※本記事は、ホームポジション株式会社 の有価証券報告書(第36期、自 2024年9月1日 至 2025年8月31日、2025年11月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ホームポジションってどんな会社?
同社は、静岡県および関東エリアを地盤に、デザイン性とコストパフォーマンスを両立させた戸建分譲住宅を提供する不動産会社です。
■(1) 会社概要
1989年に静岡市で設立され、翌年より新築戸建分譲事業を開始しました。その後、横浜、名古屋、埼玉などに支店を開設して事業エリアを拡大し、2022年に東証スタンダード市場へ上場しました。2024年にはケイアイスター不動産と資本業務提携を締結し、関東エリアでのシェア拡大と経営基盤の強化を進めています。
同社(単体)の従業員数は104名です。筆頭株主は資本業務提携先のケイアイスター不動産で、第2位は創業者の伴野博之氏、第3位は同氏の資産管理会社である伴野アセットマネジメントです。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| ケイアイスター不動産 | 35.61% |
| 伴野 博之 | 31.58% |
| 伴野アセットマネジメント | 5.34% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は伴野博之氏が務めています。社外取締役比率は75.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 伴野 博之 | 代表取締役社長 | 三菱電機等を経て1989年に同社設立、代表取締役社長に就任。2022年より伴野アセットマネジメント代表取締役を兼務し、現在に至る。 |
| 海野 純子 | 常務取締役 | 1999年に入社後、横浜支店長、設計施工本部長などを歴任。2024年9月より現職。 |
社外取締役は、堀口幸昌(ケイアイプランニング代表取締役)、山﨑俊一(新山形ホームテック取締役)、菊地隆夫(元NECフィールディング取締役)、長町真一(長町法律事務所代表)、小林秀一(小林法務会計事務所代表)、阿部和彦(ケイアイスター不動産取締役常務執行役員CFO)です。
2. 事業内容
同社は、「戸建分譲事業」の単一セグメントで事業を展開しています。
**戸建分譲事業**
同社は、静岡県を中心とする東海エリア(静岡・愛知・岐阜)および関東エリア(神奈川・埼玉・東京・千葉)において、新築一戸建て住宅の分譲を行っています。土地の仕入れからプランニング、デザインを自社で行い、施工は協力業者へ発注する体制をとっています。デザイン専門部署による「一棟一棟個性のある」住宅づくりが特徴です。
収益は、主に一般顧客への戸建住宅および土地の販売代金から得ています。また、不動産賃貸収入なども一部含まれます。運営はホームポジションが単独で行っています。
3. 業績・財務状況
同社の業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は2023年8月期の198億円をピークに減少傾向にあり、2025年8月期は174億円となりました。利益面では、2024年8月期に赤字を計上しましたが、当期は経常利益4.1億円、当期純利益3.9億円と黒字回復を果たしています。利益率は変動が大きく、市況や在庫調整の影響を受けています。
| 項目 | 2021年8月期 | 2022年8月期 | 2023年8月期 | 2024年8月期 | 2025年8月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 134億円 | 184億円 | 198億円 | 197億円 | 174億円 |
| 経常利益 | 6.6億円 | 7.1億円 | 1.7億円 | -7.5億円 | 4.1億円 |
| 利益率(%) | 4.9% | 3.9% | 0.9% | -3.8% | 2.3% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 4.2億円 | 4.8億円 | 1.2億円 | -6.9億円 | 3.9億円 |
■(2) 損益計算書
2024年8月期と2025年8月期を比較すると、売上高は減少したものの、売上総利益率は6.2%から13.4%へと大幅に改善しました。これにより、営業損益および経常損益は黒字に転換しています。販売費及び一般管理費は微減にとどまりましたが、粗利益の改善が利益回復に寄与しました。
| 項目 | 2024年8月期 | 2025年8月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 197億円 | 174億円 |
| 売上総利益 | 12億円 | 23億円 |
| 売上総利益率(%) | 6.2% | 13.4% |
| 営業利益 | -5.7億円 | 5.6億円 |
| 営業利益率(%) | -2.9% | 3.2% |
販売費及び一般管理費のうち、支払手数料が5.2億円(構成比30%)、給料及び手当が3.6億円(同21%)、租税公課が2.0億円(同12%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社は戸建分譲事業の単一セグメントであるため、セグメント別の利益情報は開示されていません。全社の売上高は前期比で減少しました。これは販売件数が前期の574棟から461棟へ減少したことが主な要因です。
| 区分 | 売上(2024年8月期) | 売上(2025年8月期) |
|---|---|---|
| 戸建分譲事業 | 197億円 | 174億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、本業の営業CFがマイナスとなる一方で、借入や増資により資金を調達する「勝負型(在庫増加による先行投資)」のキャッシュ・フロー状態にあります。なお、同社は在庫を多く抱える事業を主力としているため、営業CFのマイナスは棚卸資産(商品・販売用不動産等)の増加(事業拡大)に起因している可能性があり、必ずしも業績悪化を意味するものではありません。
| 項目 | 2024年8月期 | 2025年8月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 29億円 | -19億円 |
| 投資CF | -1.0億円 | -6.7億円 |
| 財務CF | -25億円 | 23億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.4%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は39.9%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、『「家がほしい」すべての人のために。』という企業理念を掲げています。マイホームを持つことにより多くの家族が幸せを感じられるよう、価格を抑えながらも、デザイン性・品質・性能・居住性に優れた住宅を供給することを目指しています。
■(2) 企業文化
「家族が幸せになる家」という理想を追求し、顧客満足度を高める家づくりを重視しています。デザイン力の向上を目的とした社内勉強会やデザイン戦略室の設置など、全社を挙げてデザイン性を追求する風土があります。また、街づくりの観点から分譲地全体をトータルデザインし、地域社会への貢献も目指しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、今後の事業規模の飛躍的な拡大を目指し、中長期的には以下の数値目標を掲げています。
* 売上高:1,000億円
* 販売棟数:3,000棟
■(4) 成長戦略と重点施策
中長期的な収益力向上に向け、関東エリアでのシェア拡大とプロジェクト用地取得の強化を重点施策としています。関東6拠点での販売拡大に加え、在庫回転率の改善による収益性向上や、ケイアイスター不動産との資本業務提携によるシナジー創出を推進します。また、土地開発分譲の推進や人財の確保・育成にも注力する方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
専門資格を有する従業員の育成を重視し、資格取得やセミナー受講を推奨しています。また、年齢や性別にとらわれない公平な人事評価制度や、業務改善提案制度の導入により、従業員が成長し意欲的に働ける環境整備を進めています。さらに、多様な働き方に対応し、女性活躍の推進にも取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年8月期 | 43.6歳 | 4.0年 | 712万円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 8.5% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規雇用) | - |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | - |
※同社は公表義務の対象ではないため、有報には男性育児休業取得率および男女賃金差異の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性従業員比率(39.4%)、有給休暇取得率(65.0%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 景気動向及び不動産市況
戸建分譲事業は、景気や金利動向、税制の影響を受けやすく、顧客の購買意欲や用地取得価格が変動する可能性があります。市況の変化が経営成績に影響を及ぼす恐れがあるため、外部環境を注視し、機動的な仕入・販売活動に努めています。
■(2) 建築コストの上昇
ウッドショック以降、木材や金属類、人件費等の建築コストが高止まりしています。コスト上昇分を販売価格に転嫁できない場合や、価格上昇により需要が減退した場合には、業績に悪影響が生じる可能性があります。代替手段の確保や新規購買先の開拓等により対策を進めています。
■(3) 競合との競争激化
主要エリアである静岡県や関東圏には大手ハウスメーカーや地場業者が多数存在し、競争が行われています。特に静岡県での競争激化が予想される中、仕入や販売に影響が出た場合、業績が悪化する可能性があります。関東エリアでのシェア拡大や商品力強化による差別化を図っています。
■(4) 在庫リスク
事業拡大のために販売用不動産等を積極的に取得・保有していますが、需要低下や嗜好の変化により在庫が滞留した場合、資金固定化や評価損計上、値引き販売による利益率低下のリスクがあります。在庫回転率の管理や販売ルールの厳格化により、リスク軽減に努めています。



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