バリュエンスホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

バリュエンスホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース上場。ブランド品、骨董・美術品等の買取・販売を行うリユース事業を展開。第14期は売上高が過去最高を更新し増収。利益面では営業利益、経常利益、当期純利益がいずれも前期の赤字から黒字転換を果たし、V字回復を実現しました。


**記事タイトル:バリュエンスホールディングス転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態**

※本記事は、バリュエンスホールディングス株式会社 の有価証券報告書(第14期、自 2024年9月1日 至 2025年8月31日、2025年11月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. バリュエンスホールディングスってどんな会社?

ブランド品や骨董・美術品等のリユース事業を展開し、買取からオークション運営、小売販売までを一貫して手掛ける企業です。

(1) 会社概要

2011年に株式会社SOUとして設立され、2013年に業者向けオークション「STAR BUYERS AUCTION」を開始しました。2018年に東証マザーズへ上場し、2020年に現社名へ変更して持株会社体制へ移行しました。2023年には本社を移転するなど、業容拡大に伴い組織体制を強化しています。

連結従業員数は1,124名、単体では80名です。筆頭株主は創業者であり代表取締役の嵜本晋輔氏の資産管理会社であるSFプロパティマネジメント、第2位は代表取締役の嵜本晋輔氏、第3位は嵜本晃次氏となっており、創業者一族が主要株主となっています。

氏名 持株比率
SFプロパティマネジメント 56.03%
嵜本 晋輔 4.26%
嵜本 晃次 3.40%

(2) 経営陣

同社の役員は男性9名、女性2名の計11名で構成され、女性役員比率は18.0%です。代表取締役は嵜本晋輔氏が務めています。社外取締役比率は54.5%です。

氏名 役職 主な経歴
嵜本 晋輔 代表取締役 2004年株式会社MKSコーポレーション常務取締役。2011年当社設立し代表取締役。2021年バリュエンスベンチャーズ代表取締役より現職。
六車 進 取締役 1996年オリンパス入社。ソニーを経て2018年当社入社。Valuence International Limited代表などを経て2025年より現職。
佐藤 慎一郎 取締役 大和総研、マネックス証券、デジタルガレージを経て2020年当社入社。経営管理本部長などを歴任し2025年より社長室長兼経理部長として現職。
冨田 光俊 取締役 三菱UFJ銀行、JPMorgan Chase Bank, N.A.、bitFlyerを経て2020年当社入社。2025年バリュエンスジャパン代表取締役兼営業本部長より現職。
髙見 健多 取締役(常勤監査等委員) PwCあらた監査法人、オリックス・ファシリティーズを経て2018年当社入社。内部監査室長などを経て2020年より現職。


社外取締役は、富山浩樹(サツドラホールディングス代表取締役社長CEO)、夫馬賢治(ニューラル代表取締役CEO)、平原依文(HI代表)、蒲地正英(公認会計士・税理士)、後藤高志(弁護士)、大村恵実(弁護士)です。

2. 事業内容

同社グループは、「ブランド品、骨董・美術品等リユース事業」の単一セグメントで事業を展開しています。

(1) ブランド品等の商品買取

ブランド品、貴金属、宝石、骨董・美術品等を対象に、国内および海外で買取を行っています。国内では「なんぼや」「BRAND CONCIER」「古美術八光堂」、海外では「ALLU」などの店舗を展開し、店頭・宅配・出張・オンラインの4つの方法で仕入を行っています。

この事業は主に一般消費者からの買取により商品を仕入れるモデルです。運営は主に連結子会社のバリュエンスジャパンや海外現地法人が担っており、百貨店や金融機関とのアライアンスによる買取も積極的に推進しています。

(2) ブランド品等の商品販売

買取した商品を、自社開催のオークション「STAR BUYERS AUCTION(SBA)」を通じて国内外のリユース事業者に販売するほか、小売店舗やECサイト「ALLU」を通じて一般消費者へ販売しています。また、地金などは専門業者へ卸販売を行っています。

収益源は、オークションでの落札代金や小売・卸売による販売代金のほか、パートナー企業からのオークション参加費や手数料収入などです。運営はバリュエンスジャパンや海外子会社が行っています。

(3) その他事業

ブランド品等とのシナジーが見込める自動車や不動産などの実物資産を取り扱うほか、時計やバッグの修理を行うリペア事業を展開しています。また、アプリやシステムの開発も行っています。

収益源は、自動車・不動産の仲介・販売手数料やリペアサービス料などです。運営はバリュエンスジャパンのほか、システム開発についてはバリュエンステクノロジーズが担っています。

3. 業績・財務状況

同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

直近5期間の業績を見ると、売上高は一貫して増加傾向にあり、事業規模の拡大が続いています。利益面では、2024年8月期に一時的に赤字となりましたが、2025年8月期には構造改革等の成果により営業利益、経常利益、当期利益ともに黒字転換を果たし、V字回復しています。

項目 2021年8月期 2022年8月期 2023年8月期 2024年8月期 2025年8月期
売上高 525億円 634億円 761億円 815億円 848億円
経常利益 10億円 18億円 20億円 -8億円 13億円
利益率(%) 1.9% 2.8% 2.7% -0.9% 1.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 7億円 10億円 14億円 -17億円 7億円

(2) 損益計算書

売上高は前期比で増加し、売上総利益率も改善しています。販管費は微減となっており、効率化が進んだ結果、営業利益は前期の赤字から大きく改善して黒字化しました。

項目 2024年8月期 2025年8月期
売上高 815億円 848億円
売上総利益 195億円 213億円
売上総利益率(%) 24.0% 25.1%
営業利益 -4億円 15億円
営業利益率(%) -0.5% 1.7%


販売費及び一般管理費のうち、給与及び賞与が48億円(構成比24%)、地代家賃が27億円(同13%)、広告宣伝費が21億円(同11%)を占めています。

(3) セグメント収益

同社は単一セグメントですが、売上高は前期比で増加しています。営業利益についても、売上総利益率重視の仕入やコストコントロールが奏功し、大幅な増益(黒字転換)となりました。

区分 売上(2024年8月期) 売上(2025年8月期) 利益(2024年8月期) 利益(2025年8月期) 利益率
ブランド品、骨董・美術品等リユース事業 815億円 848億円 -4億円 15億円 1.7%
連結(合計) 815億円 848億円 -4億円 15億円 1.7%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

本業の営業CFはマイナスですが、借入等による財務CFで資金を調達している「勝負型」です。なお、同社は在庫を多く抱える事業を主力としているため、営業CFのマイナスは棚卸資産(商品・販売用不動産等)の増加(事業拡大)に起因している可能性があり、必ずしも業績悪化を意味するものではありません。

項目 2024年8月期 2025年8月期
営業CF 2億円 -6億円
投資CF -21億円 -30億円
財務CF 5億円 19億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.8%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は23.8%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略

同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念

循環型社会における主要な取組であるリユースを中核とし、「Circular Design for the Earth and Us」をパーパスに掲げています。事業活動を通じて持続可能な社会へ貢献し、2030年には「Circular Design Company」の実現を目指しています。

(2) 企業文化

「大切なことにフォーカスする人を増やす」というミッションを掲げています。従業員一人ひとりが夢やキャリアを追求し、可能性を広げていくことが価値創出の起点となると考え、個人の成長と企業の成長が循環するような組織文化の醸成を目指しています。

(3) 経営計画・目標

2027年8月期を最終年度とする中期経営計画「To the Next Stage: For 2030 Revival Vision」を策定しています。2027年8月期に向けた主な目標指標は以下の通りです。
* なんぼや以外(海外含む)の仕入高比率:25%以上
* 買取顧客リピーター比率:50%以上
* オークション委託比率:40%以上
* 小売売上高比率:25%以上
* 海外仕入高成長率:CAGR 25%以上

(4) 成長戦略と重点施策

収益性向上に向けた構造改革を進めるとともに、小売拡大や海外仕入拡大などの重点領域へ厳選投資を行う方針です。具体的には、出店地域の厳選やアライアンスによる仕入体制の構築、オークションプラットフォームの機能拡充による委託拡大、越境ECを含む小売販売の強化などを推進します。

5. 働く環境

同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針

「事業成長」「人材確保」「配置」「処遇」「育成」「組織文化」の6つの観点で人材マネジメント方針を定めています。多様な個の可能性を最大限に引き出し、自らの意思で好きなことや得意なことに挑戦できる環境を提供することで、従業員のモチベーション向上と企業の成長を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計

同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年8月期 38.8歳 5.7年 5,736,000円


※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示

同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 22.7%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 72.0%
男女賃金差異(正規) 64.3%
男女賃金差異(非正規) 71.5%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、従業員エンゲージメントスコア(3.7)などです。

6. 事業等のリスク

事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) リユース品の仕入体制について

リユース品の買取仕入は顧客からの持込数に依存するため、量の調節が難しい特性があります。景気動向や競合増加、相場変動等により安定的な確保が困難になった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、専門知識を持つ買取スタッフの確保や、コピー商品・盗品の買取防止も重要な課題です。

(2) 店舗展開・運営について

国内外での店舗展開により仕入量を確保していますが、出店計画の遅れや不採算店舗の発生、賃料上昇、減損会計の適用などが業績に悪影響を与える可能性があります。また、大都市圏に店舗が集中しているため、災害等による影響を受けるリスクもあります。

(3) 外部環境の変化による影響

取扱商材の流行変化、為替や地金相場の変動、競合激化などが業績に影響を与える可能性があります。特に、海外販売における為替変動やインバウンド需要の増減は売上に影響します。また、有利子負債への依存度が高いため、金融情勢の変化による資金調達への影響もリスク要因となります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。