※本記事は、株式会社ベストワンドットコム の有価証券報告書(2025年7月期、2024年8月1日 ~ 2025年7月31日、2025年10月27日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
ベストワンドットコムは、オンライン旅行会社として、海外・国内クルーズの乗船券やパッケージ旅行、国内旅行全般を販売しています。同社グループは、クルーズ旅行に特化したオンライン旅行業を営むファイブスタークルーズ、宿泊業を営むえびす旅館とともに事業を展開しています。
単体従業員数は19名、連結従業員数は19名です。セグメントは旅行業、その他事業の2つです。
主な国内グループ会社は、ファイブスタークルーズ(旅行業)、えびす旅館(宿泊業)などです。
同社グループは、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
ベストワンドットコムは、テクノロジーを活用して世界中に感動体験と豊かな生活を創出するという経営理念のもと、事業を展開しています。多様な人材の確保と雇用維持を重視しており、従業員が活躍できる環境づくりに注力している会社です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の年齢構成が比較的若く、勤続年数も短くなっています。これは、事業の成長に伴う新たな人材の採用や、活発な組織運営の傾向を示しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 3,826,000円 |
| 平均勤続年数 | 3.9年 |
| 平均年齢 | 32.5歳 |
| 単体従業員数 | 19人 |
| 連結従業員数 | 19人 |
| 単体のグループ内比率 | 100.0% |
なお、退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
ベストワンドットコムは、経営理念である「テクノロジーにより世界中に感動体験と豊かな生活を創出する」とミッション「人類の進化と豊かな感性を最も多く創るカンパニー」の実現に向け、多様性のある人材の確保と雇用維持を重視しています。
多様な価値観と能力を持つ人材を育成するため、フラットなコミュニケーション環境と、様々な人材があらゆる業務に携われる環境整備を進めています。また、女性管理職の比率維持・向上にも積極的に取り組む方針を示しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体のデータを示します。男性育児休業取得率、男女賃金差異(全労働者)、男女賃金差異(正規雇用)、男女賃金差異(非正規雇用)は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく公表義務の対象項目として選択しておらず、公表されていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 20.0% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
ベストワンドットコムグループは、オンライン旅行会社としてクルーズ旅行を中心に国内外の幅広い旅行商品を展開し、宿泊施設の運営も手掛けています。インターネット販売と専門スタッフによるサポートを強みとし、多様な顧客ニーズに応える事業構造です。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
ベストワンドットコムグループは、オンライン旅行事業を主軸に、宿泊事業も展開しています。主にインターネットを通じて国内外のクルーズ乗船券やパッケージ旅行、国内旅行全般を販売しており、店舗を持たないことでコスト削減を図っています。24時間対応のオンライン予約と専門スタッフによるサポートを両立させ、多様な商品ラインナップとAPI連携によるリアルタイムな情報提供が特徴です。また、自社企画のチャータークルーズなどの独自商品も提供しています。
同社グループの収益は、主に旅行商品の販売と宿泊施設の運営から得ています。地域ごとの売上高では、本邦の外部顧客への売上高が連結売上高の90%を超えており、国内市場が中心です。
旅行業
同社グループの主力事業であり、ベストワンドットコムとファイブスタークルーズが担っています。海外・国内クルーズの乗船券やパッケージ旅行、フェリー、バスツアー、ホテル、国内ツアーなどをオンラインで販売しています。特にファイブスタークルーズは高級船専門のクルーズ旅行に特化し、富裕層やシニア層をターゲットにしています。収益は、クルーズ旅行や国内旅行商品の販売から得ています。前連結会計年度と比較して、売上高は減少傾向にあります。
その他事業
子会社のえびす旅館が運営する宿泊事業です。京都駅前で9室の宿泊特化型ホテルを運営し、主に外国人旅行客をターゲットとしています。収益は、宿泊施設の運営によるものです。前連結会計年度と比較して、売上高は増加傾向にあります。
| セグメント | 売上高(2024年7月期) | 売上高(2025年7月期) |
|---|---|---|
| 旅行業 | 31.0億円 | 25.0億円 |
| その他事業 | 36百万円 | 39百万円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績を見ると、売上高は大きく変動しています。直近の2期間では、売上高は前期から減少に転じ、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益も大幅な減少となりました。以前の期間には赤字を計上していた時期もありましたが、その後は黒字を確保し、直近2期間で再び利益水準が低下しています。
| 項目 | 2021年7月期 | 2022年7月期 | 2023年7月期 | 2024年7月期 | 2025年7月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 84百万円 | 2.5億円 | 13.3億円 | 31.4億円 | 25.4億円 |
| 経常利益 | △1.3億円 | △1.8億円 | 16百万円 | 2.8億円 | 28百万円 |
| 経常利益率 | △158.8% | △71.9% | 1.2% | 8.9% | 1.1% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | △1.3億円 | △2.2億円 | 27百万円 | 2.5億円 | 10百万円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | △104.86 | △164.70 | 20.00 | 170.17 | 6.31 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は、前期から増加しています。一方で、従業員1人あたり営業利益(連結)は前期から大きく減少しており、収益性の改善が課題となっている状況がうかがえます。
| 指標 | 2024年7月期 | 2025年7月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 125.5百万円 | 133.9百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 10.6百万円 | 1.5百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、本業で得た資金を成長のための投資に回している段階にあります。財務基盤や資金の流れから、現在の経営状況を把握することができます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤を見ると、自己資本比率は前期から減少しています。ROE(自己資本利益率)も前期と比較して大きく低下しました。手元資金である現金及び預金は前期から増加しており、潤沢な資金を保有している状況です。
| 指標 | 2024年7月期(前期) | 2025年7月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 11.5億円 | 11.5億円 |
| 自己資本比率 | 40.0% | 28.4% |
| ROE(自己資本利益率) | 26.8% | 0.8% |
| 現金及び預金 | 16.0億円 | 25.0億円 |
※プライム市場平均(非製造業)の自己資本比率は24.2%、ROEは9.4%です。
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは支出となりました。これは主に旅行前払金の増加や法人税等の支払いがあったことによるものです。投資活動によるキャッシュ・フローも支出となっており、固定資産の取得や投資有価証券の取得による支出があった一方で、投資有価証券の償還による収入もありました。財務活動によるキャッシュ・フローは収入となっており、長期借入れによる収入が主な要因です。
これらのキャッシュ・フローの状況から、同社グループは本業で得た資金を上回る投資を行っており、財務活動で資金を調達している成長投資フェーズにあることが示されています。手元資金は増加しており、今後の事業展開に向けた資金的な余力がある状況です。
| 項目 | 2024年7月期(前期) | 2025年7月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 2.9億円 | △1.9億円 |
| 投資CF | △0.2億円 | △0.1億円 |
| 財務CF | 1.5億円 | 11.2億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 2.7億円 | △2.0億円 |
※フリーCF(フリーキャッシュ・フロー)とは、会社が事業活動と投資活動を通じて自由に使える余剰資金のこと。
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、クルーズ旅行に専門特化して多くの商品提案を行うことで顧客からの評価を獲得してきました。しかし、有力な競合企業や新興のベンチャー企業がクルーズ商品の販売に取り組み、競争が激化した場合には、同社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
また、旅行市場は世界的な感染症の発生・蔓延、天候の変動、景気の悪化等により消費者の旅行意欲が減退した場合、事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは人数規模が小さく、内部管理体制もこのような規模に応じたものとなっています。今後の事業拡大及び事業内容の多様化等に対応するために、人員の強化及び内部管理体制の充実を図る予定です。
しかし、人材の採用等が予定どおり進まなかった場合、または既存の人材が社外に流出した場合、同社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ベストワンドットコムは、クルーズ旅行を身近な選択肢として提供し、日本のクルーズ旅行市場を開拓することを目指しています。テクノロジーを活用して、世界中に感動体験と豊かな生活を創出する企業文化を育んでいます。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、クルーズ事業を主力と位置づけ、若年層や未経験者に向けて気軽に安心してクルーズ旅行に行ける環境づくりを進めています。新しい旅行スタイルを経験するきっかけを提供し、日本のクルーズ旅行市場の開拓を目指しています。
世界中の船会社と提携し、インターネットを通じて手軽にクルーズ・チケットを入手できるサービスを提供しています。国内外の多様な目的地や価格帯のクルーズ・チケット選択を可能にすることで、非日常的な感動体験を広く一般に提供しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは「テクノロジーにより世界中に感動体験と豊かな生活を創出する」ことを経営理念としています。また、「人類の進化と豊かな感性を最も多く創るカンパニー」をミッションに掲げています。
この実現のため、多様性のある人材の確保と雇用維持を重視しています。多様な価値観や能力を持つ人材を育成するため、フラットなコミュニケーションが取れる環境を整備しています。様々な人材があらゆる業務に携われる環境を整えることを目指しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、オンライン予約システムの強化を継続的に推進しています。対象商品の拡充やサーバー機能の増強、ウェブサイトやスマートフォンアプリの開発による顧客利便性の向上、AIなどの新技術導入による業務効率化に注力しています。
インバウンド需要への対応として、多言語サイト「Cruisebookjapan」の事業展開を計画しています。語学が堪能な人材や海外WEBマーケティングに長けた人材など、グローバル人材の採用にも力を入れています。
また、事業拡大のため、優秀なエンジニアの確保と育成、クルーズ案内に高い専門性を持つスタッフの確保と育成を重要な課題と認識しています。船会社とのAPI連携や新機能開発を通じたエンジニアの教育機会、座学研修や乗船研修を通じた旅行部スタッフの育成を強化しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
ベストワンドットコムは、社外取締役と社外監査役を含む体制で、経営の監督機能の有効性を重視した監査役会設置会社です。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
筆頭株主は澤田秀太氏です。同社グループの資本構成は、創業家が上位に名を連ねる特徴があります。取締役会長である澤田秀太氏が筆頭株主として、同社グループの経営に強い影響力を持っていることがうかがえます。取締役の米山実香氏も上位株主であり、澤田秀太氏の実姉であることから、創業家による安定した経営基盤が構築されていると言えます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 澤田 秀太 | 31.62% |
| GOLDMAN SACHS INTERNATIONAL(常任代理人ゴールドマン・サックス証券株式会社) | 9.17% |
| 米山 実香 | 8.09% |
なお、GOLDMAN SACHS INTERNATIONAL(常任代理人ゴールドマン・サックス証券株式会社)は主要株主でなくなりました。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性8名・女性1名)で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は野本洋平氏が務めています。社外取締役比率は0.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 野本 洋平 | 代表取締役社長 | 2003年国土交通省関東運輸局入局、2009年同社入社、2022年より同社代表取締役社長に現職。 |
| 澤田 秀太 | 取締役会長 | 2005年日興コーディアル証券入社、2012年同社代表取締役社長、2025年より同社取締役会長に現職。 |
| 田渕 竜太 | 取締役 経営管理本部長 | 2011年同社入社、2019年同社取締役、2020年より同社取締役経営管理本部長に現職。 |
| 米山 実香 | 取締役管理部長 | 2002年エヌ・ティ・ティ・データ入社、2005年同社設立代表取締役社長、2016年より同社取締役管理部長に現職。 |
| 小川 隆生 | 取締役 | 2005年リクルート入社、2014年同社入社、2020年より同社取締役に現職。 |
| 高木 洋平 | 取締役 | 2006年弁護士登録、LM法律事務所パートナー、2017年より同社取締役に現職。 |
同社は監査役会設置会社体制を採用しています。社外取締役と社外監査役による監督機能を通じて、経営の健全性・効率性・透明性の確保に努めています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社グループの役員報酬は、株主総会で決定された限度額に基づいています。取締役の報酬額や算定方法は取締役会が決定し、経営内容や経済情勢、各職責を考慮した適正な水準を基本方針としています。取締役会長が個別の報酬額を決定する権限を有しています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 5名 | 25百万円 | 5.0百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 6百万円 | 1.6百万円 |
同社グループの役員報酬等の総額は31百万円で、対象となる役員は合計9名です。1人あたりの平均報酬額は3.4百万円となっています。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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