職場環境の整備にも力を入れています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高い水準にあります。これは、従業員が長期にわたって安定して働き続ける傾向があることを示しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,815,766円 |
| 平均勤続年数 | 17.0年 |
| 平均年齢 | 40.6歳 |
| 単体従業員数 | 205人 |
| 連結従業員数 | 248人 |
| 単体のグループ内比率 | 82.7% |
同社は、確定拠出年金制度と確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)の退職一時金制度を採用しています。これらの制度は国内の従業員を対象としています。
退職一時金制度はありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。なお、確定給付制度における退職給付債務は6.8億円です。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、新5ヵ年計画「Restart KTC vision 2030」を策定し、経営戦略の実現には従業員一人ひとりの能力発揮と安全・安心な職場づくり、主体的なキャリア形成支援が不可欠であると認識しています。人手不足に伴う生産性低下をリスクと捉え、採用拡大やAI・IT分野の高度専門人材の確保を重要課題としています。
教育研修制度の充実を通じてグループ全従業員の能力開発を推進するとともに、外部からの人材採用も積極的に行い、内部人材との融合を図りながら成長できる環境づくりに取り組んでいます。給与その他の給付の額及び内容については、職能を軸とする等級制度に基づき、個人の成果、その実現に向けた行動、役割、職責などを総合的に勘案し決定することを基本方針としています。評価者とのフィードバック面談を通じて自己成長を促し、公正な評価と処遇により従業員のモチベーション向上に努めています。
また、ダイバーシティ・インクルージョンの推進として、多様な人材の登用や人事制度の見直しを実施しています。女性活躍推進では、育児短時間勤務や在宅勤務などの両立支援策、女性管理職比率引き上げのための研修を実施しています。働きがいのある職場環境の整備では、健康経営の観点から従業員の安全・健康・働きがいを確保し、ストレスチェックやハラスメント研修、メンタルヘルスケアの充実に取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男女の賃金の額の差異は、女性活躍推進法に基づく公表義務の対象ではないため、記載を省略しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 4.4% |
| 男女の育児休暇取得率 | 100.0% |
健康・安全
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 健康診断受診率 | 100.0% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
京都機械工具は、工具の製造販売を主軸とし、ファシリティマネジメント事業も展開する企業グループです。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、主に工具の製造販売とファシリティマネジメント事業を通じて売上高を上げています。工具事業が売上高の大部分を占めており、ファシリティマネジメント事業がそれに続く構成となっています。
工具事業
自動車整備用工具、医療用工具及び関連機器、電設関連工具、その他一般作業工具、並びにこれらに関連する機器の製造販売を行っています。また、ロストワックス製法による工具や精密工作機械部品、産業用機械部品などの精密鋳造も手掛けています。
売上高は、主に一時点で顧客に移転される財の販売から得ています。
ファシリティマネジメント事業
不動産の賃貸や業務用不動産の運営を行っており、太陽光発電による電気の販売も含まれます。
売上高は、主に一定の期間にわたり顧客に移転される財またはサービスの提供から得ています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 工具事業 | 88.1億円 | 80.8億円 |
| ファシリティマネジメント事業 | 2.3億円 | 2.6億円 |
同社グループの売上高は、本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えており、国内市場が主要な収益源となっています。特定の顧客への売上高集中も見られ、当連結会計年度においては、トラスコ中山株式会社、ヤマト自動車株式会社、トヨタ自動車株式会社が主要な顧客となっています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの直近5期間の業績を見ると、売上高は前期に増加したものの、当連結会計年度では減少に転じています。このような状況には、連結子会社における不適切な会計処理事案や、戦略製品の自主回収事案の発生を受け、経営基盤の立て直しに注力した影響も含まれています。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益も、前期と比較して減少する結果となりました。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 79.4億円 | 84.0億円 | 84.3億円 | 90.5億円 | 83.3億円 |
| 経常利益 | 7.6億円 | 8.3億円 | 9.0億円 | 9.4億円 | 8.2億円 |
| 経常利益率 | 9.6% | 9.8% | 10.7% | 10.4% | 9.8% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 5.1億円 | 5.9億円 | 5.8億円 | 5.4億円 | 5.0億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 208.11 | 243.92 | 238.56 | 224.59 | 207.68 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は前期から減少しており、従業員1人あたりの営業利益も同様に減少しています。これは、当連結会計年度において売上高および営業利益が減少したことによる影響を示しています。
従業員1人あたりの指標は、組織全体の効率性や収益体質を測る上で重要な要素となります。これらの数値の推移は、同社グループの生産性トレンドを把握する上で参考となるでしょう。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 37.1百万円 | 33.6百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 3.5百万円 | 3.0百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務状況は、事業活動と投資活動の両面から安定した資金の流れを示しています。これにより、将来に向けた事業展開の基盤が盤石であることがうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率はプライム市場の製造業平均を大きく上回っており、強固な財務基盤を築いていることが示されています。ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均を下回る水準ですが、手元資金である現金及び預金は潤沢に確保されており、安定した事業運営を支える資金力があると言えます。これらの財務状況は、従業員の雇用や給与の安定性にもつながる要素です。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 123億円 | 126億円 |
| 自己資本比率 | 75.2% | 79.9% |
| ROE(自己資本利益率) | 4.4% | 4.0% |
| 現金及び預金 | 30.4億円 | 30.8億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業キャッシュフローは前期から減少しました。投資キャッシュフローは前期のマイナスから当期はプラスに転じており、投資活動による資金の流入があったことを示しています。財務キャッシュフローは引き続きマイナスで推移しており、借入金の返済や配当金の支払いなどが行われている状況です。これらの結果、事業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュフローは前期のマイナスから当期はプラスに転じました。これは、事業活動で得た資金と投資活動による資金流入により、自由に使える資金が生み出されていることを示しています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 10.7億円 | 2.3億円 |
| 投資CF | △12.5億円 | 1.4億円 |
| 財務CF | △3.2億円 | △2.1億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △1.8億円 | 3.7億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、創業以来自動車関連に強みを持ち、販売代理店ルートを中心に販売しています。しかし、外部環境の変化に伴う流通ルートの急速な変革により、売上高に影響を与える可能性があります。また、製品及びサービスの市場は海外メーカーを含め競合しており、競争力のある価格でサービスを提供できない場合、市場シェアや顧客との取引関係の喪失につながるリスクがあります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、急速な技術革新が進む自動車関連産業において、変化に対応できる社内の人財育成と社外からの人財確保を重要視しています。人財の育成や確保ができない場合、新製品の開発や新サービスの提供に支障を来し、グループ全体の経営成績に影響を与える可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
京都機械工具は、「軽くて強くて使いよい工具を創り、社会に貢献しよう」という社是を掲げ、お客様の要求に応える製品とサービスを通じて社会に貢献することを目指しています。この会社は、誠実さとたゆまぬ前進を重んじる文化のもと、持続的な発展を追求しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、社是「お互いに誠実でたゆまず前進し、軽くて強くて使いよい工具を創り、社会に貢献しよう」と社訓「信用・誠実・協調・創造・実行」を経営理念としています。品質・価格・納期の面でお客様の要求に最大限応える製品とサービスを提供し、企業の継続的発展を目指しています。
また、法令遵守や安全・環境面での社会貢献も重視しており、地域社会に貢献できる企業グループを目指す方針です。2030年度を最終年度とする長期ビジョン「KTC vision 2030」を策定し、強固な経営基盤の再構築と本質的な成長を重ねることで、目標達成を着実に目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、社訓として「信用・誠実・協調・創造・実行」を掲げ、これらの価値観を大切にしています。サステナビリティを経営課題の一つと捉え、「E 地球環境に徹底的に貢献する」「S あらゆるステークホルダーと共生する」「G 持続可能な信頼される企業であり続ける」というESG推進方針を掲げています。
従業員一人ひとりが能力を最大限に発揮し、安全・安心に働ける職場づくりと、主体的なキャリア形成の支援を重視しています。多様な人材の登用や、一人ひとりが活躍できる人事制度への見直しも推進しており、互いに成長できる環境づくりに取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、お客様にとって最適な「軽くて、強くて、使いよい」ツールの提供を継続し、多様性を認め合う持続可能な社会の実現を目指しています。IoT技術を用いた「TRASAS」シリーズやRFID搭載工具「nepros ID」シリーズを展開し、工具とソフトウエア、サービスによる新たな価値提供に取り組んでいます。
また、「Restart KTC vision 2030」を支えるサプライチェーンマネジメントの強化として、人とロボットの協働環境の運用や生産拠点の最適化を進めています。ESGを軸としたサステナビリティへの取り組みを深化させ、人材への投資を通じて社員が「KTCで働いてよかった」と思える会社を実現し、同社グループの成長につなげていく方針です。
過去の不適切な会計処理に関する課題に対しては、内部統制の整備・運用、グループ一体感の醸成、ガバナンスの再構築、上場会社としての信頼性確保に向けた全社的な意識改革を重点テーマとしています。具体的には、内部監査体制の強化や在庫管理システムの整備、取締役会におけるモニタリング機能の強化、コンプライアンス研修の実施などに取り組んでいます。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
京都機械工具は、経営の意思決定・監督機能と業務執行機能を分離し、執行役員制度を導入しています。取締役会は、取締役と監査等委員である取締役で構成され、経営判断等の重要事項の意思決定と業務執行の監督を担っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
京都機械工具の株主構成を見ると、筆頭株主は個人である宇城邦英氏です。その他、株式会社三菱UFJ銀行や明治安田生命保険相互会社といった金融機関が上位株主として名を連ねています。特定の個人や金融機関が主要な株主として同社を支えていることがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 宇城邦英 | 7.13% |
| 三菱UFJ銀行 | 4.92% |
| 明治安田生命保険相互会社 | 4.80% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は6名(男性5名・女性1名)で構成され、女性役員比率は16.0%です。代表取締役社長は伊吹和彦氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 伊吹 和彦 | 代表取締役社長 社長執行役員 | 1985年3月同社入社、2014年7月執行役員、2020年6月取締役を経て、2025年4月より代表取締役社長社長執行役員に現職。 |
| 川田 実 | 取締役 常務執行役員 | 1992年4月株式会社三菱銀行入行、2023年4月同社執行役員、2025年5月株式会社HI-TOOL代表取締役社長を経て、2025年10月より取締役、2026年4月より常務執行役員に現職。 |
社外取締役は、谷明典氏(弁護士法人北浜法律事務所代表社員弁護士・大末建設株式会社社外取締役(監査等委員))、岩永憲秀氏(ひかり監査法人統括代表社員・株式会社白鳩社外監査役・株式会社京都新聞ホールディングス社外取締役(監査等委員))、長谷川葵氏(弁護士法人色川法律事務所社員弁護士・大阪市教育委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、経営の意思決定・監督機能と業務執行機能を分離しています。社外取締役は、客観的・中立的な立場と豊富な経験に基づき、取締役会において積極的に助言や提言を行い、取締役の職務執行の妥当性・適正性を確保する役割を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
京都機械工具の役員報酬は、業績連動報酬(賞与、譲渡制限付株式報酬)と月例の金銭報酬で構成されています。業績連動報酬は、売上高や各段階利益を指標として支給総額が決定される仕組みです。報酬委員会が任意の諮問機関として機能し、取締役会が報酬等の決定方針を決議しています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 6名 | 97百万円 | 16.1百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 3名 | 8百万円 | 2.6百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 12百万円 | 2.9百万円 |
同社グループの役員報酬等の総額は1億1,614万円で、対象となる役員の合計は13名です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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