ティーライフ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ティーライフ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場。健康茶や健康食品等の通信販売および卸売を行うウェルネス事業と、自社不動産を活用したロジスティクス事業を展開しています。直近決算では、主力のウェルネス事業における競争激化や海外事業への先行投資負担等が響き、売上高および各利益段階で減収減益となりました。(147文字)


※本記事は、ティーライフ株式会社 の有価証券報告書(第42期、自 2024年8月1日 至 2025年7月31日、2025年10月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ティーライフってどんな会社?


健康茶や健康食品、化粧品等の通信販売を主力とし、自社物流センターを活用した倉庫業も手掛ける企業です。

(1) 会社概要


1983年に緑茶のティーバッグ加工と通信販売を目的として設立され、2003年にインターネットでの通信販売を開始しました。2012年に大阪証券取引所JASDAQ市場へ上場し、2016年には東京証券取引所市場第一部に指定されました。その後、2022年の市場区分見直しを経てスタンダード市場へ移行しています。近年では2023年に米国現地法人を設立するなど、海外展開も進めています。

連結従業員数は144名、単体では108名です。筆頭株主は株式会社N&Kで、発行済株式の33.54%を保有しています。第2位は個人株主の山田壽雄氏、第3位は従業員持株会となっており、創業家や関係者が安定的に株式を保有する構成となっています。

氏名 持株比率
N&K 33.54%
山田 壽雄 2.34%
ティーライフ従業員持株会 1.66%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性2名の計7名で構成され、女性役員比率は28.6%です。代表取締役社長兼ウェルネスカンパニー長兼ロジスティクスカンパニー長兼海外営業部長は西上節也氏です。社外取締役比率は28.6%です。

氏名 役職 主な経歴
西上 節也 代表取締役社長ウェルネスカンパニー長兼ロジスティクスカンパニー長兼海外営業部長 1986年ガムガム入社。ジーエスエムジャパン代表取締役社長等を経て、2019年ティーライフ入社。取締役副社長等を経て、2020年8月より現職。
児島 正雄 取締役グループ・事業戦略本部長 1986年兼松江商(現兼松)入社。ジーエスエムジャパン取締役管理部本部長等を経て、2019年ティーライフ入社。2020年10月取締役就任。2025年8月より現職。
齋藤 正和 取締役マネジメントサービスカンパニー長兼経営戦略部長 1984年八百半デパート(現マックスバリュ東海)入社。メガネスーパー代表取締役社長等を経て、2022年ティーライフ入社。2023年10月より現職。
植田 伸司 取締役 1972年静岡小松フォークリフト入社。1983年ティーライフ設立時に代表取締役社長就任。2020年代表取締役会長を経て、2022年10月より現職。
岡村 朗 取締役(常勤監査等委員) 1987年学静社富士学院入社。日本ランズエンド等を経て2007年ティーライフ入社。ロジスティクス事業本部物流部配送管理課長等を経て、2020年10月より現職。


社外取締役は、寺田敏子(つかさ綜合法律事務所所長)、岩井理映子(日本アイ・ビー・エムパートナー)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ウェルネス事業」および「ロジスティクス事業」を展開しています。

(1) ウェルネス事業


主に自社企画した健康茶、健康食品、化粧品等を、カタログやインターネットを通じて個人消費者に通信販売しています。また、ヘルスケア商品や生活雑貨、寝具等を国内外のメーカーから仕入れ、テレビショッピングやカタログ販売を展開する通信販売会社や小売店等へ卸売を行っています。

収益は、個人消費者への商品販売による代金や、通信販売会社・小売店等への卸売による販売代金から得ています。運営は主にティーライフが行い、卸売事業については子会社の株式会社アペックス等が担っています。

(2) ロジスティクス事業


同社が所有する不動産を活用した不動産賃貸事業や、出荷業務の請負等を展開しています。静岡県や愛知県に物流センターを保有し、グループ内外の物流ニーズに対応しています。

収益は、賃借人である顧客からの賃貸料や、出荷業務の受託に基づく作業完了時の受託料から得ています。運営は主にティーライフが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は2023年7月期をピークに減少傾向にあり、直近では減収減益となっています。利益面では、売上高の減少に加え、コスト増や先行投資の影響により、経常利益率が低下傾向にあります。

項目 2021年7月期 2022年7月期 2023年7月期 2024年7月期 2025年7月期
売上高 117億円 127億円 135億円 130億円 115億円
経常利益 9.2億円 8.0億円 8.4億円 5.6億円 4.5億円
利益率(%) 7.9% 6.3% 6.3% 4.3% 3.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 7.0億円 5.7億円 6.0億円 3.2億円 3.6億円

(2) 損益計算書


直近2期間では、売上高の減少に伴い売上総利益、営業利益ともに減少しています。売上原価率は上昇傾向にあり、利益率を圧迫しています。

項目 2024年7月期 2025年7月期
売上高 130億円 115億円
売上総利益 44億円 41億円
売上総利益率(%) 34.2% 35.8%
営業利益 5.5億円 4.6億円
営業利益率(%) 4.2% 4.0%


販売費及び一般管理費のうち、その他経費が12億円(構成比34%)、広告宣伝費が11億円(同29%)を占めています。

(3) セグメント収益


ウェルネス事業は、サプリメント類の販売低調やECモールの競争激化により減収減益となりました。ロジスティクス事業は、物流センターの稼働安定により増収となりましたが、人件費等のコスト増により微減益となりました。

区分 売上(2024年7月期) 売上(2025年7月期) 利益(2024年7月期) 利益(2025年7月期) 利益率
ウェルネス事業 121億円 106億円 3.8億円 2.7億円 2.5%
ロジスティクス事業 9.2億円 9.3億円 1.9億円 1.9億円 20.4%
連結(合計) 130億円 115億円 5.5億円 4.6億円 4.0%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.6%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は73.3%で市場平均を上回っています。

項目 2024年7月期 2025年7月期
営業CF 3.3億円 5.3億円
投資CF -1.4億円 -5.4億円
財務CF 1.3億円 -2.7億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「よろこんでもらえる喜び」を事業活動の原動力とし、お客様の豊かで潤いのある生活をサポートすることを使命としています。「嘘をつかず、謙虚に、明るく社会的責任を果たす」「通信販売に良き改革を与え続け、より質の高い商品やサービスを提供する」「どのような経済環境の変化にも対応できる『自ら進化していく組織』を作る」ことを経営理念として掲げています。

(2) 企業文化


同社は「Mastering Today, Shaping Our Future~今日を極め、未来を創る」をスローガンとし、社会と共に成長する企業を目指しています。また、子会社の株式会社アペックスでは「New Value Creation」をコンセプトに、ワンランク上の商品構成を特徴とするなど、新たな価値創造を重視する風土があります。

(3) 経営計画・目標


2025年8月から2028年7月までの3期における中期経営計画を策定しています。最終年度となる2028年7月期の数値目標として、以下を掲げています。

* 売上高:131億8,000万円
* 営業利益率:6.6%
* ROE:10.1%

(4) 成長戦略と重点施策


中期経営計画では、「未来の成長に向けた土台づくり」と位置づけ、既存事業の進化、新収益モデルの構築、強固な経営基盤の構築に取り組む方針です。具体的には、既存顧客との関係強化やDX推進による業務効率化に加え、越境ECや北米での食品卸売事業などの海外向け事業へ積極的に投資を行います。また、M&Aについても将来のグループの中核となる事業の獲得を目指します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材の多様性を確保するため、能力や適性を総合的に評価し、性別や国籍等による制約を設けない採用・登用を行っています。人材育成では、階層別研修や資格取得支援に加え、キャリア相談や自己申告制度により自律的なキャリア開発を支援しています。また、DX推進による業務効率化や、タレントマネジメントシステムの導入による人材情報の可視化を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年7月期 40.7歳 10.3年 5,007,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 18.2%
男性育児休業取得率 50.0%
男女賃金差異(全労働者) 65.1%
男女賃金差異(正規) 73.1%
男女賃金差異(非正規) 82.4%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 景気や個人消費の動向によるリスク


同社グループの業績は国内の経済環境に大きく依存しています。少子高齢化や消費者の購買行動の変化により景気が悪化した場合には、売上減少や不動産賃貸の稼働率低下等が発生し、業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、消費動向に合わせた商品開発や事業の多角化によりリスク分散を図っています。

(2) 競争激化に関するリスク


ウェルネス事業の主体である通信販売市場、特にインターネット販売において、大手から個人まで新規参入が相次いでいます。競争が一層激化した場合には業績に影響を及ぼす可能性があります。同社は、主力商品の自社開発や独自サービスによる差別化で競争力を維持するよう努めています。

(3) 広告宣伝費について


通信販売事業は顧客確保が生命線であり、広告宣伝費が多額になる傾向があります。広告料金の高騰や宣伝効率の悪化が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。同社は、広告媒体の選別や表現の改善による効率化、デジタルシフトによるコスト削減に取り組んでいます。

(4) 生産国の状況変化によるリスク


主力製品の原材料の一部は中国で生産されています。中国の政治・経済情勢の変化や予期せぬ事象により原材料の調達や品質管理に問題が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。同社は、仕入先との関係強化や代替仕入先の情報収集によりリスク低減に努めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。