※本記事は、株式会社クロスフォー の有価証券報告書(2025年7月期、2024年8月1日 ~ 2025年7月31日、2025年10月23日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
クロスフォーは、ジュエリー事業を単一セグメントとして展開しています。同社グループは、特許技術「Dancing Stone」や「EXL-LOCK」などを活用し、国内向けジュエリー・アクセサリー製品の製造販売、海外向けパーツの製造販売を手がけています。
単体従業員数は58名、連結従業員数は69名です。セグメントはジュエリー事業の1つです。
主な国内グループ会社は、クロスフォー、D.Techなどです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
株式会社クロスフォーは、ジュエリー事業を展開する企業として、社員の物心両面の幸福を重視した人材戦略を掲げています。社員一人ひとりが自律的に活動し、多様な個性を尊重する職場環境の整備に力を入れています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、社員の定着と成長を重視する傾向が見られます。平均勤続年数や平均年齢から、一定の経験を積んだ社員が長く活躍できる環境が整っていることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,104,000円 |
| 平均勤続年数 | 9.3年 |
| 平均年齢 | 42.9歳 |
| 単体従業員数 | 58人 |
| 連結従業員数 | 69人 |
| 単体のグループ内比率 | 84.1% |
なお、退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは「100年企業を創造する」という社是の実現に向け、社員がサステナブルに自己実現できる環境整備に尽力しています。経営理念の実現には、コア・コンピタンスを備えたプロフェッショナル人材が不可欠であり、人材の多様性の確保と充実感を持てる職場環境作りを重要な課題と認識しています。
「知財」を製品差別化の根幹に位置づけ、「共生」を戦略の軸に世界中のブランドに製品を供給するほか、地球環境負荷の低減に資する新素材の製品化を推進し、高品質低価格商品の拡販に努めています。また、社員の物心両面の幸福に貢献し、SDGsにも積極的に取り組んでいます。
人材育成方針としては、「周囲に信頼される」「他人にツケを回さない」ことをベースに、目的目標の完遂に向けて社員一人ひとりが自律的に考え主体的に活動する人材の育成をオンサイト、オフサイトを通じて図っています。社内環境整備においては、多様な国籍・スキル・経験・性別・バックグラウンドを持った社員が適正かつ公正に評価され、個々の能力を最大限発揮できるよう現行制度をアップデートするとともに、個々のワーク・ライフ・バランスの尊重等によって、すべての社員が最大のパフォーマンスを発揮する職場環境を作ることで、社員の物心両面の幸福を実現しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
株式会社クロスフォーは、女性活躍推進法および育児介護休業法に基づく公表義務の対象ではないため、法定開示データは記載されていません。
人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 有給休暇取得率90%以上の維持 | 88.0% |
| 時間外勤務の2020年7月期対比25%の削減維持 | △26.77% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
クロスフォーは、独自の特許技術を活かしたジュエリー・アクセサリー製品の製造販売を手掛ける企業です。同社グループは、国内外の市場で事業を展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、ジュエリー事業の単一セグメントで事業を展開しています。主力技術として、ダイヤモンドに穴をあけずに揺らすことができる「Dancing Stone」、片手で簡単に着脱可能なダブルロック式金具「EXL-LOCK」、高品質製品の大量生産を可能とした「テニスチェーン」を保有しています。
国内向けには、これらの技術を用いたOEM製品や、自社ブランド「Cross for NewYork」のジュエリー・アクセサリー製品を、宝飾品の卸・小売業者へ製造販売しています。また、インドネシアの大手ジュエリーメーカーが製造する中空チェーンの独占販売も行っています。
海外向けには、主に「Dancing Stone」の製造に必要なパーツを販売し、製品化に必要な製造ノウハウも提供しています。Crossfor H.K.Ltd.やCrossfor(Thailand) Co.,Ltd.が国際宝飾品展示会への出展などを通じて新規取引先の開拓を進めており、今後はCROSSFOR INDIA PRIVATE LIMITEDがインド国内市場の開拓を担う予定です。
当連結会計年度の売上高は、国内向け商品及び製品販売が伸長し、海外向けパーツ、製品販売は減少しました。国内では「ライブ販売向け商品提案」が成果を上げ、地金相場の高騰に対応した企画提案も奏功し、受注が堅調に推移しました。一方、海外市場では、米国による関税発表の影響で一部の大手得意先が注文を控える動きが見られましたが、日本から米国への輸出は増加しました。前期は特定の主要顧客が存在しましたが、当期は外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先はありません。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績を見ると、売上高は増加傾向にあります。経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は変動が見られましたが、当連結会計年度においては全ての段階利益で黒字化を達成し、収益構造の改善が進展しています。
| 項目 | 2021年7月期 | 2022年7月期 | 2023年7月期 | 2024年7月期 | 2025年7月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 28.1億円 | 31.0億円 | 30.1億円 | 34.1億円 | 37.6億円 |
| 経常利益 | △1.2億円 | 1.0億円 | △2.2億円 | △6百万円 | 24百万円 |
| 経常利益率 | △4.3% | 3.3% | △7.5% | △0.2% | 0.6% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | △1.1億円 | 2.2億円 | △2.7億円 | 28百万円 | 22百万円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | △6.77 | 13.14 | △16.09 | 1.68 | 1.30 |
当連結会計年度の売上高は前期から増加し、営業利益、経常利益ともに黒字に転換しました。親会社株主に帰属する当期純利益は前期から減少しましたが、これは前期に新株予約権戻入益を計上していたことが主な要因です。
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は、前期から増加しています。また、従業員1人あたりの営業利益は、前期のマイナスから当期はプラスに転じています。これらの指標は、同社グループの生産性が改善傾向にあることを示しています。
| 指標 | 2024年7月期 | 2025年7月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 46.1百万円 | 54.5百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | △0.2百万円 | 0.8百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務状況と資金の流れから、現在の経営状態と将来に向けた投資の方向性を読み解きます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は当期で35.7%となっており、前期の34.3%から増加しています。これはプライム市場上場企業の平均(製造業46.8%、非製造業24.2%)と比較すると、製造業平均よりは低いものの、非製造業平均よりは高い水準を示しています。
ROE(自己資本利益率)は当期で1.2%となり、前期の1.6%から減少しました。プライム市場平均の9.4%と比較すると、低い水準にあります。手元資金を示す現金及び預金は、当期末で6.3億円となり、前期末の9.6億円から減少しています。
| 指標 | 2024年7月期(前期) | 2025年7月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 17.9億円 | 18.1億円 |
| 自己資本比率 | 34.3% | 35.7% |
| ROE(自己資本利益率) | 1.6% | 1.2% |
| 現金及び預金 | 9.6億円 | 6.3億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、前期の収入から一転して△1.3億円の減少となりました。これは主に、棚卸資産の増加額や売上債権の増加額が減少要因となったことによるものです。投資活動によるキャッシュ・フローは△0.2億円の減少となり、前期の△0.7億円から支出額が減少しました。これは主に定期預金の預入・払戻による収支が減少要因となっています。
財務活動によるキャッシュ・フローは△2.1億円の減少となり、前期の△1.0億円から支出額が増加しました。これは主に長期借入金の借入・返済による収支が減少したことや、短期借入金の借入・返済による収支が増加したこと、社債の償還や配当金の支払額が減少要因となったことによるものです。結果として、自由に使える資金を示すフリーキャッシュ・フローは△1.5億円の減少となり、前期の収入からマイナスに転じています。営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスに転じ、フリーキャッシュ・フローも減少していることから、資金繰りの状況には注意が必要です。
| 項目 | 2024年7月期(前期) | 2025年7月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 4.8億円 | △1.3億円 |
| 投資CF | △0.7億円 | △0.2億円 |
| 財務CF | △1.0億円 | △2.1億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 4.1億円 | △1.5億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの業績は、特許を取得している宝石が揺れる仕組み「Dancing Stone」を利用した製品・パーツ販売に大半を依存しており、その割合は2025年7月期実績で全売上高の35.9%となっています。この特定商品への高い依存は、ユーザーニーズに適合しない等の理由により需要が減少した場合、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、「Dancing Stone」の日本における特許期間は2033年9月13日迄となっており、特許権の権利満了に伴い、他社も同様の技術を利用可能となります。売上高に占める割合が高い製品について、他社も同様な技術を利用可能となった場合、同社グループの事業展開及び経営成績に影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは海外売上高比率が高くなっており、グローバルな事業展開において継続的に事業を発展させるためには、海外の宝飾品市場に知見のある人材の確保、育成を継続的に推進していくことが重要となります。必要な人材を予定通り確保、育成できない場合、同社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
クロスフォーは、全従業員の幸福と安定を追求し、世界中の人々に喜びを届けるジュエリーを創造し続けることを目指しています。持続可能な成長と企業価値の向上を通じて、社会に貢献する企業としての役割を果たしています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは「全従業員の物心両面の幸福と安定を追求致します。世界中の人々の喜びのためにクリエィティブな美しさを宿したジュエリーを創造し提供し続けます。」という経営理念を掲げています。
また、「100年企業を創造する」という社是を掲げ、社会の公器として事業を持続可能な形で発展させることを目指しています。
この実現を通じて、人類が直面する社会課題をより良い方向に解決していくことを目標としています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
経営方針として「夢あふれる商品を造ります」「造り手の満足、買い手の満足、使用者の満足、この三つの満足が成り立つことだけを行います」「感謝の心を忘れません」「誠実で透明な情報公開を致します」「世の為、人の為になる個人であり企業体であり続けます」を掲げています。
人材育成方針では、「周囲に信頼される」「他人にツケを回さない」ことをベースに、社員一人ひとりが自律的に考え主体的に活動する人材の育成を図っています。
社内環境整備においては、多様な国籍・スキル・経験・性別・バックグラウンドを持った社員が適正かつ公正に評価され、個々の能力を最大限発揮できる職場環境作りを推進しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、サステナビリティの取り組みを加速しており、2025年6月にはRJCのCOP認証(宝飾業界の社会的・環境的責任を示す認証)を取得する予定です。
社員エンゲージメントの向上も重点課題の一つであり、社員の物心両面の幸福に貢献するため、透明公正な人事制度の構築や就業環境の改善に積極的に取り組んでいます。
また、SDGsに積極的に取り組む方針を示しており、気候変動対策や紛争鉱物・ダイヤモンドの不使用、地域貢献活動などを実施しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役会と監査等委員会が業務執行の監査及び監視を行っています。これにより、効率的かつ透明性の高い経営に努めていることが特徴です。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
クロスフォーの株主構成を見ると、筆頭株主はS.Hホールディングスであり、代表取締役社長である土橋秀位氏の資産管理会社です。上位株主には、代表取締役社長の土橋秀位氏をはじめ、複数の創業家関係者や同社役員が名を連ねています。これにより、創業家およびその関連会社が同社グループの経営に強い影響力を持つ資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| S.Hホールディングス | 43.94% |
| 土橋 秀位 | 2.97% |
| 内藤 彰彦 | 1.49% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性7名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は土橋秀位氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 土橋秀位 | 代表取締役社長 | 1980年8月に土橋宝石貿易を創業し代表を務め、1987年8月には株式会社シバド(現同社)を設立し代表取締役社長に就任。2014年1月より株式会社S.Hホールディングスの代表取締役も務めており、現在に至ります。 |
| 内藤彰彦 | 取締役副社長 | 1992年3月に株式会社シバド(現同社)に入社し、2008年10月に取締役営業本部長に就任。2012年10月には専務取締役、2017年12月には取締役副社長となり、2021年11月より営業部、生産部、企画室管掌を務めています。 |
| 山口毅 | 取締役 | 2002年7月に株式会社クロスフォー(現同社)に入社し、2014年2月に執行役員管理部長に就任。2016年2月より取締役管理本部長を務め、2022年10月からは管理部、経営企画室管掌として現職です。 |
社外取締役は、井上輝男氏(INO取締役会長)、村田真一氏(弁護士・監査等委員)、大野崇氏(アヴァンセコンサルティング代表取締役・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役会と監査等委員会が業務執行の監査及び監視を行っています。社外取締役は、豊富な経験と知見に基づき、経営監督機能の強化と取締役会の意思決定の妥当性・適正性の確保に貢献しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
クロスフォーの役員報酬は、企業価値の持続的な向上と株主利益との連動を重視した報酬体系を基本方針としています。具体的には、固定報酬である役員報酬、役員賞与、そして譲渡制限付株式報酬で構成されています。監査等委員である取締役の報酬は固定報酬のみで、監査等委員会の協議により決定されます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 3名 | 70百万円 | 23.5百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 11百万円 | 11.1百万円 |
| 社外役員 | 3名 | 12百万円 | 3.9百万円 |
同社グループの役員報酬総額は93百万円です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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