※本記事は、ビジョナル株式会社 の有価証券報告書(2025年7月期、2024年8月1日 ~ 2025年7月31日、2025年10月22日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
ビジョナルは持株会社であり、単体従業員数は116名、グループ連結従業員数は2,175名です。
同社グループは、社会における様々な課題をテクノロジーを活用したサービス創造を通じて解決するデジタル・トランスフォーメーション・カンパニーです。連結子会社11社を中心に、HR TechとIncubationの2つのセグメントで事業を展開しています。
主な国内グループ会社は、ビズリーチ(HRTech)、M&Aサクシード(Incubation)などです。
ビジョナルグループでは、2025年3月1日付で株式会社TSUIDEを連結子会社化しました。また、IEYASU株式会社とイージーソフト株式会社は、それぞれ株式会社ビズリーチに吸収合併されています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
ビジョナルグループは、事業を通じて社会に新しい可能性を提供し、持続的な成長を目指しています。人材を最も重要な資産と位置づけ、多様なバックグラウンドを持つ従業員の採用と成長支援に力を入れています。安心して働ける環境づくりと、従業員が主体的にキャリアを形成し学び続けるためのサポートに取り組んでいるのが特徴です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、平均年齢が38.6歳、平均勤続年数が5.2年となっています。これは、比較的若手から中堅層の従業員が中心となって活躍している傾向を示しています。
なお、同社は持株会社であり、傘下の関係会社は以下のデータと同水準とは限りません。各社の求人情報や口コミサイト等を別途参照してください。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 8,613,000円 |
| 平均勤続年数 | 5.2年 |
| 平均年齢 | 38.6歳 |
| 単体従業員数 | 116人 |
| 連結従業員数 | 2,175人 |
| 単体のグループ内比率 | 5.3% |
退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
ビジョナルグループは、人材を最も重要な資産であり、事業成長の競争力の源泉と位置づけています。多様なバックグラウンドを持つ人材の採用と成長支援に注力し、従業員が安心して能力を発揮できる環境づくりと、主体的なキャリア形成をサポートする方針です。中途採用と新卒採用を組み合わせた人員拡大を通じて、多様な経験やスキルを持つ人材が活躍する企業風土を醸成しています。
働きやすい環境づくりとして、リモートワークや原則フレックス制度を導入し、柔軟な働き方を可能にしています。入社時研修や1on1による成長支援も積極的に行っています。
従業員エンゲージメントの向上にも力を入れており、月1回の朝会や半期に一度のグループ全従業員参加のキックオフ、従業員表彰を実施しています。個人の状態把握のためパルスサーベイを毎月、組織状態の見える化のためエンゲージメントサーベイを年2回実施し、改善活動につなげています。
また、同社グループのサービスである『社内版ビズリーチ by HRMOS』を内部利活用し、人材活用を推進しています。このサービスは、転職市場のデータと生成AI技術を活用して社内のポジションや従業員のスキルを「見える化」し、社内スカウトや社内公募を通じて従業員にキャリア形成の機会を提供しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男女賃金差異(非正規雇用)は、女性活躍推進法に基づく公表義務の対象項目として選択しておらず、公表されていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 16.7% |
| 男性育児休業取得率 | 75.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 65.7% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 72.4% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
ビジョナルは、持株会社として同社グループ全体の経営方針策定と経営管理を担っています。社会における様々な課題をテクノロジーで解決するデジタル・トランスフォーメーション・カンパニーとして事業を展開しています。
同社グループは「新しい可能性を、次々と。」をミッションに掲げ、HR TechとIncubationの2つの報告セグメントで事業を展開しています。HR Techセグメントが同社グループの売上高の大部分を占めており、Incubationセグメントがそれに続く規模となっています。なお、同社グループの売上高は本邦の外部顧客へのものが連結損益計算書の売上高の90%を超えており、国内事業が中心であることが示されています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
HR Tech
HR Techセグメントは、即戦力人材と企業をつなぐ転職サイト『BizReach』、人財活用プラットフォーム『HRMOS』シリーズ、OB/OG訪問ネットワークサービス『ビズリーチ・キャンパス』などのサービスを提供しています。収益は、『BizReach』においては直接採用企業、ヘッドハンター、求職者の三者からの課金売上を収益源としています。また、『HRMOS』シリーズはSaaS形式で、サブスクリプション型の課金体系を導入しています。運営は、株式会社ビズリーチ、イージーソフト株式会社、株式会社スタンバイなどが行っています。HR Techセグメントは前連結会計年度から売上高を伸ばしています。
Incubation
Incubationセグメントでは、法人限定M&Aプラットフォーム『M&Aサクシード』、物流DXプラットフォーム『トラボックス』、脆弱性管理クラウド『yamory(ヤモリー)』、クラウドサービスのセキュリティ信用評価及び取引先企業のセキュリティ信用評価『Assured(アシュアード)』、ITコンサルティングサービス『TSUIDE』などの新規事業を展開しています。収益は、各サービスの利用料などから得ています。運営は、株式会社M&Aサクシード、トラボックス株式会社、株式会社アシュアード、株式会社TSUIDEなどが行っています。Incubationセグメントも前連結会計年度から売上高を伸ばしています。
| セグメント | 売上高(2024年7月期) | 売上高(2025年7月期) |
|---|---|---|
| HR Tech | 638億円 | 770億円 |
| Incubation | 22.2億円 | 31.4億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は過去5期にわたり継続して増加傾向にあります。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益も同様に増加傾向を示しています。直近の連結会計年度では、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも前年同期比で増加しています。
| 項目 | 2021年7月期 | 2022年7月期 | 2023年7月期 | 2024年7月期 | 2025年7月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 287億円 | 440億円 | 563億円 | 661億円 | 802億円 |
| 経常利益 | 22.7億円 | 87.1億円 | 144億円 | 185億円 | 227億円 |
| 経常利益率 | 7.9% | 19.8% | 25.5% | 27.9% | 28.3% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 14.2億円 | 58.5億円 | 99.3億円 | 130億円 | 160億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 43.37 | 160.76 | 256.78 | 330.71 | 400.76 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は、前期から当期にかけて減少しています。また、従業員1人あたり営業利益(連結)も前期から当期にかけて減少しています。これらの指標は、組織全体の効率性や収益体質を示すものとなっています。
| 指標 | 2024年7月期 | 2025年7月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 38.8百万円 | 36.9百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 10.5百万円 | 9.9百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務状況は、事業活動を通じて安定的に資金を生み出し、手元資金も厚い状態を示しています。将来に向けた投資も継続しており、堅実な経営基盤がうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループは高い自己資本比率を維持しており、財務基盤が強固であることが示されています。ROE(自己資本利益率)もプライム市場平均を大きく上回る水準で推移しており、効率的な経営が行われていることがうかがえます。また、手元資金も潤沢に確保されており、不測の事態への耐性も高い状態です。
| 指標 | 2024年7月期(前期) | 2025年7月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 524億円 | 678億円 |
| 自己資本比率 | 68.3% | 70.5% |
| ROE(自己資本利益率) | 28.5% | 26.7% |
| 現金及び預金 | 581億円 | 728億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上や契約負債の増加などにより、継続的に資金を創出しています。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得や子会社株式の取得などにより支出が継続しています。これは将来の成長に向けた積極的な投資が行われていることを示しています。財務活動によるキャッシュ・フローは、子会社株式の取得による支出などにより資金が流出しています。本業で安定的に資金を生み出しつつ、成長のための投資も積極的に行っている状況であり、事業の持続的な成長と雇用安定性への期待が持てる経営状況です。
| 項目 | 2024年7月期(前期) | 2025年7月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 184億円 | 196億円 |
| 投資CF | △17億円 | △37億円 |
| 財務CF | 3億円 | △12億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 167億円 | 159億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループはBizReach事業を中核事業と位置付けており、連結売上高に占める同事業の比率は85.6%と高い状況です。ビジネス・プロフェッショナル向けの人材採用市場は拡大すると想定されていますが、事業環境の変化やサービス競争力の低下が生じた場合、業績に影響を与える可能性があります。また、新規事業の多くは現時点で黒字化を達成しておらず、拡大・成長が予測通りに進まない場合、投資資金を回収できず業績に影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは事業運営にあたり、各事業領域や職能において専門性を有する人材が必要であり、継続的な人材採用・育成が欠かせません。将来的に優秀な人材の獲得が困難となる、人材の育成が計画通りに進まなくなる、在職する人材が社外流出する等の事態が生じる場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ビジョナルは、テクノロジーを活用して社会課題を解決し、新しい可能性を創造するデジタル・トランスフォーメーション・カンパニーです。多様な事業を通じて、社会に貢献することを目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「新しい可能性を、次々と。」をミッションに掲げています。テクノロジーを活用したサービス創造を通じて、社会の様々な課題を解決するデジタル・トランスフォーメーション・カンパニーとして社会に貢献することを目指しています。
主力サービス『BizReach』を含むHR Tech領域での事業成長に加え、社会的課題を捉えた新規事業の継続的な創出、国内外の企業への投資とノウハウ提供を通じて、事業領域の拡大と企業価値の向上を図る方針です。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、「人材」を最も重要な資産であり、事業成長の競争力の源泉と位置づけています。多様なバックグラウンドを持つ人材の採用を積極的に行い、そのポテンシャルを最大限に発揮できる環境づくりに努めています。
従業員が主体的にキャリア形成を行い、学び続けるためのサポートにも取り組んでいます。リモートワークやフレックス制度の導入により、柔軟な働き方を可能にしています。
エンゲージメント向上や情報共有のため、月1回の朝会や半期に一度のキックオフを実施し、従業員表彰も行っています。組織状態の見える化と改善活動も進めています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、事業成長を支える上で、優秀な人材の確保を重要な課題としています。多様なバックグラウンドを持つ人材を継続的に採用し、ダイレクトリクルーティングのコンセプトを体現することに努めています。
また、顧客情報や個人情報の厳正な管理のため、情報管理体制の強化に取り組んでいます。社内システムのセキュリティ強化や研修の整備を通じて、管理体制の拡充を図っています。
急速な事業成長に対応するため、内部管理体制の強化も重点テーマです。リスク管理や内部監査によるコンプライアンス体制の強化、コーポレート・ガバナンス機能の充実を進めています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
ビジョナルは監査等委員会設置会社として、迅速な経営判断と透明・公正な意思決定を両立させる体制を採用しています。監査等委員である社外取締役3名が経営の意思決定・業務執行の監督機能を担い、経営監視機能の強化に努めています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社グループの筆頭株主は代表取締役社長の南壮一郎氏です。その他、日本マスタートラスト信託銀行やSTATE STREET BANK AND TRUST COMPANYといった機関投資家も上位株主として名を連ねています。創業者が経営を主導する体制のもと、幅広い株主層に支えられていることがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 南 壮一郎 | 34.94% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 9.69% |
| STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505001(常任代理人 株式会社みずほ銀行) | 5.30% |
| YJ2号投資事業組合 | 4.29% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 3.99% |
(注)2025年3月24日付けで公衆の縦覧に供されている大量保有報告書(変更報告書)において、キャピタル・リサーチ・アンド・マネージメント・カンパニー及びその共同保有者が2025年3月14日現在で以下の株式を保有している旨が記載されているものの、同社として2025年7月31日現在における実質所有株式数の確認ができませんので、上記大株主の状況には含めておりません。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性4名・女性3名)で構成され、女性役員比率は42.8%です。代表取締役社長は南壮一郎氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 南 壮一郎 | 代表取締役社長 | モルガン・スタンレー・ディーン・ウィッター・ジャパン・リミテッド入社後、パシフィック・センチュリー・サイバーワークス・ジャパン、楽天野球団を経て、2007年に株式会社ビズリーチを設立し代表取締役社長に就任。2020年2月より同社代表取締役社長。 |
| 村田 聡 | 取締役 | グローバルメディアオンライン入社後、バイアコムインターナショナルジャパン、セレクトスクエアを経て、株式会社ルクサ代表取締役。2019年8月株式会社ビズリーチ入社、取締役。2022年8月より同社取締役。 |
| 酒井 哲也 | 取締役 | 株式会社日本スポーツビジョン、株式会社リクルートエイブリックを経て、2015年11月株式会社ビズリーチ入社。2022年7月より同社代表取締役社長。2022年10月より同社取締役。 |
| 末藤 梨紗子 | 取締役 | モルガン・スタンレー証券、日本GE、グラクソ・スミスクラインを経て、2019年7月株式会社ビズリーチ入社。2024年10月より同社取締役CFO兼執行役員。 |
社外取締役は、播磨奈央子氏(公認会計士・常勤監査等委員)、石本忠次氏(メンターキャピタル税理士法人代表社員・監査等委員)、千原真衣子氏(弁護士法人片岡総合法律事務所パートナー・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、迅速な経営判断と透明・公正な意思決定を両立させる体制を採用しています。監査等委員である社外取締役3名が経営の意思決定・業務執行の監督機能を担い、経営監視機能の強化に努めています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社グループの取締役(監査等委員である取締役を除く)の報酬は、中長期的な業績と企業価値向上に資するよう設計されています。各取締役の役割や責任、同社グループ全体の戦略策定への貢献度などを考慮し、株主総会で決定された総額の範囲内で適正な水準が設定されています。なお、取締役の個人別報酬は固定報酬のみで構成されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 5名 | 1.5億円 | 30.8百万円 |
| 社外取締役(監査等委員) | 3名 | 23百万円 | 7.7百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。