アイドマ・ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アイドマ・ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所(グロース市場)に上場しており、中小企業の営業支援や在宅ワーク支援を行うワーク・イノベーション事業を主力としています。直近の業績は、売上高が前期比25.0%増、経常利益が同29.4%増と増収増益を達成しており、堅調に成長を続けています。


※本記事は、株式会社アイドマ・ホールディングスの有価証券報告書(第17期、自 2024年9月1日 至 2025年8月31日、2025年11月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. アイドマ・ホールディングスってどんな会社?


中小企業向けに営業支援システムやノウハウを提供するほか、主婦等の在宅ワークを支援する企業です。

(1) 会社概要


同社は2008年に設立され、2015年に主婦層を中心とした求人サイト「ママワークス」を開始しました。2017年にはクラウド型営業支援ツール「Sales Crowd」をリリースし、事業を拡大しています。2021年に東京証券取引所マザーズへ上場し、2022年の市場区分見直しに伴いグロース市場へ移行しました。直近では2024年に株式会社コズレや株式会社カイマクを子会社化するなど、M&Aによる事業拡大も進めています。

現在の連結従業員数は429名、単体では347名です。筆頭株主は事業会社のJPM株式会社で、第2位は創業者の三浦陽平氏、第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。

氏名 持株比率
JPM株式会社 40.37%
三浦陽平 24.27%
株式会社日本カストディ銀行(信託口) 5.77%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は三浦陽平氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
三浦 陽平 代表取締役社長 2008年同社設立、代表取締役社長。SEA Dream Company株式会社代表取締役などを経て現職。
三浦 和広 取締役営業本部長 2009年同社入社。株式会社物語TV代表取締役などを経て、2018年同社取締役就任。現在、営業本部長を務める。
小山田 明人 取締役クリエイティブ事業部長 株式会社ネクストアド代表取締役などを経て、2020年同社取締役クリエイティブ事業部長に就任より現職。
大嶋 優太 取締役システム統括部長 2013年同社入社。クリエイティブ事業部長を経て、2018年同社取締役就任。現在、システム統括部長を務める。


社外取締役は、小林靖弘(株式会社コバ代表取締役)、中林美恵子(元衆議院議員・早稲田大学教授)です。

2. 事業内容


同社グループは、「営業支援事業」および「人材支援事業」を中心としたワーク・イノベーション事業を展開しています。

(1) 営業支援事業


独自に開発した営業支援システム「Sales Crowd」やデータベースを活用し、法人向けビジネスを行う顧客企業に対してテストマーケティングの実行支援を行っています。営業プランの立案から実行、検証までを一貫して支援し、顧客の生産性向上に貢献しています。

収益は、顧客企業からのコンサルティング料やシステム利用料によって構成されています。運営は主にアイドマ・ホールディングスが行っているほか、株式会社Sales Crowdや株式会社アッドラストなどの子会社も事業を展開しています。

(2) 人材支援事業


人材不足に悩む中小企業と、在宅で働きたい個人をマッチングする求人サイト「ママワークス」を運営しています。子育て世代などの潜在的な労働力を活用することで、企業の労働力不足解消と個人の柔軟な働き方の両立を支援しています。

収益は、求人広告の掲載料や、クラウドワーカーを活用するための運用フロー構築コンサルティング料などから得ています。運営は主にアイドマ・ホールディングスや、子会社の株式会社メイクブイ・ホールディングスなどが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は一貫して増加傾向にあり、事業規模の拡大が続いています。経常利益も順調に伸長しており、利益率も20%台を維持するなど高い収益性を確保しています。当期純利益も毎期着実に積み上がっており、成長性と収益性を兼ね備えた業績推移となっています。

項目 2021年8月期 2022年8月期 2023年8月期 2024年8月期 2025年8月期
売上高 37億円 62億円 91億円 106億円 133億円
経常利益 8億円 16億円 22億円 25億円 32億円
利益率(%) 22.0% 25.9% 24.6% 23.2% 24.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 4億円 10億円 14億円 15億円 21億円

(2) 損益計算書


直近2期間において、売上高および各利益段階での増益を達成しています。売上総利益率は約70%と高い水準を維持しており、営業利益率も20%台前半で推移しています。事業拡大に伴うコスト増を吸収しながら、効率的な経営が行われていることがわかります。

項目 2024年8月期 2025年8月期
売上高 106億円 133億円
売上総利益 76億円 93億円
売上総利益率(%) 71.6% 69.9%
営業利益 25億円 31億円
営業利益率(%) 23.2% 23.4%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が22億円(構成比35%)、支払手数料が9億円(同14%)、広告宣伝費が7億円(同12%)を占めています。

(3) セグメント収益


営業支援事業、人材支援事業ともに売上高が増加しており、全社の成長を牽引しています。特に営業支援事業は主力として堅調に推移しており、人材支援事業も2割以上の増収を記録しています。その他事業も大幅に伸長しており、事業ポートフォリオ全体の拡大が進んでいます。

区分 売上(2024年8月期) 売上(2025年8月期)
営業支援事業 72億円 88億円
人材支援事業 32億円 39億円
その他 3億円 5億円
連結(合計) 106億円 133億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

アイドマ・ホールディングスは、営業活動で得た資金で事業を拡大しています。投資活動では、将来の成長に向けた有価証券や子会社株式の取得を行いました。財務活動では、借入金の返済や株主への還元を実施しています。

項目 2024年8月期 2025年8月期
営業CF 12億円 25億円
投資CF -11億円 -8億円
財務CF -2億円 -19億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「すべての人の夢の実現に貢献する」という経営理念を掲げています。これは、夢を持てる環境や社会の創出に貢献し、夢を持つ人がそれを実現できるインフラやソリューションを提供することを意味します。また、ビジョンとして「世界の可能性を広げる」を掲げ、場所や時間、環境などの制約を取り除くことで、すべての人が夢を実現できる社会の創出を目指しています。

(2) 企業文化


同社は「人口減少を成長の機会に」という戦略のもと、少子高齢化による労働力減少を否定的に捉えるのではなく、新たな挑戦と成長の機会と捉える価値観を持っています。また、企業と働く人双方に価値を提供し、働くことで幸せになる世界観を実現する「Work innovation」という考え方を重視しています。法令遵守や社会規範を行動の前提とする「9つの約束」を制定し、コンプライアンス経営にも努めています。

(3) 経営計画・目標


同社は、売上高、営業利益、受注件数を経営上の重要な指標として位置づけています。特に受注件数は事業成長を推進するための重要な指標とされています。具体的な数値目標としての記載はありませんが、持続的な成長と企業価値向上を目指して事業を展開しています。

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、営業支援にとどまらず、広報、人事、経理など幅広い業務支援分野への事業領域拡張を目指しています。また、自社開発ツール「Sales Crowd」の拡販やデータ活用によるストック型収益モデルの確立、シニア層やプロフェッショナル人材を含む多様な就労機会の提供を推進します。さらに、M&Aや新規事業開発を通じて事業体制を強化し、ガバナンス体制の整備にも注力していく方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「人材」を最も重要な経営資源と捉え、多様なスキルとバックグラウンドを持つ優秀な人材を年齢や性別を問わず採用する方針です。中途採用者を含め優秀な人材は積極的に管理職へ登用し、成果に見合った公平・公正な評価制度や成長を促す教育研修制度を整備しています。また、多様な価値観に合わせて生産性高く働ける環境づくりに努めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年8月期 30.1歳 2.0年 5,998,000円


※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 15.3%
男性育児休業取得率 10.0%
男女賃金差異(全労働者) 71.3%
男女賃金差異(正規雇用) 73.7%
男女賃金差異(非正規) 122.2%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経営環境に関するリスク


同社は、労働環境の変化による法人営業の外注ニーズやオンラインセールス需要を背景に事業を拡大しています。しかし、国内外の経済情勢や景気動向の影響により、顧客企業の営業やマーケティングへの投資マインドが減退した場合、同社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

(2) 特定サービスへの依存リスク


同社の主たる収益は営業支援サービスによるものです。競合企業との競争激化などにより、当該サービスの売上が大幅に減少した場合、業績に影響を与える可能性があります。同社は人材支援サービスやその他サービスの拡大を進めることで、特定サービスへの依存リスクの低減に努めています。

(3) 情報セキュリティに関するリスク


営業支援事業や人材支援事業を通じて顧客の経営情報や個人情報を取得・管理しています。ISMS認証取得など管理体制を強化していますが、不正アクセスやシステム障害、人的過失等により情報の漏洩や不正利用が発生した場合、信用の失墜や損害賠償請求を招き、業績に影響を与える可能性があります。

(4) 売上契約の中途解約に係るリスク


原則として1年程度の期間契約でサービスを提供しており、中途解約時には違約金が発生する契約となっています。しかし、顧客の経営方針の変更や業績悪化などにより契約が中途解約された場合、当初見込んでいた売上が計上されなくなるなど、業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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