アースインフィニティ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アースインフィニティ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場し、電力・ガスの小売を行うエネルギー事業と、電子ブレーカー等を扱う電子機器事業を展開しています。第24期は、エネルギー事業において代理店による顧客獲得が奏功し、売上高67億円(前期比34.5%増)、経常利益7億円(同186.9%増)と大幅な増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社アースインフィニティ の有価証券報告書(第24期、自 2024年8月1日 至 2025年7月31日、2025年10月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. アースインフィニティってどんな会社?


電力・ガスの小売事業を主力とし、電子ブレーカーの製造・販売も手掛けるエネルギーサービス企業です。

(1) 会社概要


2002年7月に設立され、インバーター及びブレーカーの販売を開始しました。2016年4月に小売電気事業、2019年6月にはガス小売事業へ参入し、事業領域を拡大しています。2020年10月にJASDAQ(スタンダード)へ株式を上場し、2022年4月の市場区分見直しに伴い、東京証券取引所スタンダード市場へ移行しました。

同社(単体)の従業員数は22名です。大株主構成については、筆頭株主は創業者の濵田幸一氏で、第2位はネット証券大手の楽天証券です。

氏名 持株比率
濵田 幸一 49.83%
楽天証券 3.49%
JPモルガン証券 0.87%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は濵田幸一氏が務めています。社外取締役比率は57.1%です。

氏名 役職 主な経歴
濵田 幸一 代表取締役社長 1999年アイディック入社。2001年西日本ネオ設立・代表取締役。2002年7月同社設立、代表取締役社長に就任し現職。
松田 ありさ 取締役 2001年コスモテレコム入社。2012年同社入社、2016年内部監査室長を経て、2021年10月より現職。
一氏 亮佑 取締役 2007年ライフリンクス入社。2008年同社入社、2016年取締役営業部長などを経て、2024年10月より現職。


社外取締役は、畑山佳之(税理士・アドバンス代表取締役)、白川功(大阪大学名誉教授・白川アソシエイツ代表)、寺本悟(公認会計士・税理士)、城ヶ辻保(ツアーデスク代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「エネルギー事業」および「電子機器事業」を展開しています。

エネルギー事業


電力小売およびガス小売を行っています。一般家庭や小規模工場、店舗、飲食店等(低圧)、および中小規模工場やビル等(高圧)を顧客としています。電力は市場取引等により調達し、ガスはガス会社から調達して、それぞれの需要家に供給しています。

収益は、顧客からの電気料金およびガス料金の支払いです。安定的なストック型ビジネスとして位置づけられており、電気とガスのセット販売や、中間層(小規模工場や商店等)に特化した料金プランの提供を行っています。運営は主にアースインフィニティが行っています。

電子機器事業


電子ブレーカー(コンピューター内蔵式ブレーカー)の製造・販売・設置、およびエネルギーコスト削減のコンサルティングを提供しています。主な顧客は中小企業です。特許技術に基づき、協力会社で製品を製造するファブレス体制をとっています。

収益は、電子ブレーカー等の機器販売代金や設置工事に伴う収益です。近年は、リース契約期間が終了する既存顧客に対するリプレイス販売(入れ替え提案)を中心とした営業活動を行っています。運営はアースインフィニティが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


第20期から第24期にかけての業績を見ると、売上高は38億円から67億円へと拡大傾向にあります。第21期には一時的な赤字を計上しましたが、その後回復し、直近の第24期では経常利益6.7億円、当期利益4.6億円と過去最高益水準に達しています。利益率も改善しており、成長性と収益性の向上が見られます。

項目 2021年7月期 2022年7月期 2023年7月期 2024年7月期 2025年7月期
売上高 38億円 46億円 52億円 50億円 67億円
経常利益 1.8億円 -4.7億円 5.1億円 2.4億円 6.7億円
利益率(%) 4.9% -10.2% 9.7% 4.7% 10.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 1.2億円 -3.9億円 3.9億円 1.5億円 4.6億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高は50億円から67億円へと大幅に増加しました。増収効果により売上総利益も14億円から22億円へ拡大し、売上総利益率は32.6%まで向上しています。営業利益は2.8億円から7.0億円へと倍増以上となり、営業利益率も大幅に改善しました。

項目 2024年7月期 2025年7月期
売上高 50億円 67億円
売上総利益 14億円 22億円
売上総利益率(%) 27.9% 32.6%
営業利益 3億円 7億円
営業利益率(%) 5.5% 10.4%


販売費及び一般管理費のうち、販売促進費が7億円(構成比47%)、支払手数料が3億円(同18%)を占めています。売上原価は売上高に対して67%を占めており、電力・ガスの仕入費用が主な内訳です。

(3) セグメント収益


エネルギー事業は、代理店による新規顧客獲得の強化により大幅な増収増益となりました。一方、電子機器事業は既存顧客のリプレイス販売を中心としたものの減収となりましたが、販促費の抑制により増益を確保しています。

区分 売上(2024年7月期) 売上(2025年7月期) 利益(2024年7月期) 利益(2025年7月期) 利益率
エネルギー事業 48億円 66億円 6億円 11億円 16.6%
電子機器事業 1.5億円 0.9億円 0.3億円 0.3億円 35.1%
連結(合計) 50億円 67億円 3億円 7億円 10.4%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

アースインフィニティは、営業活動で資金を創出し、事業拡大のための投資を行い、財務活動で資金調達と返済を行っています。

営業活動では、売上債権の増加といった減少要因がありましたが、利益の増加や未収入金の減少、貸倒引当金の増加などにより、資金は増加しました。投資活動では、有形固定資産の取得により資金の支出がありました。財務活動では、短期借入金の増加があったものの、長期借入金の返済や配当金の支払いにより、資金は支出となりました。

項目 2024年7月期 2025年7月期
営業CF 0.8億円 3.9億円
投資CF -0.1億円 -0.1億円
財務CF -4.7億円 -0.7億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「人や仲間が集まり続け 求められ応え続ける会社」を企業理念としています。エネルギーサービスを提供する企業として、市場環境の変化や顧客ニーズに柔軟に対応し、顧客価値の向上を目指しています。また、人と自然とエネルギーが共生する世界を創るため、積極的に取り組む姿勢を示しています。

(2) 企業文化


同社は、コンプライアンス体制の強化や企業倫理意識の向上を重視しています。また、すべての従業員が能力を発揮できる職場環境を目指し、意欲や能力に基づいた評価や多様な人材の登用を推進しています。脱炭素社会の実現に向け、再生可能エネルギー開発などのESG活動にも取り組む姿勢を持っています。

(3) 経営計画・目標


利益を確保し、自己資本を充実させることを経営課題としています。具体的な数値目標として、売上高・営業利益・経常利益の増加を目指しています。特に、ストック型ビジネスであるエネルギー事業の継続的な収益確保と、財務基盤の強化を重視しています。

(4) 成長戦略と重点施策


エネルギー事業では、代理店を通じた営業活動により、一般家庭および中間層(小規模工場や商店等)の顧客獲得に注力し、早期の売上・利益拡大を目指しています。大口顧客への依存度を下げ、安定的な利益確保を図る方針です。また、蓄電池・太陽光パネルの販売や再生可能エネルギー開発も推進し、脱炭素社会の実現に取り組みます。

* 一般家庭及び中間層を中心とした顧客基盤の拡大
* 電子機器事業におけるリプレイス販売の促進
* 人材基盤および収益基盤の強化

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


持続的な成長のため、社内体制を支える優秀な人材の確保と育成を重要課題としています。積極的な採用活動に加え、教育の充実・強化により知識・スキルを向上させ、従業員の意識改革やコミュニケーション醸成を促すことで、次世代を担う多様な人材を育成する方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年7月期 35.2歳 4.4年 4,213,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、役職者の女性比率(33.33%)、社内取締役の女性比率(33.33%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) エネルギー業界の競争と価格変動


電力・ガスの小売において、他社との競争激化による解約増加や、差別化の困難化が業績に影響する可能性があります。また、燃料価格やJEPX(日本卸電力取引所)取引価格の変動、制度変更等が収益を圧迫するリスクがあります。

(2) 需給バランス調整リスク


電力供給において、需要計画と実績の差分(インバランス)に対する精算が発生します。需給管理を委託しているものの、適切な管理が行えずインバランス料金が多額に発生した場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 災害等による影響


地震や台風などの自然災害により、停電や設備故障が発生した場合、販売活動の停止や売電収入の減少を招く可能性があります。特に風力発電設備等の故障は、長期的な収入減につながるリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。