フューチャーリンクネットワーク 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

フューチャーリンクネットワーク 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース上場。地域情報プラットフォーム「まいぷれ」の運営やふるさと納税支援等の公共ソリューション事業を展開しています。2025年8月期は公共ソリューション事業が牽引し増収となりました。営業損益は赤字が続くものの損失幅は縮小し、補助金収入等により最終損益は増益で黒字転換を果たしました。


※本記事は、株式会社フューチャーリンクネットワーク の有価証券報告書(第26期、自 2024年9月1日 至 2025年8月31日、2025年11月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. フューチャーリンクネットワークってどんな会社?


地域活性化をミッションに掲げ、地域情報サイト「まいぷれ」の運営やふるさと納税支援事業を展開する企業です。

(1) 会社概要


2000年に設立され、地域情報サイト「まいぷれ」の運営を開始しました。2005年には運営パートナー事業を開始し全国展開を進め、2015年よりふるさと納税業務支援を開始しました。2021年に東京証券取引所マザーズ市場(現グロース市場)へ上場を果たし、2022年には子会社として公共BPOを設立するなど事業拡大を続けています。

2025年8月31日時点の連結従業員数は116名(単体116名)です。筆頭株主は代表取締役社長の石井丈晴氏の資産管理会社である石井本店で、第2位は創業者の石井丈晴氏本人、第3位は取締役の岡田亮介氏となっており、経営陣が主要株主として名を連ねています。

氏名 持株比率
石井本店 35.24%
石井 丈晴 9.45%
岡田 亮介 5.41%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役には石井丈晴氏が就任しており、社外取締役比率は42.9%です。

氏名 役職 主な経歴
石井 丈晴 代表取締役 1997年リクルート入社。2000年同社設立。2006年宣美代表取締役、2016年まいぷれ加古川代表取締役を経て現職。
岡田 亮介 取締役事業部門管掌 1998年リクルート入社。2001年同社入社。2012年公共ソリューション部長などを経て、2022年より公共BPO代表取締役も兼任。
中川 拓哉 取締役管理部門管掌 2003年明報広告入社。2007年同社入社。パートナー事業部長、経営統括部長などを歴任し、2018年より現職。
神﨑  進 取締役監査等委員 1979年新日本証券(現みずほ証券)入社。2001年同社入社。経営統括部マネジャー、監査役を経て現職。


社外取締役は、毛利裕二(はてな非常勤取締役)、片町吉男(サンクコーポレーション代表取締役)、石倉雅恵(Art for inquiry代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「地域情報流通事業」および「公共ソリューション事業」を展開しています。

(1) 地域情報流通事業


地域情報プラットフォーム「まいぷれ」を基盤とし、地域の中小事業者や店舗向けに情報配信・経営支援サービスを提供しています。また、全国各地の運営パートナー企業に対して「まいぷれ」のビジネスモデルやシステムを提供し、協業体制でエリア展開を行っています。

収益源は、地域事業者からの「まいぷれ」掲載料やプラットフォーム利用料、運営パートナーからの加盟料およびロイヤルティ(売上の一定割合)等です。運営はフューチャーリンクネットワークが直営エリアを担当し、その他の地域では全国の運営パートナー各社が主体となって行っています。

(2) 公共ソリューション事業


地域情報流通基盤を活用し、自治体や国の課題解決に向けたソリューションを提供しています。具体的には、ふるさと納税の業務支援(返礼品開拓から配送管理までの代行)、地域共通ポイント「まいぷれポイント」の運営、自治体のDX支援などを手掛けています。

収益源は、自治体からのふるさと納税業務委託料(寄付額の一定割合)、システム提供費用、コンサルティング費用等です。運営はフューチャーリンクネットワークおよび連結子会社の公共BPOが連携して行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は増加傾向にあり、直近では15億円規模となっています。利益面では、先行投資等の影響により経常損失が続いていますが、損失幅は縮小傾向にあります。第26期においては、売上高の増加に加え、補助金収入等の計上により、親会社株主に帰属する当期純利益が黒字に転換しました。

項目 2023年8月期 2024年8月期 2025年8月期
売上高 14億円 15億円 15億円
経常利益 -0.7億円 -0.4億円 -0.2億円
利益率(%) -5.1% -2.6% -1.3%
当期利益(親会社所有者帰属) -0.7億円 0.0億円 0.3億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高は微増となりました。売上総利益率は改善傾向にあります。販売費及び一般管理費が増加したものの、売上総利益の増加により営業損失は縮小しました。

項目 2024年8月期 2025年8月期
売上高 15億円 15億円
売上総利益 10億円 10億円
売上総利益率(%) 62.9% 63.9%
営業利益 -0.4億円 -0.2億円
営業利益率(%) -2.5% -1.1%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が4.4億円(構成比43%)を占めています。売上原価においては、外注費が3.9億円(構成比69%)を占めています。

(3) セグメント収益


地域情報流通事業は、運営パートナーの新規開拓が想定を下回ったことなどにより減収減益となりました。一方、公共ソリューション事業は、ふるさと納税の寄付額増加に向けた施策が奏功し、増収増益となりました。全体としては公共ソリューション事業の成長が業績を牽引しています。

区分 売上(2024年8月期) 売上(2025年8月期) 利益(2024年8月期) 利益(2025年8月期) 利益率
地域情報流通事業 8億円 8億円 2億円 2億円 23.5%
公共ソリューション事業 7億円 8億円 1億円 2億円 28.5%
調整額 - - -4億円 -4億円 -
連結(合計) 15億円 15億円 -0.4億円 -0.2億円 -1.1%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社は、財務活動によるキャッシュ・フローが前年同期に比べて大幅に減少しました。これは、主に長期借入金の返済による支出が影響しています。営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に使用した資金から一転して獲得に転じました。投資活動によるキャッシュ・フローでは、無形固定資産の取得による支出が主な要因となりました。

項目 2024年8月期 2025年8月期
営業CF -0.4億円 1.3億円
投資CF -0.3億円 -0.4億円
財務CF 1.4億円 -0.4億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは「持続可能な地域社会モデルを構築すること」をミッションとして掲げています。地域活性化を継続的かつ発展的事業の形で実現することで社会に貢献することを目的に、人を動かし経済を循環させ、地域の課題を解決するための地域情報流通基盤「まいぷれ」を構築・運営しています。

(2) 企業文化


社員の所属する会社をコミュニティとして位置づけ、全従業員共通の行動指針として「フューチャーリンク・マインドセット(通称FMS)」を設定しています。また、ビジョンと全社方針の共有を目的とした四半期ごとの全社会議(キックオフ)を開催するなど、組織カルチャーの浸透と従業員エンゲージメントの向上に注力しています。

(3) 経営計画・目標


企業価値を測る指標として、売上高および営業利益の前年比増による成長性を重視しています。また、売上高を構成する重要指標(KPI)として、以下を設定しています。
* まいぷれ利用店舗数
* まいぷれ利用店舗平均単価
* まいぷれ展開エリア数
* 運営パートナー数
* 契約のあるふるさと納税業務支援の寄付額

(4) 成長戦略と重点施策


地域情報プラットフォーム「まいぷれ」の機能価値向上とAI技術の導入(「まいぷれくん」等)により、直営エリアでの収益拡大と運営パートナーへの指導力強化を図ります。公共ソリューション事業では、ふるさと納税業務支援における寄付額向上支援を強化し、収益基盤を強化します。また、関係人口創出事業等の新規事業による市場開拓も目指します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


難易度の高い地域課題に対しビジネスで解決策を提供できる人材を育成するため、マネジメント人材とメンバーシップ人材の双方の強化を図っています。フレックス制度やリモートワークの導入により柔軟な働き方を整備し、女性社員や男性社員の育児休業取得を促進しています。また、高度な専門性を持つプロフェッショナル人材の採用も進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年8月期 35.7歳 7.2年 5,304,000円


※平均年間給与は、臨時従業員を除く従業員の賞与及び基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
管理職に占める女性労働者の割合 21.7%
男性労働者の育児休業取得率 100.0%


※労働者の男女の賃金の差異については、同社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) インターネット広告市場の変動


広告市場は景気動向の影響を受けやすく、急激な変化が生じた場合、広告需要の減少により業績に影響を及ぼす可能性があります。同社は広告媒体としての価値に加え、広告運用代行やAIを活用した経営支援サービスを強化し、総合的な支援体制を整えることでリスク軽減を図っています。

(2) パートナー契約の継続性


「まいぷれ」のエリア展開は直営と運営パートナーによって行われており、154社のパートナーと契約しています。パートナー契約が解消された場合、当該エリアでの運営継続が困難となり、情報量や営業活動の低下により収益に影響が出る可能性があります。同社は直営や他企業への引継ぎ等の対策を講じています。

(3) サイトのPV数とユーザー嗜好の変化


ユーザーの嗜好変化に対応できずPV数が減少した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。同社はGoogleビジネスプロフィールとの連携やAI技術を活用した新たな接点設計など、ユーザーニーズに合わせたコンテンツ配信の仕組みを継続的に改善しています。

(4) 競合との競争激化


地域情報流通事業では大手企業の参入や同業者の規模拡大、公共ソリューション事業では類似サービスを提供する競合が存在します。競争が激化した場合には業績に影響を及ぼす可能性があります。同社は地域密着型の体制や独自のソリューション提供により差別化を図っています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。