※本記事は、株式会社旅工房 の有価証券報告書(2025年6月期、2024年7月1日 ~ 2025年6月30日、2025年10月31日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
旅工房は、主に日本国内の個人顧客をターゲットに、オンラインでの海外向けパッケージ旅行の企画・販売、航空券や宿泊手配などを手掛ける旅行会社です。法人顧客向けには業務渡航や団体旅行の手配も行っています。
単体従業員数は78名、連結従業員数は108名です。セグメントは旅行業の単一です。
主な国内グループ会社は、アドベンチャー(旅行事業、投資事業)、ミタイトラベル(メディア・運営、旅行関連事業)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
旅工房は、旅行業を営む企業として、従業員の働きがいと成長を重視する姿勢が見られます。多様な働き方を推奨し、人材育成にも力を入れていることが特徴です。給与水準や在籍傾向、そして人的資本に関する具体的なデータから、同社グループの働く環境を詳しく見ていきましょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均年齢が30代前半であり、比較的若い年齢層で構成されています。平均勤続年数も5年台となっており、活気のある職場環境がうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 4,049,000円 |
| 平均勤続年数 | 5.6年 |
| 平均年齢 | 33.8歳 |
| 単体従業員数 | 78人 |
| 連結従業員数 | 108人 |
| 単体のグループ内比率 | 72.2% |
なお、退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、人材の育成と社内環境整備に関する方針として、多様な働き方を推奨しています。具体的には、様々な人材が能力を発揮できるよう、テレワークや時短勤務などを積極的に取り入れています。
また、女性役員や女性管理職の比率向上にも取り組んでおり、多様な人材が活躍できる環境の整備を進めています。サステナビリティに関する取り組みの一環として、長期的な社会・環境の変化に対応するため、人材育成や社内環境整備を重視する方針です。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体のデータを示します。男性労働者の育児休業取得率および労働者の男女の賃金の差異は、女性活躍推進法に基づく公表義務の対象項目として選択しておらず、公表されていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 33.3% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
同社グループは、オンラインを中心とした旅行商品の企画・販売を通じて、個人および法人顧客の多様な旅行ニーズに応える事業を展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、主に日本国内の個人顧客を対象に、海外向けパッケージ旅行の企画・販売、航空券や宿泊、オプショナルツアーの手配を行っています。また、企業や官公庁、学校法人といった法人顧客向けには、業務渡航や団体旅行の手配も手掛けています。連結子会社はベトナムとインドネシアで事業を展開していますが、同社グループの売上高の90%以上は日本国内の外部顧客からのものです。
収益モデルの特徴として、インターネットを通じた顧客獲得に注力し、店舗運営にかかる固定費を削減することでコスト低減を図っています。お客様とのやり取りはメールや電話が主な手段です。オンライン予約の利便性と、旅行先の情報に精通した「トラベル・コンシェルジュ」による電話やメールでのカスタマイズ対応を組み合わせた「ハイブリッド戦略」を推進しています。
これにより、お客様は自宅にいながらオンラインで予約できる利便性を享受しつつ、複雑な旅程や詳細な情報が必要な場合でも専門的なサポートを受けられます。個人旅行事業が同社グループの収益の大部分を占めており、当連結会計年度においてもその傾向は続いています。法人旅行事業やインバウンド旅行事業も展開していますが、個人旅行事業の規模が最も大きい状況です。同社グループは旅行業の単一セグメントとして事業を行っており、特定の顧客に売上が集中することはありません。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、過去5期間にわたり増加傾向を示しています。経常損失は継続していますが、その損失幅は縮小傾向にありました。親会社株主に帰属する当期純損失は、直近の連結会計年度で損失幅が拡大しています。
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度までは支出が続いていましたが、当連結会計年度には収入に転じています。当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失の拡大は、主に助成金返還損や特別調査費用等の特別損失が計上されたことによるものです。本業のキャッシュ創出力は改善傾向にあることが示されています。
| 項目 | 2021年6月期 | 2022年6月期 | 2023年6月期 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 9.2億円 | 11.2億円 | 12.6億円 | 33.4億円 | 37.2億円 |
| 経常利益 | △19.9億円 | △13.4億円 | △9.1億円 | △3.9億円 | △1.1億円 |
| 経常利益率 | △216.5% | △119.8% | △72.1% | △11.8% | △2.9% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | △29.3億円 | △15.7億円 | △10.5億円 | △4.0億円 | △7.7億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | △607.53 | △276.91 | △153.91 | △26.49 | △38.86 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は、前期と比較してわずかに減少しています。一方で、従業員1人あたり営業利益は、前期の損失から損失幅が縮小する結果となりました。これは、売上高の増加と営業損失の改善が進む中で、従業員数の増加も影響していることを示しています。
これらの指標は、同社グループが事業規模を拡大しつつ、収益性の改善に取り組んでいる状況を反映していると言えます。
| 指標 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 35.2百万円 | 34.5百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | △3.7百万円 | △1.0百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務状況は、事業環境の変化に対応しながら、資金繰りの改善に努めている段階を示しています。
本業での資金創出はプラスに転じていますが、自己資本比率やROEの状況から、財務基盤の強化が継続的な課題となっています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤を見ると、当期の自己資本比率は15.8%となっており、プライム市場の非製造業平均(24.2%)と比較すると低い水準です。ROE(自己資本利益率)は当期で△78.8%とマイナスを示しています。
一方で、現金及び預金は26.0億円と、前期から増加しており、手元資金は確保されています。これらの状況は、事業の継続的な運営において財務体質の改善が重要であることを示しています。
| 指標 | 2024年6月期(前期) | 2025年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 13.9億円 | 6.2億円 |
| 自己資本比率 | 38.6% | 15.8% |
| ROE(自己資本利益率) | - | △78.8% |
| 現金及び預金 | 24.8億円 | 26.0億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは、前期の△1.2億円の支出から当期は1.3億円の収入へと増加しました。これは、税金等調整前当期純損失の計上や売上債権の増加などがあったものの、旅行前受金の増加や助成金返還損、特別調査費用等の計上が増加要因となったためです。
投資活動によるキャッシュフローは、前期の△14百万円の支出から当期は△1百万円の支出へと減少しました。これは主に敷金の差入による支出があったためです。その結果、フリーキャッシュフローは前期の△1.4億円の支出から当期は1.3億円の収入へと改善しています。
財務活動によるキャッシュフローは、前期の17.8億円の収入から当期は0百万円の収入へと大きく減少しました。これは、前期に比べて資金調達が大幅に減少したことを示しています。全体として、本業での資金創出がプラスに転じ、フリーキャッシュフローも改善していることから、事業運営に必要な資金は確保されており、今後の事業展開に向けた基盤を固めている段階にあると言えます。
| 項目 | 2024年6月期(前期) | 2025年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △1.2億円 | 1.3億円 |
| 投資CF | △14百万円 | △1百万円 |
| 財務CF | 17.8億円 | 0百万円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △1.4億円 | 1.3億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
同社グループは、新型コロナウイルス感染症の影響による旅行需要の減退により、営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失を計上しており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況が存在すると認識しています。しかし、現金及び預金は増加しており、当面の事業資金は十分賄える状況であることから、重要な不確実性は認められないと判断しています。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、旅行事業を営む国内外の企業との競合や、新規参入企業、C to C取引の拡大による競争激化のリスクを認識しています。また、海外旅行を主力事業としているため、旅行代金の決済における外貨建て取引により為替変動リスクに晒されています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、経営戦略において優秀な人材の確保、育成、離職の抑止を推進していくことを課題として挙げています。これは、事業拡大と持続的な成長のために人材の確保と定着が重要であるという認識を示しています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
旅工房は、旅行業を通じて国際交流の発展と世界平和に貢献することを経営理念に掲げています。全てのステークホルダーの物心両面の充足と幸福を追求する企業文化を目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループの経営理念は、「国際交流の発展及び世界平和に貢献することと同時に、全従業員及び関係者の物心両面の充足と幸福を追求する」です。旅行業を通じて国際間における人的交流の促進に寄与し、国際交流の発展、ひいては世界平和の実現に貢献することを目指しています。また、持続的な事業の発展と公正な利益分配を通じて、株主、従業員、旅行者、取引先といった全てのステークホルダーの物心両面の充足と幸福実現を追求する方針です。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、オンライン販売と「トラベル・コンシェルジュ」による柔軟な対応を組み合わせた「ハイブリッド戦略」を事業拡大の柱としています。お客様に素晴らしい旅行体験を提供するため、「トラベル・コンシェルジュ」の教育と採用を重視しています。人材育成と社内環境整備の方針として、多様な働き方を推奨しており、テレワークや時短勤務などを推進しています。女性役員・女性管理職の比率向上にも取り組んでおり、多様な人材が能力を発揮できる環境整備を進める方針です。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、過去の不適切受給事案を踏まえ、コンプライアンス体制の強化を優先的な課題としており、ガバナンスに対する抜本的な意識改革と再発防止策の確実な実行に努めています。また、お客様への素晴らしい旅行体験提供のため、「トラベル・コンシェルジュ」の採用と教育、商品企画力の向上を喫緊の課題と認識しています。ブランド価値、認知度、信頼性の向上も重要なテーマであり、積極的にPR施策を行っていく方針です。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
旅工房は、取締役会と監査役会を軸としたコーポレート・ガバナンス体制を構築しています。企業経営に深い知見を持つ社外取締役を登用し、経営判断の迅速化と監督の実効性確保を図っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
旅工房の筆頭株主は事業会社であるアドベンチャーです。その他、複数の個人株主や証券会社が上位株主として名を連ねています。特定の株主が過半数を超える株式を保有しており、安定した資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| アドベンチャー | 53.02% |
| 高山 泰仁 | 7.16% |
| SBI証券 | 1.88% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性6名・女性1名)で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は小林祐樹氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 小林 祐樹 | 代表取締役社長 | 2009年あらた監査法人入所後、PwCインドネシア出向。GCAサヴィアン株式会社、Houlihan Lokey株式会社でCFO/CAO-Asiaを歴任。2025年BitStar株式会社CFOを経て、同年9月同社代表取締役社長より現職。 |
| 朝居 宏文 | 取締役レジャー本部長事業戦略本部長法人営業本部長 | 2005年アクディア入社後、複数の企業で経験を積む。2016年アドベンチャー入社、2020年同社入社。執行役員事業戦略本部本部長などを経て、2025年9月同社取締役兼執行役員より現職。 |
| 轟木 有里珠 | 取締役 | 2023年アドベンチャー入社。同年10月同社取締役より現職。 |
社外取締役は、甲斐亮之氏(ギャプライズ代表取締役)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会には監査役が毎回出席し業務執行を監査しています。社外取締役は、企業経営に関する幅広い知識と見識に基づき、客観的な視点から助言・支援を行っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
旅工房の役員報酬は、企業価値の持続的な向上を目的としたインセンティブとして機能するよう設計されています。報酬体系は基本報酬と株式報酬で構成されており、基本報酬を主体としつつ、中長期的な企業価値向上に資するよう株式報酬が設定されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 20百万円 | 5.0百万円 |
| 社外取締役 | 2名 | 3百万円 | 1.3百万円 |
| 社外監査役 | 5名 | 10百万円 | 2.1百万円 |
役員報酬の総額は33百万円であり、対象となる役員の合計人数は11名です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。