※本記事は、プリントネット株式会社 の有価証券報告書(2025年8月期、2024年9月1日 ~ 2025年8月31日、2025年11月26日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
プリントネットは、ネット印刷通信販売事業を主力としています。複数のウェブサイトを運営し、パンフレットやチラシ、Tシャツなど幅広い印刷物を提供しています。また、調剤薬局の経営も行っています。
単体従業員数は256名です。セグメントはネット印刷通信販売事業、その他の2つです。
プリントネットは、自社ウェブサイトを通じて顧客から注文を受け、工場で印刷・加工を行い製品を発送するインターネット印刷通信販売事業を主力としています。また、調剤薬局の経営も手掛けています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
プリントネットは、印刷業界において安定した事業基盤を持つ企業です。従業員の平均年齢や勤続年数から、比較的落ち着いた環境で長く働くことができる傾向が見られます。給与水準や働き方に関する具体的なデータから、同社の職場環境を詳しく見ていきましょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均勤続年数が8.4年、平均年齢が38.0歳となっており、従業員が一定期間定着している傾向がうかがえます。これは、中長期的なキャリア形成を考える上で参考となる情報です。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 4,260,000円 |
| 平均勤続年数 | 8.4年 |
| 平均年齢 | 38.0歳 |
| 単体従業員数 | 256人 |
同社は、給与や勤続年数に応じて給付額が決まる確定給付型の退職給付制度を採用しています。この制度は国内の従業員に適用されます。退職一時金制度がありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社は、「従業員、家族、お客様、株主様、お取引先様と共に進み、弊社にかかわる全ての人々が幸せになるための経営を行います。」という経営理念のもと、持続可能な社会の実現と企業価値向上を目指しています。社員一人ひとりの人権を尊重し、多様な人材が能力を最大限に発揮できる企業風土づくりに取り組んでいます。
優秀な人材の確保と育成を重視しており、人事部門を増員し、新卒・中途問わず積極的な採用活動を行っています。若い世代でも実績をあげた人材を管理職に登用することで、活気ある職場環境の実現を進めています。管理職候補の従業員に対しては、マネジメント力向上を目的としたセミナーを実施し、経営者の視点で物事を考え、幅広い視野で捉える力を養うことで、管理職に適した人材の育成に取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
同社は、管理職に占める女性労働者の割合および男性労働者の育児休業取得率について、公表義務の対象ではないため記載を省略しています。男女賃金差異は、女性活躍推進法に基づき算出されています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 81.3% |
| うち正規雇用労働者 | 81.6% |
| うちパート・有期労働者 | 88.1% |
多様性・登用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 新卒者の採用者に占める女性比率 | 75.0% |
育児・介護支援
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性育児休業等取得率 | 100.0% |
| 女性育児休業等取得率 | 100.0% |
人材育成・エンゲージメント
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 有給休暇取得率 | 90.3% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
プリントネットは、インターネットを活用した印刷通信販売を主力事業とする企業です。Webサイトを通じて顧客からの注文を受け、印刷物の製造から発送までを一貫して手掛けています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
プリントネットは、ネット印刷通信販売のWebサイト「プリントネット」「プリントプロ」「プリントネットウェア」を運営しています。パンフレット、フリーペーパー、チラシ、封筒、カレンダー、Tシャツなど、幅広い商品ラインナップを提供し、顧客の多様なニーズに応えています。
収益モデルの特徴として、顧客から完全データを受け取ってから業務を開始し、複数の異なるデータを1つの印刷用版に効率よく配置する「ギャンギング」処理によりコスト削減を図っています。また、BtoB顧客からの業務受託が多く、発送代行サービスも提供しています。国内市場に特化しており、海外からの売上高はありません。特定の顧客への販売実績では、ラクスル株式会社への売上が全体の一定割合を占める傾向にあります。
ネット印刷通信販売事業
同社は、Webサイトを通じて顧客から印刷物の注文を受け、印刷・加工・発送までを一貫して行っています。
収益は、パンフレットやチラシなどの印刷物、オリジナルウェアの販売から得ています。運営は、プリントネットが行っています。
前期に比べて大口得意先の印刷売上高は減少したものの、大口以外の得意先の印刷売上高は増加しており、利益率を重視する方針に転換しています。
その他事業
同社は、インターネット印刷通信販売事業の他に、調剤薬局を経営しています。
収益は、調剤薬局の運営によるものです。運営は、プリントネットが行っています。
前期に比べて売上高は減少しましたが、セグメント利益は改善し、損失から黒字に転換しています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
当事業年度の売上高は前期から減少したものの、営業利益、経常利益、当期純利益はいずれも増加したことが示されています。これは、原材料や光熱費の高騰が続く中で、商品の価格転嫁が進まなかったものの、大口得意先との取引内容を見直したことで、利益率が大きく改善したためです。
減収増益という結果は、同社が売上高よりも利益率を重視する経営方針に転換したことを反映しています。
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社の従業員数は256名であり、平均年齢は38.0歳、平均勤続年数は8.4年となっています。平均年間給与は4,260千円です。これらの数値は、同社の組織構成や従業員の定着状況、報酬水準の一端を示しています。
従業員一人あたりの収益性や生産性に関する具体的な数値は開示されていませんが、同社は生産性向上、プロセスの効率化、自動化の推進、従業員のスキル向上を通じてコスト削減に取り組む方針を示しています。また、事業戦略本部を中心にマーケティングやWebサイト機能の強化を図り、企業の成長性と効率性の確保を目指しています。
| 指標 | 2024年8月期 | 2025年8月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | - | - |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
プリントネットは、安定した財務基盤を構築し、事業活動で得た資金を効率的に活用している状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
プリントネットの財務基盤は、純資産が増加傾向にあり、手元資金も厚みを増している状況です。これにより、事業運営における安定性が確保されており、将来的な事業展開や雇用環境の維持に貢献していると考えられます。
| 指標 | 2024年8月期(前期) | 2025年8月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 37.8億円 | 41.7億円 |
| 自己資本比率 | - | - |
| ROE(自己資本利益率) | - | - |
| 現金及び預金等 | 10.0億円 | 15.3億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
プリントネットのキャッシュフローは、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローが当期に13.5億円の収入となり、前期から増加しています。これは主に税引前当期純利益の計上や減価償却費の増加によるものです。投資活動によるキャッシュフローは、有形固定資産の取得による支出があったものの、保険積立金の解約による収入もあり、支出額は前期より減少しています。
財務活動によるキャッシュフローは、短期借入れと返済、長期借入金の返済等により、当期は7.5億円の支出となっています。その結果、事業活動と投資活動を通じて自由に使える資金であるフリーキャッシュフローは12.7億円のプラスとなり、前期から大きく増加している状況です。これは、同社が本業で安定的に資金を生み出し、財務的な健全性を保ちながら事業を運営していることを示しており、雇用や給与の安定性にも寄与すると考えられます。
| 項目 | 2024年8月期(前期) | 2025年8月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 6.4億円 | 13.5億円 |
| 投資CF | △359百万円 | △74百万円 |
| 財務CF | △3.2億円 | △7.5億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 2.8億円 | 12.7億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
プリントネットは、主力事業であるネット印刷通信販売事業への依存度が高い状況です。国内印刷市場やインターネット印刷通販市場の縮小、または利用者の減少があった場合、同社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、ラクスル株式会社への売上依存度があり、同社からの受注が大幅に減少した場合には、業績に影響を与えるリスクがあります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社は、将来の事業発展のために多様な専門技術を持つ人材やマネジメント能力に優れた人材の確保・育成を重要な課題としています。少子高齢化や労働人口の減少が進む中で、必要な人材を継続的に獲得・育成できない場合、事業展開や業績、成長見通しに影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
プリントネットは、「謙虚な心で皆様と共に進む」を社是とし、関わる全ての人々の幸せを目指す経営を掲げています。持続可能な社会の実現と企業価値の向上に努め、社会貢献と経済活動の活性化を目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
プリントネットは、「謙虚な心で皆様と共に進む」を社是とし、従業員、家族、お客様、株主、取引先といった関わる全ての人々が幸せになるための経営を行うことを経営方針としています。この経営方針の達成に向けて、人材育成による社業の向上と利益還元を通じて、皆様の満足度向上に努めています。同社は、業界のリーディングカンパニーとなることを目指し、ユーザビリティの強化と業務効率化に注力しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
プリントネットは、「謙虚な心で皆様と共に進む」という社是のもと、関わる全ての人々の幸せを追求する経営を大切にしています。持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指し、社員一人ひとりの人権を尊重し、多様な人材が能力を発揮できる企業風土づくりに取り組んでいます。また、コーポレートガバナンスを経営上の重要課題と位置付け、迅速かつ的確な意思決定と監督機能の強化を図ることを重視しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
プリントネットが優先的に対処すべき課題として、人材の育成と確保を挙げています。多様な専門技術に精通した人材やマネジメント能力に優れた人材の確保、中長期的な成長を支える人材育成を継続的に推進しています。中間層を中心とした総合的な研修制度の導入や、ジョブローテーション制度、キャリア支援制度の構築を通じて、社員の定着と育成に努めています。
情報セキュリティ対策の強化も重要な課題です。顧客情報を取り扱うため、プライバシーマークやISMS認証の取得により対策を講じており、今後も運用レベルの向上と内部統制の強化を図っています。
さらに、環境や社会への配慮も重視しており、持続的な成長を目指す上で、オフセット印刷におけるノンVOCインキの使用など、環境負荷の低減に取り組んでいます。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
プリントネットは、透明性の高い経営と監視体制の強化を目指し、監査等委員会設置会社へ移行しています。株主総会、取締役会、監査等委員会を設置し、経営の意思決定と業務執行の監督を行っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
プリントネットの株主構成を見ると、筆頭株主はPNコーポレーションであり、次いで代表取締役CEOである小田原洋一氏が上位株主として名を連ねています。創業家が関連会社を通じて上位に位置しており、経営に対して強い影響力を持つ資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| PNコーポレーション | 39.33% |
| 小田原 洋一 | 14.53% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 7.83% |
| 森田 樹里 | 2.85% |
| 金 大鉱 | 1.76% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は5名(男性5名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役CEOは小田原洋一氏が務めています。社外取締役比率は60.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 小田原 洋一 | 代表取締役CEO | 1984年4月有限会社秀英社入社、1985年9月同社入社、1987年7月同社取締役就任、2005年11月同社代表取締役社長就任、2022年12月同社代表取締役会長兼社長就任、2025年11月同社代表取締役CEOより現職。 |
| 小田原 一誠 | 取締役COO | 2013年4月日本アグフア・ゲバルト株式会社(現:エコスリージャパン株式会社)入社、2015年1月同社入社、2019年2月同社製造部東京西工場長、2021年8月同社執行役員製造本部長、2023年12月同社執行役員管理本部長、2025年11月同社取締役COOより現職。 |
社外取締役は、佐藤清一氏(東レ印写システム事業部顧問)、大久保範俊氏(大久保範俊税理士事務所代表)、上釜明大氏(福元法律事務所弁護士)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、監査等委員である社外取締役3名が取締役会に出席し、取締役の業務執行を監視する体制を構築しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社では、役員の報酬について、企業価値の継続的な向上を目指し、業績指標等を総合的に勘案して金額を決定する方針を掲げています。取締役(監査等委員である取締役を除く)の報酬は、株主総会で決議された範囲内で、取締役会が職位や職務内容、貢献度を考慮して決定しています。監査等委員である取締役の報酬は、株主総会で決議された範囲内で監査等委員会が協議して決定しています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 1名 | 31百万円 | 31.0百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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