※本記事は、株式会社クロスフォー の有価証券報告書(第38期、自 2024年8月1日 至 2025年7月31日、2025年10月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. クロスフォーってどんな会社?
独自の特許技術「Dancing Stone」を用いたジュエリーやパーツの製造販売を行う宝飾品メーカーです。
■(1) 会社概要
1987年に輸入宝石の販売を目的として設立され、2011年に主力製品となる「Dancing Stone」を発売しました。2013年に日本特許を取得し、2017年に東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)へ上場しました。その後、2024年にはインドに現地法人を設立するなど、海外展開を進めています。
同社グループの連結従業員数は69名、単体では58名です。筆頭株主は、代表取締役社長である土橋秀位氏の資産管理会社であるS.Hホールディングスで、第2位は創業者の土橋秀位氏です。経営陣による持株比率が高く、オーナーシップの強い資本構成となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| S.Hホールディングス | 43.94% |
| 土橋 秀位 | 2.97% |
| 内藤 彰彦 | 1.49% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性0名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は土橋秀位氏が務めています。社外取締役比率は約42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 土橋秀位 | 代表取締役社長 | 1980年土橋宝石貿易創業。1987年シバド(現同社)設立、代表取締役社長。香港・タイ等の海外子会社代表を経て現職。 |
| 内藤彰彦 | 取締役副社長 | 1990年中央物産入社。1992年同社入社。営業本部長等を経て、2021年より営業部、生産部、企画室を管掌。 |
| 山口毅 | 取締役 | 1997年ツノタ入社。2002年同社入社。管理本部長等を経て、2022年より管理部、経営企画室を管掌。 |
| 米光信彦 | 取締役(監査等委員) | 1980年日本ビクター(現JVCケンウッド)入社。同社取締役等を経て、2023年より現職。 |
社外取締役は、井上輝男(元YKK副社長)、村田真一(弁護士)、大野崇(公認会計士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ジュエリー事業」の単一セグメントで事業を展開しています。
■(1) 国内向け商品及び製品の製造販売
特許技術「Dancing Stone」や「EXL-LOCK」等を用いたジュエリー・アクセサリー製品を製造販売しています。主に国内の宝飾品卸・小売業者に対し、OEM製品や「Cross for NewYork」等の自社ブランド製品を供給しています。
収益は、卸・小売業者等への製品販売代金として受け取ります。運営は主にクロスフォーが行っており、一部製造を外注工場に委託するほか、海外大手ジュエリーメーカーが製造する中空チェーンの独占販売等も行っています。
■(2) 海外向けパーツ及び製品販売
海外市場向けには、主に「Dancing Stone」の製造に必要なパーツを販売し、製品化に必要な製造ノウハウを提供しています。機械化による大量生産が可能なパーツ供給を行うことで、海外の大口需要に対応しています。
収益は、海外の宝飾品メーカー等へのパーツ販売代金として受け取ります。運営はクロスフォーが主体となり、Crossfor H.K.Ltd.やCrossfor(Thailand) Co.,Ltd.等が顧客開拓やサポートを担っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績推移を見ると、売上高はコロナ禍の影響等による変動はあるものの、直近では回復傾向にあります。利益面では赤字と黒字を繰り返してきましたが、当期は全ての利益段階で黒字を確保しました。
| 項目 | 2021年7月期 | 2022年7月期 | 2023年7月期 | 2024年7月期 | 2025年7月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 28億円 | 31億円 | 30億円 | 34億円 | 38億円 |
| 経常利益 | -1.2億円 | 1.0億円 | -2.2億円 | -0.1億円 | 0.2億円 |
| 利益率(%) | -4.3% | 3.3% | -7.5% | -0.2% | 0.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -1.1億円 | 2.2億円 | -2.7億円 | 0.3億円 | 0.2億円 |
■(2) 損益計算書
当期は増収に伴い売上総利益が増加しました。販管費は展示会出展やベースアップ等の増加要因があったものの、経費適正化により全体では減少し、営業利益の黒字化に寄与しました。
| 項目 | 2024年7月期 | 2025年7月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 34億円 | 38億円 |
| 売上総利益 | 11億円 | 12億円 |
| 売上総利益率(%) | 33.4% | 31.6% |
| 営業利益 | -0.2億円 | 0.6億円 |
| 営業利益率(%) | -0.5% | 1.5% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当が3.2億円(構成比28.6%)、支払手数料が1.6億円(同14.1%)を占めています。
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社グループは、事業運営に必要な流動性と資金源泉の安定確保のため、在庫の適正化と売上債権の適正管理に努めています。
営業活動によるキャッシュ・フローは、事業運営から生み出される資金の状況を示します。投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資や有価証券の取得・売却などによる資金の増減を表します。財務活動によるキャッシュ・フローは、借入や返済、配当金の支払いなど、資金調達や返済に関する活動による資金の動きを示します。
| 項目 | 2024年7月期 | 2025年7月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 4.8億円 | -1.3億円 |
| 投資CF | -0.7億円 | -0.2億円 |
| 財務CF | -1.0億円 | -2.1億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「全従業員の物心両面の幸福と安定を追求致します。世界中の人々の喜びのためにクリエィティブな美しさを宿したジュエリーを創造し提供し続けます。」という経営理念を掲げています。
■(2) 企業文化
「夢あふれる商品を造ります」「造り手の満足、買い手の満足、使用者の満足、この三つの満足が成り立つことだけを行います」「感謝の心を忘れません」「誠実で透明な情報公開を致します」「世の為、人の為になる個人であり企業体であり続けます」という5つの経営方針を掲げ、魅力的で価値のある商品づくりを重視しています。
■(3) 経営計画・目標
将来にわたる事業の存続と発展のため、継続的な新商品の開発研究と人材確保、これらを支える利益が不可欠であるとし、営業利益率を重要な経営指標と位置付けています。
■(4) 成長戦略と重点施策
世界的なインフレ等の厳しい環境下においても、海外市場の深耕や国内需要の回復を捉え、海外事業へのリソース投入や生産効率を重視した経営を推進します。また、顧客の声を直接反映できるDtoC事業への注力によるブランド価値向上、RJCのCOP認証取得を通じたサステナビリティへの取り組み、社員エンゲージメントの向上を重点課題としています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「周囲に信頼される」「他人にツケを回さない」をベースに、自律的に考え主体的に行動できるプロフェッショナル人材の育成を目指しています。多様な個性を尊重し、国籍や性別等に関わらず適正に評価される制度のアップデートや、ワーク・ライフ・バランスの尊重により、社員がパフォーマンスを発揮できる職場環境づくりを推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年7月期 | 42.9歳 | 9.3年 | 5,104,000円 |
※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給休暇取得率(88%)、時間外勤務の2020年7月期対比削減率(△26.77%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 経済状況リスク
同社グループは海外事業に利益の多くを依存しているため、世界的なインフレや金利上昇による景気後退、需要低下が発生した場合、製品需要の減少や価格競争の激化により、業績が悪化する可能性があります。
■(2) 特定商品への高い依存
業績は特許技術「Dancing Stone」を利用した製品・パーツ販売に大半を依存しており、その割合は全売上高の35.9%を占めます。ユーザーニーズの不適合等により同製品の需要が減少した場合、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 為替の変動リスク
海外との取引は米ドル等の外貨建てで行われており、想定レートと実勢レートに著しい乖離が生じた場合、業績に悪影響を与える可能性があります。また、海外子会社の財務諸表の円換算時における為替相場の変動も影響します。
■(4) 原材料の市場動向
主要製品の主原料である金、プラチナ、ダイヤモンド等の購入価格は海外市況の影響を受け変動します。これら主原料の価格が急激に変動し、製品価格への転嫁がタイムリーに行えない場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。



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