※本記事は、株式会社マルマエ の有価証券報告書(2025年8月期、2024年9月1日 ~ 2025年8月31日、2025年11月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
マルマエグループは、半導体製造装置やFPD製造装置向けの精密部品製造を主軸とし、超高純度アルミを活用した機能材料事業も展開しています。高度な技術力で、真空部品や大型金属部品、ターゲット材料などを提供しています。
単体従業員数は222名、連結従業員数は462名です。セグメントは精密部品事業、機能材料事業の2つです。
主な国内グループ会社は、(連結子会社)KMX(中間持株会社)、(連結子会社)KMアルミニウム(機能材料事業)などです。
マルマエは2025年4月にKMアルミニウム株式会社の株式を取得し連結子会社化、これにより連結会計に移行しました。また、報告セグメントの区分も変更しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
株式会社マルマエは、精密部品事業と機能材料事業を展開し、情報社会の発展に貢献する技術力を持つ企業です。同社グループは、持続可能な社会の実現と企業価値向上を両立させる「サステナビリティ経営」を推進しており、従業員が活躍できる環境づくりにも注力しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均勤続年数が8.3年、平均年齢が40.0歳となっており、比較的安定した人材の定着傾向が見られます。年齢構成もバランスが取れており、長期的なキャリア形成が期待できる環境です。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,646,000円 |
| 平均勤続年数 | 8.3年 |
| 平均年齢 | 40.0歳 |
| 単体従業員数 | 222人 |
| 連結従業員数 | 462人 |
| 単体のグループ内比率 | 48.1% |
同社および連結子会社は、確定給付型の退職一時金制度を採用しています。退職一時金制度があり、勤務期間と在籍中の功績に基づいたポイントを基準に支給されます。退職給付債務は72百万円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、経営方針である「素材と加工の技術力で社会に貢献する」の実現に向け、事業活動を通じて社会課題の解決に貢献する「サステナビリティ経営」を推進しています。人的資本を企業価値を構成する最重要価値と位置付け、人材の安定的な確保と育成を重要な経営課題として認識しています。
グループ全体の人材戦略として「人材育成方針」と「社内環境整備方針」を策定し、持続的な成長を目指しています。具体的には、競争力の源泉である技術開発力の強化と伝承、多岐にわたる業務スキルを持つ多能工の育成、高度な専門人材の確保と戦略的配置を進めています。また、上司と部下の日々の対話を通じたスキル伝承と評価を人材育成の基本としています。
社内環境整備においては、仕事と育児・介護の両立支援制度の充実、従業員エンゲージメントの向上と対話の促進、心身の健康と安全への配慮を推進しています。従業員一人ひとりがパフォーマンスを最大限に発揮できる環境を整えることで、グループの持続的な成長を支える方針です。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。これらの数値は、女性活躍推進法および育児介護休業法の規定に基づき算出されています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 13.6% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 61.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うち正規雇用労働者) | 87.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うちパート・有期労働者) | 63.2% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ KMアルミニウム株式会社
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 0.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 76.1% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うち正規雇用労働者) | 77.5% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うちパート・有期労働者) | 61.0% |
1.エンジニア育成の推進
同社では、2025年より製造技術職の呼称を「プログラマー」から「エンジニア」に変更しています。
| 指標(単体) | 2025年8月期 実績 |
|---|---|
| エンジニアの人数 | 75名 |
2.多様化の推進
| 指標(単体) | 2025年8月期 実績 |
|---|---|
| 女性正社員比率 | 14.0% |
| 女性役職者比率(GR長以上) | 15.7% |
| 障がい者雇用率 | 2.62% |
3.仕事と育児・介護の両立
2025年8月期に目標を達成したため、今後は男女ともに75%以上の水準維持を新たな目標としています。
| 指標(単体) | 2025年8月期 実績 |
|---|---|
| 女性の育児休業取得率 | - |
| 男性の育児休業+育児目的休暇 | 100% |
4.働きやすさの改善
福利厚生費は計画的に拡充されており、2025年11月には社員食堂が開設されました。
| 指標(単体) | 2025年8月期 実績 |
|---|---|
| 一人当たり福利厚生費 | 111,023円 |
5.エンゲージメントサーベイ(新規目標)
提出会社では2025年2月よりエンゲージメントサーベイの運用を開始しており、2028年までに電気・機械業界の平均水準に相当するスコア達成を目指しています。本取り組みは提出会社単体で実施され、今後の運用状況を踏まえてグループへの展開が検討されます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
マルマエグループは、精密部品事業と機能材料事業の二つのセグメントを主軸に事業を展開しています。半導体やFPD(フラットパネルディスプレイ)製造装置向けの部品製造から、IT器材や基礎素材の提供まで、幅広い分野で技術力を活かしたビジネスを行っています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、主に精密部品事業と機能材料事業を通じて収益を上げています。精密部品事業が同社グループの売上高の大部分を占めており、機能材料事業がこれに次ぐ規模となっています。
精密部品事業
当事業では、半導体製造装置部品やFPD製造装置部品などを製造・販売しています。半導体分野では、エッチング工程やCVD工程で使用される消耗品、前工程半導体製造装置の構成部品、後工程部品などを提供しています。FPD分野では、エッチング装置やイオン注入装置等の真空チャンバーなどの装置部品を生産しています。
収益は、半導体工場の稼働率向上や消耗品の在庫改善による需要回復、およびシェア拡大、FPD分野の設備投資などから得ています。
機能材料事業
当事業では、IT器材、半導体装置部材、基礎素材などを製造・販売しています。IT器材では、半導体製造のスパッタリング工程で使用されるアルミターゲット用の超高純度アルミ材料をターゲットメーカーへ販売しています。半導体装置部材では、低圧鋳造技術を使い半導体エッチング装置用の鋳物真空チャンバーを製造しています。基礎素材分野では、電解コンデンサ用材料やHDD用材料、小口素材販売を行っています。
収益は、IT器材のターゲット材料の好調な需要、半導体装置用消耗品の表面処理の堅調な需要、基礎素材の安定的取引などから得ています。運営は、2025年4月に株式を取得し連結子会社化したKMアルミニウム株式会社も担っています。
同社グループの売上高は、本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えており、国内市場への依存度が高い傾向にあります。また、特定の顧客への売上集中が見られ、日本発条株式会社と東京エレクトロン宮城株式会社が主要な顧客となっています。
| セグメント | 売上高(2024年8月期) | 売上高(2025年8月期) |
|---|---|---|
| 精密部品事業 | - | 77.1億円 |
| 機能材料事業 | - | 36.9億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループは、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、それ以前の期間との比較は行われていません。当連結会計年度の売上高は、100億円を超える規模となっています。営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益も、それぞれ数十億円規模の利益を計上しています。
| 項目 | 2021年8月期 | 2022年8月期 | 2023年8月期 | 2024年8月期 | 2025年8月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | - | - | - | - | 114億円 |
| 経常利益 | - | - | - | - | 19.4億円 |
| 経常利益率 | - | - | - | - | 17.0% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | - | - | - | - | 13.6億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | - | - | - | - | 107.11 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの連結従業員数は462人となっています。当連結会計年度における従業員1人あたり売上高は24.7百万円、従業員1人あたり営業利益は4.6百万円です。連結財務諸表の作成が当期からであるため、前期との比較はできません。
これらの数値は、同社グループの従業員一人ひとりが生み出す売上高と営業利益の規模を示しています。
| 指標 | 2025年8月期 |
|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 24.7百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 4.6百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
マルマエは、積極的な投資を通じて成長を目指している段階にあります。本業で得た資金を将来の事業拡大に充てている状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率がプライム市場の製造業平均と比較して低い水準にあります。一方で、ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均を上回る水準を示しています。手元資金は前期から増加しており、一定の流動性を確保している状況です。
| 指標 | 2025年8月期(前期) | 2025年8月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 71.7億円 | 81.5億円 |
| 自己資本比率 | - | 32.1% |
| ROE(自己資本利益率) | - | 16.6% |
| 現金及び預金 | 30.3億円 | 42.5億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上や減価償却費の増加などにより、資金を獲得しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得や連結子会社株式の取得による支出が主な要因となり、資金を使用しています。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入が長期借入金の返済や配当金の支払いを上回り、資金を獲得しました。
これらの結果、フリーキャッシュ・フローはマイナスとなっており、本業で得た資金を上回る投資を行っている状況です。これは、将来の成長に向けた積極的な投資フェーズにあることを示しています。
| 項目 | 2025年8月期(前期) | 2025年8月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | - | 30.6億円 |
| 投資CF | - | △97.1億円 |
| 財務CF | - | 78.8億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | - | △66.5億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、主に半導体業界およびFPD業界を対象としており、これらの業界特有の好不況の波(シリコンサイクル、クリスタルサイクル)が業績に影響を与える可能性があります。また、販売実績上位3社の構成比率が50.0%となっており、特定の取引先への依存が業績に影響を与える可能性も指摘されています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、継続的な事業運営において人材確保・育成が不可欠であると認識しています。しかし、人材を適時確保できない場合や、人材が大量に社外へ流出してしまった場合、あるいは育成等が計画通りに進まない場合には、業績および財務状況に影響を与える可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
マルマエグループは「素材と加工の技術力で社会に貢献する」ことを経営方針として掲げています。技術を追求し、社会の発展に貢献することを目指す企業です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
マルマエグループは、「素材と加工の技術力で社会に貢献する」ことを経営方針としています。精密部品事業では、技術の究極を目指し、競争と協調を尊び、技術注力企業として社会に貢献することを目指し、「部品加工のリーディングカンパニー」となることを掲げています。機能材料事業では、地球上の大切な資源であるアルミニウムを、技術と技能の向上を通じてより役に立つ姿に変えることで社会に貢献するという理念を持っています。同社グループは、中期事業計画「Fusion2028」を通じて、半導体分野の技術的なニーズをとらえ、市場成長を超えるグループの成長を実現しようとしています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
マルマエグループは、お客様の技術的な課題解決に貢献することを重視し、問題の本質を深く検討し、最良の技術要素を選択する姿勢を大切にしています。社内では、競い合いながらも協力し合って課題に対峙する文化があります。サステナビリティに関する基本的な考え方として、先端産業を支える技術と供給力で情報社会の発展に貢献し、持続可能な社会の実現を目指すとともに、誰もが活躍できる環境を整え、健全な経営基盤を確立することを掲げています。人的資本経営においては、従業員一人ひとりが自律的にキャリアを形成し、能力を最大限に発揮できる環境づくりを重視しており、対話を通じたスキル伝承やエンゲージメント向上を推進しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
マルマエグループは、精密部品事業において、技術の陳腐化を防ぐための継続的な技術開発とR&Dの強化、人材育成に注力しています。また、高い能力を持つ人材への負担集中を解消するため、多様な勤務形態を構成し、社員満足度の向上と人材の安定化、長期的な人材育成プランの実現を目指しています。機能材料事業では、高付加価値アルミニウム加工会社への変革と深化、あらゆる事業環境に対応できるレジリエント力の醸成、多能工化や人材教育を通じたものづくり力の強化を重点課題としています。さらに、同社グループは2026年8月期よりグループ一体でのサステナビリティ推進体制の整備を進め、2040年のネットゼロ実現を目指すなど、気候変動課題への対応も重要なテーマとしています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
マルマエは監査等委員会設置会社であり、取締役会は監査等委員を含む9名の取締役で構成されています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
筆頭株主は代表取締役社長の前田俊一氏であり、創業家が上位株主として名を連ねています。また、信託銀行や海外の金融機関も主要株主として名を連ねています。特定の株主グループが経営に強い影響力を持つ資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 前田 俊一 | 35.14% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 6.23% |
| 前田 美佐子 | 3.98% |
| BNY GCM CLIENT ACCOUNT JPRD AC ISG (FE-AC) | 1.91% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 1.58% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性7名・女性2名)で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役社長は前田俊一氏が務めています。社外取締役比率は55.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 前田 俊一 | 代表取締役 社長 (統括、管理本部担当兼務) | 1987年4月マルマヱ工業(個人)入社、1988年10月マルマヱ工業有限会社(現 同社)設立、取締役。2003年8月同社代表取締役社長。2019年11月同社代表取締役社長兼管理本部担当より現職。 |
| 海﨑 功太 | 取締役 営業本部長 (営業本部担当) | 1993年4月岩崎技研株式会社入社、1999年8月マルマヱ工業有限会社(現 同社)入社。2004年10月同社取締役営業部長。2018年4月同社取締役営業本部長より現職。 |
| 安藤 博音 | 取締役 技術生産本部長 (技術生産本部担当) | 2008年3月同社入社。2016年11月同社品質管理部長。2018年4月同社執行役員技術生産本部長。2018年11月同社取締役技術生産本部長より現職。 |
社外取締役は、門田晶子氏(渕上印刷代表取締役社長・ESG委員会委員長)、世耕久美子氏(元参議院議員・公益財団法人SBI子ども希望財団理事長)、桃木野聡氏(弁護士法人桃木野総合法律事務所代表弁護士)、山本隆章氏(元セイコーソリューションズ代表取締役会長)、宮川博次氏(宮川公認会計士事務所所長)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役会の監督機能強化と意思決定の透明性・公正性向上を目指しています。取締役9名のうち5名が社外取締役であり、監査等委員である取締役も議決権を有しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
マルマエの役員報酬は、基本報酬、業績連動報酬、非金銭報酬(譲渡制限付株式報酬)で構成されています。業務執行取締役には固定報酬、業績連動報酬、株式報酬が支給され、監査等委員である取締役および監査等委員ではない社外取締役には基本報酬のみが支払われます。業績連動報酬は、従業員一人当たりの賞与額、総資産経常利益率、純資産経常利益率を指標としています。非金銭報酬は譲渡制限付株式として、対象取締役の役位別基礎金額に業績支給率を乗じた金額を金銭報酬債権として付与し、現物出資により普通株式を割り当てる仕組みです。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 3名 | 1.2億円 | 38.6百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 9百万円 | 8.5百万円 |
| 社外取締役 | 5名 | 30百万円 | 6.0百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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