U-NEXT HOLDINGS 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

U-NEXT HOLDINGS 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場のU-NEXT HOLDINGSは、映像配信サービス「U-NEXT」を中心とするコンテンツ配信事業や、店舗・施設のDX支援、通信・エネルギー、金融・不動産事業などを多角的に展開しています。2025年8月期の連結業績は、売上高・利益ともに過去最高を更新し、増収増益の成長トレンドを継続しています。


※本記事は、株式会社U-NEXT HOLDINGS の有価証券報告書(第18期、自 2024年9月1日 至 2025年8月31日、2025年11月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

なおU-NEXT HOLDINGSは2024年4月1日付で、グループの中核事業となったコンシューマ向け映像配信ブランド「U-NEXT」の認知をより前面に出す狙いのもと、株式会社USEN-NEXT HOLDINGSから名称変更されています。

1. U-NEXT HOLDINGSってどんな会社?


動画配信サービス「U-NEXT」や店舗向け音楽配信、DX支援などを多角展開する企業グループです。

(1) 会社概要


1961年に大阪有線放送社として創業し、有線音楽放送を開始しました。2001年にナスダック・ジャパンへ上場。2007年には動画配信サービス「ギャオネクスト(現U-NEXT)」を開始しました。2017年にUSENと経営統合し、持株会社体制へ移行。2024年4月に現社名へ変更しました。

連結従業員数は5,737名、単体では274名です。筆頭株主は代表取締役社長CEOの資産管理会社であるUNO-HOLDINGSで、第2位は代表取締役社長CEOの宇野康秀氏、第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。創業家およびその資産管理会社が過半数の株式を保有する安定した株主構成となっています。

氏名 持株比率
UNO-HOLDINGS 50.09%
宇野 康秀 6.95%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 3.66%

(2) 経営陣


同社の役員は男性12名、女性2名の計14名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表者は代表取締役社長CEOの宇野 康秀氏です。社外取締役比率は40.0%です。

氏名 役職 主な経歴
宇野 康秀 代表取締役社長CEO インテリジェンス(現パーソルキャリア)代表取締役等を経て、1998年大阪有線放送社代表取締役就任。2017年より現職。
田村 公正 常務取締役 1994年入社。USEN代表取締役社長、コーポレート統括部長等を経て、2017年より現職。
馬淵 将平 常務取締役CIO ゴールドマン・サックス証券を経て入社。USEN取締役副社長執行役員CFO等を経て、2023年より現職。
堤 天心 常務取締役 リクルートを経て入社。USEN U-NEXT事業部長、U-NEXT代表取締役社長等を経て、2023年より現職。
大田 安彦 取締役 1992年入社。USEN取締役常務執行役員、USEN取締役副社長等を経て、2017年より現職。
高橋 信太郎 取締役 GMOアドパートナーズ代表取締役社長、Indeed Japan代表取締役等を経て、2020年取締役就任。


社外取締役は、佐藤 明夫(弁護士)、夏野 剛(KADOKAWA 取締役 代表執行役社長 CEO)、丸尾 浩一(元大和証券専務取締役)、石山 アンジュ(シェアリングエコノミー協会代表理事)です。

2. 事業内容


同社グループは、「コンテンツ配信事業」「店舗・施設ソリューション事業」「通信・エネルギー事業」および「金融・不動産・グローバル事業」を展開しています。

(1) コンテンツ配信事業


映画、ドラマ、アニメなどの動画作品や電子書籍、音楽・ライブ配信などを提供する映像配信サービス「U-NEXT」およびMVNOサービス「y.u mobile」を運営しています。個人顧客を主な対象とし、ジャンルを超えたエンターテインメント体験を提供しています。

収益は主に個人顧客からの月額課金や都度課金による利用料収入です。運営は主に株式会社U-NEXTおよびY.U-mobile株式会社が行っています。

(2) 店舗・施設ソリューション事業


業務店やホテル、医療機関などの施設向けに、音楽配信、店舗DXサービス(POSレジ、配膳ロボット等)、自動精算機、フロント管理システムなどを開発・提供しています。また、飲食店向けの集客支援や音楽著作権の管理なども手掛けています。

収益は、機器の販売代金、システムの利用料、保守メンテナンス料などから得ています。運営は主に株式会社USEN、株式会社USEN-ALMEX、株式会社USEN Camera Solutionsなどが行っています。

(3) 通信・エネルギー事業


法人向けにICT環境構築やネットワークセキュリティサービスを提供するとともに、業務店・商業施設向けにブロードバンド回線の販売や電力小売(高圧・低圧)を行っています。また、店舗・施設が消費するエネルギーのグリーン化も推進しています。

収益は、通信回線の利用料や手数料、ICT機器の販売代金、電力の供給に対する対価(電気料金)などです。運営は主に株式会社USEN ICT Solutions、株式会社USEN NETWORKS、株式会社U-POWERが行っています。

(4) 金融・不動産・グローバル事業


店舗・施設向けの家賃債務保証、テナントビルの運営・不動産仲介、キャッシュレス決済サービス、および海外でのフードデリバリーブランドのフランチャイズ事業などを展開しています。新規育成事業として位置づけられています。

収益は、保証料、不動産賃貸料、決済手数料などから得ています。運営は主に株式会社USEN TRUST、株式会社USEN REALTY、株式会社USEN PAYなどが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は表示期間において毎期増収を達成しており、事業規模の拡大が続いています。利益面でも、経常利益および当期利益ともに増加傾向にあり、増収増益の堅調な成長トレンドを描いています。

項目 2021年8月期 2022年8月期 2023年8月期 2024年8月期 2025年8月期
売上高 2,084億円 2,379億円 2,763億円 3,268億円 3,904億円
経常利益 148億円 162億円 204億円 283億円 309億円
利益率(%) 7.1% 6.8% 7.4% 8.7% 7.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 186億円 49億円 64億円 78億円 46億円

(2) 損益計算書


前期と比較して売上高が大きく伸長しており、それに伴い売上総利益も増加しています。営業利益も増加しており、事業の拡大に伴って利益を創出する構造が維持されています。

項目 2024年8月期 2025年8月期
売上高 3,268億円 3,904億円
売上総利益 1,172億円 1,288億円
売上総利益率(%) 35.9% 33.0%
営業利益 291億円 316億円
営業利益率(%) 8.9% 8.1%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が297億円(構成比30.5%)、支払手数料が267億円(同27.4%)、販売促進費が126億円(同13.0%)を占めています。

(3) セグメント収益


U-NEXT HOLDINGSの事業は2025年8月期より、「コンテンツ配信事業」「店舗・施設ソリューション事業」「通信・エネルギー事業」「金融・不動産・グローバル事業」の4つの報告セグメントに変更・再編されています。

コンテンツ配信事業は、主力の「U-NEXT」において、ワーナーの動画配信サービス「Max」の独占配信やスポーツ配信(サッカー・ゴルフ等)の拡充などが奏功し、増収増益(売上16.6%増、利益12.3%増)となりました。

店舗・施設ソリューション事業は、飲食店向けPOSレジ「USENレジ」や宿泊・医療機関向け自動精算機など店舗DX関連が堅調に推移し増収となりましたが、利益面では人員増や事業拡大コスト等の影響で微減益(利益2.5%減)となりました。全社の中で最も高い利益率を誇る安定基盤です。

通信・エネルギー事業は、法人向けICTサービスや通信回線に加え、高圧・低圧電力の提供が拡大したほか、太陽光発電所併設型の大型電池事業を開始したこと等により、大幅な増収増益(売上37.6%増、利益13.9%増)を達成し、売上・利益ともに全社最大のセグメントへと成長しています。

金融・不動産・グローバル事業は、第4の柱として育成中の新規領域です。キャッシュレス決済の流通総額(GMV)の拡大や、テナント向け不動産事業の開始等により、順調な増収増益(売上21.6%増、利益6.4%増)となっています。

区分 売上(2024年8月期) 売上(2025年8月期) 利益(2024年8月期) 利益(2025年8月期) 利益率
コンテンツ配信事業 1,101億円 1,284億円 86億円 96億円 7.5%
店舗・施設ソリューション 968億円 971億円 168億円 164億円 16.9%
通信・エネルギー事業 1,172億円 1,613億円 116億円 132億円 8.2%
金融・不動産・グローバル 91億円 111億円 14億円 15億円 13.5%
調整額 -65億円 -75億円 -92億円 -91億円 -
連結(合計) 3,268億円 3,904億円 291億円 316億円 8.1%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のCFパターンは「積極型」です。営業活動で得た資金に加え、財務活動による調達も行いながら、将来の成長に向けた投資活動を積極的に実施しています。

項目 2024年8月期 2025年8月期
営業CF 159億円 207億円
投資CF -106億円 -202億円
財務CF -48億円 35億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は20.5%で市場平均を上回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も37.6%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「NEXT for U」をコーポレートスローガンとして定めています。これは、すべての人々の未来のために、エンターテインメントとテクノロジーで未来をより良く、新しくしていくという姿勢と決意を示しています。社会課題の解決を新たな事業機会と捉え、世の中に価値を提供する存在であり続けることを目指しています。

(2) 企業文化


「人財」を最も重要な経営資源と考え、「次世代を担うリーダーが育つ組織」作りに注力しています。社員一人ひとりが働くことに真剣に向き合い、働きの質を変えるため、グループ全体で働き方改革「Work Style Innovation」を展開しています。制度と設備の両面を整備し、社員の自発的かつ意欲的な行動を促しています。

(3) 経営計画・目標


2025年8月期を最終年度とする中期経営計画が順調に推移したことから、新たに中期経営計画「Road to 2030」を策定しています。経営指標として、売上高、EBITDA、CAPEXの計画維持に加え、自己資本比率やROE(株主資本利益率)を重要な指標として設定し、事業運営を行っています。

(4) 成長戦略と重点施策


5年後、10年後の社会を見据え、コンテンツ配信事業、店舗・施設向けIoT/DXサービス、法人向けICT/SaaSサービスの成長分野におけるサービス創出力と成長性を強化します。また、金融・不動産・グローバル事業を新たな収益の柱となる育成事業と位置づけ、既存事業とのシナジー創出や新市場への参入を推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「多様な人材が集まり育つ組織」をマテリアリティの一つに掲げ、「100社100人の社長を創出」「誇れる仕事・安心できる待遇」を重点テーマとしています。採用、働き方、成長、多様性、Well-Beingの5つの戦略を通じて組織を構築し、経営人材およびプロフェッショナル人材の採用・育成を最重要課題として推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年8月期 37.8歳 9.1年 6,496,000円


※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 11.8%
男性育児休業取得率 35.4%
男女賃金差異(全労働者) 46.9%
男女賃金差異(正規雇用) 59.7%
男女賃金差異(非正規雇用) 16.5%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、Remote Worker 比率(22.7%)、育休からの復職比率(98.3%)、定年再雇用比率(93.8%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) コンテンツ配信事業の競合激化と人口動態


動画配信サービス市場において、人口減少や高齢化によるコアターゲット層の減少が業績に影響する可能性があります。また、海外資本を含む新規参入や既存事業者との競争激化により、コンテンツ調達競争や価格競争が進み、競争優位性が低下した場合、契約者数が減少し業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 店舗・施設ソリューション事業の外部環境変化


主要顧客である業務店において、原材料費や人件費の高騰、深刻な人手不足による廃業の増加、または感染症の蔓延等による長期的な営業困難な状況が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。技術革新や市場ニーズへの対応遅れによるサービス陳腐化もリスク要因として認識しています。

(3) 通信・エネルギー事業の市場変動


通信分野では通信事業者の取引条件変更や競争激化、エネルギー分野では国際紛争等による電力調達価格の不安定化がリスク要因です。特に電力調達価格の上昇が顧客料金に波及し価格優位性が低下した場合、顧客流出により業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 情報セキュリティに関するリスク


サイバー攻撃、人為的ミス、システム脆弱性などにより、情報漏洩やサービス停止が発生した場合、社会的信用の失墜や損害賠償請求などにより、事業および業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。同社は専門組織「Usirt」を中心にセキュリティ対策に取り組んでいます。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。