※本記事は、and factory株式会社 の有価証券報告書(第11期、自 2024年9月1日 至 2025年8月31日、2025年11月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. and factoryってどんな会社?
スマートフォン向けマンガアプリや占いアプリの共同開発・運営を主力とし、宿泊施設の運営も手掛ける企業です。
■(1) 会社概要
同社は2014年に設立され、スマートフォンアプリ事業を開始しました。2016年にはIoT事業としてスマートホステル「&AND HOSTEL」を開設。その後、2017年にスクウェア・エニックスと協業で「マンガUP!」をリリースするなど、大手出版社との協業モデルで事業を拡大し、2018年に東京証券取引所マザーズへ上場しました。2024年には株式会社サウスワークスを子会社化し、海外展開を加速させています。
2025年8月31日時点の従業員数は連結131名、単体128名です。筆頭株主は創業者の小原崇幹氏で、第2位は資本業務提携先である株式会社セプテーニ・ホールディングス、第3位は代表取締役社長の青木倫治氏です。経営陣と提携先企業が大株主となっており、安定的な株主構成となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 小原 崇幹 | 21.29% |
| セプテーニ・ホールディングス | 21.29% |
| 青木 倫治 | 4.56% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性1名の計6名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長は青木倫治氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 青木 倫治 | 代表取締役社長 | 2006年シーエー・モバイル(現CAM)入社。2015年同社取締役Smartphone APP Div.担当などを経て、2019年11月より現職。 |
| 小 原 崇 幹 | 取締役会長 | 2009年シーエー・モバイル(現CAM)入社。2014年同社設立とともに代表取締役に就任。2020年11月より現職。 |
| 蓮 見 朋 樹 | 取締役Corporate Div. Manager | 2006年あずさ監査法人入所。2016年同社入社、監査役を経て2019年11月より現職。Corporate Div.を担当。 |
社外取締役は、藤原久美子(公認会計士)、小名木俊太郎(弁護士法人GVA法律事務所代表弁護士)、呉 鼎(セプテーニ・インキュベート代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「APP事業」「RET事業」および「その他」事業を展開しています。
■APP事業
大手出版社等と共同開発した「マンガUP!」「マンガPark」等のマンガアプリや、WEBサービスの開発・運用を行っています。また、「uraraca」等の占いアプリや有名占い師の公式アプリも提供しており、スマートフォンユーザーに向けたエンターテインメントサービスを主力としています。
収益源は、アプリ内での電子マンガ販売による課金収入およびアドネットワークを通じた広告収入です。また、占いサービスでは相談時間に応じた課金や月額利用料を得ています。運営は同社が行うほか、連結子会社のサウスワークスがローカライズや海外パブリッシングを担っています。
■RET事業
IoTデバイスを活用したスマートホステル「&AND HOSTEL」の運営を行っています。また、不動産の売買仲介や開発コンサルティングも手掛けており、宿泊施設の企画・開発から運営までを一貫して提供しています。
収益源は、ホステルオーナーからの運営受託対価や、不動産の企画・開発に係るコンサルティングフィー、不動産仲介手数料です。運営は主に同社が行っています。
■その他
報告セグメントに含まれない事業として、マンガIP(知的財産)を活用した新たなビジネス展開を行っています。
収益源は、IPを活用した広告事業等による収益です。運営は同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2025年8月期より連結財務諸表を作成しているため、当期のみのデータとなります。当期は売上高32億円に対し、営業損失、経常損失、当期純損失といずれも赤字を計上しました。親会社株主に帰属する当期純損失は3億円となり、利益率はマイナスとなりました。
| 項目 | 2025年8月期 |
|---|---|
| 売上高 | 32億円 |
| 経常利益 | -3億円 |
| 利益率(%) | -8.3% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -3億円 |
■(2) 損益計算書
当連結会計年度の損益構成を見ると、売上原価率が約57%であるのに対し、販売費及び一般管理費が売上高の約52%を占めており、営業損失が発生しています。
| 項目 | 2025年8月期 |
|---|---|
| 売上高 | 32億円 |
| 売上総利益 | 14億円 |
| 売上総利益率(%) | 43.2% |
| 営業利益 | -3億円 |
| 営業利益率(%) | -8.4% |
販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が8億円(構成比48%)、給料及び手当が3億円(同15%)を占めています。売上原価においては、労務費が7億円(構成比40%)、経費が6億円(同31%)となっています。
■(3) セグメント収益
APP事業が全社売上の大半を占めていますが、RET事業も一定の収益を上げています。利益面ではAPP事業、RET事業ともに黒字を確保していますが、全社費用等の調整額が大きく、連結全体では営業損失となっています。
| 区分 | 売上(2025年8月期) | 利益(2025年8月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|
| APP事業 | 31億円 | 0.6億円 | 2.0% |
| RET事業 | 1億円 | 0.3億円 | 23.5% |
| その他 | 0.3億円 | -0.0億円 | -12.6% |
| 調整額 | - | -4億円 | - |
| 連結(合計) | 32億円 | -3億円 | -8.4% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
本業の営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスであり、投資活動も支出超過、財務活動でも借入返済等により支出が上回っています。本業での資金流出に加え、投資と財務活動でも資金が減少しており、手元資金が減少している状況です。
| 項目 | 2025年8月期 |
|---|---|
| 営業CF | -4億円 |
| 投資CF | -1億円 |
| 財務CF | -2億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は当期純損失計上のため算出できませんが、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は43.9%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「日常に&を届ける」をミッションとし、人々の生活を豊かにするサービスや事業の創出に取り組んでいます。特に生活必需品として普及しているスマートフォン関連事業を軸に展開することで、日常に影響を与えるサービスの創出が可能であると判断し、人々の暮らしに「&」を届け続ける「factory」として活動しています。
■(2) 企業文化
同社は「Quality・Challenge・Team play・Speed」をコア・バリューとして掲げています。これらの価値観に基づき、従業員一人ひとりが業務遂行能力や人格を高め、企業文化や経営方針への共感を持って活躍することを重視しています。また、少人数単位のチーム制や権限委譲により、意思決定の質とスピードを維持する組織設計を行っています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、持続的な成長と企業価値向上のため、収益力の向上と経営の効率化を目指しています。具体的には、売上高および営業利益を重要な経営指標と位置づけ、各経営課題に取り組んでいます。
■(4) 成長戦略と重点施策
今後の成長に向けて、既存のマンガ事業における利益確保と、エンタメ事業・RET事業の成長による業容拡大、新規事業の創出による収益改善を図る方針です。APP事業では、マンガアプリの成長と新規事業投資のバランスを取りつつ、縦スクロールマンガの制作やオリジナルIPの創出を進めます。また、占い事業では積極的な広告宣伝投資により規模拡大を目指します。RET事業では、宿泊施設の運営受託や不動産仲介・コンサルティング分野での収益確保に取り組みます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は事業拡大に伴い、業務遂行能力や企業文化への共感を兼ね備えた優秀な人材の採用に取り組んでいます。従業員のモチベーションを引き出すために目標管理制度や福利厚生等の人事制度構築に努めるとともに、フレックスタイム制やリモートワークを取り入れ、個人のライフスタイルに合わせた柔軟な働き方を推進しています。また、図書購入や勉強会参加の支援を通じて社員の能力開発も積極的に行っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年8月期 | 34.7歳 | 4.0年 | 6,098,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は公表義務に基づく公表項目として選択しておらず公表していないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) スマートフォンアプリ市場の成長性について
同社の中核であるAPP事業は、ユーザーの嗜好の変化が激しく、ニーズに対応できない場合は収益に影響を及ぼす可能性があります。特にマンガアプリ市場は参入障壁が低く競争が激化しており、市場成長の鈍化も懸念されます。同社は大手出版社との連携による人気タイトルの提供やオリジナルタイトルの開発で差別化を図っていますが、競争環境の変化が業績に影響を与えるリスクがあります。
■(2) 技術革新への対応について
インターネット関連分野は技術革新が速く、新技術への対応が遅れると競争力が低下する恐れがあります。また、対応のためのシステム投資や人件費が増加する可能性もあります。同社はエンジニアの採用・育成や開発環境の整備に注力していますが、技術革新への対応如何によっては、サービスの質の低下を招き、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(3) インターネット関連事業における法的規制について
APP事業は「資金決済法」や「景品表示法」など様々な法的規制の対象となっています。今後、インターネット関連事業者に対する新たな規制の制定や改正が行われた場合、業務の一部が制約を受けたり、新たな対応コストが発生したりする可能性があります。同社は法令遵守体制の整備や社員教育を行っていますが、規制環境の変化が業績に影響を与える可能性があります。



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