※本記事は、株式会社ニッソウ の有価証券報告書(第37期、自 2024年8月1日 至 2025年7月31日、2025年10月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ニッソウってどんな会社?
ニッソウは、不動産会社向けのリフォーム工事を主力とし、不動産流通や建設事業も展開する企業です。
■(1) 会社概要
同社は1987年に前田浩氏が創業したリフォーム工事業を起源とし、1988年に設立されました。2018年にTOKYO PRO Marketへ上場後、2020年に名古屋証券取引所、2022年に東京証券取引所グロース市場へ上場しました。近年はM&Aを積極的に推進し、2023年に日本リゾートバンクとヤナ・コーポレーション、2024年にささき、平成ハウジングを相次いで子会社化し、事業領域を拡大しています。
現在の従業員数は連結104名、単体70名です。筆頭株主は創業社長である前田浩氏であり、第2位は前田供子氏、第3位は個人投資家となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 前田浩 | 51.20% |
| 前田供子 | 5.34% |
| 遠藤裕三 | 0.60% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性2名の計11名で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役社長は前田浩氏が務めています。社外取締役比率は45.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 前田浩 | 代表取締役社長 | 1987年クリエイティブリフォームオフィスマエダ創業。1988年同社設立とともに代表取締役社長に就任し現職。ささき代表取締役会長なども兼務。 |
| 高松重之 | 取締役副社長 | 1978年岡三証券(現岡三証券グループ)入社。同社代表取締役兼専務執行役員などを経て、2020年ニッソウ入社。同年10月より現職。 |
| 木村孝史 | 常務取締役リフォーム部長 | 1987年国本入社。ブロスプランニングを経て2004年ニッソウ入社。取締役営業本部長などを経て、2025年8月より現職。ヤナ・コーポレーション社長を兼務。 |
| 湯浅一彦 | 取締役リフォーム部担当 | 2006年アールインテリア入社。夢真ホールディングスを経て2011年ニッソウ入社。取締役営業本部副本部長などを経て、2025年8月より現職。 |
| 北村知之 | 取締役管理部長 | 1999年ティスクロージャー入社。東海を経て2012年ニッソウ入社。2020年10月より現職。日本リゾートバンク監査役などを兼務。 |
| 能美文弥 | 取締役経理部長 | 1990年ヴォートル入社。2013年ニッソウ入社。2023年10月より現職。 |
社外取締役は、市川圭介(公認会計士・インターメディカル代表)、船津丸隆(元岡三証券)、水島孝生(元日本アクア副社長)、木村康之(弁護士)、小林仁子(公認会計士・税理士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「リフォーム事業」、「不動産流通事業」、「不動産建設事業」を展開しています。
■リフォーム事業
一戸建てや集合住宅、賃貸住宅の退去時に伴う原状回復工事やリノベーション工事、ハウスクリーニング、入居中メンテナンス工事などを請け負っています。主な顧客は不動産会社であり、首都圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)を中心に事業を展開しています。
収益は、顧客である不動産管理会社やオーナーからの工事代金によって構成されています。運営は主にニッソウが行っており、連結子会社のヤナ・コーポレーション、ささきも同事業を担っています。
■不動産流通事業
不動産の売買、仲介、買取再販事業を行っています。主に神奈川県の湘南エリアを中心に、リゾート物件や居住用不動産を取り扱っています。
収益は、不動産の売却益や仲介手数料から得ています。運営は主に連結子会社の日本リゾートバンクが行っています。
■不動産建設事業
関東地方、主に栃木県那須塩原市周辺において、注文住宅の建築請負や建売住宅の販売、住宅用土地の提供を行っています。
収益は、住宅や土地の販売代金、建築請負代金から構成されています。運営は連結子会社の平成ハウジングが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
第35期から第37期までの業績推移を見ると、売上高は着実に拡大を続けています。第37期はM&Aの効果もあり売上高が50億円を突破しました。利益面では、第36期に一時的な落ち込みが見られましたが、第37期には関係会社株式売却益などの特別利益計上もあり、当期純利益が大きく伸長しています。
| 項目 | 2023年7月期 | 2024年7月期 | 2025年7月期 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 42億円 | 47億円 | 53億円 |
| 経常利益 | 1.4億円 | 0.6億円 | 0.7億円 |
| 利益率(%) | 3.4% | 1.4% | 1.3% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 0.7億円 | 0.3億円 | 2.0億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の業績を比較すると、売上高の増加に伴い売上総利益も増加していますが、利益率は1.4ポイント低下しました。営業利益は増益を確保しています。特別利益の計上があったため、最終的な当期純利益の水準は大きく向上しています。
| 項目 | 2024年7月期 | 2025年7月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 47億円 | 53億円 |
| 売上総利益 | 10億円 | 12億円 |
| 売上総利益率(%) | 21.9% | 23.1% |
| 営業利益 | 0.6億円 | 0.7億円 |
| 営業利益率(%) | 1.2% | 1.4% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当が4億円(構成比33%)、賞与が1億円(同8%)を占めています。
■(3) セグメント収益
リフォーム事業は堅調に推移し増収増益となりました。不動産流通事業は減収となりましたが利益を維持しています。新たに加わった不動産建設事業は、注文住宅等の件数が予想を下回り営業損失となりました。
| 区分 | 売上(2024年7月期) | 売上(2025年7月期) | 利益(2024年7月期) | 利益(2025年7月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| リフォーム事業 | 44億円 | 48億円 | 0.4億円 | 0.8億円 | 1.7% |
| 不動産流通事業 | 3億円 | 2億円 | 0.1億円 | 0.1億円 | 5.3% |
| 不動産建設事業 | - | 3億円 | - | -0.2億円 | -7.9% |
| 調整額 | -0.0億円 | -0.1億円 | 0.0億円 | 0.0億円 | - |
| 連結(合計) | 47億円 | 53億円 | 0.6億円 | 0.7億円 | 1.4% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
ニッソウは、関係会社株式の売却や子会社株式の取得といった投資活動を活発に行い、資金を獲得しています。営業活動では、税金等調整前当期純利益の増加があったものの、棚卸資産の増加や仕入債務の減少などにより、使用額は前年より減少しました。財務活動では、長期借入金の返済がありましたが、新たな借入れにより資金を獲得しました。これらの活動の結果、同社の現金及び現金同等物は大幅に増加しました。
| 項目 | 2024年7月期 | 2025年7月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -0.7億円 | -0.6億円 |
| 投資CF | 0.2億円 | 5.7億円 |
| 財務CF | 2.3億円 | 0.3億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「誠実な社員、理解あるお客様、確実な仕入先、堅実な外注先、その他事業に関係ある方に対し、全てをビジネスパートナーと考え相思相愛の強い信頼関係で、名実共に日本一のリフォーム会社を目指します。」という経営理念を掲げています。顧客である不動産会社の良きパートナーとして、質の高いサービス提供と企業価値向上に取り組んでいます。
■(2) 企業文化
同社は、市場ニーズに応える技術力や営業力を強化し、顧客満足度の高いサービス展開を目指す姿勢を持っています。また、環境変化への柔軟な対応と着実な安定成長を重視しています。社員一人ひとりが一顧客を一貫して担当する体制をとっており、人材育成や採用を重視することで、質の高いサービス提供を実現する文化が根付いています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、持続的な成長のために事業規模の拡大を重視しており、以下の指標を重要な経営指標として位置付けています。
* 売上高
* 売上総利益
* リフォーム事業:工事受注件数、新規顧客数
* 不動産流通事業:成約件数、平均保有期間
* 不動産建設事業:注文住宅受注件数、分譲・建売販売件数
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、サービス業としてのマナー教育徹底と施工品質向上に加え、人材確保と次世代経営層の育成に注力しています。また、内部管理体制の強化や施工ネットワークの拡充を進めるとともに、以下の施策で事業エリアの拡大を図っています。
* 首都圏を中心とした営業活動の強化(神奈川、埼玉、千葉、宮城への営業所設置)
* M&A等による湘南エリアや栃木県など新たなエリアへの展開
5. 働く環境
同社的人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、人材を事業拡大のための重要な経営資源と位置づけ、専門知識を持つ優秀な人材の確保と次世代経営者層の育成を課題としています。採用活動の強化に加え、勉強会や知識共有によるスキルアップ、キャリアアップの推進、若手の積極登用を行い、多様な人材が活躍できる職場環境の実現を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年7月期 | 40.2歳 | 5.2年 | 6,140,697円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 不動産業界への依存と景気変動の影響
同社グループの事業は不動産業界に高く依存しており、業界内での評判悪化や景気悪化に伴う入退去の減少等が受注件数に影響を与え、業績が悪化する可能性があります。また、不動産市況の悪化により販売用不動産の販売不振や評価減が発生するリスクもあります。
■(2) 外注費・資材価格の高騰
同社は外注先や資材仕入先の複数確保に努めていますが、外注先からの値上げ要請や資材需要の増加等により価格が高騰した場合、業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 競合との競争激化
リフォーム事業は参入障壁が低く多数の競合が存在します。同社は工期短縮やコスト削減、細かいメンテナンス対応等で差別化を図っていますが、優位性を上回る競合の出現により受注が減少し、業績に影響を及ぼす可能性があります。



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