※本記事は、リンカーズ株式会社 の有価証券報告書(2025年7月期、2024年8月1日 ~ 2025年7月31日、2025年10月23日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
リンカーズは、「マッチングで世界を変える」をミッションに掲げ、ものづくり企業の課題解決を支援するマッチングプラットフォームを運営しています。企業間の最適な出会いを創出し、イノベーションを促進することで産業全体の生産性最大化を目指しています。
単体従業員数は79名、連結従業員数は102名です。セグメントはビジネスマッチング事業、リサーチ事業の2つです。
当連結会計年度より、リサーチサービスを分社化し、株式会社リンカーズOI研究所を連結子会社として設立しました。これにより、報告セグメントが従来の単一事業からビジネスマッチング事業とリサーチ事業の2区分に変更されています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
リンカーズは、事業を通じて社会問題の解決に貢献し、企業価値の永続的な向上を目指しています。そのため、高度な専門性を持つ人材の確保と育成に力を入れ、人的資本への積極的な投資を経営戦略の重要な課題と捉えています。従業員一人ひとりの成長を促し、組織全体の創造性を高めることで、持続的な企業価値の創出につなげる環境づくりを進めています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、従業員の平均年齢が30代後半であり、平均勤続年数は比較的短めとなっています。これは、多様なキャリアを持つ人材が積極的に採用され、組織に新たな活力がもたらされている傾向を示しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,462,000円 |
| 平均勤続年数 | 3.5年 |
| 平均年齢 | 38.9歳 |
| 単体従業員数 | 79人 |
| 連結従業員数 | 102人 |
| 単体のグループ内比率 | 77.5% |
同社グループは、確定拠出型年金制度(会社が拠出した資金を従業員が運用する)を採用しており、同社グループ全体で適用されています。当連結会計年度における確定拠出制度への要拠出額は6百万円です。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは「マッチングで世界を変える」というミッションのもと、高度な専門性を有する多様なキャリア人材を積極的に採用し、プロフェッショナル集団の構築を目指しています。従業員と企業が共に成長する環境とカルチャーを醸成するため、全社の共通価値観として「Linkers Quality」を定め、社員研修や人事制度に組み込んでいます。
具体的には、半期ごとに個人の能力開発目標を設定する目標管理制度を導入し、個人の自主的な挑戦を評価する人物主義の人事評価を通じて能力開発を促進しています。中長期的な視点での人材育成を強化するため、社内公募制度の導入、多様なキャリアパスの提示と人材流動性の促進を図るとともに、専門知識・スキルを体系的に習得するための研修プログラムの導入も検討しています。
また、性別や年齢に関わらず、すべての従業員が働きがいを感じながら最大限のパフォーマンスを発揮できるよう、個人のライフスタイルに合わせた働き方ができる環境整備に取り組んでいます。従業員の心身の健康を重要な経営資源と捉える「健康経営」の視点から、ストレスチェックの実施や産業医との連携強化、リモート勤務の導入、フレックスタイム制の採用、リフレッシュ休暇や育児休暇取得をはじめとした各種休暇制度の導入と取得奨励等に取り組んでいます。あらゆるハラスメントを防止するため全従業員を対象とした研修も実施し、安全で働きやすい環境づくりに努めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。計算対象期間は2024年8月1日から2025年7月31日です。パート・有期労働者の賃金において女性労働者が高い要因は、男性労働者が1名と僅少であり、母数が少数のため比率が高く出ていることによるものです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 16.7% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 75.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 77.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 83.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 201.9% |
多様性・登用
当連結会計年度末時点における同社グループの数値です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性社員比率 | 36.6% |
| 管理職に占める女性社員の割合 | 12.5% |
| 外国人労働者の人数 | 5人 |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
リンカーズグループは、「マッチングで世界を変える」というミッションのもと、企業間の最適な出会いを創出し、イノベーションを促進する産業のハブとなることを目指しています。ものづくり企業の探索課題に対し、マッチングプラットフォームの運営を中心に課題解決サービスを提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、主に「ビジネスマッチング事業」と「リサーチ事業」の二つのセグメントで事業を展開しています。これらの事業を通じて、ものづくり企業の研究から開発に至るまでの各プロセスにおける課題解決をワンストップで支援しています。
ビジネスマッチング事業
この事業では、技術探索サービス「Linkers Sourcing」や用途開拓サービス「Linkers Marketing」といった自社運営マッチングサービスを提供しています。また、金融機関向けの「Linkers for BANK」や事業会社向けの「Linkers for Business」といったSaaS型マッチングシステムも運営し、多様なマッチング機会を創出しています。収益は、案件探索時の基本利用料、面談や成約に至った際の成果報酬、システムの導入支援料や月額利用料などから得ています。運営は、リンカーズが行っています。
リサーチ事業
リサーチ事業では、技術ニーズ・シーズの調査を行う「Linkers Research」を中心にサービスを提供しています。企業が新規事業やR&Dテーマ検討で直面する課題に対し、技術専門性のあるリサーチャーが調査結果をまとめたレポートを提供しています。収益は、成果物の検収時に契約額に基づいて発生しています。運営は、連結子会社であるリンカーズOI研究所が行っています。
| セグメント | 売上高(2024年7月期) | 売上高(2025年7月期) |
|---|---|---|
| ビジネスマッチング事業 | - | 10.5億円 |
| リサーチ事業 | - | 3.1億円 |
同社グループの売上高は、主に国内の外部顧客からの収益で構成されており、特定の顧客への収益集中は見られません。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループは当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、過去の連結業績との比較は行われていません。当連結会計年度の売上高は13.6億円となりました。営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失を計上しています。
営業活動によるキャッシュ・フローは使用した資金となっており、税金等調整前当期純損失に加え、減損損失や減価償却費といった非現金支出項目が損失に影響を与えています。
| 項目 | 2021年7月期 | 2022年7月期 | 2023年7月期 | 2024年7月期 | 2025年7月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | - | - | - | - | 13.6億円 |
| 経常利益 | - | - | - | - | △4.3億円 |
| 経常利益率 | - | - | - | - | △31.5% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | - | - | - | - | △5.5億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | - | - | - | - | △39.78 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
当連結会計年度における従業員1人あたりの売上高は13.3百万円となっています。また、従業員1人あたりの営業利益は△4.5百万円と損失を計上しています。前期の連結従業員数データがないため、これらの指標の推移を比較することはできません。
| 指標 | - | 2025年7月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | - | 13.3百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | - | △4.5百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
リンカーズの財務状況は、成長に向けた投資が先行している段階を示しています。自己資本比率は高い水準を維持しているものの、キャッシュフローは事業拡大のための投資が活発に行われている状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は82.0%となっており、プライム市場の平均と比較しても高い水準を示しています。一方で、ROE(自己資本利益率)は△39.5%とマイナスであり、収益性の改善が課題となっています。現金及び預金は9.1億円と、前期の12.5億円から減少しています。これらの財務状況は、今後の事業展開や雇用・給与の安定性を検討する上で重要な要素となります。
| 指標 | 2024年7月期(前期) | 2025年7月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 16.6億円 | 11.2億円 |
| 自己資本比率 | - | 82.0% |
| ROE(自己資本利益率) | - | △39.5% |
| 現金及び預金 | 12.5億円 | 9.1億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失や減損損失の計上などにより、△2.3億円の使用となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、無形固定資産の取得による支出で△1.0億円の使用となっています。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済により△10百万円の使用となりました。これらの結果、フリーキャッシュ・フローは△3.3億円となっています。同社グループは、来期以降の業容拡大に向けた基盤構築強化や将来の業容拡大を見据えた投資を継続して実施しており、現在は成長に向けた投資が先行している段階です。この状況は、今後の事業成長の可能性を示す一方で、短期的な収益性や資金繰りの動向を注視する必要があることを示しています。
| 項目 | 2024年7月期(前期) | 2025年7月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | - | △2.3億円 |
| 投資CF | - | △1.0億円 |
| 財務CF | - | △10百万円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | - | △3.3億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループのビジネスマッチング事業は参入障壁が比較的低いビジネスモデルであり、今後、新規参入による競争激化が経営成績に影響を与える可能性があります。また、顧客企業の決算期が3月に集中していることから、リサーチサービスを中心に売上高が3月に偏重する傾向があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、今後の継続的な事業拡大のため、優秀な人材の確保、育成及び定着を最も重要であると認識しています。必要な人材が十分に確保・育成できなかった場合や、人材流出が進んだ場合には、業務運営及び事業領域の拡大に支障が生じる可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
リンカーズは、独自のビジネスマッチングプラットフォームを通じて、産業構造の変革を目指す企業です。ここでは、同社グループがどのような価値観を大切にし、どのような未来を描いているのかをご紹介します。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは「マッチングで世界を変える」というミッションを掲げています。従来の企業同士の出会いを見直し、最適な出会いを提供することで、多くのイノベーションを生み出す「別次元の産業構造」を築くことを経営方針としています。
独自のビジネスマッチングプラットフォームを通じて、国内産業の生産性改善と国力の発展に寄与することを目指しています。特にものづくり産業において、ニーズ(発注企業)とシーズ(受注候補企業)を結びつけることを活動の中心としています。
今後は、産業横断でより広範囲にSaaS型マッチングプラットフォームを提供し、商流構築までサービスに取り込むことで、生産性の高い新しい産業構造の創出に取り組んでいく方針です。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループでは、役員および従業員全員の共通価値観として「Linkers Quality」を定めています。これは「三方良し」「悩んだらブレスト」「強固な信頼インフラ」といった7つの指針を基に日々の活動を行うものです。
具体的には、「ボトルネックとキードライバー」として費用対効果の最大化を、「トライ&エラーの高速回転」としてスピード感を持った課題解決と組織学習を重視しています。また、「ユーザーファースト」でユーザーの期待を超えるサービスを提供し、「オーナーシップ」を持って事業成長と顧客への価値提供を最大化することを目指しています。
この共通価値観は社員研修や人事制度にも組み込まれ、企業カルチャーに即した教育と育成が図られています。半期ごとの目標管理制度や人物主義の人事評価を通じて、個人の能力開発を促進する企業風土です。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、事業拡大に向けた優先課題として、技術力の拡充を挙げています。ウェブサイトによるサービス運営を内製化しているため、ITの進化に注視し、優秀なエンジニアの確保と技術部門の強化を推進しています。
また、ミッションに共感し高い意欲を持った優秀な人材の継続的な確保も重要な課題です。労働市場での知名度向上と採用力強化に努めるとともに、業務環境や福利厚生の改善を通じて離職率の低減を図っています。
さらに、事業規模の拡大に合わせた内部管理体制の強化、経営の公正性・透明性確保、コーポレート・ガバナンスの充実にも取り組んでいます。ビジネスマッチング事業の根幹であるマッチング精度の向上も重点テーマであり、AIを活用したシステム機能向上を進めています。
システムの安定性確保と情報管理体制の強化も継続的な課題です。セキュリティ対策や開発・運営保守体制の構築、機密情報・個人情報保護のための社内規程運用や教育を通じて、信頼性の高いサービス提供を目指しています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
リンカーズは、取締役会と監査役会を設置する監査役会設置会社として、経営の健全性、透明性、効率性の確保を基本方針としています。事業に精通した取締役による業務執行の監督と、独立した監査役による適法性監査の二重のチェック機能を持つ体制を採用しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
リンカーズの株主構成を見ると、代表取締役社長である前田佳宏氏が筆頭株主となっています。また、同氏の資産管理会社である合同会社SAKUNANAも上位株主として名を連ねており、創業者が経営の基盤を支えていることがうかがえます。その他、SBI AI&Blockchain投資事業有限責任組合などの機関投資家も主要な株主として名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 前田 佳宏 | 19.44% |
| 合同会社SAKUNANA | 18.11% |
| SBI AI&Blockchain投資事業有限責任組合 | 9.20% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性7名・女性1名)で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は前田佳宏氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 前田 佳宏 | 代表取締役社長 | 2000年京セラ入社、2006年野村総合研究所入社。2012年Distty(現同社)代表取締役就任。2017年より同社代表取締役社長、2024年よりリンカーズOI研究所取締役、2025年より同社イノベーション推進事業本部長より現職。 |
| 加福 秀亙 | 取締役 | 2003年野村総合研究所入社。2013年Distty(現同社)代表取締役就任。同社オープンイノベーション推進本部長、取締役副社長を経て、2018年より同社取締役、2023年よりマッチングプラットフォーム事業本部長より現職。 |
| 江頭 宏一 | 取締役 経営管理本部長 | 1994年国土管理入社後、ネットマークス、高島、FXプライム(現GMOコイン)を経て、2017年同社入社。経営管理部長、取締役を経て、2021年より同社経営管理本部長より現職。 |
社外取締役は、水田正道氏(パーソルホールディングス取締役会長)、長島聡氏(きづきアーキテクト代表取締役)です。社外監査役は、梅川栄吉氏(元東芝電波テクノロジー代表取締役社長)、保田隆明氏(慶應義塾大学総合政策学部教授)、江尻琴美氏(敬和綜合法律事務所パートナー)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会による業務執行の監督と、独立した監査役による適法性監査の二重のチェック機能を持つ体制を採用しています。社外取締役は経営全般の観点から、社外監査役は専門的な知見に基づき、独立した立場から監督・監査機能を果たしています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
リンカーズの役員報酬は、固定報酬、業績連動報酬(役員賞与)、譲渡制限付株式報酬の3つの要素で構成されています。固定報酬は職務内容や責任、成果を総合的に勘案して決定され、業績連動報酬は予算達成率に応じて配分されます。譲渡制限付株式報酬は、企業価値の持続的な向上へのインセンティブと株主との価値共有を目的としています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 3名 | 78百万円 | 26.0百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 23百万円 | 4.7百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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