カドス・コーポレーション 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

カドス・コーポレーション 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード市場に上場する同社は、山口県・広島県を中心に流通店舗の設計施工を行う建設事業と、土地建物の賃貸を行う不動産事業を展開しています。独自のマッチングシステムを強みに成長を続け、直近の決算では売上高17.2%増、経常利益55.9%増と大幅な増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社カドス・コーポレーション の有価証券報告書(第27期、自 2024年8月1日 至 2025年7月31日、2025年10月21日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. カドス・コーポレーションってどんな会社?


土地オーナーとテナント企業を引き合わせ、事業プラン提案から設計施工までをトータルプロデュースする企業です。

(1) 会社概要


同社は1998年に建設業として個人創業し、翌1999年に有限会社として設立されました。2002年に宅地建物取引業許可を取得し、土地活用から建築までを手掛ける体制を構築しました。その後、2004年に株式会社へ組織変更し、特定建設業許可を取得するなど業容を拡大。2024年7月には東京証券取引所スタンダード市場への上場を果たしました。

同社(単体)の従業員数は96名です。筆頭株主は創業者の資産管理会社である株式会社ネクストライトで、第2位も同様に創業者の資産管理を行う株式会社せんじゅ、第3位は創業者本人となっており、創業家が安定的な持株比率を有しています。

氏名 持株比率
ネクストライト 19.61%
せんじゅ 16.13%
杉田茂樹 6.93%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性2名(HTML参照による補正:提出日現在の実態は取締役5名・監査役3名の計8名中、女性2名)の計8名で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表取締役社長は工藤博丈氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。

氏名 役職 主な経歴
工藤 博丈 代表取締役社長 一条工務店を経て2002年に入社。取締役本店営業部長、常務取締役事業本部長などを歴任し、2022年8月より現職。
杉田 茂樹 代表取締役会長 1980年大和ハウス工業入社。1998年に個人創業し、1999年の法人設立時より代表取締役社長を務める。2022年8月より現職。
那須 聖 取締役経営企画室長 山口銀行入行。2020年に入社し、管理部副部長、取締役管理部長を経て、2025年8月より現職。
円道 正仁 取締役工事部長 清水建設などを経て2022年に入社。執行役員工事部長などを務め、2025年10月より現職。
德田 哲夫 取締役不動産営業部長 原弘産などを経て2019年に入社。建設営業部副部長、不動産営業部副部長を務め、2025年10月より現職。


社外取締役は、稲葉和彦(元ゼンリン取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「建設事業」および「不動産事業」を展開しています。

(1) 建設事業


山口県・広島県を中心に、ドラッグストアやコンビニエンスストア、飲食店などの流通店舗の設計施工を行っています。土地オーナーとテナント企業のニーズをマッチングさせる独自の「カドスLANシステム」により、土地活用の提案から店舗の設計施工、出店までをトータルプロデュースしています。

収益は、テナント企業の出店に伴う店舗建築工事の請負代金等から得ています。同社は元請として設計・施工管理を行い、実際の施工は協力会社が行う体制をとっています。土地オーナーとテナントのマッチングによる特命受注が多いため、価格競争を回避できる点が特徴です。運営は同社が行っています。

(2) 不動産事業


建設事業の営業活動から派生する形で、土地オーナーやテナント企業のニーズに合わせて不動産の賃貸、売買、仲介を行っています。具体的には、同社が土地を賃借・購入して建物を建設しテナントへ賃貸するケースや、中古物件を取得・改装して賃貸するケースなどがあります。

収益は、保有する店舗・オフィスビル等の不動産賃貸収入や、不動産売買に伴う販売収入、仲介手数料、および保有する太陽光発電システムによる売電収入から得ています。建設事業と連携することで複合案件を創出し、長期安定的な賃貸収入を確保しています。運営は同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2021年7月期から2025年7月期までの業績を見ると、売上高は着実な増加傾向にあります。特に直近の2025年7月期は前期比で大きく伸長しました。利益面でも、経常利益は安定して推移した後、直近で大幅に増加し、利益率も改善しています。当期純利益も同様に増加基調を維持しており、事業規模の拡大とともに収益性も高まっていることが読み取れます。

項目 2021年7月期 2022年7月期 2023年7月期 2024年7月期 2025年7月期
売上高 51億円 45億円 57億円 65億円 76億円
経常利益 6億円 4.7億円 5.1億円 6億円 9.4億円
利益率(%) 11.8% 10.4% 9.0% 9.3% 12.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 4.2億円 3.1億円 3.7億円 4.1億円 6.6億円

(2) 損益計算書


売上高は前期の65億円から当期は76億円へと増加しました。これに伴い売上総利益も拡大し、売上総利益率は19.4%から21.0%へ改善しています。営業利益も前期の6.4億円から9.4億円へと大きく伸び、営業利益率も9.8%から12.4%へと上昇しました。増収効果に加え、利益率の高い案件の寄与や原価管理の徹底が奏功した形です。

項目 2024年7月期 2025年7月期
売上高 65億円 76億円
売上総利益 6.6億円 11億円
売上総利益率(%) 19.4% 21.0%
営業利益 6.4億円 9.4億円
営業利益率(%) 9.8% 12.4%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が1.9億円(構成比29%)、役員報酬が0.9億円(同13%)、支払手数料が0.7億円(同11%)を占めています。売上原価においては、外注費が42億円(構成比87%)と大半を占めており、施工を協力会社へ委託するビジネスモデルの特徴が表れています。

(3) セグメント収益


建設事業は、大型案件の受注や工事の順調な進捗により、売上が大きく伸長しました。利益面でも増収効果に加え、適正な請負価格設定などの取り組みにより大幅な増益となりました。不動産事業は、新規取得物件による賃貸収入の増加や不動産販売の実施により増収となりましたが、物件取得に伴う一時費用の発生などにより減益となりました。

区分 売上(2024年7月期) 売上(2025年7月期) 利益(2024年7月期) 利益(2025年7月期) 利益率
建設事業 49億円 59億円 1.4億円 5.0億円 8.5%
不動産事業 16億円 17億円 5.0億円 4.4億円 25.8%
連結(合計) 65億円 76億円 6.4億円 9.4億円 12.4%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがマイナスの「健全型」です。本業で稼いだ現金を、将来のための投資や借入金の返済に充てている健全な財務状態と言えます。

項目 2024年7月期 2025年7月期
営業CF 8.8億円 7.9億円
投資CF -0.6億円 -8.5億円
財務CF 4.7億円 -13.7億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は15.6%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は55.8%で市場平均(スタンダード市場非製造業平均48.5%)を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「お客様の発展を願うことが我社の発展の鏡と心得、共生と共栄を目指します」を企業理念として掲げています。「この街にこんなお店があれば便利だな」という地域の声を形にし、地域の街づくりに貢献する企業として、地域の価値向上を目指した事業を行っています。

(2) 企業文化


土地オーナーとテナント企業のニーズをつなげ、建築工事の受注に結び付ける独自のビジネスモデル「カドスLANシステム」を強みとしています。単なる建設請負にとどまらず、土地の特性に合わせた事業プランの提案から設計施工、出店までをトータルプロデュースする姿勢を重視しており、土地オーナーとの長期的な関係構築やアフターケアにも力を入れています。

(3) 経営計画・目標


同社は長期ビジョンとして「100年存続企業」を掲げています。その実現のために、以下の数値目標の早期達成を目指しています。

* 売上高100億円
* 株式時価総額100億円
* 自己資本比率40.0%
* 自己資本当期純利益率(ROE)10.0%
* 配当性向30.0%

(4) 成長戦略と重点施策


建設事業においては、経営資源を本社のある山口県に加え、隣接する広島・福岡の両県に重点投入し、売上拡大に取り組みます。特にナショナルチェーンの店舗施工実績が少ない都市をターゲット地域とし、地元不動産会社との提携を通じて土地活用ニーズを掘り起こします。また、郊外型複合商業施設「カドスタウン」の展開にも着手します。不動産事業では、将来性のある賃貸用不動産の新規取得や既存施設の維持更新を継続し、資産価値の維持と賃貸収入の増加を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


65歳定年制を採用しつつ、個人の意欲や健康状態に応じて働ける環境を整備しています。従業員の目標設定や評価の適正化を図り、業務に必要な資格取得を奨励することで能力向上を支援しています。また、ビジネス機会を取り込むため、工事部門の人員など積極的な採用活動を行うとともに、現場監督の育成や効率的な配置により、一人当たりの生産性向上に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年7月期 45.1歳 7.1年 6,438,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」等の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性社員比率(24.0%)、男性の育児休業取得率(100.0%)、温室効果ガス排出量(168.81t)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 人口減少と市場縮小


日本国内の少子高齢化に伴う消費縮小や、工場・事業所の撤退等によりマーケットが想定以上に縮小した場合、テナント企業の設備投資が減少し、同社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。これに対し、同社は商圏を広島・福岡へ広げるなどの対策を講じています。

(2) テナント動向と不動産市況


流通店舗の建設・賃貸を主体としているため、景気後退や過当競争によりテナントの出退店意欲が減退した場合、工事売上高や賃貸収入が減少する可能性があります。また、不動産価格の下落や保有資産価値の低下も業績に影響を与える要因となります。

(3) 特定取引先への依存


建設事業において、出店意欲の旺盛な一部の業種や特定のテナント企業からの受注に偏る可能性があります。現状では幅広い紹介を行っていますが、恒常的な偏りが生じた場合、取引先の倒産や出店需要の急激な変化が業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 許認可の取消し


事業の遂行には特定建設業許可や宅地建物取引業許可などの許認可が不可欠です。現時点で取消事由は発生していませんが、法令違反等によりこれらの許認可が取り消された場合、事業活動に支障をきたし、業績に重大な影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。