※本記事は、株式会社デリバリーコンサルティング の有価証券報告書(第23期、自 2024年8月1日 至 2025年7月31日、2025年10月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. デリバリーコンサルティングってどんな会社?
ITコンサルティングとシステム開発の双方向から、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援する事業を展開しています。
■(1) 会社概要
2003年4月に設立され、2005年にはベトナムに子会社を設立しオフショア開発を開始しました(2019年に譲渡)。2013年に米国Tableau社とパートナー契約を締結し、データ分析分野を強化。2016年2月に現商号へ変更し、テクノロジーコンサルティングへの注力を明確化しました。2021年7月に東証マザーズ(現グロース市場)へ上場を果たしています。
同社グループの従業員数は連結で191名、単体で172名です。大株主構成については、筆頭株主は創業者で代表取締役会長の阪口琢夫氏、第2位はモバイルシステム事業等を行うメディアシーク、第3位は創業者の資産管理会社であるMFアセットとなっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 阪口 琢夫 | 31.72% |
| メディアシーク | 18.03% |
| MFアセット | 10.79% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役会長は阪口琢夫氏です。社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 阪口 琢夫 | 代表取締役会長 | アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)、トランス・コスモスを経て、2003年に同社設立、社長就任。2024年10月より現職。 |
| 内藤 秀治郎 | 取締役CEO | アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)、シンプロメンテ(現シンメンテホールディングス)社長等を経て、2024年10月より現職。 |
| 高橋 昌樹 | 取締役COO | アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)、SAS Institute Japan等を経て2017年同社入社。2022年8月より現職。 |
社外取締役は、曽山明彦(株式会社エグゼクティブ・アライアンス代表取締役)、齋藤祐子(グーグル合同会社プライバシーサンドボックスパートナシップ部長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「デジタルトランスフォーメーション事業」の単一セグメントで事業を展開しています。
■デジタルトランスフォーメーション事業
企業のDXを支援するため、デジタル化の構想からシステム開発を行う「デジタルマイグレーション」、データ活用を戦略的に進める「データストラテジー」、業務効率化ツール導入を進める「インテリジェントオートメーション」の3つのサービスを提供しています。また、データリテラシー向上を支援するコンサルティングサービスも展開しています。
収益は、顧客企業からのコンサルティングフィー、システム開発における対価、ライセンス販売料などから構成されています。運営は主にデリバリーコンサルティングが行い、タイの子会社であるDelivery International Thai Co., Ltd.とも連携しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2021年7月期から2025年7月期までの5期間の推移を見ると、売上高は18億円から27億円へと拡大傾向にあります。利益面では変動が見られ、特に直近の2025年7月期は先行投資等の影響により利益率が低下しました。
| 項目 | 2021年7月期 | 2022年7月期 | 2023年7月期 | 2024年7月期 | 2025年7月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 18億円 | 21億円 | 22億円 | 27億円 | 27億円 |
| 経常利益 | 2.7億円 | 3.6億円 | 0.5億円 | 2.1億円 | 0.6億円 |
| 利益率(%) | 14.9% | 16.9% | 2.4% | 7.8% | 2.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1.8億円 | 2.4億円 | 0.3億円 | 1.6億円 | 0.4億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は増加しているものの、売上総利益率の変動や販管費の増加により営業利益は減少しました。積極的な事業拡大に伴うコスト増が利益を圧迫している構造が見て取れます。
| 項目 | 2024年7月期 | 2025年7月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 27億円 | 27億円 |
| 売上総利益 | 8.4億円 | 11億円 |
| 売上総利益率(%) | 31.0% | 38.5% |
| 営業利益 | 2.1億円 | 0.5億円 |
| 営業利益率(%) | 7.8% | 1.9% |
販売費及び一般管理費のうち、その他経費が5.5億円(構成比55%)、給料が3.6億円(同35%)を占めています。売上原価においては、外注費や労務費が主な構成要素となっています。
■(3) セグメント収益
デジタルトランスフォーメーション事業単一のため、全社売上がそのまま事業収益となります。前期比で微増となりましたが、高付加価値案件の獲得や内製化推進により売上総利益率は改善しました。
| 区分 | 売上(2024年7月期) | 売上(2025年7月期) |
|---|---|---|
| デジタルトランスフォーメーション事業 | 27億円 | 27億円 |
| 連結(合計) | 27億円 | 27億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CF、投資CF、財務CFがいずれもマイナスとなっています。営業CFのマイナスは主に売上債権の増加や法人税等の支払によるものであり、財務CFのマイナスは長期借入金の返済によるものです。自己資本比率は高く、財務の安全性は保たれています。
| 項目 | 2024年7月期 | 2025年7月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 2.6億円 | -0.7億円 |
| 投資CF | -0.3億円 | -0.1億円 |
| 財務CF | -0.5億円 | -0.2億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は3.2%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は74.9%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「日本のITサービスを変えるテクノロジーコンサルティング」を経営理念として掲げています。レガシーと最先端の双方を熟知したITプロフェッショナル集団として、システム構築から内製化まで高付加価値サービスを提供し、クライアントのビジネスモデル変革や新規サービス開発を実現することを目指しています。
■(2) 企業文化
「健全な企業文化と健全な経営」を掲げ、挑戦・互助・公正を尊重する企業文化を育むことを重視しています。楽しく豊かに働く環境を提供し、日本を支えるITサービス産業の一員として正々堂々と経営を行い、社会の発展に貢献するという姿勢を持っています。
■(3) 経営計画・目標
持続的な成長を通じた企業価値の向上を目指し、事業拡大の観点から「売上高」を重要な経営指標と位置づけています。また、強固な経営基盤および高利益体質を構築するため、「営業利益」および「営業利益率」も重要な経営指標として重視しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
テックパートナーとの協業推進によりテクノロジー活用機会を広げるとともに、マーケティングへの投資を通じて新規顧客獲得の仕組みを強化する方針です。また、既存サービスの高収益化や、データリテラシーエンジニアリング等の新サービスによる収益機会の創出、M&Aの検討も進めています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人材を競争優位の源泉と位置づけ、高付加価値な人材の育成・調達を戦略的に進めています。「人材・タレント要件」「人材ポートフォリオ」「行動規範」を設定し、採用・育成・評価を一体的に推進するとともに、コアスキルトレーニングやコンサルタント育成研修を通じて即戦力人材を計画的に育成しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年7月期 | 36.0歳 | 4.9年 | 6,192,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | - |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 68.4% |
| 男女賃金差異(正規) | 69.6% |
| 男女賃金差異(非正規) | - |
※女性管理職比率については、現時点で女性管理職が存在しない状況です。非正規雇用労働者は男性のみが在籍しているため、男女賃金差異(非正規)は記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) DX投資の動向の影響
事業が国内市場に依存しており、国内顧客企業のDX投資動向の影響を受けます。経済情勢の悪化等により顧客企業の投資意欲が減退した場合、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 技術革新への対応
生成AI、クラウド、データ分析等、技術進化が速い業界に属しています。新技術への対応遅れや、想定外の投資が必要となった場合、競争力の低下や業績への影響が生じる可能性があります。
■(3) 人材の確保及び育成
事業拡大には優秀な人材の確保と定着が不可欠です。特に新分野に精通した人材の獲得競争は激化しており、十分な人材確保ができない場合や流出が進んだ場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 特定の販売先への依存
トランス・コスモス株式会社やアクセンチュア株式会社など、特定の販売先への依存度が比較的高くなっています。これらの取引先との関係に変化が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。



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