ランドネット 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ランドネット 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ランドネットは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、中古不動産の買取販売および仲介、賃貸管理を主要事業としています。直近の業績は売上高960億円(前期比23.4%増)、経常利益33億円(同31.5%増)と増収増益を達成しており、業績は拡大傾向にあります。


※本記事は、株式会社ランドネット の有価証券報告書(第26期、自 2024年8月1日 至 2025年7月31日、2025年10月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ランドネットってどんな会社?


ランドネットは、最新テクノロジーと独自のデータベースを活用し、中古マンションの買取販売や賃貸管理などを展開する総合不動産商社です。

(1) 会社概要


同社は1999年に設立され、不動産販売・仲介・賃貸管理を開始しました。2013年には台湾および香港に現地法人を設立し海外展開を進め、2019年にISMS認証を取得しました。2021年7月に東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)へ上場を果たし、2024年11月には渋谷支店を開設するなど拠点を拡大しています。

2025年7月31日現在、連結従業員数は807名、単体従業員数は807名です。筆頭株主は創業者である榮章博氏の資産管理会社であるブレインネットで、第2位は代表取締役社長の榮章博氏、第3位はファ-ストヴィレッジです。創業者が経営の実権を持つオーナー系企業の特徴を有しています。

氏名 持株比率
ブレインネット 37.73%
榮 章博 33.35%
ファ-ストヴィレッジ 2.67%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は榮章博氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。

氏名 役職 主な経歴
榮 章博 代表取締役社長 大京、大京住宅流通等を経て、1999年9月に同社を設立し代表取締役社長に就任。ブレインネット代表取締役を兼務。現在に至る。
浦 好之 取締役第1営業部長 2006年6月に同社入社。2014年2月に第1営業部長に就任し、同年10月より取締役を務める。現在に至る。
伊藤 康史 取締役執行役員データ戦略部長総務部長人事部長 クロスキャット経営監査統括部長等を経て、2023年8月に同社入社。2025年10月より取締役執行役員総務部長兼人事部長。現在に至る。


社外取締役は、藤川和之(笹浪総合法律事務所設立パートナー弁護士)、高木友博(明治大学理工学部名誉教授)です。

2. 事業内容


同社グループは、「不動産売買事業」および「不動産賃貸管理事業」を展開しています。

不動産売買事業


主に中古マンション等の不動産所有者から物件を取得し、国内外の不動産業者や投資家、実需層の顧客に販売しています。物件は面積によりワンルームタイプとファミリータイプに、築年数により築浅と築古に区分管理され、リフォームやリノベーションによる再生も提案します。また、顧客のニーズに応じて仲介業務も行っています。

収益は、物件の売却による売上高および仲介に伴う手数料収入が柱です。運営は主にランドネットが行っており、台湾・香港の顧客に対しては、現地子会社である日商朗透房屋股份有限公司および日昇房屋有限公司が日本の不動産紹介等を行っています。

不動産賃貸管理事業


不動産売買事業で取引のあった顧客を中心に、賃貸管理業務を受託しています。入居者の募集、賃料の集金代行、契約更新手続き、修繕手配などの管理業務全般に加え、賃貸物件のリフォーム工事も請け負っています。

収益は、不動産オーナーからの管理手数料やリフォーム工事代金、および賃貸借契約に伴う保証料等が主な源泉です。運営はランドネットが行い、家賃保証業務については連結子会社のランドインシュアが担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は412億円から960億円へと2倍以上に拡大し、連続増収を続けています。経常利益も12億円から33億円へと順調に増加しており、利益率も3%台で推移しています。当期純利益についても右肩上がりで成長しており、事業規模の拡大とともに収益性も向上していることが読み取れます。

項目 2021年7月期 2022年7月期 2023年7月期 2024年7月期 2025年7月期
売上高 412億円 519億円 636億円 778億円 960億円
経常利益 12億円 14億円 14億円 25億円 33億円
利益率 2.8% 2.7% 2.1% 3.2% 3.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 7.5億円 10億円 10億円 18億円 24億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高の増加に伴い売上総利益も順調に拡大しており、売上総利益率は約15%台を維持しています。営業利益についても増益となっており、営業利益率は3.6%から3.9%へ改善しています。事業拡大に伴うコスト増加を吸収しつつ、効率的に利益を創出している状況がうかがえます。

項目 2024年7月期 2025年7月期
売上高 778億円 960億円
売上総利益 119億円 152億円
売上総利益率(%) 15.3% 15.8%
営業利益 28億円 37億円
営業利益率(%) 3.6% 3.9%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当及び賞与が46億円(構成比40.2%)、広告宣伝費が15億円(同13.4%)、仲介手数料等が12億円(同10.6%)を占めています。

(3) セグメント収益


不動産売買事業が全社売上の大半を占めており、当期は前期比で大幅な増収増益となりました。不動産賃貸管理事業も売上・利益ともに増加しており、安定的な収益基盤として機能しています。両セグメントともに事業は順調に拡大しています。

区分 売上(2024年7月期) 売上(2025年7月期) 利益(2024年7月期) 利益(2025年7月期) 利益率
不動産売買事業 767億円 947億円 60億円 77億円 8.1%
不動産賃貸管理事業 11億円 13億円 1.4億円 1.5億円 12.0%
連結(合計) 778億円 960億円 28億円 37億円 3.9%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

ランドネットは、販売用不動産の買取強化や有形固定資産の取得により、営業活動および投資活動では資金を使用しました。一方で、財務活動では借入金の純増加等により資金を獲得し、期末の資金は増加しています。

項目 2024年7月期 2025年7月期
営業CF -18億円 -26億円
投資CF -10億円 -17億円
財務CF 38億円 48億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「最新のテクノロジーと独自のデータベースを活用し、不動産を流通・再生・運用し、世界を変える。」という企業理念を掲げています。不動産の資産運用コンサルティングを行う総合不動産商社として、購入・売却・再生・運用という視点から顧客のライフプランを豊かに実現することを企業目標としています。

(2) 企業文化


同社は「お客様のライフプランを実現する不動産運用顧問(Private Realtor)」となることを目指し、不動産オーナーに寄り添い潜在的ニーズに応える姿勢を重視しています。また、従業員に対しては日経新聞の読み合わせや輪読会を実施するなど、自ら考え行動できる「自燃性の従業員」の育成と生涯学習を推奨する文化があります。

(3) 経営計画・目標


同社は2026年7月期を初年度とする3ヵ年の中期経営計画を策定しています。経営上の目標達成状況を判断する指標として、金融コストを加味した経常利益を重視しています。セグメント別では、不動産売買事業においては取引件数を、不動産賃貸管理事業においては賃貸管理戸数を重要な経営管理指標と位置付けています。

(4) 成長戦略と重点施策


今後の成長に向けて、大都市圏を中心とした支店展開や、戸建て・アパートなど幅広い商品の取り扱い強化を進めています。また、クラウドファンディングや投資用物件検索サイトの活用による販路拡大、データベース拡充による仕入活動の強化、システム開発(RCP)による業務効率化とデータ活用を重点施策として掲げています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「不動産流通業を革新するNo.1企業」を目指し、社会課題を解決する気概を持った「自燃性の従業員」の育成を掲げています。新卒・中途採用の強化に加え、毎朝の新聞読み合わせや輪読会を通じた学習機会の提供、ジョブローテーションの導入、資格取得支援など、従業員の自己実現と成長を後押しする環境整備に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年7月期 30.6歳 3.6年 9,263,000円


※平均年間給与には、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 8.8%
男性育児休業取得率 23.5%
男女賃金差異(全労働者) 48.5%
男女賃金差異(正規雇用) 55.1%
男女賃金差異(非正規) 112.2%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、係長級にある者に占める女性労働者の割合(19.0%)、女性の育児休業取得率(100.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 有利子負債への依存について


同社は不動産買取資金を主に金融機関からの借入金で調達しており、有利子負債依存度は51.1%となっています。金融情勢の変動により金利が上昇したり、調達が困難になったりした場合、経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。

(2) 販売用不動産の評価損について


同社は多くの販売用不動産を在庫として保有しています。経済情勢や不動産市況の悪化により不動産価格が下落した場合、正味売却価額が取得原価を下回り、たな卸資産評価損を計上する必要が生じ、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 情報漏洩のリスクについて


事業を通じて多くの顧客情報や機密情報を保有しています。ISMS認証取得など管理体制を強化していますが、サイバー攻撃や不正アクセス等により情報が外部へ流出した場合、損害賠償請求や社会的信用の失墜により、経営成績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。