※本記事は、ナガイレーベン株式会社 の有価証券報告書(2025年8月期、2024年9月1日 ~ 2025年8月31日、2025年11月19日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
ナガイレーベンは、医療従事者や介護従事者が使用する各種メディカルウェアの企画、製造、販売を手がけています。また、シューズの販売も行っています。
単体従業員数は130名、連結従業員数は501名です。同社グループはメディカルウェア等の製造・販売の単一セグメントで事業を展開しています。
主な国内グループ会社は、ナガイ白衣工業(メディカルウェア等の製造等)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
ナガイレーベンは、従業員を「最大の資産」と捉え、人材育成と働きやすい環境整備に力を入れている企業です。安定した雇用とキャリア形成を支援する制度が整っており、長期的な視点で働くことを検討している方にとって魅力的な環境と言えるでしょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、従業員の定着を重視する傾向が見られます。平均勤続年数が比較的長く、平均年齢も中堅層が中心となっていることから、経験豊富な人材が長く活躍できる環境がうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,855,160円 |
| 平均勤続年数 | 15.9年 |
| 平均年齢 | 42.7歳 |
| 単体従業員数 | 130人 |
| 連結従業員数 | 501人 |
| 単体のグループ内比率 | 25.9% |
同社グループは、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)および確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の退職給付制度を設けています。これらの制度は国内の従業員だけでなく、海外支店の現地社員にも適用されています。
また、退職一時金制度もあります。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
なお、退職給付債務は9.4億円、年金資産は6.2億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
ナガイレーベンは、会社にとって最大の資産は「人」であるという考えに基づき、人材戦略を推進しています。全社会議などを通じて企業理念の浸透を図り、社員一人ひとりの経営への参画意識を高める取り組みを行っています。
人材育成においては、性別、年齢、国籍に関わらず、経験や技能に応じた階層別研修(新入社員、管理職等)や職能別研修を定期的に実施し、OJTと組み合わせて強化に努めています。従業員エンゲージメント向上のため、継続的な昇給(ベースアップ、賞与アップ)や永年勤続表彰制度、若年層生活支援など、社内体制の整備にも継続的に取り組む方針です。
労働市場環境の変化に対応し、優秀な人材の採用と維持のため、雇用制度の見直しも進めていくとしています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体のデータを示します。男性労働者の育児休業取得率については、公表義務の対象ではないため記載されていません。また、男性労働者にパート・有期労働者はいないため、パート・有期労働者の男女賃金差異は記載されていません。当社の賃金制度については、性差による賃金格差はありませんが、総合職と事務職の賃金差によって、結果的に男女の賃金の差異が生じています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 0.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 62.5% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うち正規雇用労働者) | 57.3% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ ナガイ白衣工業
当事業年度の男性労働者に育児休業取得の対象者はおりません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 6.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 77.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うち正規雇用労働者) | 82.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うちパート・有期労働者) | 67.4% |
グループ全体(連結)
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性の割合 | 65% |
指標と目標
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性の管理職(現在) | 1名 |
| 新卒採用における女性の割合(過去10年) | 44%以上 |
| 中途採用者の割合(全体) | 65% |
| 管理職における中途採用者の割合 | 55%超 |
| 外国人管理職の登用(現状) | 1名 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
ナガイレーベンは、各種メディカルウェアの企画、製造、販売、並びにシューズ等の販売を手掛けています。同社グループは、ナガイレーベンと連結子会社1社で構成されており、メディカルウェア等の製造・販売の単一セグメントとして事業を展開しています。
メディカルウェアは消耗品かつ実用品であるため、厳しい市場環境下においても安定した需要が見込まれる事業構造です。収益は主に、ヘルスケアウェアやドクターウェア、ユーティリティウェア、感染対策商品、シューズ等を含む「コア市場」、患者ウェアや手術ウェアの「周辺市場」、そして「海外市場」から得ています。
直近の連結会計年度では、コア市場と周辺市場は増収となりましたが、海外市場は減収となりました。生産面では、原材料価格の高騰や国内での最低賃金引き上げに伴う人件費の増加、海外生産における加工賃の引き上げや物流費の増加、円安の継続が売上総利益率に影響を与えています。特定の顧客であるワタキューセイモア株式会社への販売実績は、同社グループの総販売実績に占める割合が大きい傾向にあります。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、直近5年間で増減を繰り返しながら推移しています。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は、直近の期において減少傾向を示しています。
これは、原材料価格の高騰や人件費の上昇、物流費の増加、円安の継続といった生産コストの増加が影響していると説明されています。
| 項目 | 2021年8月期 | 2022年8月期 | 2023年8月期 | 2024年8月期 | 2025年8月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 176億円 | 177億円 | 172億円 | 164億円 | 170億円 |
| 経常利益 | 53.1億円 | 51.4億円 | 46.7億円 | 40.7億円 | 37.1億円 |
| 経常利益率 | 30.2% | 29.0% | 27.2% | 24.8% | 21.8% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 36.5億円 | 37.8億円 | 32.3億円 | 28.2億円 | 25.7億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 111.00 | 115.77 | 100.04 | 88.77 | 83.24 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は前期から増加しており、生産性の向上が見られます。一方で、従業員1人あたり営業利益は前期から減少しており、収益性の課題を示唆しています。
これらの指標は、組織全体の効率性や、従業員一人ひとりが生み出す価値の傾向を把握する上で参考となります。
| 指標 | 2024年8月期 | 2025年8月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 32.8百万円 | 33.9百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 8.0百万円 | 7.2百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務基盤は、本業で安定した資金を生み出し、投資活動も資金を獲得している状況です。これにより、資金的な余力がある状態となっています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、高い自己資本比率と潤沢な現金及び預金によって強固な状態を示しています。自己資本比率は92.5%と、プライム市場の製造業平均(46.8%)を大きく上回る水準です。これにより、外部環境の変化に対する耐性が高いと言えます。
一方で、ROE(自己資本利益率)は6.1%となっており、プライム市場平均(9.4%)を下回っています。手元資金は242億円を確保しており、不測の事態にも対応できる資金的な厚みがある状況です。これらの財務状況は、入社後の雇用や給与の安定性にもつながる要素となります。
| 指標 | 2024年8月期(前期) | 2025年8月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 427億円 | 413億円 |
| 自己資本比率 | 91.4% | 92.5% |
| ROE(自己資本利益率) | 6.6% | 6.1% |
| 現金及び預金 | 263億円 | 242億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローが21.8億円のプラスとなっています。これは税金等調整前当期純利益や売上債権の減少が主な増加要因ですが、仕入債務の減少や棚卸資産の増加、法人税等の支払が減少要因となっています。投資活動によるキャッシュフローは11.1億円のプラスとなり、前期のマイナスから増加に転じました。
これは主に定期預金の預入に対する払戻の超過収入によるものです。その結果、フリーキャッシュフローは32.9億円のプラスとなり、本業で得た資金が投資を上回る状況を示しています。財務活動によるキャッシュフローは38.9億円のマイナスとなっており、配当金の支払いや自己株式の取得による支出が主な要因です。
これらの資金の流れは、同社グループが安定した事業運営を行い、株主還元も実施している状況を示しており、入社後の雇用や給与の安定性につながる要素と言えます。
| 項目 | 2024年8月期(前期) | 2025年8月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 22.9億円 | 21.8億円 |
| 投資CF | △17.7億円 | 11.1億円 |
| 財務CF | △29.3億円 | △38.9億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 5.2億円 | 32.9億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、一部商品を海外で縫製しており、海外の政治・経済情勢の悪化や政変、治安の悪化などが生産活動に影響を及ぼす可能性があります。また、輸入決済を外貨建てとしているため、急激な為替レートの変動が財政状態や経営成績に悪影響を及ぼすリスクがあります。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ナガイレーベンは、「いのちの力になりたい」という理念のもと、メディカルウェアを通じて人々の生命と健康に貢献することを目指しています。医療・介護現場への深い理解を原動力とし、社会に求められる企業集団としての成長を追求しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「いのちの力になりたい」を理念に掲げ、メディカルウェアの企画・生産・販売を通じて、人の生命と健康に貢献する企業を目指しています。
生命と健康との関わりが最も深い医療・介護従事者と患者・高齢者の間にあって、医療とは何か、看護とは何か、介護とは何かを奥深く理解することを原動力としています。
そして、より優れた製品を世に送り出す喜びを共感することを基本理念としています。
企業価値の向上を図ることを経営の基本方針としており、株主への利益還元の充実も重要な課題の一つと認識しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社は「人の『和』」を社是としており、人と企業利益、社会貢献のバランスを重視しています。
「ナガイズム」という4つの行動指針があり、「人を信じること」「原理原則を探求し、ぶれないこと」「永続する成長ビジネスモデルをつくりあげること」「周囲への感謝を忘れないこと」を掲げています。
これらの指針に基づき、人材を作り続ける集団力を大切にしています。
社員一人ひとりに企業理念の浸透と経営への参画意識を高める取り組みを推進しており、取引の公正・適正の確保や経営の透明性・健全性の向上にも努めています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、厳しい経済環境のなか、遵法精神に基づいた顧客サービスの向上を経営上の課題と捉えています。
高機能性、高感性、高品質、環境保護を追求した高付加価値商品の企画開発に注力しています。
企業価値向上のため、経営環境の変化に対応した意思決定のスピードアップ、事務効率の向上、情報の有効活用と情報管理の徹底のための環境整備を進めています。
品質についてはISO9001、環境面においてはISO14001の運用を徹底し、継続的な顧客サービスと商品提供に取り組んでいます。
情報の有効活用と情報管理の徹底のために、社内ルールの作成・更新にも取り組んでいます。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
ナガイレーベンは、「いのちの力になりたい。」という理念と「人の和」を社是に掲げています。株主だけでなく、顧客や取引先、地域社会、地球環境に対しても好ましい存在であり続けることをコーポレート・ガバナンスの基本的な考え方としています。
同社は監査等委員会設置会社であり、委員の過半数が社外取締役で構成される監査等委員会を通じて、業務執行の適法性や妥当性の監査・監督機能の強化を図っています。これにより、より透明性の高い経営の実現を目指しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
ナガイレーベンの株主構成を見ると、筆頭株主は澤登一郎氏であり、複数の澤登姓の個人や関連会社が上位に名を連ねています。これに加えて、日本マスタートラスト信託銀行などの機関投資家も主要な株主として同社を支えています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 澤登 一郎 | 19.14% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 10.97% |
| JP MORGAN CHASE BANK 380055 | 5.69% |
なお、エフエムアール エルエルシーは2025年9月5日付で所有株式数が2,844千株となっています。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性8名・女性1名)で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は澤登一郎氏が務めています。社外取締役比率は22.2%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 澤登 一郎 | 代表取締役 社長 | 1980年4月ナガイ株式会社(現ナガイレーベン)入社。1995年11月同社代表取締役社長就任。2003年11月同社代表取締役社長就任より現職。 |
| 斉藤 信彦 | 常務取締役 経営企画本部長 | 1984年4月株式会社クラレ入社。1992年5月ナガイ株式会社(現ナガイレーベン)入社。2014年12月同社常務取締役経営企画本部長就任より現職。 |
| 朝井 克司 | 取締役 業務本部長 | 1981年4月蝶理株式会社入社。2008年12月ナガイレーベン入社。2010年11月同社取締役業務本部長就任より現職。 |
| 山本 康義 | 取締役 企画本部長 | 1981年4月ユニチカ株式会社入社。2009年10月ナガイレーベン入社。2010年11月同社取締役企画本部長就任より現職。 |
| 新谷 欣哉 | 取締役 営業本部長 | 1986年4月広島トヨペット株式会社入社。1987年10月ナガイ株式会社(現ナガイレーベン)入社。2014年11月同社取締役営業本部長就任より現職。 |
| 山村 浩之 | 取締役 管理本部長 | 1997年4月株式会社第一勧業銀行(現株式会社みずほ銀行)入行。2019年7月同社入社。2020年11月同社取締役管理本部長就任より現職。 |
社外取締役は、三嶋浩太氏(合同会社moimoi代表社員・監査等委員)、野口恵美子氏(野口税務会計事務所開設者・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、社外取締役が経営の監視機能を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
ナガイレーベンの取締役報酬は、固定報酬としての基本報酬と非金銭報酬としての株式報酬により構成されています。監査機能を担う監査等委員である取締役については、その職務に鑑み、基本報酬のみを支払う方針です。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 14百万円 | 13.9百万円 |
| 社外取締役 | 2名 | 8百万円 | 4.2百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。