※本記事は、
株式会社MERF
(旧会社名 黒谷株式会社)
の有価証券報告書(2025年8月期、2024年9月1日 ~ 2025年8月31日、2025年11月20日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
MERFグループは、非鉄金属事業と美術工芸事業を主たる業務としています。非鉄金属事業では、銅を中心としたインゴットの製造・販売とリサイクル原料の加工・販売を二本柱として事業を展開しています。
単体従業員数は121名、連結従業員数は154名です。セグメントは非鉄金属事業、美術工芸事業の2つです。
主な国内グループ会社は、MERFロジスティクス(非鉄金属事業)などです。
同社グループは、米国インゴットメーカーCalifornia Metal-X社の事業を譲り受け、非鉄金属事業の強化を図りました。また、2025年6月には株式会社MERFロジスティクスを設立しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
MERFは、金属資源のリサイクルを主軸とする非鉄金属事業と美術工芸事業を展開しています。環境に配慮した事業活動を通じて社会貢献を目指しており、安定した事業基盤を持つ企業です。従業員規模は比較的小さく、一人ひとりの貢献が重要となる環境がうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均勤続年数が比較的長く、従業員が長期にわたってキャリアを築いている傾向が見られます。平均年齢も40代半ばであり、経験豊富な人材が中心となって事業を支えていることがうかがえます。安定した環境で専門性を深めたい方に適した職場環境と言えるでしょう。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,982,000円 |
| 平均勤続年数 | 15.3年 |
| 平均年齢 | 44.6歳 |
| 単体従業員数 | 121人 |
| 連結従業員数 | 154人 |
| 単体のグループ内比率 | 78.6% |
同社は、退職給付制度として確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の両方を採用しています。この制度は主に提出会社に適用されており、連結子会社では退職金制度を採用していません。退職一時金制度もありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。なお、退職給付債務は1.2億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
MERFは、持続的な成長と企業価値向上に向け、サステナビリティへの対応を重要な経営課題と捉えています。その中で、人的資本への取り組みとして、事業活動の多様性を高めることを重視しています。具体的には、管理職の中途採用や外国人の採用を積極的に進めています。
専門分野の人材は社内教育で育成しつつ、中途採用の管理職を積極的に登用する方針です。また、女性管理職の登用にも力を入れており、上位職位への登用を推進しています。外国人材についても、能力や知見を重視し、国籍に関わらず多様な人材を登用していく考えを示しています。これらの取り組みは、主に提出会社で行われています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
同社は、女性活躍推進法および育児介護休業法の規定による公表義務の対象ではないため、法定開示項目は記載を省略しています。
人的資本及び多様性
この指標は提出会社単体のものです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職登用者に占める中途採用者の割合 | 46.0% |
| 管理職登用者に占める女性の割合 | 12.0% |
| 外国人管理職の登用 | 0人 |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
MERFは、非鉄金属事業と美術工芸事業の二つの柱で事業を展開しています。国内外の市場を対象に、幅広い製品とサービスを提供することで収益を上げています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、非鉄金属事業と美術工芸事業を主たる業務としています。これらの事業は、同社グループの連結財務諸表におけるセグメント区分と同一です。
非鉄金属事業
同社グループの非鉄金属事業は、銅を中心とした非鉄金属関連ビジネスを展開しています。インゴットの製造・販売とリサイクル原料の加工・販売が二つの柱となっています。国内外から集荷した銅や銅合金のリサイクル原料を原材料として、得意先のニーズに合わせた約50品種のインゴットを生産しています。また、約150品種の非鉄金属リサイクル原料を選別・加工し、国内外の販売先に提供しています。同社グループの大きな特徴は、インゴットとリサイクル原料を同時に取り扱うことで、多様な非鉄金属を一括で買い取ることが可能である点です。
収益は、インゴットやリサイクル原料の販売から得ています。当連結会計年度においては、米国インゴットメーカーの事業譲受による販売数量増加でインゴット売上高が増加した一方、製錬会社向け故銅などの受注環境変化によりリサイクル原料売上高は減少しました。
美術工芸事業
美術工芸事業では、美術工芸品の製造販売を行っています。貴金属製の置物や仏像・仏具が主な販売品目です。高度な鋳造技術と精緻な仕上げを活かし、付加価値の高い製品を創り出しています。
収益は、美術工芸品の製造販売から得ています。新商品の開発が順調に進んだことで、当連結会計年度の売上高は増加しました。
同社グループの事業は、非鉄金属相場や為替相場の変動に強く影響を受ける特性があります。また、米国の関税政策や中国の輸出管理といった地政学リスクも、原材料価格の変動を通じて経営成績に影響を与える要因となっています。
| セグメント | 売上高(2024年8月期) | 売上高(2025年8月期) |
|---|---|---|
| 非鉄金属 | 815億円 | 819億円 |
| 美術工芸 | 5.4億円 | 5.6億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績を見ると、売上高は変動しながらも直近ではわずかに増加しています。一方で、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は、大きく変動しており、当連結会計年度では損失を計上する結果となりました。
当連結会計年度の利益面では、米国インゴットメーカーの買収に係る調査費用や法務手数料といった一時的な費用が発生しています。また、新規事業として取り組んできた基板事業に係る営業債権に関する損失も計上されており、これらの要因が利益の減少に影響を与えています。
| 項目 | 2021年8月期 | 2022年8月期 | 2023年8月期 | 2024年8月期 | 2025年8月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 621億円 | 891億円 | 846億円 | 821億円 | 825億円 |
| 経常利益 | 21.0億円 | 9.4億円 | 2.3億円 | 10.4億円 | △2.2億円 |
| 経常利益率 | 3.4% | 1.1% | 0.3% | 1.3% | △0.3% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 13.5億円 | 5.5億円 | 1.7億円 | 5.3億円 | △2.0億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 95.42 | 38.49 | 12.03 | 37.72 | △14.37 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は、前期と比較して減少しています。また、従業員1人あたりの営業利益も前期から大きく減少する結果となりました。これは、当連結会計年度において営業利益が大幅に減少したことに加え、非鉄金属事業における事業譲受に伴い従業員数が増加したことが影響していると考えられます。
| 指標 | 2024年8月期 | 2025年8月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 651.4百万円 | 535.5百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 11.5百万円 | 0.8百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
MERFの経営の安定性を評価する上で、財務基盤の健全性と資金の流れは重要な指標となります。同社グループの財政状態とキャッシュフローの状況から、現在の事業活動と将来に向けた投資のバランスを見ていきます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
MERFの財務基盤を見ると、自己資本比率は35.9%です。ROE(自己資本利益率)は当期にマイナス2.2%となり、前期の5.6%から低下しました。手元資金である現金及び預金は16.4億円を確保しており、前期から増加しています。これらの財務状況は、今後の事業展開や雇用・給与の安定性に影響を与える可能性があります。
| 指標 | 2024年8月期(前期) | 2025年8月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 94.8億円 | 92.2億円 |
| 自己資本比率 | 35.6% | 35.9% |
| ROE(自己資本利益率) | 5.6% | -2.2% |
| 現金及び預金 | 12.4億円 | 16.4億円 |
(注)プライム市場上場企業(製造業)の自己資本比率平均は46.8%、ROE平均は9.4%です。
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
MERFのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは23.2億円の収入となり、前期から増加しました。これは主に売上債権の減少や未収消費税等の減少があった一方で、棚卸資産の増加や仕入債務の減少があったためです。投資活動によるキャッシュフローは19.8億円の支出となり、前期から支出が増加しています。これは主に有形固定資産の取得や事業譲受による支出があったためです。財務活動によるキャッシュフローは△30百万円の支出となり、前期から支出が減少しました。これは長期借入れによる収入があった一方で、短期借入金の純減少や長期借入金の返済があったためです。
この結果、フリーキャッシュフローは3.4億円のプラスとなり、本業で得た資金で投資を賄い、なお余剰資金を生み出している状況です。しかし、親会社株主に帰属する当期純損失を計上している点も考慮すると、今後の収益改善が資金の安定性につながると考えられます。
| 項目 | 2024年8月期(前期) | 2025年8月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 8.3億円 | 23.2億円 |
| 投資CF | △2.1億円 | △19.8億円 |
| 財務CF | △1.7億円 | △30百万円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 6.2億円 | 3.4億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
MERFの事業構造・収益性に関するリスクとして、特定の販売先への集中が挙げられます。2025年8月期において、同社グループの売上高に占めるナカシマプロペラ株式会社の売上高比率は10.8%です。また、非鉄金属相場や為替相場の変動も重要なリスク要因です。同社グループの取扱い品目の価格は、毎日の非鉄金属相場や為替相場の影響を強く受けます。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
MERFは、金属リサイクルを通じて循環型社会の実現を目指す企業グループです。地球規模での環境問題への意識が高まる中で、社会的な責任を果たすことを重視した経営を行っています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
MERFは、創業以来「天然資源の少ない日本で資源の有効利用を透明性の高い所で行う」ことを経営方針としています。同社グループは、日本のみならず世界中で発生した金属リサイクル原料を社会の大事な再利用可能な資源と捉えています。金属のリサイクルを通じて低炭素化社会・循環型社会の実現に向け、社会的責任を果たせる企業グループを目指しています。非鉄金属リサイクルをコアビジネスとし、金属資源の有効活用を推し進め、社会に貢献していくことを重要な経営戦略と位置づけています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
MERFは、社会・環境問題への適切な対応を経営の重要な責務と捉え、事業そのものが「環境にやさしい循環型社会の実現」に資するものと考えています。同社グループは、持続的な成長と企業価値向上に向け、ステークホルダーとの協働を実践するため「企業行動規範」を定めています。これにより、さまざまなステークホルダーの権利・立場や健全な事業活動倫理を尊重する企業文化・風土の醸成に努めています。法令遵守や積極的な情報開示、ワーク・ライフ・バランスの取れた労働環境の整備にも取り組んでいます。また、事業活動の多様性を高めるため、管理職の中途採用や外国人の採用を積極的に行っています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
MERFは、優秀な人材の確保を優先的な課題としています。海外営業や商品市場取引に精通した人材を確保するため、中途採用と新卒採用の併用や海外人材の採用強化を進めています。入社後の研修制度には英語・中国語のメニューを加え、人材育成制度の強化を図っています。また、公平な人事制度の確立と福利厚生制度の充実により、魅力ある職場作りを目指しています。
さらに、銅系商品以外の分野強化や循環型経済におけるバリューチェーンの拡大も企図しており、鉄やレアメタルといった分野への経営資源投入を検討しています。美術工芸事業では、キャラクター商品を用いた金製品の開発など企画型営業に取り組み、販路拡大に努めています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
MERFは監査役会設置会社として、取締役会から独立した監査役会が経営を監督する体制を採用しています。取締役会は社外取締役を多く含む構成となっており、外部的見地からの監視のもとで適切な審議と意思決定が行われています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
MERFの株主構成を見ると、筆頭株主は黒谷商店であり、その次に代表取締役会長である黒谷純久氏が名を連ねています。同社は創業家およびその関連会社が主要な株主として経営を支えている資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 黒谷商店 | 39.95% |
| 黒谷 純久 | 21.37% |
| SMC | 2.83% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
MERFの役員は10名(男性9名・女性1名)で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長は黒谷暁氏が務めています。社外取締役比率は57.1%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 黒谷 純久 | 取締役会長 (代表取締役) | 1984年9月黒谷(現 雄祥)取締役、1985年11月新日本美術(現 同社)常務取締役。同社代表取締役専務、代表取締役社長を経て、2021年11月より同社代表取締役会長。KUROTANI NORTH AMERICA INC.代表取締役、CMX Metals CEOも務める。 |
| 黒谷 暁 | 取締役社長 (代表取締役) 社長執行役員 | 2012年8月同社入社後、社長室長、非鉄営業部長兼社長室長を歴任。2019年11月より取締役、2020年11月より代表取締役専務。2021年11月より同社代表取締役社長社長執行役員。 |
| 浦田 伊希子 | 常務取締役 常務執行役員 美術工芸部長 | 1986年10月同社監査役、1992年9月黒谷(現 雄祥)入社。1996年11月同社取締役、2011年9月より美術工芸部部長。2020年11月より常務取締役、2023年9月より同社常務取締役常務執行役員美術工芸部長。 |
社外取締役は、石黒達郎氏(北陸銀行取締役専務執行役員)、折橋清弘氏(折橋清弘税理士事務所代表)、長谷川豊氏(ヤマト代表取締役社長)、前川昌之氏(公認会計士税理士前川昌之事務所代表)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会は社外取締役4名で構成されています。社外取締役は外部的見地からの監視を通じて、適切な審議と意思決定を確保する役割を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
MERFの役員報酬は、取締役(社外取締役を除く)に対しては基本報酬と譲渡制限付株式報酬を支給する体系です。これは中長期的な企業価値向上へのインセンティブを目的としています。社外取締役と監査役は、独立した立場での役割を重視し、基本報酬のみが支給されています。報酬の決定においては、指名・報酬委員会が諮問機関として機能し、公正性、透明性、客観性を確保する体制が整っています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 3名 | 1.5億円 | 49.7百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 10百万円 | 9.6百万円 |
| 社外役員 | 6名 | 29百万円 | 4.8百万円 |
なお、上記報酬等には、使用人兼務取締役の使用人分給与は含まれていません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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