※本記事は、株式会社クラシコム の有価証券報告書(2025年7月期、2024年8月1日 ~ 2025年7月31日、2025年10月28日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
クラシコムは、「フィットする暮らし、つくろう」というミッションを掲げ、ライフカルチャープラットフォーム事業を展開しています。同社グループが提案する世界観に共感する人々のWell-being実現に貢献することを目指しています。
単体従業員数は94名、連結従業員数は100名です。セグメントは「北欧、暮らしの道具店」、「foufou」の2つです。
主な国内グループ会社は、(連結子会社)foufou(オリジナル商品・企画・開発)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
クラシコムは、「フィットする暮らし、つくろう。」というミッションのもと、従業員の働きがいや成長を重視する企業文化を築いています。人材戦略においては「自由・平和・希望」を掲げ、個々の能力を最大限に引き出すための制度や環境整備に力を入れています。柔軟な働き方を支援しつつ、キャリア形成をサポートする体制が特徴です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
クラシコムでは、従業員の平均年齢は30代半ばであり、平均勤続年数は5年台となっています。このことから、比較的若手から中堅層の従業員が中心となって活躍しており、一定の経験を積んだ人材が定着している傾向がうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,541,000円 |
| 平均勤続年数 | 5.7年 |
| 平均年齢 | 36.6歳 |
| 単体従業員数 | 94人 |
| 連結従業員数 | 100人 |
| 単体のグループ内比率 | 94.0% |
退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
クラシコムは、「フィットする暮らし、つくろう。」というミッションの実現に向け、人的資本を価値創造の源泉と位置づけ、人材戦略を重視しています。人材の採用から組織開発の方針は「自由・平和・希望」の考え方に基づき設計されています。
具体的には、「自由」の観点では、求人市場に左右されない自社サイトを通じた採用に注力し、社員の働き方に関するコンテンツを通じてサービス理解と働くイメージを具体的に伝えています。これにより、ミッションやサービスに深く共感する人材の確保を目指しています。
「平和」の観点では、従業員が健やかに能力を発揮できる職場環境の整備に力を入れています。人事制度の柱として、一人ひとりに期待される役割に報酬を連動させる「キャリブレーション」制度を導入しています。また、フレックスタイム制度やリモートワークの活用により、多様なライフステージにある従業員が能力を発揮しやすい環境を整備しています。
「希望」の観点では、従業員の成長と成熟をサポートし、個人の能力向上(ケイパビリティ向上)を推進しています。入社後半年間をオンボーディング期間とし、メンター制度やOJT、定期的な人事面談を通じて育成を支援しています。さらに、ミドルマネジメント層の多くを社内から育成・登用することで、組織全体の未来への希望を育むことを目指しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データは開示されていません。
グループ全体(連結)
基準日は2025年7月期。男性の育休取得率は2021年7月期から2025年7月期までの5年間の平均値です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 1ヶ月の平均残業時間 | 4.2時間 |
| 男性育休取得率 | 80.0% |
| 女性管理職比率 | 58.0% |
自由
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 独自ルート経由の採用割合 | 8割 |
| 応募者に対する内定率 | 1% |
| 採用メルマガ登録者数 | 4,000名 |
平和
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| ストレスチェック(全体結果) | A.良好 |
| ストレスチェック(職場の対人関係ストレス) | S.大変良好 |
| 高ストレス者割合 | 6% |
希望
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| ミドルマネジメントの社内昇格率 | 100% |
| 離職率 | 4% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
クラシコムは、「フィットする暮らし、つくろう」というミッションのもと、ライフカルチャープラットフォーム事業を展開しています。同社グループが提案する世界観に共感するユーザーのWell-being実現に貢献することを目指しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、独自のライフカルチャー(世界観)を基盤にユーザーとつながり、関係を深めることを強みとして事業を展開しています。この活動をライフカルチャープラットフォーム事業と表現しており、主に二つの報告セグメントで構成されています。海外での売上高はなく、国内市場に特化しています。また、特定の顧客への収益集中は見られません。
北欧、暮らしの道具店
「北欧、暮らしの道具店」は、同社グループの提供する世界観に共感するユーザーに対し、商品、記事、動画など多様なコンテンツを提供し、多くの人の「フィットする暮らし」づくりに貢献しています。暮らしにフィットする商品を販売するD2Cドメインと、クライアント企業のブランディング課題に対するマーケティング・ソリューションを提供するブランドソリューションドメインを有しています。収益は、主にD2Cドメインでの商品販売と、ブランドソリューションドメインでのマーケティング支援サービスから得ています。当期は売上高が前期から大きく増加し、同社グループの成長を牽引しています。
foufou
「foufou」は、「健康的な消費のために」というブランドコンセプトを掲げ、ファッションD2Cブランド「foufou」を展開しています。洋服やファッション雑貨などを取り扱っており、SNSでのコンテンツ発信を通じてユーザーのエンゲージメントを最大化し、購入につなげることを特徴としています。収益は、自社サイトを通じた商品提供・販売と、ポップアップショップでの販売から得ています。運営は、株式会社foufouが行っています。当期は売上高が前期から減少しています。
| セグメント | 売上高(2024年7月期) | 売上高(2025年7月期) |
|---|---|---|
| 北欧、暮らしの道具店 | 66.8億円 | 82.7億円 |
| foufou | 3.4億円 | 2.2億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの直近2期の業績を見ると、売上高は増加傾向にあります。一方で、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は減少傾向を示しています。
| 項目 | 2021年7月期 | 2022年7月期 | 2023年7月期 | 2024年7月期 | 2025年7月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | - | - | - | 70.1億円 | 84.9億円 |
| 経常利益 | - | - | - | 11.5億円 | 11.1億円 |
| 経常利益率 | - | - | - | 16.4% | 13.1% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | - | - | - | 7.9億円 | 7.2億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | - | - | - | 106.61 | 97.17 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は前期から増加しており、生産性が向上している傾向が見られます。また、従業員1人あたり営業利益(連結)も前期からわずかに増加しており、従業員一人ひとりの稼ぐ力が維持されていることが示されています。
| 指標 | 2024年7月期 | 2025年7月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 70.1百万円 | 84.9百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 10.8百万円 | 10.9百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、本業で安定した資金を創出し、手元資金も厚く、強固な財務基盤を維持しています。将来に向けた投資も継続しており、事業の成長性も期待できる状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループは高い自己資本比率を維持しており、財務的な健全性が示されています。手元資金も潤沢に確保されており、不測の事態にも対応できる体制が整っていると言えます。ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均と比較して高い水準にあり、効率的な経営が行われていることがうかがえます。
| 指標 | 2024年7月期(前期) | 2025年7月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 47.3億円 | 53.2億円 |
| 自己資本比率 | 84.5% | 84.4% |
| ROE(自己資本利益率) | 16.6% | 14.3% |
| 現金及び預金 | 42.0億円 | 47.3億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの営業活動によるキャッシュフローは、当期に7.3億円の収入となりました。これは主に税金等調整前当期純利益の計上や仕入債務の増加によるものです。投資活動によるキャッシュフローは、当期に△0.2億円の支出となりました。これは有形固定資産の取得や敷金及び保証金の差入によるものです。
財務活動によるキャッシュフローは、当期に△1.7億円の支出となりました。配当金の支払いや長期借入金の返済によるものです。結果として、フリーキャッシュフローは当期に7.1億円のプラスとなっており、本業で得た資金が投資を上回る状況を示しています。この資金の流れは、安定した事業運営と将来への再投資の余力があることを示しており、雇用や給与の安定性にもつながるものと考えられます。
| 項目 | 2024年7月期(前期) | 2025年7月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 7.8億円 | 7.3億円 |
| 投資CF | △5.3億円 | △0.2億円 |
| 財務CF | △3.9億円 | △1.7億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 2.5億円 | 7.1億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、「北欧、暮らしの道具店」のD2Cドメインの売上高が大半を占めており、特定ドメインへの高い依存度があります。ユーザーの減少や市場規模の縮小により売上高が減少した場合、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、D2Cドメインでは多くの企業がECサービスを展開しており、競争激化や対策コストの増加によって、売上高の減少や広告宣伝費等のコスト増加が経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、ミッションにフィットした人材採用を重要な経営課題と位置づけています。事業の成長に合わせた採用とフィットした人材の確保が困難となった場合、業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
クラシコムは「フィットする暮らし、つくろう。」をミッションに掲げ、ユーザーとの共感を重視したライフカルチャープラットフォーム事業を展開しています。独自の価値観に基づき、持続的な成長と社会への貢献を目指す企業文化を築いています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
クラシコムグループは「フィットする暮らし、つくろう。」をミッションに掲げ、ライフカルチャープラットフォーム事業を展開しています。このミッションを果たすために、「自由」「平和」「希望」をマニフェストとして重視しています。他者に支配されない「自由」、望まない競争に巻き込まれない「平和」、未来に良いものだと無理なく思える「希望」という三つの力を獲得・維持することを経営方針としています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
クラシコムグループは、人的資本経営において「自由」「平和」「希望」という価値観を重視しています。他者に支配されない「自由」として、自社サイトを通じた採用に注力し、フィットする人材の安定的な確保を目指しています。従業員が健やかに能力を発揮できる「平和」な環境を推進するため、役割に報酬を連動させる「キャリブレーション」制度を柱とし、フレックスやリモートワークも活用しています。また、「センシティブ」「チャーミング」「サステナブル」を行動指針としています。個人の能力向上を通じて組織の未来に「希望」を抱けるよう、従業員の成長・成熟をサポートしています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
クラシコムグループは、優先的に対処すべき課題として、提供するコンテンツや商品の強化を挙げています。お客様の本質的なニーズを捉え、良質なコンテンツやオリジナル商品の開発を通じて、多くの人の「フィットする暮らしづくり」に貢献することを目指しています。また、ミッション実現と健やかな成長のため、有能な人材の確保を重要視しています。ミッションに共感し、事業に必要な能力を持つ人材を惹きつけるため、採用活動の強化や外部パートナーとの協働を推進しています。さらに、ステークホルダーの期待に応えるコーポレート・ガバナンスの実現も重要な課題としています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
クラシコムは、取締役会の監査・監督機能の強化とコーポレート・ガバナンスの充実を図るため、監査等委員会設置会社としています。取締役会の独立性・客観性と説明責任を強化するため、任意の諮問機関として指名・報酬委員会を設置しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
クラシコムの株主構成を見ると、代表取締役社長である青木耕平氏が筆頭株主となっています。また、取締役副社長の佐藤友子氏も上位株主であり、創業家が経営に強い影響力を持つ資本構成であることがうかがえます。その他、信託銀行や海外の金融機関も上位株主として名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 青木 耕平 | 54.91% |
| 佐藤 友子 | 12.01% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 7.15% |
| GOLDMAN,SACHS & CO.REG | 4.25% |
| GOLDMAN SACHS INTERNATIONAL | 3.36% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性4名・女性3名)で構成され、女性役員比率は43.0%です。代表取締役社長は青木耕平氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 青木 耕平 | 代表取締役社長 | 2002年ジャパンエレベーターサービス入社、2006年エレベーターコミュニケーションズ共同創業者兼取締役。同年9月同社設立代表取締役社長に就任、2023年ミラティブ取締役より現職。 |
| 佐藤 友子 | 取締役副社長 | 2006年同社取締役に就任、2020年同社取締役ECメディア部部長、2023年10月同社取締役副社長ECメディア部部長より現職。 |
| 山口 揚平 | 取締役CFO | 2004年監査法人トーマツ入所、2015年山口揚平公認会計士事務所設立所長。2018年同社監査役、2022年10月同社取締役CFOコーポレートプラットフォーム部部長より現職。 |
| 倉貫 義人 | 取締役CTO | 1993年東洋情報システム入社、2011年ソニックガーデン設立代表取締役。2018年同社社外取締役、2024年10月同社取締役CTOより現職。 |
社外取締役は、市川祐子氏(マーケットリバー代表取締役・監査等委員)、寺田有美子氏(アーカス総合法律事務所パートナー・監査等委員)、和田洋一氏(元スクウェア・エニックス・ホールディングス代表取締役社長・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、社外取締役が過半数を占める監査等委員会を設置しています。これにより、取締役会の監督機能を強化し、透明性の高い経営と迅速な意思決定を目指しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、企業価値の持続的な向上を促すインセンティブとして機能する報酬体系を基本方針としています。役位、担当職務、各期の業績、他社水準を踏まえた固定報酬のみを支払う方針です。報酬の妥当性と決定プロセスの透明性を確保するため、主に社外取締役で構成される指名・報酬委員会が諮問機関として設置されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 4名 | 90百万円 | 22.6百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 19百万円 | 4.8百万円 |
なお、報酬等の総額および人数は、事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に役職が変更となった役員の報酬は、それぞれの在任期間に応じて区分に含めて記載されています。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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