カーブスホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

カーブスホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場の女性向けフィットネスチェーン。「女性だけの30分健康フィットネス カーブス」を主力に、国内約2,000店舗を展開しています。会員数の回復・増加に加え、プロテインなど会員向け物販が好調に推移し、売上高および各利益段階において過去最高を更新、増収増益となりました。


※本記事は、株式会社カーブスホールディングス の有価証券報告書(第17期、自 2024年9月1日 至 2025年8月31日、2025年11月21日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. カーブスホールディングスってどんな会社?


女性向けフィットネス「カーブス」をグローバルに展開する企業グループ。FC方式で地域密着型の店舗網を構築しています。

(1) 会社概要


2005年に株式会社カーブスジャパンが設立され、直営1号店をオープンしました。2008年に株式会社コシダカ(現コシダカホールディングス)が同社を買収し、持株会社としてカーブスホールディングスを設立。その後、2018年にグローバルフランチャイザー(世界総本部)を買収、2019年には欧州事業も買収しました。2020年にスピンオフによりコシダカグループから分離独立し、単独上場を果たしています。

同社グループは連結従業員数601名、単体29名の体制です。筆頭株主は株式会社ヨウザンで、第2位は信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行です。上位株主には資産管理会社や信託銀行が名を連ねています。

氏名 持株比率
ヨウザン 31.71%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 10.90%
NORTHERN TRUST CO.(AVFC) RE FIDELITY FUNDS 6.50%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長兼グループCEOは増本岳氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。

氏名 役職 主な経歴
増本 岳 代表取締役社長兼グループCEO 日本LCA、ベンチャー・リンクを経て、2005年カーブスジャパン代表取締役社長。2011年より現職。現在はCurves International, Inc.のCEO等も兼任。
坂本 眞樹 取締役 パナリンガ、ベンチャー・リンクを経て、2005年カーブスジャパン出向。同社代表取締役社長などを歴任し、2011年より現職。現在はカーブスジャパン代表取締役社長。
増本 陽子 取締役 ベンチャー・リンクを経て、2005年カーブスジャパン出向。同社取締役副社長を経て、2011年より現職。現在はカーブスジャパン代表取締役副社長。
松田 信也 取締役管理本部長 髙島屋を経て、2011年コシダカホールディングス入社。カーブスジャパン経営管理部長などを経て、2018年より現職。


社外取締役は、川田豊和(元ウィルズ)、山本禎良(公認会計士)、寺石雅英(大学教授)です。

2. 事業内容


同社グループは、「カーブス事業」の単一セグメントで事業を展開しています。

カーブス事業


女性向けの30分間サーキットトレーニングを提供するフィットネスクラブ「カーブス」等を運営しています。主な顧客は健康維持や介護予防に関心を持つ女性層です。国内では「女性だけの30分健康フィットネス カーブス」に加え、男性向け「メンズ・カーブス」や「ピント・アップ」などの新ブランドも展開しています。

国内ではフランチャイズ加盟店からのロイヤルティ、加盟金、機器・商品販売収入に加え、直営店舗からの会費収入や会員向け物販収入を得ています。海外ではグローバルフランチャイザーとして世界各国のマスターフランチャイジーからのロイヤルティ収入等を得ています。運営は国内を株式会社カーブスジャパンや株式会社ハイ・スタンダード、海外をCurves International, Inc.やCurves Europe B.V.等が担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は順調に拡大しており、増収傾向が続いています。経常利益も売上高の伸長に伴い増加しており、高い利益率を維持しています。当期利益についても黒字基調で推移しており、全体として成長と収益性を両立させた業績トレンドを示しています。

項目 2021年8月期 2022年8月期 2023年8月期 2024年8月期 2025年8月期
売上高 247億円 275億円 300億円 355億円 376億円
経常利益 17億円 33億円 38億円 55億円 65億円
利益率(%) 7.0% 12.0% 12.8% 15.4% 17.3%
当期利益(親会社所有者帰属) -1億円 -1億円 5億円 25億円 36億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益、営業利益ともに増加しています。売上総利益率および営業利益率も改善傾向にあり、効率的な事業運営が進んでいることがうかがえます。収益性の向上が継続しており、安定した収益構造となっています。

項目 2024年8月期 2025年8月期
売上高 355億円 376億円
売上総利益 151億円 160億円
売上総利益率(%) 42.7% 42.7%
営業利益 55億円 63億円
営業利益率(%) 15.4% 16.9%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給与が19億円(構成比20%)、広告宣伝費が14億円(同15%)、商標権償却が14億円(同15%)を占めています。

(3) セグメント収益


同社は単一セグメントのため、セグメント利益は開示されていません。売上高、利益ともに前期を上回る結果となりました。会員数の増加や会員向け物販の好調が業績を牽引しています。

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、営業活動で得たキャッシュを借入金の返済に充てつつ、投資も行っている「健全型」のキャッシュ・フロー状態です。

項目 2024年8月期 2025年8月期
営業CF 54億円 62億円
投資CF -10億円 -7億円
財務CF -43億円 -49億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は21.8%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は51.4%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「女性だけの30分健康フィットネス カーブス」を中心とした事業を通じ、「健康の大切さ」「予防の大切さ」「筋トレの大切さ」を広めることを使命としています。運動を習慣化することで「お客様の豊かな人生を実現していただくこと」、そして「病気と介護の不安と孤独のない生きるエネルギーが溢れる社会をつくる」ことを事業目的としています。

(2) 企業文化


同社は「地域密着の健康インフラ」として社会課題の解決に貢献することを重視しています。また、人材を最も重要な経営資源と位置づけ、「やりがい・成長実感・存在価値」を高め続けることを経営上の重要課題としています。創業初期より「女性が輝く職場No.1の実現」を掲げ、実力主義や充実した教育制度によるスキルアップを重視する文化があります。

(3) 経営計画・目標


2025年8月期本決算において、「カーブスグループ中期ビジョン2030年・2035年」を発表しています。2030年および2035年に向けて、店舗数、会員数、チェーン売上などの具体的な数値目標(ターゲット)を設定し、事業の拡大を目指しています。

* 2030年ターゲット:店舗数3,150店舗、会員数140万人、チェーン売上1,800億円
* 2035年ターゲット:店舗数3,500店舗、会員数150万人、チェーン売上2,000億円
* 2030年連結業績ターゲット:売上高780億円、営業利益180億円、営業利益率23%

(4) 成長戦略と重点施策


「地域密着の健康インフラ」として成長するために、顧客満足度の向上と独自のマーケティングによる会員基盤の拡大を図ります。また、顧客の健康的な食生活を支える商品開発と物販の拡大、男性向け「メンズ・カーブス」や新ブランド「ピント・アップ」などの新規事業による店舗網拡大を推進します。さらに、欧州などの海外事業展開も強化します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材を最重要の経営資源と位置づけ、働く人一人一人の人間性を尊重し、やりがいと成長を実感できる環境づくりを目指しています。「女性が輝く職場No.1」を掲げ、正社員採用や週休2日制などを導入してきました。現在は人的資本投資を強化し、待遇向上と体系的な教育制度を通じてプロフェッショナル人材の育成に注力しています。ジェンダーや人種に関わらず実力で評価される公平な人事制度を運用しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年8月期 37.8歳 6.4年 6,200,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 62.5%
男性育児休業取得率 40.0%
男女賃金差異(全労働者) 83.8%
男女賃金差異(正規雇用) 88.2%
男女賃金差異(非正規雇用) 121.8%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 加盟店との関係維持


国内事業においてはフランチャイズ加盟店の出店を継続的に進めていますが、加盟店とのトラブル、契約解約、訴訟等の発生や、適切な出店物件の不足などにより出店が計画通りに進まない場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、海外事業においてもマスターライセンシーとの関係悪化や契約解除などが生じた場合、同様の影響が出る可能性があります。

(2) 単一業態への依存


主力事業である「カーブス」に加え、「メンズ・カーブス」「ピント・アップ」等の新事業を展開していますが、現状では「カーブス」への依存度が高くなっています。景気悪化や消費環境の変化により健康への投資意欲が減退した場合、他の業態でカバーすることが難しく、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 原材料価格の高騰


主要な販売商品であるプロテインの原材料は海外から輸入しています。為替の円安進行や天候不順等による供給量減少などの要因で原材料価格が高騰した場合、コスト増となり業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 人材の確保・育成


多店舗展開を行う接客サービス業であるため、顧客満足度を高め会員を獲得するためには人材の確保と育成が不可欠です。採用難や退職者の増加により、店長やマネージャーに適した優秀な人材を十分に確保できなくなった場合、店舗運営や事業拡大に支障をきたし、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。