日本駐車場開発 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

日本駐車場開発 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東京証券取引所プライム市場に上場しており、駐車場事業、スキー場事業、テーマパーク事業を展開しています。当連結会計年度は、主力の駐車場事業が堅調に推移したほか、スキー場・テーマパーク事業も来場者数が増加し、売上高・各段階利益ともに過去最高を更新する増収増益となりました。


※本記事は、日本駐車場開発株式会社 の有価証券報告書(第34期、自 2024年8月1日 至 2025年7月31日、2025年10月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 日本駐車場開発ってどんな会社?


同社は、不稼働資産の活用をテーマに、駐車場運営やスキー場・テーマパークの再生事業などを展開する企業です。

(1) 会社概要


1991年に大阪府で設立され、駐車場に関するコンサルティング業務を開始しました。2005年1月に東京証券取引所市場第一部へ上場を果たしています。2005年12月には日本スキー場開発を設立してスキー場事業へ参入し、2010年にはタイに現地法人を設立して海外展開を開始しました。2016年には那須ハイランドパークの運営会社を子会社化し、テーマパーク事業を拡大しています。

同グループの従業員数は連結1,120名、単体331名です。筆頭株主は創業者の巽一久氏が役員を務める株式会社巽商店で、発行済株式の33.05%を保有しています。第2位は資産管理業務を行う信託銀行です。

氏名 持株比率
巽商店 33.05%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 9.02%
日本カストディ銀行(信託口) 3.19%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性3名の計14名で構成され、女性役員比率は21.4%です。代表取締役社長は巽一久氏が務めています。社外取締役比率は35.7%です。

氏名 役職 主な経歴
巽 一久 代表取締役社長 1991年12月同社設立、代表取締役社長就任。2022年5月スマートグリーンエネルギー取締役より現職。
川村 憲司 取締役副社長 1999年3月同社入社。2007年10月取締役副社長就任。2022年10月ティー・シー・ケー・ワークショップ取締役より現職。
渥美 謙介 常務取締役管理本部長 2007年4月同社入社。2018年10月常務取締役、同年11月管理本部長就任。2024年4月スマートグリーンエネルギー片品代表取締役より現職。
岡本 圭司 取締役営業本部長 2003年4月同社入社。2018年10月取締役就任。2021年8月営業本部長就任。2023年10月日本テーマパーク開発取締役より現職。
窪田 礼子 取締役財務経理部長 2009年1月同社入社。2020年10月取締役、同年11月財務経理部長就任。2023年10月ティー・シー・ケー・ワークショップ監査役等より現職。
吉松 裕樹 取締役西日本本部長 2004年4月同社入社。2018年10月日本自動車サービス開発代表取締役社長。2022年8月同社西日本本部長、2023年10月取締役より現職。


社外取締役は、藤井英介(サファリ・キャピタル代表取締役)、小野真路(元東京流通センター社長)、烏野仁(十手代表取締役CEO)、河野誠(元富士通取締役)、長谷川雅子(ドクターネット社長兼CEO)です。

2. 事業内容


同社グループは、「駐車場事業」「スキー場事業」「テーマパーク事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 駐車場事業


日本国内および海外(タイなど)において、駐車場の直営事業、リーシング事業、マネジメント事業などを展開しています。不稼働駐車場の有効活用や、有人管理によるバレーサービス等の高付加価値オペレーションを提供し、オフィスビルや商業施設の価値向上に貢献しています。

収益は、直営事業における駐車場利用者からの駐車料金収入、リーシング事業における仲介手数料、マネジメント事業における管理運営委託料などが主な柱です。運営は、国内では主に日本駐車場開発や日本自動車サービス開発、海外ではNPD GLOBAL CO.,LTD.などが行っています。

(2) スキー場事業


長野県や群馬県、岐阜県などでスキー場の運営を行っています。索道(リフト・ゴンドラ)の運行に加え、レンタルショップやレストランの運営も手掛け、グリーンシーズンの活用を含めた通年での収益化に取り組んでいます。

収益は、来場者からのリフト券代、レンタル料、飲食代、売店での物品販売収入などが中心です。運営は、日本スキー場開発をはじめ、北志賀竜王、川場リゾート、白馬観光開発などのグループ会社が行っています。

(3) テーマパーク事業


那須ハイランドパークや那須高原りんどう湖ファミリー牧場などの遊園地運営に加え、別荘の管理受託や宿泊施設の運営を行っています。地域の観光資源を活かした集客や、ペット連れ・家族連れ向けのサービス充実に注力しています。

収益は、テーマパークの入園料、アトラクション利用料、宿泊施設の利用料、別荘オーナーからの管理委託料などから構成されています。運営は、主に日本テーマパーク開発、藤和那須リゾート、那須興業などが行っています。

(4) その他事業


教育サービス事業や再生可能エネルギー事業などを展開しています。海外子女・帰国子女向けの教育指導や、カーボンニュートラル実現に向けたエネルギー事業に取り組んでいます。

収益は、教育事業における授業料や、エネルギー事業における電力販売収入などが含まれます。運営は、ティー・シー・ケー・ワークショップやスマートグリーンエネルギーなどが担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は一貫して増加傾向にあり、第30期の238億円から第34期には368億円へと拡大しています。経常利益も順調に推移しており、第34期には78億円となり、高い利益率を維持しています。当期純利益も増加基調にあり、事業規模の拡大とともに収益性も向上していることが読み取れます。

項目 2021年7月期 2022年7月期 2023年7月期 2024年7月期 2025年7月期
売上高 238億円 263億円 319億円 327億円 368億円
経常利益 35億円 46億円 62億円 65億円 78億円
利益率(%) 14.5% 17.7% 19.5% 19.9% 21.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 17億円 28億円 23億円 29億円 36億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で増加し、売上総利益率も40.0%と前期の38.7%から改善しています。営業利益についても増益となり、営業利益率は20.8%と高い水準を維持しています。これらは、各事業における集客増や高付加価値サービスの提供が寄与していると考えられます。

項目 2024年7月期 2025年7月期
売上高 327億円 368億円
売上総利益 127億円 147億円
売上総利益率(%) 38.7% 40.0%
営業利益 65億円 77億円
営業利益率(%) 19.8% 20.8%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が12億円(構成比18%)、委託サービス費が10億円(同14%)を占めています。

(3) セグメント収益


全セグメントで増収増益を達成しました。特にスキー場事業はインバウンド需要の回復や降雪に恵まれたことで大幅な増収増益となり、利益率は21.5%に達しています。駐車場事業も堅調に推移し、安定した収益基盤となっています。テーマパーク事業も来場者増により増収増益となりました。

区分 売上(2024年7月期) 売上(2025年7月期) 利益(2024年7月期) 利益(2025年7月期) 利益率
駐車場事業 172億円 178億円 42億円 45億円 25.2%
スキー場事業 82億円 105億円 16億円 22億円 21.5%
テーマパーク事業 66億円 77億円 11億円 13億円 17.5%
その他 8億円 9億円 2億円 2億円 23.2%
調整額 - - -6億円 -6億円 -
連結(合計) 327億円 368億円 65億円 77億円 20.8%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社グループは、事業運営に必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としています。営業活動によるキャッシュ・フローは、事業活動から生み出される資金源であり、投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資や資産の取得・売却等による資金の増減を示します。財務活動によるキャッシュ・フローは、借入や返済、配当金の支払い等、資金調達や返済に関する動きを表します。

項目 2024年7月期 2025年7月期
営業CF 62億円 82億円
投資CF -74億円 -49億円
財務CF 65億円 12億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同グループは、「ハッピートライアングル:関わる人全てがハッピーなビジネスを」という経営理念を掲げています。不稼働な素材に着目し、これを活性化させることで、オーナー、ユーザー、社会の三方にとってメリットのあるソリューションを提供し、関係者の満足を高めることを使命としています。

(2) 企業文化


同グループでは、年齢や性別、経験にとらわれず、社員一人一人が自ら考え行動し実践することを重視しています。失敗を恐れずに挑戦する姿勢を推奨し、「Challenge Change Create」を行動指針として掲げ、より多くの人がチャレンジできる環境づくりを目指しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、高い収益性をもって成長し続けることを目標とし、成長性、収益性、健全性、効率性のバランスを重視しています。具体的な数値目標として、営業利益成長率、売上高営業利益率、売上高経常利益率、自己資本比率、ROEを高水準で維持することを目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


駐車場事業では、DXによる検索サイトの充実や、法人向けソリューションの強化、海外(タイ)での展開を進めます。スキー場・テーマパーク事業では、インバウンド需要の取り込み、グリーンシーズンのコンテンツ拡充、M&Aやアライアンスによる事業拡大を図ります。また、新規事業としてカーボンニュートラル等の分野での事業創造にも注力します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「ハッピートライアングル」の理念を実践できる人材の育成に注力しています。学歴や性別に関係なく成長意欲の高い人材を採用し、徹底したOJTやグループを跨いだ挑戦機会の提供を通じて、現場力やマネジメント力を養います。また、20代からの役員抜擢など、早期に経営視点を持てる環境を整備しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年7月期 31.3歳 5.8年 4,276,140円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 -
男性育児休業取得率 33.3%
男女賃金差異(全労働者) 89.7%
男女賃金差異(正規雇用) 80.5%
男女賃金差異(非正規雇用) 78.6%


※女性管理職比率については、女性活躍推進法に基づく公表項目として役員比率等を選択しているため、記載を省略しています。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、平均年齢(34.5歳)、女性従業員比率(39%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 特定の規制の変更


同グループの事業は、駐車場法や建築基準法などの規制の影響を受ける可能性があります。これらの法律、政策、実務慣行等の変更が将来発生した場合、業務遂行や業績にマイナスの影響を及ぼす可能性があります。これに対し、関連法規情報の収集を積極的に行っています。

(2) 駐車場需給の急激な緩和


自動運転車の実用化や普及などにより、国内の自動車保有台数が急激に減少する可能性があります。このような外的要因によって駐車場の需給バランスが崩れ、需給が急激に緩和された場合、同グループの駐車場事業の業績に悪影響が生じる可能性があります。

(3) 自然災害、人災等によるリスク


地震や風水害、感染症、事故、テロ等が発生した場合、業績に影響が及ぶ可能性があります。特にスキー場やテーマパークは天候の影響を受けやすく、悪天候による来場者減少のリスクがあります。これに対し、オールシーズンリゾート化の推進やBCP対策本部の設置等で対応しています。

(4) 海外での事業展開のリスク


タイにおいて駐車場事業等を展開しており、現地の政治・経済情勢の変化、法令改正、労働環境の変化等が事業展開に支障をきたす可能性があります。これに対して、現地の法的規制や慣習への適切な対応のため、情報の収集とグループ内での共有を行っています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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