シルバーライフ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

シルバーライフ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場の高齢者向け配食サービス大手です。フランチャイズ(FC)加盟店への食材販売を主力とし、高齢者施設向け販売や冷凍弁当の直販も展開しています。第18期はFC店舗数や直販の販売数が増加し、値上げ効果も寄与したことで、売上高149億円、経常利益10億円の増収増益となりました。


※本記事は、株式会社シルバーライフ の有価証券報告書(第18期、自 2024年8月1日 至 2025年7月31日、2025年10月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. シルバーライフってどんな会社?


高齢者向け配食サービスのFC本部運営および加盟店への食材販売を主力事業として展開する企業です。

(1) 会社概要


同社は2007年に設立され、2009年に「まごころ弁当」のフランチャイズチェーンを開始しました。2014年には「配食のふれ愛」ブランドを展開し、2017年に東京証券取引所マザーズ市場へ上場を果たしました。その後、2021年に「宅食ライフ」を開始し、物流・製造拠点の拡充を進めています。2023年には東証プライム市場からスタンダード市場へ移行しました。

2025年7月31日現在、単体の従業員数は336名です。筆頭株主は創業者の資産管理会社である株式会社近江屋で、第2位は代表取締役社長の清水貴久氏、第3位は資産管理業務を行う信託銀行となっています。

氏名 持株比率
株式会社近江屋 36.67%
清水 貴久 18.12%
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 6.37%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性2名の計8名で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表取締役社長には創業者の清水貴久氏が就任しています。社外取締役比率は37.5%です。

氏名 役職 主な経歴
清水 貴久 代表取締役社長 警視庁、株式会社ベンチャーリンクを経て有限会社マーケット・イン設立。2009年同社入社、2012年より現職。
横田 啓 取締役副社長兼生産部長 2013年同社入社。生産部長を経て2021年取締役就任。2024年より現職。
戸井 丈嗣 取締役営業部長 株式会社ガイア等を経て、2007年同社設立時に代表取締役就任。2012年より現職。
増山 弘和 取締役管理部長 天馬株式会社、野村貿易株式会社等を経て2018年同社入社。2020年より現職。
齋藤 玲子 取締役(監査等委員) 第百生命保険相互会社、ブックオフコーポレーション株式会社等を経て2017年同社入社。2024年より現職。


社外取締役は、橋元秀行(公認会計士・税理士)、長谷川直哉(法政大学教授)、清水光(弁護士・弁理士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「食材製造販売事業」の単一セグメントですが、販売先区分として「FC加盟店」「高齢者施設等」「直販・その他」の3つの区分で事業を展開しています。

(1) FC加盟店


「まごころ弁当」「配食のふれ愛」「宅食ライフ」の3ブランドで高齢者向け配食店舗をフランチャイズ展開しています。加盟店は高齢者の自宅へ弁当を配達し、見守り活動も兼ねています。同社は加盟店への経営指導を行うとともに、自社工場や提携工場で製造された調理済み食材等を販売しています。

収益は主に、全国のFC加盟店に対する食材等の販売代金およびロイヤリティから得ています。運営は主に同社が行っています。加盟プランにはロイヤリティ等が無料となるプランも用意されており、加盟店の状況に合わせた展開を行っています。

(2) 高齢者施設等


高齢者施設や障がい者施設等に向けて、自社製造および仕入れた調理済み食材を販売しています。施設側の人手不足やコスト削減ニーズに対応し、手軽に提供できる食材を供給しています。配送は同社またはFC加盟店を通じて行われます。

収益は、施設等の顧客に対する食材の販売代金から得ています。運営は同社が行っており、FC加盟店が配送を行う場合には、同社から加盟店へ配送委託料が支払われる仕組みとなっています。

(3) 直販・その他


ECサイトを通じた冷凍弁当の直接販売(BtoC)や、OEM受託による製造品の販売(BtoB)を行っています。「まごころケア食」などのブランドで、栄養バランスに配慮した冷凍弁当を一般消費者へ届けています。また、倉庫業として冷凍商材のピッキング・保管業務も行っています。

収益は、一般消費者やOEM先企業からの商品販売代金等から得ています。運営は同社が行っており、WEBプロモーション等を活用して新規顧客の獲得を進めています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は着実な右肩上がりを続けており、直近5期間で約1.5倍に成長しています。利益面では、原材料価格の高騰などの影響を受けつつも、営業利益率は6〜7%台で推移しており、安定した収益性を維持しています。当期純利益も増益基調にあり、事業規模の拡大とともに利益額も伸長しています。

項目 2021年7月期 2022年7月期 2023年7月期 2024年7月期 2025年7月期
売上高 101億円 112億円 123億円 136億円 149億円
経常利益 10億円 7億円 9億円 10億円 10億円
利益率(%) 9.7% 6.3% 7.0% 7.1% 6.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 5億円 4億円 6億円 7億円 7億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で約10%増加し、売上総利益も順調に拡大しています。売上総利益率は30%台前半で安定しており、内製化の推進等により収益性の向上が図られています。営業利益についても増益を確保しており、事業拡大に伴うコスト増を吸収しながら利益を生み出す構造となっています。

項目 2024年7月期 2025年7月期
売上高 136億円 149億円
売上総利益 44億円 50億円
売上総利益率(%) 32.2% 33.8%
営業利益 8億円 9億円
営業利益率(%) 5.7% 5.7%


販売費及び一般管理費のうち、その他が14億円(構成比34%)、運賃が12億円(同28%)を占めています。物流拠点の集約に伴い自社発送が増加したことで運賃が増加傾向にあります。

(3) セグメント収益


全ての販売区分において増収となりました。主力のFC加盟店向けは店舗数の増加や値上げ効果により堅調に推移しました。高齢者施設等は冷凍食材の需要増により2割以上の増収となり、直販・その他もEC販売の好調により大幅な増収を達成しています。

区分 売上(2024年7月期) 売上(2025年7月期)
FC加盟店 89億円 94億円
高齢者施設等 15億円 19億円
直販・その他 31億円 37億円
連結(合計) 136億円 149億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

項目 2024年7月期 2025年7月期
営業CF 13億円 15億円
投資CF -12億円 -10億円
財務CF -4億円 -2億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は10.5%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は66.7%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「我々シルバーライフは、食の観点から誰もが安心して歳を重ねていける社会を作ります」を経営理念として掲げています。高齢者が自ら調理や買い物をすることが困難になる中で、手間をかけずに毎日の食事を用意したいというニーズに応えることをミッションとし、高齢化社会における食のインフラとなることを目指しています。

(2) 企業文化


同社は、高齢者向け配食サービスを通じて社会課題の解決に取り組む姿勢を重視しています。また、サステナビリティ・ESGの観点を重視し、気候変動への対応や人的資本への投資、ガバナンス強化など、持続可能な社会の実現に向けた取り組みに注力する方針を示しています。

(3) 経営計画・目標


同社は中長期的な成長を目指し、具体的な数値目標を設定しています。高齢者人口の増加や介護現場の人手不足といった外部環境の変化を捉え、配食サービスや施設向け食材の需要拡大に対応していく方針です。

* 2028年7月期 売上高:180億円
* 2028年7月期 営業利益:12億円

(4) 成長戦略と重点施策


FC加盟店事業では既存店支援と新規開拓を強化し、高齢者施設等事業では冷凍食材の拡販を進めています。直販事業では商品開発と広告宣伝により新規顧客獲得を目指します。また、製造・物流面では外部委託の内製化を推進し、スケールメリットとコスト競争力の強化を図っています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は安定的な成長のために優秀な人材確保が不可欠と考えており、新卒・中途採用に加え、パート・アルバイトからの社員登用や海外実習生の活用など、多様なルートでの人材獲得に取り組んでいます。また、実践的な技術指導や社外研修を通じた人材育成、障がい者雇用の推進など、ダイバーシティ&インクルージョンを重視した組織づくりを進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年7月期 34.8歳 2.7年 5,301,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 21.2%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 64.1%
男女賃金差異(正規雇用) 77.5%
男女賃金差異(非正規雇用) 79.6%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、障がい者雇用率(3.3%)、平均残業時間(16時間51分)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 仕入・製造コストの変動


原材料となる食材価格は市況や為替、輸送費の影響を受けやすく、またエネルギー価格や人件費の上昇も製造コスト増加の要因となります。同社は調達先の複数確保やメニュー変更等の対策を講じていますが、想定を超えるコスト高騰が生じた場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 食の安全性


食品への異物混入や食中毒の発生は、消費者からの信頼を大きく損なうリスクがあります。同社は国際規格「FSSC22000」に基づく衛生管理を行っていますが、万が一事故が発生した場合、社会的信用の失墜や損害賠償等により、業績や財政状態に重大な影響を与える可能性があります。

(3) 人材の確保及び育成


事業拡大には営業、製造、商品開発など多様な人材の確保が不可欠です。同社は多様な採用チャネルや教育制度を活用していますが、計画通りに人材を確保・育成できなかった場合や人材流出が生じた場合、競争力の低下や事業成長の制約となり、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。