※本記事は、株式会社カワサキ の有価証券報告書(第54期、自 2024年9月1日 至 2025年8月31日、2025年11月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. カワサキってどんな会社?
同社は「レイクアルスター」ブランドの服飾雑貨販売を祖業とし、現在は物流倉庫の賃貸やホテル運営も行う多角化企業です。
■(1) 会社概要
1971年に大阪府泉佐野市で設立され、1980年に主要ブランド「レイクアルスター」を立ち上げました。1984年には不動産貸付業に進出し、事業の多角化を開始しています。2004年にホテル事業を開始後、2006年に大阪証券取引所市場第二部へ上場を果たしました。現在はスタンダード市場に上場しています。
同社(単体)の従業員数は61名です。筆頭株主は資産管理を行う株式会社KWSで、第2位は創業家一族と思われる個人株主、第3位は情報通信サービス等を手掛ける事業会社となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| KWS | 40.38% |
| 川崎 貴美子 | 8.53% |
| 光通信 | 7.45% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性0名の計5名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は川崎 久典氏が務めています。社外取締役比率は60.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 川崎 久典 | 代表取締役社長 | 中小企業金融公庫(現日本政策金融公庫)を経て2000年入社。オーアンドケイ代表取締役社長などを歴任し、2021年6月より現職。 |
| 片岡 英隆 | 取締役営業統括 | 2015年入社、東京支店長、営業部長を歴任。2022年11月より現職。 |
社外取締役は、明松 英之(公認会計士事務所代表)、逵 吉隆(司法書士)、小西 勝(社会保険労務士法人代表)です。
2. 事業内容
同社グループは、「服飾事業」、「賃貸・倉庫事業」および「ホテル事業」を展開しています。
■服飾事業
シェニール織物を素材とするハンカチ・タオル、ホームインテリア、バッグ、衣料等を主にシニア女性向けに企画し、海外で外注生産しています。「レイクアルスター」ブランドで百貨店や専門店、通販会社を通じて販売するほか、直営ブティックでの販売も行っています。
収益は、小売店・百貨店・通販会社等への卸売や直営店での商品販売による代金からなり、運営は同社が行っています。
■賃貸・倉庫事業
大阪泉州地域を中心に、物流倉庫等の不動産賃貸および営業倉庫業を展開しています。また、倉庫の屋根を活用した太陽光発電事業も行っています。
収益は、テナントからの賃貸料収入、倉庫における保管料・荷役料、および売電収入からなり、運営は同社が行っています。
■ホテル事業
南海本線泉大津駅前の「ホテルレイクアルスターアルザ泉大津」において、宿泊および料飲サービスを提供しています。
収益は、宿泊客や宴会・レストラン利用者からのサービス利用料からなり、運営は同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は15億円規模から23億円規模へと拡大傾向にあります。特に直近2期は20億円を超え、成長が続いています。経常利益も安定して黒字を維持しており、利益率も15%以上と高い水準で推移しています。当期純利益についても黒字を継続しており、堅調な経営状況がうかがえます。
| 項目 | 2021年8月期 | 2022年8月期 | 2023年8月期 | 2024年8月期 | 2025年8月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 15.0億円 | 15.3億円 | 17.5億円 | 21.8億円 | 22.9億円 |
| 経常利益 | 3.6億円 | 2.5億円 | 2.9億円 | 4.1億円 | 5.1億円 |
| 利益率(%) | 23.8% | 16.1% | 16.6% | 18.7% | 22.5% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 4.8億円 | 8.0億円 | 2.1億円 | 2.9億円 | 3.4億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期の21.8億円から22.9億円へ増加し、売上総利益も9.3億円から10.6億円へと伸長しています。これに伴い、営業利益は4.0億円から5.2億円へ、営業利益率も18.4%から22.5%へと大幅に改善しました。増収効果に加え、利益率の向上が顕著に見られます。
| 項目 | 2024年8月期 | 2025年8月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 21.8億円 | 22.9億円 |
| 売上総利益 | 9.3億円 | 10.6億円 |
| 売上総利益率(%) | 42.7% | 46.3% |
| 営業利益 | 4.0億円 | 5.2億円 |
| 営業利益率(%) | 18.4% | 22.5% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び賞与が2.9億円(構成比53%)、役員報酬が0.3億円(同6%)を占めています。売上原価においては、賃貸事業原価が6.8億円(構成比56%)、製品売上原価が3.1億円(同26%)を占めています。
■(3) セグメント収益
服飾事業は増収となり、営業損失も縮小しました。主力の賃貸・倉庫事業は増収増益で、引き続き安定した収益源となっています。ホテル事業は大幅な増収となり、営業損失が半減するなど改善傾向にあります。全体として、全セグメントで売上が増加し、利益面でも改善が進んでいます。
| 区分 | 売上(2024年8月期) | 売上(2025年8月期) | 利益(2024年8月期) | 利益(2025年8月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 服飾事業 | 5.2億円 | 5.4億円 | -0.4億円 | -0.2億円 | -3.6% |
| 賃貸・倉庫事業 | 13.7億円 | 14.0億円 | 5.5億円 | 5.9億円 | 42.0% |
| ホテル事業 | 2.9億円 | 3.5億円 | -1.1億円 | -0.5億円 | -15.3% |
| 連結(合計) | 21.8億円 | 22.9億円 | 4.0億円 | 5.2億円 | 22.5% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFはプラス、投資CFと財務CFはマイナスとなっており、本業で稼いだ現金を借入金の返済や投資に回す「健全型」のキャッシュ・フロー状態です。
| 項目 | 2024年8月期 | 2025年8月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 9.1億円 | 6.0億円 |
| 投資CF | -5.9億円 | -1.1億円 |
| 財務CF | 0.2億円 | -4.1億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.0%で市場平均(スタンダード市場 7.2%)を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は71.4%で市場平均(スタンダード市場非製造業平均 48.5%)を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「合掌の心」を社是とし、顧客・取引先および地域に対する感謝の心を企業活動の原点においています。
■(2) 企業文化
同社は、「THE BEST FROM THE WORLD -いいものを世界から-」をテーマに掲げています。世界各地から良いものを安く・早く提供することをモットーとし、独創的な製品を提供することを基本理念としています。
■(3) 経営計画・目標
同社は収益力の向上を目指し、売上高や各利益指標に加え、中長期的な目標として以下を掲げています。
* 自己資本利益率(ROE)8%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
服飾事業では、新製品開発と販売チャネルの拡大を推進し、特に通販や各種宣伝媒体を通じた販路拡大に注力します。賃貸・倉庫事業では、設備の大型化・近代化を図り倉庫需要に対応します。ホテル事業では、サービス品質の向上や飲食部門との連携強化、予約動向の分析等を通じて稼働率向上と収益性改善を目指します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社では、OJTを中心とした教育や、成果・成長を報酬に反映させる評価制度を通じて、従業員の能力および意欲の向上に取り組んでいます。また、女性社員や中途採用社員等の多様な人材が活躍できる環境構築を推進しており、資格取得支援制度などを通じて能力発揮の場を提供しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均(598万円)を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年8月期 | 55.7歳 | 5.8年 | 3,686,377円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金の総額を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 特定製品への依存度
主力である服飾事業において、「レイクアルスター」ブランドの売上高比率が高く、主な購買層が50歳代以上の女性となっています。景気変動による消費低迷や、消費者嗜好の変化が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、新商品開発による取扱商品の多様化を進めています。
■(2) 在庫リスク
製品の多くは海外生産であり、欠品リスク回避やコスト削減のため見込生産を行っています。需要予測と実際の需要に乖離が生じた場合、過剰在庫を抱えるリスクがあります。季越品・廃番品については評価減を実施していますが、多額の在庫評価損が発生した場合、業績に悪影響を与える可能性があります。
■(3) 為替変動の影響
服飾事業における原材料や製品の輸入に関して、デリバティブ契約は終了しており、為替変動の影響を直接受ける状況にあります。円安等の為替レートの変動により、調達コストが変動し、業績に影響を及ぼす可能性があります。



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