※本記事は、ナガイレーベン株式会社 の有価証券報告書(第76期、自 2024年9月1日 至 2025年8月31日、2025年11月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ナガイレーベンってどんな会社?
医療・介護現場を支えるメディカルウェアの専門メーカー。高シェアを誇る白衣や高機能ウェアが主力です。
■(1) 会社概要
1950年に前身の永井商店を設立。1969年に生産子会社を設立し、1994年に現社名へ変更しました。2001年に東証二部へ上場し、2004年に東証一部(現プライム市場)へ指定替えとなりました。近年は海外ブランドとのライセンス契約や、環境配慮型商品の開発を推進しています。
連結従業員数は501名、単体では130名です。筆頭株主は創業者の澤登一郎氏(現社長)で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 澤登 一郎 | 19.14% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 10.97% |
| JP MORGAN CHASE BANK 380055 | 5.69% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性1名、計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は澤登一郎氏です。社外取締役比率は22.2%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 澤登 一郎 | 代表取締役社長 | 1980年同社入社。取締役、常務、副社長を経て1995年より社長。ナガイ白衣工業社長も兼任し、2003年より現職。 |
| 斉藤 信彦 | 常務取締役経営企画本部長 | 1984年クラレ入社。1992年同社入社。企画本部長、営業本部長、CMOなどを歴任し、2014年より現職。 |
| 朝井 克司 | 取締役業務本部長 | 1981年蝶理入社。2008年同社入社。業務部次長を経て2010年より現職。 |
| 山本 康義 | 取締役企画本部長 | 1981年ユニチカ入社。2009年同社入社。経営企画室長、企画部次長を経て2010年より現職。 |
| 新谷 欣哉 | 取締役営業本部長 | 1986年広島トヨペット入社。1987年同社入社。営業部次長、マーケティング室長、営業部長を経て2014年より現職。 |
| 山村 浩之 | 取締役管理本部長 | 1997年第一勧業銀行入行。2019年同社入社。管理本部長付次長、管理本部部長を経て2020年より現職。 |
| 荻野 和孝 | 取締役(常勤監査等委員) | 1974年毎日新聞社入社。1992年同社入社。業務本部長、常勤監査役を経て2016年より現職。 |
社外取締役は、三嶋浩太(合同会社moimoi代表社員)、野口恵美子(野口税務会計事務所開設者)です。
2. 事業内容
同社グループは、「メディカルウェア等の製造・販売」事業を展開しています。
医療従事者(ドクター、ナース等)および介護従事者が使用する白衣、手術衣、患者衣などのメディカルウェアを企画・製造・販売しています。自社ブランド商品のほか、著名ブランドとのライセンス商品も扱っています。主な顧客は病院、介護施設等です。
医療・介護施設への直接販売や代理店経由での販売による商品代金が主な収益源です。また、手術ウェア等のリユース対応商品の販売も行っています。運営は主にナガイレーベンが行い、製造は連結子会社のナガイ白衣工業が担当しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
過去5期間の業績を見ると、売上高は160億円から170億円台で推移していますが、利益面では減少傾向にあります。特に原材料価格や物流費の高騰、円安の影響を受け、利益率が低下傾向にあります。
| 項目 | 2021年8月期 | 2022年8月期 | 2023年8月期 | 2024年8月期 | 2025年8月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 176億円 | 177億円 | 172億円 | 164億円 | 170億円 |
| 経常利益 | 53億円 | 51億円 | 47億円 | 41億円 | 37億円 |
| 利益率(%) | 30.2% | 29.0% | 27.2% | 24.8% | 21.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 36億円 | 38億円 | 32億円 | 28億円 | 26億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で増加しましたが、売上原価の増加率が売上高の増加率を上回り、売上総利益は減少しました。販売費及び一般管理費も人件費増等により増加し、営業利益率は低下しました。
| 項目 | 2024年8月期 | 2025年8月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 164億円 | 170億円 |
| 売上総利益 | 70億円 | 67億円 |
| 売上総利益率(%) | 42.8% | 39.5% |
| 営業利益 | 40億円 | 36億円 |
| 営業利益率(%) | 24.4% | 21.1% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が11億円(構成比36%)、その他経費が9億円(同29%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社は単一セグメントですが、市場別の売上高を開示しています。コア市場(ヘルスケアウェア等)は堅調に推移し、周辺市場(患者ウェア、手術ウェア)も拡大しました。一方、海外市場は入札遅延等の影響で減収となりました。
| 区分 | 売上(2024年8月期) | 売上(2025年8月期) |
|---|---|---|
| コア市場 | 116億円 | 120億円 |
| 周辺市場 | 45億円 | 48億円 |
| 海外市場 | 3億円 | 2億円 |
| 連結(合計) | 164億円 | 170億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業活動によるキャッシュ・フローはプラスを維持していますが、投資活動によるキャッシュ・フローは定期預金の払戻等によりプラスとなりました。財務活動によるキャッシュ・フローは配当金支払や自己株式取得によりマイナスとなっており、営業利益と資産の現金化で株主還元を進める「改善型」の傾向を示しています。
| 項目 | 2024年8月期 | 2025年8月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 23億円 | 22億円 |
| 投資CF | -18億円 | 11億円 |
| 財務CF | -29億円 | -39億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.1%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は92.5%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「いのちの力になりたい」を理念に掲げ、メディカルウェアの企画・生産・販売を通じて、人の生命と健康に貢献する企業を目指しています。医療・介護従事者と患者・高齢者の間において、医療・看護・介護の本質を理解し、優れた製品を送り出すことを基本理念としています。
■(2) 企業文化
同社は「和」を社是としており、人と企業利益と社会貢献のバランスを重視しています。また、「ナガイズム」と呼ばれる4つの行動指針(人を信じること、原理原則を探求しぶれないこと、永続する成長ビジネスモデルをつくりあげること、周囲への感謝を忘れないこと)に基づき、人材育成を行っています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、売上高営業利益率および株主資本利益率(ROE)の長期的な向上を重要な経営指標としています。
* 2026年8月期目標:売上高180億円、営業利益40.25億円
* 2028年8月期目標(中期経営計画):売上高195億円、営業利益47億円
■(4) 成長戦略と重点施策
コア市場であるヘルスケアウェア等では高付加価値商品の開発や新販売チャネル構築を進めています。周辺市場では、手術ウェア等の環境対策商品や患者ウェアのシェア拡大を図っています。また、海外市場の開拓、感染対策商品の開発、生産体制の効率化(国内・海外)などを重点施策として推進しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は「人」を最大の資産と考え、企業理念の浸透や経営参画意識の向上に取り組んでいます。性別や年齢等に関わらず、経験・技能に応じた研修を実施し、人材育成を強化しています。また、従業員エンゲージメント向上のため、継続的な昇給や福利厚生の充実に努めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年8月期 | 42.7歳 | 15.9年 | 6,855,160円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 0.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | - |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 62.5% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 57.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | - |
※男性労働者の育児休業取得率については、公表義務の対象ではないため記載がありません。
※男性労働者にパート・有期労働者はいないため、男女の賃金の差異(パート・有期労働者)は記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、生産現場における女性比率(65%)、新卒採用における女性比率(44%以上)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) カントリーリスク
一部の商品は海外で縫製を行っています。海外生産拠点において、政治・経済情勢の悪化、治安悪化、テロ・戦争等により生産活動に支障が生じた場合、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 為替リスク
輸入決済を外貨建てで行っているため、為替変動のリスクがあります。為替予約等でリスク軽減を図っていますが、急激な為替レートの変動は、財政状態や経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 天災リスク
生産・販売・物流のネットワークシステムや生産ラインが、地震等の天災により寸断されるリスクがあります。データのバックアップや設備点検等の対策を講じていますが、災害発生時には売上低下やコスト増を招く可能性があります。



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