※本記事は、株式会社ライトオン の有価証券報告書(第46期、自 2024年9月1日 至 2025年8月31日、2025年11月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ライトオンってどんな会社?
ジーンズセレクトショップの大手として全国のショッピングセンター等に出店し、カジュアルウェアを販売する企業です。
■(1) 会社概要
1980年に設立され、東京都杉並区に1号店を出店しました。2000年に東京証券取引所市場第一部へ上場し、2008年にはEコマース事業を開始しました。2022年の市場区分再編でプライム市場へ移行しましたが、2023年にスタンダード市場へ移行しています。2025年1月には公開買付けによりW&Dインベストメントデザインの子会社となりました。
連結従業員数はデータがありませんが、単体の従業員数は435名です。大株主は、親会社であるW&Dインベストメントデザインが筆頭株主であり、第2位は繊維商社の豊島、第3位は金融機関の三菱UFJ銀行となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| W&Dインベストメントデザイン | 51.92% |
| 豊島 | 5.99% |
| 三菱UFJ銀行 | 1.76% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長執行役員は大峯伊索氏です。社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 大峯伊索 | 代表取締役社長執行役員 | ワールド入社後、同社グループ各社の社長や執行役員を歴任。2025年1月より現職。 |
| 大友博雄 | 取締役構造改革本部担当 | 兼松江商、兼松繊維を経てライトオン入社。執行役員内部監査室長、取締役管理本部長などを歴任し、2024年11月より現職。 |
| 廣橋清司 | 取締役 | ワールド入社後、同社グループのブランド長や社長を歴任。W&Dインベストメントデザイン代表取締役も務め、2025年1月より現職。 |
社外取締役は、中澤歩(中澤法律事務所所長パートナー)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ジーンズカジュアル専門店事業」を展開しています。
同社は、ジーンズを中核アイテムとしたカジュアルウェア及び雑貨の販売を行っています。ショッピングセンター型店舗やロードサイド型店舗、Eコマースを通じて、幅広い年齢層の顧客にナショナルブランドやプライベートブランドの商品を提供しています。
収益は、一般消費者への商品販売による代金が主な源泉です。運営は主にライトオンが行っています。店舗数は当事業年度末時点で230店舗となっており、ジーンズカジュアルの専門店としてチェーン展開しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は減少傾向にあり、特に直近の第46期では店舗数の削減などにより大きく減少しています。利益面では、経常損失および当期純損失の計上が続いていますが、第46期においてはコスト構造改革等の効果により、前期と比較して損失幅が縮小しています。
| 項目 | 2021年8月期 | 2022年8月期 | 2023年8月期 | 2024年8月期 | 2025年8月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 495億円 | 482億円 | 469億円 | 388億円 | 281億円 |
| 経常利益 | 0.9億円 | 0.1億円 | -10億円 | -52億円 | -8億円 |
| 利益率(%) | 0.2% | 0.0% | -2.2% | -13.3% | -2.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -21億円 | -12億円 | -25億円 | -121億円 | -4億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で減少しましたが、売上総利益率は改善しています。営業損益は引き続き赤字ですが、販売費及び一般管理費の大幅な削減により、営業損失の額は前期よりも縮小しました。
| 項目 | 2024年8月期 | 2025年8月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 388億円 | 281億円 |
| 売上総利益 | 155億円 | 146億円 |
| 売上総利益率(%) | 39.9% | 52.0% |
| 営業利益 | -50億円 | -5億円 |
| 営業利益率(%) | -12.9% | -1.6% |
販売費及び一般管理費のうち、賃借料が59億円(構成比39%)、給与手当及び賞与が46億円(同30%)を占めています。売上原価においては、商品売上原価が135億円(売上原価合計に対する構成比100%)となっています。
■(3) セグメント収益
同社は単一セグメントですが、商品部門別の売上高を見ると、全カテゴリーで減収となりました。特にカットソー・ニットの減少率が大きくなっています。これは不採算店舗の大規模な退店や、商品構成の見直しなどが影響しています。
| 区分 | 売上(2024年8月期) | 売上(2025年8月期) |
|---|---|---|
| ボトムス | 145億円 | 119億円 |
| カットソー・ニット | 124億円 | 74億円 |
| シャツ・アウター | 57億円 | 45億円 |
| その他 | 62億円 | 43億円 |
| 連結(合計) | 388億円 | 281億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は「救済型」のキャッシュ・フロー状態にあります。本業の営業活動でキャッシュを生み出せていませんが、資産の売却や回収などの投資活動と、借入や増資などの財務活動によって資金を調達し、事業を継続・再建しようとしている状況です。
なお、同社は在庫を多く抱える事業を主力としているため、営業CFのマイナスは棚卸資産(商品・販売用不動産等)の増加(事業拡大)に起因している可能性があり、必ずしも業績悪化を意味するものではありません。
| 項目 | 2024年8月期 | 2025年8月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -6億円 | -42億円 |
| 投資CF | 8億円 | 8億円 |
| 財務CF | -27億円 | 31億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-127.1%で市場平均を下回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は3.8%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「VISION(私たちの目指すべき未来像)」として、ヒトとモノの魅力で顧客の期待を超える満足を提供し、選ばれ必要とされる企業となることを掲げています。また、「MISSION(私たちの使命)」として、人々の生活を楽しく豊かにするため、世代を超えて愛されるジーンズの魅力を発信することを定めています。
■(2) 企業文化
同社は「POLICY(私たちの方針)」として、顧客を第一に考え喜ばれる会社、誠実さと公正さをもって社会から信頼される会社、人を育て活かし働き甲斐のある会社を目指すことを掲げています。これらの方針のもと、顧客満足の追求と信頼される企業づくりを重視する文化があります。
■(3) 経営計画・目標
同社は2025年8月期から2029年8月期までの5ヵ年の中期経営計画を策定しています。最終年度までに着実な利益成長を実現し、永続的な収益基盤の構築を図ることを目指しています。
* 売上高:254億円
* 営業利益:15億円
* 営業利益率:5.9%
■(4) 成長戦略と重点施策
中期経営計画に基づき、コスト構造改革と再成長への挑戦を推進しています。不採算店舗の大規模退店、本部組織のスリム化、拠点集約による固定費削減を徹底します。また、ワールドグループのリソースを活用したPB(プライベートブランド)企画力の向上や生産背景の見直しにより、仕入原価率の低減と競争力強化を図ります。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は従業員や顧客など「人」の支えを重要視し、教育・研修や資格取得機会の提供を通じて人的資本の充実を図っています。ミッショングレード制人事制度を活用し、挑戦できる環境を整備するとともに、女性管理職比率の維持・向上や多様な価値観の受容、ワークライフバランスの尊重を通じて企業価値の向上に努めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年8月期 | 35.3歳 | 13.2年 | 3,502,000円 |
※平均年間給与は基準外給与及び賞与を含んでおります。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 12.5% |
| 男性育児休業取得率 | 50.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 67.5% |
| 男女賃金差異(正規) | 69.1% |
| 男女賃金差異(非正規) | 114.3% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、管理職候補以上の役職者に占める女性労働者の割合(34.6%)、女性の育児休業取得率(100.0%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 継続企業の前提に関する事象
複数期連続の損失計上やマイナスの営業キャッシュ・フローにより、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象が存在しています。構造改革による収益改善が進まない場合、資金繰りや財務制限条項への抵触などのリスクがあり、事業継続に不確実性が存在します。
■(2) 消費者の嗜好変化
取扱商品はファッショントレンドや消費者の嗜好の影響を受けやすく、需要動向に合致した仕入れができない場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。多様なニーズへの対応や商品計画の改善、ブランドミックスの最適化によりリスク低減を図っています。
■(3) 店舗賃借に関するリスク
店舗の多くは賃借しており、差入保証金等が回収できなくなるリスクがあります。また、ロードサイド型店舗等の長期契約における保証金返還の制約や、契約更新時の相手方の意思により再契約できない場合など、店舗運営や業績に影響を与える可能性があります。
■(4) 財務制限条項
一部の借入金には財務制限条項が付されており、経常損益等が一定基準を下回った場合に期限の利益を喪失する可能性があります。これに抵触した場合、同社の財政状態に重大な影響を及ぼすリスクがあります。



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