※本記事は、アクサスホールディングス株式会社 の有価証券報告書(第10期、自 2024年9月1日 至 2025年8月31日、2025年11月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. アクサスホールディングスってどんな会社?
生活雑貨や化粧品、酒類などを扱う小売・卸売事業に加え、不動産事業も展開する総合ライフスタイル企業です。
■(1) 会社概要
2015年にアクサスおよびACリアルエステイトの株式移転により設立され、翌2016年に東京証券取引所へ上場しました。2020年には連結子会社であったアクサスを存続会社とする吸収合併を実施し、グループ体制の効率化を図っています。現在では、小売、卸売、不動産の3事業を柱に、六甲山蒸溜所の運営やM&Aを通じた事業拡大も進めています。
連結従業員数は135名、提出会社単体では11名です。筆頭株主は代表取締役社長の資産管理会社で、第2位は地方銀行です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| TKマネジメント | 66.0% |
| 四国銀行 | 1.4% |
| 阿波銀行 | 1.1% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は久岡卓司氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 久岡 卓司 | 取締役社長(代表取締役) | 2006年4月アクサス設立代表取締役社長。2013年4月TKマネジメント代表取締役社長。2016年3月同社設立より現職。 |
| 新藤 達也 | 取締役経営管理統括 | 1993年4月四国銀行入行。2016年8月同社入社経営推進室長などを経て、2017年9月より現職。 |
| 川内 真之 | 取締役経営推進統括 | 2006年8月アクサス入社。2021年11月同社取締役経営推進室長、2024年11月アクサス商品企画本部長より現職。 |
| 近藤 寿彦 | 取締役(監査等委員) | 2008年2月アクサス入社。2016年3月同社入社、経営推進室長などを経て、2021年11月より現職。 |
社外取締役は、大西雅也(大西雅也公認会計士・税理士事務所所長)、堀本昌義(株式会社オフィス・リゴレット代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「小売事業」「卸売事業」「不動産事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 小売事業
「チャーリー」「プラザアレックス」「アレックススポーツ」などの屋号で、化粧品、生活雑貨、スポーツ・アウトドア用品、酒類などを販売する実店舗およびECサイトを展開しています。一般消費者を主な顧客とし、美と健康、ライフスタイルを提案する商品を幅広く取り揃えています。
収益は、一般消費者への商品販売による代金です。運営は主にアクサスが行っているほか、EC事業についてはノースカンパニー、ハイブリッジ、アクサスリテールなども担っています。
■(2) 卸売事業
世界中から厳選した酒類、化粧品、ファッション雑貨等の輸入卸売や、六甲山蒸溜所におけるウイスキー製造・販売、OEM製造などを行っています。また、木材インテリアの輸入卸売も手掛けています。主な顧客は全国のショップ、工務店、ホームセンターなどです。
収益は、小売店や工務店等への商品卸売による代金です。運営は主にアクサスが行っており、木材関連はウォールデコ、OEM事業はGIVERSが担当しています。
■(3) 不動産事業
オフィスビル、複合商業施設、ロードサイド店舗などの不動産(土地を含む)を保有・管理し、事業者等へ賃貸しています。また、キャピタルゲインが見込める物件については販売用不動産として仕入れ、バリューアップ後の販売も行っています。
収益は、テナントからの賃貸料収入および販売用不動産の売却益です。運営は主にアクサスが行っています。
■(4) その他
報告セグメントに含まれない事業として、保険代理業を行っています。
収益は、保険契約に基づく手数料収入等です。運営はACサポートが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2021年8月期から2025年8月期までの業績を見ると、売上高は110億円台から120億円台で推移しており、直近の2025年8月期は121億円となりました。利益面では、経常損益が2024年8月期に赤字となりましたが、翌期には黒字回復しています。当期純利益は変動があるものの、直近では2.2億円の黒字を確保しています。
| 項目 | 2021年8月期 | 2022年8月期 | 2023年8月期 | 2024年8月期 | 2025年8月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 118億円 | 113億円 | 111億円 | 117億円 | 121億円 |
| 経常利益 | 2.7億円 | 3.1億円 | 0.3億円 | -1.0億円 | 0.0億円 |
| 利益率(%) | 2.3% | 2.8% | 0.3% | -0.9% | 0.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 2.3億円 | 0.6億円 | 1.1億円 | 0.3億円 | 2.2億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期の117億円から121億円へ増加し、売上総利益も微増しました。営業利益は前期の0.1億円から1.6億円へと大きく改善しており、利益率も向上しています。売上原価率は依然として高い水準にありますが、増収効果が利益押し上げに寄与した形です。
| 項目 | 2024年8月期 | 2025年8月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 117億円 | 121億円 |
| 売上総利益 | 30億円 | 31億円 |
| 売上総利益率(%) | 25.7% | 25.2% |
| 営業利益 | 0.1億円 | 1.6億円 |
| 営業利益率(%) | 0.1% | 1.4% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当及び賞与が8億円(構成比29%)、支払手数料が4億円(同15%)を占めています。売上原価については、商品仕入高が主な構成要素となっています。
■(3) セグメント収益
小売事業は一部店舗の休業や閉店の影響等により減収となりましたが、利益は増加しました。卸売事業は円安の影響等を受けつつも増収となりましたが、利益は減少しました。不動産事業は物件売却等により増収増益となり、全社の利益に大きく貢献しています。
| 区分 | 売上(2024年8月期) | 売上(2025年8月期) | 利益(2024年8月期) | 利益(2025年8月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 小売事業 | 80億円 | 74億円 | 0.6億円 | 1.5億円 | 2.1% |
| 卸売事業 | 31億円 | 41億円 | 0.8億円 | 0.7億円 | 1.8% |
| 不動産事業 | 7億円 | 7億円 | 2.5億円 | 2.6億円 | 38.0% |
| その他 | 0.0億円 | 0.0億円 | 0.0億円 | 0.0億円 | 25.8% |
| 調整額 | -9億円 | -9億円 | -4億円 | -3億円 | - |
| 連結(合計) | 117億円 | 121億円 | 0.1億円 | 1.6億円 | 1.4% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
なお、同社は在庫を多く抱える事業を主力としているため、営業CFのマイナスは棚卸資産(商品・販売用不動産等)の増加(事業拡大)に起因している可能性があり、必ずしも業績悪化を意味するものではありません。
| 項目 | 2024年8月期 | 2025年8月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 7億円 | -12億円 |
| 投資CF | -3億円 | 18億円 |
| 財務CF | 1億円 | -11億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は10.5%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は14.0%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「生活文化の質的な向上」を、美・健康・ゆとりの側面から時代の空気をお客様のライフスタイルに届けることをコアミッションとしています。顧客満足・社員満足・会社満足の3つの満足を高めることで企業価値向上を目指し、全ての関係者への利益還元と社会貢献の実現を掲げています。
■(2) 企業文化
同社グループは、多様な人材が個性の中にも共通する価値観と高い倫理観を持って行動することを重視しています。スタッフ行動規範冊子「アクサスの羅針盤」を作成し、これに基づいた研修を実施することで、基本的使命や社会的責任を認識し、日常業務における行動や判断の基準としています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、以下の項目を掲げています。
* 売上高
* 営業利益
* 自己資本利益率(ROE)
* 自己資本比率
■(4) 成長戦略と重点施策
小売事業では京阪神を中心に出店エリアを拡大し、マルチブランド展開や商品ミックスによる差別化を図ります。卸売・蒸溜所事業では海外市場開拓とオリジナル商品の拡販に注力します。不動産事業では資産の入替や販売用不動産の仕入れ・販売を強化します。また、M&Aも積極的に検討します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
お客様に良質な提案をスピーディーに届けるため、感性を磨き続け、プロフェッショナルとしての自覚を持った人材の育成に取り組んでいます。国内外の視察や研修制度、CS調査などを活用するほか、社員の健康増進と自己研鑽を目的とした「スポーツ魂支援制度」なども実施しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年8月期 | 48.0歳 | 11.3年 | 5,249,000円 |
※平均年間給与は基準外賃金及び賞与を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 0.0% |
| 男性育児休業取得率 | -% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 45.8% |
| 男女賃金差異(正規) | 50.3% |
| 男女賃金差異(非正規) | 36.2% |
※男性育児休業取得率について、育児休業等取得事由に該当する労働者がいないため「-」としています。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 小売事業における競合と市場変動
小売事業は激しい競争環境にあり、あらゆる販売チャネルが競合となります。提案力や独自性で差別化を図っていますが、価格競争や市場動向による来店客数の減少などが、同社グループの財政状態および業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 為替変動による仕入コストへの影響
卸売事業およびEC事業では商品を海外から輸入しており、取引通貨には米ドルやユーロ等が含まれます。急激な円安や長期的な円安進行は仕入価格の上昇を招き、価格転嫁が十分にできない場合、売上総利益率の低下など業績に影響を与える可能性があります。
■(3) 気候条件および自然災害の影響
季節商品の売上は気候条件に左右されるため、冷夏や暖冬などの変動が業績に影響する可能性があります。また、災害等により店舗周辺地域に被害が生じ、円滑な営業活動が阻害された場合も、事業運営および業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 財務制限条項への抵触リスク
子会社アクサス等は、金融機関とコミットメントライン契約等を締結しており、純資産額の維持や経常損益に関する財務制限条項が付されています。これらに抵触した場合、期限の利益喪失などにより、同社グループの財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。



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