指定された構成とデータに基づき、INTLOOP株式会社の企業分析記事を作成しました。
INTLOOP転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
※本記事は、INTLOOP株式会社 の有価証券報告書(第21期、自 2024年8月1日 至 2025年7月31日、2025年10月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. INTLOOPってどんな会社?
同社は、フリーランス人材の活用と自社コンサルタントを組み合わせた「事業創造型コンサルティングファーム」として、企業の経営課題解決を支援しています。
■(1) 会社概要
2005年に設立され、製造業向けコンサルティングを開始しました。2014年にフリーランス向けWebサービス「High Performer」シリーズ、2020年にエンジニア向け「TECHSTOCK」の提供を開始し、2022年に東証グロース市場へ上場しました。2023年にはディクスホールディングスを子会社化しています。
2025年7月末時点の連結従業員数は1,374名(単体716名)です。筆頭株主は創業者の林博文氏で、第2位は同氏の資産管理会社であるKSMです。第3位には資産管理業務を行う信託銀行が名を連ねており、創業者が安定的に株式の過半数を実質保有するオーナー系企業と言えます。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 林 博文 | 49.66% |
| KSM | 21.36% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 2.93% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性0名の計5名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役には創業者の林博文氏が就任しており、取締役の過半数を社外取締役が占めています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 林 博文 | 代表取締役 | アクセンチュア等を経て2005年に同社設立、代表取締役に就任。グループ会社の会長職なども兼任し、2005年より現職。 |
| 内野 権 | 取締役管理本部長 | アクセンチュア等を経て2017年に同社入社。管理本部長を務め、2019年より現職。 |
社外取締役は、川端章夫(元東京芝浦電気入社)、小山史夫(元アーサーアンダーセン公認会計士事務所入所)、下稲葉耕治(元住友銀行入行)です。
2. 事業内容
同社グループは、「プロフェッショナル人材ソリューション&コンサルティング事業」の単一セグメントで事業を展開しています。
■(1) プロフェッショナル人材ソリューションサービス
フリーランスのコンサルタントやITエンジニア向けに、案件紹介サイト「High Performer Consultant」や「TECH STOCK」等を運営しています。また、人材不足の課題を持つ顧客企業に対し、登録された約5万2,000名のフリーランス人材の中から最適な人材を提案・マッチングを行っています。
主な収益源は、顧客企業から業務委託を受け、フリーランス人材を案件にアサインすることで受領する業務委託料です。また、人材紹介による成功報酬も収益の一部です。運営は主に同社グループが行い、迅速かつ柔軟な対応で顧客信頼の強化に努めています。
■(2) コンサルティングサービス
戦略、業務、IT、DX領域における知見を持つ同社グループ社員が中心となり、フリーランス人材とチームを組成して顧客企業の経営課題解決や変革を支援しています。新規事業開発や業務改革、システム導入支援など、上流から下流まで幅広いサービスを提供しています。
収益は、コンサルティングサービスの提供における役務提供または成果物納入による業務委託料から得ています。運営は同社グループ全体で行っており、社員とフリーランスを組み合わせたハイブリッドチームによる支援が特徴です。
■(3) Webサービス
プロフェッショナル人材ソリューションサービスやコンサルティングサービスの顧客ニーズ対応や営業先開拓を目的とし、WebベースでのIT関連情報サービスを提供しています。フリーランス向け福利厚生サービス「fukurint」なども展開しています。
収益源は、サービスの利用料や広告掲載料です。運営は同社グループが行っており、フリーランス人材の働きやすい環境づくりをサポートすることで、人材確保や定着にも寄与しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近2期間の業績を見ると、売上高、経常利益ともに増加傾向にあります。DX化へのニーズや人材不足を背景に、プロフェッショナル人材ソリューション&コンサルティング事業への引き合いが増加しており、順調に業績を拡大させています。当期純利益も前期比で増加し、収益性が向上しています。
| 項目 | 2024年7月期 | 2025年7月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 271億円 | 336億円 |
| 経常利益 | 15億円 | 22億円 |
| 利益率(%) | 5.7% | 6.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 9億円 | 12億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益も増加しています。一方で、採用活動の強化や人件費の増加により販売費及び一般管理費も増加していますが、増収効果がこれを上回り、営業利益率は改善しています。
| 項目 | 2024年7月期 | 2025年7月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 271億円 | 336億円 |
| 売上総利益 | 67億円 | 92億円 |
| 売上総利益率(%) | 24.6% | 27.4% |
| 営業利益 | 15億円 | 22億円 |
| 営業利益率(%) | 5.6% | 6.5% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当が24億円(構成比34%)、業務委託費が8億円(同12%)、広告宣伝費が7億円(同10%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社は単一セグメントですが、主要事業であるプロフェッショナル人材ソリューション&コンサルティング事業の売上高は、前期比で約24%増加しました。既存顧客の深耕や新規顧客の開拓、Webマーケティングによる集客が奏功しています。
| 区分 | 売上(2024年7月期) | 売上(2025年7月期) |
|---|---|---|
| プロフェッショナル人材ソリューション&コンサルティング事業 | 271億円 | 336億円 |
| 連結(合計) | 271億円 | 336億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
本業の儲けを示す営業CFはプラス、将来への投資を示す投資CFはマイナス、借入返済等を示す財務CFはマイナスとなりました。これは、本業で稼いだ現金を投資や借入金の返済に充てている「健全型」の状態と言えます。
| 項目 | 2024年7月期 | 2025年7月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 12億円 | 17億円 |
| 投資CF | -8億円 | -23億円 |
| 財務CF | 13億円 | -11億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は25.0%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は45.2%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社はビジョンとして「in the loop 人と企業の成長が循環する社会へ」、ミッションとして「自らが『成長』のシンボルとなり、人と企業の価値を最大化する」を掲げています。本質的視点での伴走を通じて経営課題の解決や企業変革を支援する「事業創造型コンサルティングファーム」を目指しています。
■(2) 企業文化
経営理念である「Pay it forward 恩送り」を重視しています。これは、誰かから受けた恩をその人ではなく別の人に贈り、それを繰り返すことで感謝の糸が紡がれていくという考え方です。人間も企業も周囲の支えがなければ存在し得ないという認識のもと、事業活動を行っています。
■(3) 経営計画・目標
2030年7月期を最終年度とする中長期経営計画「INTLOOP “VISION2030”」を策定しています。「既存事業の成長加速」と「事業領域の創出」に取り組み、以下の数値目標を掲げています。
* 売上高:1,000億円
* 営業利益:150億円
■(4) 成長戦略と重点施策
「INTLOOP “VISION2030”」の達成に向け、既存のフリーランス事業の強化およびコンサルティング事業領域の拡充を図ります。また、AIなどのDX領域を中心とするソリューションポートフォリオの拡充や、スタートアップへの投資・協業によるオープンイノベーションを推進します。
さらに、M&AやVCへの投資、JV共創などのファンド投資事業を強化するとともに、これらを実現するための筋肉質なグループ経営基盤の構築を進める方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
コンサルティングサービスは知識集約型ビジネスであり、コンサルタントのサービスレベルが成長の鍵であると考えています。そのため、優秀な人材の採用と育成を最優先課題とし、新卒・中途採用を積極的に進めています。また、タレントマネジメント本部を新設し、人的資本の育成・管理を強化しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年7月期 | 35.5歳 | 2.1年 | 6,108,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 12.9% |
| 男性育児休業取得率 | 76.9% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 72.4% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 73.6% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | -% |
※男女賃金差異(非正規雇用)は、男性パート・男性有期労働者がいないため、比較しておりません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) プロフェッショナル人材の確保
事業拡大には高い専門性を持つプロフェッショナル人材の継続的な確保が不可欠です。人材確保が計画通り進まない場合、事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。同社は採用活動の強化や教育研修による育成を進めています。
■(2) 景気変動リスク
主要顧客は各業界の大手企業やグローバル企業が中心です。国内外の景気動向や主要顧客の業績により、事業投資やIT投資が抑制された場合、業績に影響が出る可能性があります。顧客業界の多角化やサービス多様化により対策を講じています。
■(3) 特定人物への依存
代表取締役である林博文氏は創業者であり、経営方針や事業戦略の立案・決定に重要な役割を果たしています。同氏が業務継続困難となった場合、業績に影響する可能性があります。権限委譲や組織運営体制の構築を進め、依存度の低減を図っています。
■(4) 競合他社の動向
事業の参入障壁は高くなく、資本力のある事業者や新規参入により競争が激化した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。同社は専門人材の確保や知見の蓄積、Webマーケティングによる差別化を図っています。



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