ディア・ライフ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ディア・ライフ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場のディア・ライフは、首都圏でのマンション開発や収益不動産の投資・運用を行うリアルエステート事業を主力とします。人材派遣を行うセールスプロモーション事業も展開。2025年9月期は不動産販売が好調に推移し、売上高785億円、経常利益78億円と大幅な増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社ディア・ライフ の有価証券報告書(第21期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月16日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ディア・ライフってどんな会社?


首都圏で都市型マンションの開発・投資を行う不動産事業と、不動産業界等への人材派遣事業を展開しています。

(1) 会社概要


同社は2004年に東京都千代田区で設立され、不動産仲介と労働者派遣事業を開始しました。2007年に東証マザーズへ上場し、2015年には東証一部へ市場変更を果たしました。その後、2021年にアイディおよびアイディプロパティを子会社化し、不動産事業の機能を強化しています。2022年の市場区分見直しに伴い、現在は東証プライム市場に上場しています。

2025年9月30日現在、連結従業員数は639名、単体では42名体制です。筆頭株主は有限会社ディアネス、第2位は日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)、第3位は創業者の阿部幸広氏です。

氏名 持株比率
有限会社ディアネス 37.19%
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 8.36%
阿部幸広 2.41%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性3名の計14名で構成され、女性役員比率は21.0%です。代表取締役社長は阿部幸広氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。

氏名 役職 主な経歴
阿部 幸広 代表取締役社長 2004年同社設立とともに代表取締役社長就任。パルマ取締役会長、アルシエ代表取締役会長、アイディ代表取締役等を兼務し、グループ経営を牽引。
青木 寛 取締役戦略開発室長 2005年入社。リアルエステートユニット長や社長補佐などを歴任。アイディおよびアイディプロパティの取締役を兼務し、2025年より現職。
合田 伸 取締役事業推進室長兼リアルエステート第1ユニット長補佐 2007年入社。リアルエステートユニット事業推進部長、専務執行役員等を経て、2025年より現職。
横須賀 龍 取締役リアルエステート第2ユニット長 レーサムを経て2008年入社。投資運用部長、専務執行役員等を歴任し、2022年より現職。
秋田 誠二郎 取締役コーポレートストラテジーユニット長 アガットコンサルティング、べレックスを経て2015年入社。2019年より現職。アルシエ等の取締役を兼務。
今村 修二 取締役リアルエステート第3ユニット長 双日、ヴェロックス・アセット・マネジメント、ルビコン・アセット・マネジメント代表取締役等を経て2021年入社。2022年より現職。
杉本 弘子 取締役 2005年入社。セールスプロモーションユニット長を経て2014年より現職。アルシエ取締役を兼務。
横山 美帆 取締役 カーギルジャパン等を経て弁護士登録。清水謙法律事務所代表弁護士。スターフライヤー取締役会長等を兼務。2017年より現職。
伊藤 天心 取締役 西洋環境開発、モルガン・スタンレー・プロパティ等を経て、M&G Real Estate Japan代表取締役社長等を歴任。2020年より現職。
関 敏昭 取締役 野村不動産入社後、同社常務取締役、野村不動産パートナーズ社長、野村不動産HD副社長等を歴任。2022年より現職。
濵田 京子 取締役 三井不動産等を経てエキップコンサルティング代表取締役、エキップ社会保険労務士法人代表社員。2023年より現職。


社外取締役は、横山美帆(清水謙法律事務所代表弁護士)、伊藤天心(元M&G Real Estate Japan社長)、関敏昭(元野村不動産HD副社長)、濵田京子(エキップ社会保険労務士法人代表社員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「リアルエステート事業」「セールスプロモーション事業」を展開しています。

(1) リアルエステート事業


東京都区部及びその周辺エリアにおいて、単身者・DINKS層向けの都市型レジデンス等の開発・企画、土地の開発適地化(アセット・デザイン&リセール)、収益不動産の投資・運用、不動産仲介等を行っています。不動産会社、事業法人、不動産投資ファンド、個人投資家などが主な顧客です。

収益は、開発・バリューアップした不動産の販売代金や、保有不動産からの賃料収入、仲介手数料などから構成されます。運営は主にディア・ライフが行い、連結子会社のアイディ、アイディプロパティが不動産管理や仲介等の関連業務を担っています。

(2) セールスプロモーション事業


不動産業界および保険・金融業界に対し、販売支援職種や事務職種をメインとした人材派遣・紹介事業を行っています。不動産業界向けにはマンション販売・賃貸の現場スタッフ、保険・金融業界向けにはコールセンタースタッフや事務スタッフ等を派遣しています。

収益は、顧客企業から受け取る人材派遣料や紹介手数料、業務受託料等からなります。運営は連結子会社のアルシエが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は264億円から785億円へと約3倍に拡大しています。特に2025年9月期は前期比で大幅な増収となりました。経常利益も40億円台から70億円台へと推移しており、高い利益水準を維持しながら成長を続けています。利益率は概ね10%前後で安定して推移しています。

項目 2021年9月期 2022年9月期 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期
売上高 264億円 519億円 435億円 469億円 785億円
経常利益 41億円 57億円 62億円 47億円 78億円
利益率(%) 15.6% 10.9% 14.2% 9.9% 10.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 30億円 35億円 38億円 25億円 45億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高は469億円から785億円へと大幅に増加しました。売上総利益も71億円から108億円へと伸長しています。営業利益は46億円から77億円へ増加し、営業利益率は9.9%と前期並みの水準を維持しています。事業規模の拡大に伴い、利益額が大きく伸びていることがわかります。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 469億円 785億円
売上総利益 71億円 108億円
売上総利益率(%) 15.1% 13.7%
営業利益 46億円 77億円
営業利益率(%) 9.9% 9.8%


販売費及び一般管理費のうち、支払手数料が7億円(構成比24%)、租税公課が6億円(同19%)、給与手当が6億円(同18%)を占めています。

(3) セグメント収益


リアルエステート事業は、都市型レジデンスや収益不動産の売却が好調で、売上が大幅に増加しました。セールスプロモーション事業は、一時的な需要減退があり微減収となりましたが、利益面では増加を確保しています。全体として不動産事業の好調が業績を牽引しました。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期) 利益(2024年9月期) 利益(2025年9月期) 利益率
リアルエステート事業 428億円 746億円 54億円 86億円 11.6%
セールスプロモーション事業 41億円 39億円 0.2億円 0.8億円 2.0%
調整額 -0.0億円 -0.0億円 -8億円 -10億円 -
連結(合計) 469億円 785億円 46億円 77億円 9.8%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

営業でしっかり資金を生み、在庫も減ったため、現金は大きく増えました。いっぽうで、借入金の返済と配当の支払いが進んだため、財務面では資金が出ていきました。全体としては、事業で稼いだお金を返済と株主還元に回した内容です。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF -59億円 141億円
投資CF 1億円 0.4億円
財務CF 26億円 -57億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は20.2%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は59.3%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「私たちと出会った全ての方々の<大切な人生~dear life~>をもっと豊かにしていただきたい」を経営理念としています。機会の潜在価値を最大化することで、関係者の満足度向上と地域社会・業界の発展に貢献し、企業の継続的発展と価値拡大を目指しています。

(2) 企業文化


同社は「時間を大切にし、能力と創造力を最大限に発揮できる場を作る」「目標を定め、その達成のために常に努力し、その過程を人生の楽しみとする」という行動指針を掲げています。専門知識と経験に基づき自律的に行動し、推進力と協調性のバランスを持って価値を創造できる人材を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社は中期経営計画「挑戦 2025 ~ Catch the Wave ~」において、持続可能な社会への貢献と不動産商社としての成長を目指しています。最終年度である2028年9月期の定量目標として、以下の指標を掲げています。

* 連結経常利益:150億円
* 連結ROE:20%以上
* ROIC:12%水準
* 自己資本比率:40%以上

(4) 成長戦略と重点施策


主力事業の成長と新たな市場への参入により企業価値向上を図ります。不動産分野では東京23区での開発規模拡大とポートフォリオ最適化を進め、人材サービス分野では専門性と教育力を強化し高付加価値化を目指します。また、M&Aによる事業拡大や人的資本・DXへの投資も推進します。

* 不動産事業:東京23区に重点を置いたオーガニックグロース、ポートフォリオ最適化
* 人材サービス事業:専門性・教育力・ブランド力の融合、高付加価値化
* 戦略投資:M&A活用による成長加速
* 人的資本投資:多様な人材が活躍できる環境整備
* DX投資:AI活用による業務効率化と自律型組織への変革

5. 働く環境


同社的人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「人」を最重要資産と位置づけ、企業価値と社会価値を創造できる人材の育成に取り組んでいます。OJTによる若手の早期戦力化や、専門性と協調性を兼ね備えた人材の育成を推進し、多様な人材が能力を最大限発揮できる環境整備や評価制度の充実に注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 28.8歳 3.1年 7,867,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 33.3%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 92.9%
男女賃金差異(正規雇用) 91.7%
男女賃金差異(非正規雇用) 54.1%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経済情勢の変動


主力のリアルエステート事業は、景気、金利、地価などのマクロ経済要因の影響を受けやすい特性があります。経済情勢の悪化により不動産投資意欲の低下や取引減少などが生じた場合、保有物件の評価損や売却損が発生し、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 事業エリアの集中


同社グループは東京圏を中心に事業を展開しています。競合他社との競争激化や、同地域における災害、地域経済の悪化などが生じた場合、業績に影響を与える可能性があります。特に東京23区に重点を置いているため、エリア固有のリスクに対する感応度が高くなっています。

(3) 外注管理


不動産事業において、設計・施工・管理等を外部の専門会社に委託しています。外注先の確保困難や契約不履行、破綻等の事態が発生した場合、工事の遅延や停止、追加費用負担などが生じ、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) 有利子負債への依存


事業用地や収益不動産の取得資金を主に金融機関からの借入で調達しており、総資産に占める有利子負債の比率が一定程度存在します。金利上昇による調達コスト増加や、金融情勢の変化により十分な資金調達ができない場合、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。