SYSホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

SYSホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場。システムの開発及びソリューション・サービスの提供を中核とする総合情報サービス事業を展開。2025年7月期は、M&Aによる新規連結子会社の増加や社会情報インフラ関連の受注が堅調に推移し、売上高は過去最高を更新。営業利益も増加し、増収増益となりました。


※本記事は、株式会社SYSホールディングスの有価証券報告書(第12期、自 2024年8月1日 至 2025年7月31日、2025年10月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. SYSホールディングスってどんな会社?


システム開発およびソリューション・サービスを提供する総合情報サービス企業です。

(1) 会社概要


1991年1月、株式会社エスワイシステム設立。2013年8月、単独株式移転により持株会社である同社設立。2017年6月、東証JASDAQ(スタンダード)上場。2022年4月、東証スタンダード市場へ移行。2025年8月、株式会社アイビーシステムの株式を取得し子会社化しました。

連結従業員数は1,669名、単体従業員数は46名です。筆頭株主は代表取締役会長兼社長の鈴木裕紀氏で、第2位は創業メンバーの一人と思われる安田鉄也氏、第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。

氏名 持株比率
鈴木裕紀 37.26%
安田鉄也 13.72%
三井住友信託銀行株式会社(信託口 甲20号) 12.27%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役会長兼社長は鈴木裕紀氏です。社外取締役比率は37.5%です。

氏名 役職 主な経歴
鈴木裕紀 代表取締役会長兼社長 1991年1月エスワイシステム設立代表取締役社長。2013年8月同社代表取締役会長。2014年9月より現職。
後藤大祐 取締役専務執行役員管理本部長 2001年4月エスワイシステム入社。2013年8月同社常務取締役管理本部長。2021年10月より現職。
玉本真也 取締役事業統括本部関西ブロック長 2005年1月エスワイシステム入社。2022年10月同社代表取締役社長執行役員。2023年8月より現職。
風間哲也 取締役執行役員事業統括本部関東ブロック長 1999年4月オージス総研入社。2021年10月同社入社。2023年10月より現職。
堀江克由 取締役(常勤監査等委員) 1991年6月エスワイシステム入社。2019年10月同社常勤監査役。2022年10月より現職。


社外取締役は、岩田則子(元通商産業省名古屋通商産業局産業部長)、森戸尉之(弁護士)、深井貴伸(元日本インフォメーション代表取締役社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「グローバル製造業ソリューション」「社会情報インフラ・ソリューション」「モバイル・ソリューション」事業を展開しています。

(1) グローバル製造業ソリューション


自動車、重工業、工作機械等の製造業向けに、生産管理、品質管理等のシステム開発や車載ECU関連の開発・検証などを提供しています。

主な収益は顧客企業からのシステム開発や検証業務の対価です。運営は主に株式会社エスワイシステム、株式会社総合システムリサーチ、PT.SYS INDONESIA等のグループ会社が行っています。

(2) 社会情報インフラ・ソリューション


電力・ガス、金融、通信、官公庁などを対象に、基幹システムの開発やITインフラの構築、運用サービスを提供しています。

主な収益は顧客企業からのシステム開発やインフラ構築・運用の対価です。運営は主に株式会社エスワイシステム、株式会社オルグ等のグループ会社が行っています。

(3) モバイル・ソリューション


法人向けモバイル・アプリケーション等によるサービスを提供しており、流通、訪問介護、医療等の業種をエンドユーザーとしています。

主な収益は「FieldPlus」「iContact+ Office」等の自社製品の利用料や販売収益です。運営は主に株式会社エス・ケイが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は連続で増加傾向にあり、順調に規模を拡大しています。利益面でも経常利益ベースで安定して黒字を維持しており、成長基調にあることが読み取れます。

項目 2021年7月期 2022年7月期 2023年7月期 2024年7月期 2025年7月期
売上高 63億円 76億円 105億円 124億円 141億円
経常利益 4億円 5億円 6億円 7億円 7億円
利益率(%) 6.3% 6.0% 5.6% 6.0% 5.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 2.1億円 2.5億円 2.6億円 2.2億円 2.6億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益、営業利益ともに増加しています。売上総利益率は約22%程度で推移しています。

項目 2024年7月期 2025年7月期
売上高 124億円 141億円
売上総利益 28億円 31億円
売上総利益率(%) 22.5% 22.2%
営業利益 7億円 7億円
営業利益率(%) 5.5% 5.0%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が6.1億円(構成比25.5%)、役員報酬が3.8億円(同15.9%)を占めています。

(3) セグメント収益


グローバル製造業ソリューションと社会情報インフラ・ソリューションは堅調に推移し増収となりましたが、モバイル・ソリューションは受託開発の減少により減収となりました。

区分 売上(2024年7月期) 売上(2025年7月期)
グローバル製造業ソリューション 45億円 52億円
社会情報インフラ・ソリューション 76億円 86億円
モバイル・ソリューション 3.2億円 2.6億円
連結(合計) 124億円 141億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

SYSホールディングスは、営業活動により資金を取得し、投資活動で資金を使用、財務活動でも資金を取得しています。

営業活動では、税金等調整前当期純利益の計上や、のれん償却額が資金の増加要因となりましたが、法人税等の支払いや売上債権の増加が資金の減少要因となりました。

投資活動では、有形固定資産や有価証券の取得による支出がありましたが、投資有価証券の償還による収入もありました。

財務活動では、長期借入れによる収入が資金の増加要因となりましたが、長期借入金の返済による支出もありました。

項目 2024年7月期 2025年7月期
営業CF 7億円 6億円
投資CF -2億円 -3億円
財務CF -5億円 6億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「私達は、グローバルな情報技術で、情報社会に沢山の笑顔を創ります。」というグループミッションのもと、「五方正義(お取引先様、株主の皆様、従業員及びその家族、業界、社会)」等の企業理念を掲げ、「多様な人材と技術力で、日本のITを支える」というパーパスの実現を目指しています。

(2) 企業文化


「五方正義」を第一の理念としています。従業員主導で運営する全体会議や委員会活動、部活・同好会活動、社員旅行等を通じて、未経験者のサポートと従業員満足度の向上を図る文化があります。

(3) 経営計画・目標


中期経営計画「SYSTarget2028」において、2028年7月期の数値目標として以下を掲げています。

* 連結売上高:220億円
* 営業利益:15億円
* 経常利益:14.8億円
* 親会社株主に帰属する当期純利益:9.2億円
* ROE:17.3%

(4) 成長戦略と重点施策


「基幹システムの総合サポート」による高付加価値化、「未経験者の採用と独自の教育システム」による人材創出、「ビジネスパートナー様の積極活用」による共創、「付加価値のあるM&A」の推進を掲げ、事業拡大を図る方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


慢性的なIT人材不足に対応するため、未経験者、外国人、シニアの採用を推進しています。また、独自の教育システムによりPMやPLを育成・定着させるとともに、女性管理職・女性経営者の積極登用や多様な働き方の支援に努めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年7月期 38.0歳 6.6年 4,822,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 18.6%
男性育児休業取得率 120.0%
男女賃金差異(全労働者) 85.1%
男女賃金差異(正規雇用) 85.9%
男女賃金差異(非正規雇用) 58.2%


※数値は主要な連結子会社である株式会社エスワイシステムの実績です。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性従業員比率(26.1%)、女性経営者(役員)比率(3.9%)、外国籍社員比率(12.0%)、国内有給休暇取得率(70.1%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 人材確保について


IT技術者の不足が継続しており、計画どおりの人材が確保できない場合、業容拡大や業績に影響を及ぼす可能性があります。多様な採用活動を行っていますが、競争激化により人材確保が困難になるリスクがあります。

(2) 不採算プロジェクト発生の可能性


システム開発業務において、予期せぬ仕様変更や追加作業等により実績コストが見積額を超過し、低採算や赤字となる可能性があります。また、納期遅延による損害賠償や信用の低下を招くリスクもあります。

(3) 企業買収について


積極的にM&Aを推進していますが、買収後の事業計画が未達の場合や、未認識債務等のリスクが顕在化した場合、のれんの減損処理等により財務状況や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。