※本記事は、株式会社クラウディアホールディングス の有価証券報告書(第49期、自 2024年9月1日 至 2025年8月31日、2025年11月21日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. クラウディアホールディングスってどんな会社?
同社は、ウエディングドレス等の企画・製造・卸売を行うホールセール事業と、式場運営や衣裳レンタルを行うコンシューマー事業を展開する総合ブライダル企業です。
■(1) 会社概要
1976年に京都で設立され、婚礼衣裳メーカーとして創業しました。1995年には中国に工場を設立し海外生産を開始、2004年に株式上場を果たしました。その後、2017年に持株会社体制へ移行し、現在の商号に変更しています。近年では2023年に二条丸八を子会社化するなど、M&Aを通じた事業領域の拡大を積極的に進めています。
現在の従業員数は連結で957名、単体で24名です。大株主の構成は、筆頭株主が資産管理会社の有限会社クラエンタープライズ、第2位が従業員持株会、第3位が事業会社の丸文となっており、創業家と従業員、取引先が主要な株主となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 有限会社クラエンタープライズ | 38.98% |
| クラウディア従業員持株会 | 3.24% |
| 丸文 | 2.99% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役会長兼社長は倉正治氏です。社外取締役比率は42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 倉 正治 | 代表取締役会長兼社長 | 1966年トクミ入社、1974年京都オーダーソーイング創業。1976年同社設立代表取締役社長。クラウディアコスチュームサービス会長等を経て、2011年より現職。 |
| 山本 大輔 | 常務取締役 | 1995年同社入社。東日本ホールセール事業部東京支店営業部長、執行役員等を経て、2021年より現職。 |
| 山田 清志 | 取締役 | 1985年同社入社。セル事業部長、取締役営業開発部長等を経て、クラウディアコスチュームサービス社長、2016年より現職。 |
| 野﨑 浩司 | 取締役 | 1988年同社入社。東京支店長、執行役員等を経て、クラウディア社長、2016年より現職。 |
社外取締役は、滝亮史(税理士・中小企業診断士)、梅山克啓(公認会計士・税理士)、青野理俊(弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ホールセール事業部門」および「コンシューマー事業部門」を展開しています。
■(1) ホールセール事業部門
婚礼衣裳の企画・製造・卸売および貸衣裳店向けのレンタル事業を行っています。ウエディングドレスメーカーとして、デザイン性の高い商品の開発や製造を手掛け、全国の貸衣裳店等へ供給しています。
収益は、貸衣裳店等への衣裳販売やレンタル料から得ています。運営は主にクラウディア、二条丸八が行っているほか、海外製造拠点として青島瑪莎礼服有限公司などが製造を担っています。
■(2) コンシューマー事業部門
一般消費者向けに、婚礼衣裳のレンタル・販売、リゾート挙式のプロデュース、写真・映像撮影、美容サービス、および結婚式場の運営を行っています。
収益は、挙式サービス料、衣裳レンタル料、写真・映像撮影料など、利用者からの対価により構成されています。運営は主にクラウディアコスチュームサービス、内田写真などが担っており、海外ではKURAUDIA USA.LTD.が事業を行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は回復傾向にあり、第47期以降は100億円台で推移しています。利益面では第47期に黒字転換を果たして以降、安定した利益率を確保しており、当期純利益もプラスを維持しています。
| 項目 | 2021年8月期 | 2022年8月期 | 2023年8月期 | 2024年8月期 | 2025年8月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 70.2億円 | 95.1億円 | 115.2億円 | 132.2億円 | 135.9億円 |
| 経常利益 | -4.1億円 | 6.9億円 | 6.2億円 | 3.9億円 | 4.2億円 |
| 利益率(%) | -5.8% | 7.2% | 5.4% | 2.9% | 3.1% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -0.9億円 | -22.6億円 | 0.5億円 | 1.7億円 | 3.1億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は微増しており、売上総利益も増加傾向にあります。売上総利益率は約77%と高い水準を維持していますが、販管費の負担により営業利益率は3%前後で推移しています。
| 項目 | 2024年8月期 | 2025年8月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 132.2億円 | 135.9億円 |
| 売上総利益 | 101.9億円 | 105.8億円 |
| 売上総利益率(%) | 77.1% | 77.8% |
| 営業利益 | 3.4億円 | 4.0億円 |
| 営業利益率(%) | 2.6% | 3.0% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が37億円(構成比36%)、地代家賃が13億円(同13%)を占めています。売上原価については、商品原価や製造費用などが含まれますが、詳細な内訳データはありません。
■(3) セグメント収益
ホールセール事業部門は衣裳販売の減少等により減収となりましたが、コンシューマー事業部門は衣裳取扱や式場運営が堅調で増収となりました。全体としてはコンシューマー事業の成長が業績を牽引しています。
| 区分 | 売上(2024年8月期) | 売上(2025年8月期) |
|---|---|---|
| ホールセール事業部門 | 33億円 | 30億円 |
| コンシューマー事業部門 | 99億円 | 106億円 |
| 連結(合計) | 132億円 | 136億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、営業活動によるキャッシュ・フローがプラスで、その範囲内で投資を行い、借入金の返済も進めていることから「健全型」と言えます。
| 項目 | 2024年8月期 | 2025年8月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 5.3億円 | 8.6億円 |
| 投資CF | -9.8億円 | -4.6億円 |
| 財務CF | 0.4億円 | -1.9億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.0%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は31.4%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「お客さまの利益を創る」「社会奉仕」「社員の生活向上」の3つの理念を社是として掲げています。創業以来一貫して婚礼衣裳の製造販売を主たる業務とし、顧客満足の追求と社会への貢献、従業員の幸福を目指す経営を行っています。
■(2) 企業文化
同社グループは、「夢を持って」「夢を創り」「夢を売ろう」という信条を掲げています。ブライダルという夢のある事業を通じて、従業員一人ひとりが夢を持ち、顧客に夢を提供することを重視する文化があります。また、労使一体の経営を進めることで、組織としての一体感を醸成しています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、売上高および自己資本利益率(ROE)を重要な経営指標として位置付けています。具体的には、継続的な利益計上を通じてROEを8%以上とすることを目標としており、当期においては8.0%となり目標を達成しています。今後もこれらの指標の改善に取り組む方針です。
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、中長期的な成長を目指し、高付加価値の商品・サービスの提供、事業領域の拡大、人材確保と育成、内部管理体制の強化に取り組んでいます。特にコンシューマー事業では、各事業の連携強化やスクラップ・アンド・ビルドによる利益拡大を図り、M&Aによる事業領域の拡大も積極的に推進しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社グループは、成長には優秀な人材が不可欠と考え、事業戦略に沿った採用強化と社員教育の充実を図っています。多様化する顧客ニーズや激しい環境変化に対応できる柔軟な組織づくりを目指し、OJTや研修制度、資格取得支援などを通じて専門性の高い人材を育成しています。また、女性従業員比率が高いため、ライフステージに応じた働き方の整備も進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年8月期 | 42.1歳 | 10.0年 | 5,085,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 33.3% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | 46.6% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 63.0% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 45.0% |
※男性育児休業取得率は、同社は公表義務の対象ではないため記載が省略されています。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 人口動態による業績への影響
少子高齢化や非婚・晩婚化の進行により、婚姻件数が減少傾向にあります。これにより同社グループの業績が影響を受ける可能性があります。このリスクに対し、同社は強みである商品開発力を活かし、ブライダルマーケットでのシェア拡大に注力しています。
■(2) 婚礼に対する意識、趣向の変化
挙式・披露宴の形態は、従来のホテル・専門式場だけでなく、ハウスウエディング、フォトウエディング、少人数婚など多様化しています。こうした顧客の嗜好変化やトレンドに対応した商品供給が遅れた場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。同社はマーケティングを行い、多様なスタイルに対応した商品開発に努めています。
■(3) 業務提携に関するリスク
同社はホテルや結婚式場との業務提携を積極的に進めていますが、提携先の競合激化や方針変更により契約が終了または変更された場合、業績に影響が出る可能性があります。主要提携先との関係強化や新規提携の開拓を進めることで対応しています。
■(4) 借入金への依存度
事業拡大のための資金を主に金融機関からの借入で調達しているため、有利子負債への依存度が高くなっています。金利上昇などの金融環境の変化が経営成績に影響を与える可能性があります。同社は収益力を高め、キャッシュ・フローを増加させることで対応を図っています。



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