※本記事は、株式会社アスタリスク の有価証券報告書(2025年8月期、2024年9月1日 ~ 2025年8月31日、2025年11月28日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
アスタリスクは、独自開発の各種リーダーや人検出・動体追跡技術、端末処理技術を活用した製品の研究開発・製造・販売、およびそれらを活用するシステム開発を手掛けています。ファブレス企業として、製造から販売まで幅広いITソリューションを提供しています。
単体従業員数は50名、連結従業員数は75名です。同社グループの事業セグメントは、AsReader事業、システムインテグレーション事業、賃貸事業の3つです。
主な国内グループ会社は、自動レジ研究所(AsReader事業)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
アスタリスクは、従業員の平均年齢や勤続年数から、比較的落ち着いた環境でキャリアを築ける傾向が見られます。給与水準については、個人のスキルや経験、貢献度によって変動する可能性があります。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、平均年齢が40代前半であり、平均勤続年数も一定の水準を保っています。これは、従業員が長期的にキャリアを形成しやすい環境であることを示唆しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,679,000円 |
| 平均勤続年数 | 6.0年 |
| 平均年齢 | 43.4歳 |
| 単体従業員数 | 50人 |
| 連結従業員数 | 75人 |
| 単体のグループ内比率 | 66.7% |
退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、多様な価値観を受け入れ、新たな価値を生み出す風土を醸成することを人材戦略の基本方針としています。これまで若手人員を主な対象として採用活動を行ってきましたが、今後は他業種からの中途採用も含めた幅広い人材を対象とした採用活動に取り組む方針です。
人材育成および社内環境の整備に努めるとしていますが、具体的な指標や目標は定めていません。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
当社は、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律および育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
アスタリスクは、独自開発のリーダー製品とシステム開発を通じて、顧客のDX推進や省力化・効率化に貢献する事業を展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、「モノ認識×モバイル×自動化」を軸に事業を展開しています。バーコードリーダー、RFIDリーダー/ライター、赤外線通信リーダー、顔認証技術を用いた「AsReader」製品の販売と、それらを活用するためのアプリケーションやシステムの提供が主な事業内容です。同社グループは自社で製造工場を持たないファブレス企業であり、製品量産段階は協力会社に委託しています。
収益モデルとしては、製品の必要数量を購入してもらうショット型販売が大半を占めていますが、AsReader製品群や受託開発システムの保守サービス、アプリケーションソフト利用料といった継続型の販売も行っています。海外展開にも注力しており、特にアメリカに販売拠点を設置し、AsReader製品群の認知度向上と新規大口案件の獲得を目指しています。主要な顧客としてソフトバンク株式会社への販売実績があり、当連結会計年度の売上高に占める割合は前期から増加しています。
同社グループの事業は、主に以下の3つの報告セグメントで構成されています。
AsReader事業
スマートフォンやタブレットを活用した業務改革をコンセプトに、ハードウェア製品と独自の画像認識技術やAI技術を用いたソフトウェア製品・サービスの開発・販売を行っています。国内では自動販売機、製造、輸送、卸売・小売、医療業界向けに販売が順調に進捗しています。海外では飲料メーカーへの追加納入がありましたが、一部案件で販売遅延が発生しています。収益は、主にバーコードリーダー、RFIDリーダー/ライター、赤外線通信装置とその附属品の製造及び販売から得ています。
システムインテグレーション事業
AsReader導入などに関わるソフトウェアの受託開発を中心とした事業です。物流、小売、医療、不動産、製造、食品業界向けのシステム開発の受注・納入がありますが、一部案件の進捗遅れや不採算案件の引当金計上により、セグメント損失を計上しています。収益は、主に顧客との請負契約によるシステム開発から得ています。
賃貸事業
本社兼研究所であるAsTech Osaka Buildingの7階から9階の3フロアを賃貸しています。2025年8月期末の入居率は100%で推移しています。収益は、主に不動産の賃貸から得ています。
| セグメント | 売上高(2024年8月期) | 売上高(2025年8月期) |
|---|---|---|
| AsReader事業 | 12.9億円 | 13.8億円 |
| システムインテグレーション事業 | 2.8億円 | 2.7億円 |
| 賃貸事業 | 12百万円 | 13百万円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、直近5年間で増減を繰り返しています。経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は、直近3年間で損失が続いていますが、当期は前期に比べて損失幅が縮小する傾向にあります。営業活動によるキャッシュ・フローは、前期は使用でしたが当期は獲得に転じています。
| 項目 | 2021年8月期 | 2022年8月期 | 2023年8月期 | 2024年8月期 | 2025年8月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 17.9億円 | 24.1億円 | 17.6億円 | 15.8億円 | 16.7億円 |
| 経常利益 | 2.4億円 | 4.7億円 | △1.8億円 | △1.8億円 | △1.3億円 |
| 経常利益率 | 13.3% | 19.7% | △10.2% | △11.2% | △7.7% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 1.7億円 | 3.2億円 | △1.7億円 | △3.9億円 | △1.8億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 33.96 | 46.82 | △24.01 | △54.81 | △24.42 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は、前期と比較して増加しています。従業員1人あたり営業利益(連結)は、前期に引き続き損失となっていますが、損失幅は縮小しています。これらの指標は、同社グループの収益体質が前期に比べて改善傾向にあることを示しています。
| 指標 | 2024年8月期 | 2025年8月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 20.0百万円 | 22.2百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | △2.8百万円 | △1.7百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
アスタリスクの財務状況は、本業での資金創出力と手元資金の厚みから、事業継続に向けた取り組みが進められています。一方で、営業損失を計上している状況も示されています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は当期で62.1%となり、前期の57.9%から増加しています。これはプライム市場の平均と比較して高い水準を示しています。一方で、ROE(自己資本利益率)は当期で-11.2%となっており、プライム市場平均を下回っています。手元資金である現金及び預金は当期末で9.3億円と、前期の4.7億円から増加しており、資金の厚みが増している状況です。これらの財務基盤は、事業活動を継続するための安定性を示す要素となります。
| 指標 | 2024年8月期(前期) | 2025年8月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 15.4億円 | 17.3億円 |
| 自己資本比率 | 57.9% | 62.1% |
| ROE(自己資本利益率) | - | -11.2% |
| 現金及び預金 | 4.7億円 | 9.3億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは1.8億円のプラスとなりました。これは前期の△0.7億円から増加しており、主に棚卸資産や売上債権の減少、減価償却費の計上などが資金増加の要因となっています。投資活動によるキャッシュ・フローは△0.2億円のマイナスで、有形固定資産や無形固定資産の取得による支出が主な要因です。この結果、事業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュ・フローは1.6億円のプラスとなり、前期の△1.0億円から改善が見られます。財務活動によるキャッシュ・フローは3.2億円のプラスで、新株予約権の行使による株式発行収入が主な要因です。当期は本業で資金を生み出し、投資を賄いつつ余剰資金を確保している状況であり、事業継続に向けた資金繰りの改善が進んでいることを示しています。
| 項目 | 2024年8月期(前期) | 2025年8月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △0.7億円 | 1.8億円 |
| 投資CF | △0.3億円 | △0.2億円 |
| 財務CF | 3.0億円 | 3.2億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △1.0億円 | 1.6億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
同社グループは、2期連続で営業損失を計上し、米国子会社AsReader,Inc.も3期連続で営業損失を計上している状況です。この状況は、事業継続に関して重要な疑義を生じさせる事象が存在することを示しています。しかし、同社グループは営業体制の強化、ストック型商材による安定収益の確保、資金の確保と財務の健全化、コスト削減と運営体制の見直しといった施策を実施しており、現時点において重要な不確実性は認められないと判断しています。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの主力製品であるAsReaderシリーズのハードウェアは、海外委託先でのEMS製造に依存しており、特にApple社のMFi認証を保有する韓国SPS Inc.への生産依存度が高い状況です。また、同社グループの業績は、大型案件の獲得状況や納入タイミングによって変動する可能性があります。案件の失注や顧客での運用テスト遅延により、製品納入が決算期を越えてずれ込む場合があることが示されています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、持続的成長のために優秀な人材の確保と育成を重要な経営課題と位置付けています。しかし、人材育成が計画どおりに進まない場合や、中核的な役割を担う特定の従業員が退職した場合には、事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があることが示されています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
アスタリスクは、IT技術を通じて社会に貢献し、お客様、社員、世間の三者が笑顔になることを目指す企業です。モバイルソリューションを核に、ハードウェアとソフトウェアの融合による新たなサービス創造に取り組んでいます。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「ITを通じて、三方笑顔(お客様の笑顔/社員の笑顔/世間の笑顔)を創造し、人類・社会の進歩発展に貢献します」という経営理念を掲げています。この理念のもと、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現し、社会的使命と責任を果たす「信頼される企業」を目指しています。
具体的には、モバイルソリューションを徹底的に追求し、ハードウェアと長年培ったソフトウェア技術の融合による新たなサービスを創造していく方針です。主力製品であるAsReaderシリーズの売上高拡大を通じて、さらなる成長を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
アスタリスクでは、「アスタリスク人の宣言」として8つの行動指針を大切にしています。これには、「プロとしての熱意」「徹底の徹底」「土俵の真ん中で相撲をとる」「時間軸を第一に」が含まれます。
また、「目的、ねらい、コンセプトの明確化」「夢のある提案をし続け、固定客化」「何事も『数値』をもって行動」「常に明るく前向きで、楽しむことを工夫する」も行動規範としています。同社グループは、多様な価値観を受け入れ、新たな価値を生み出す風土を醸成するため、他業種からの中途採用も含めた幅広い人材を対象とした採用活動に取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、今後の事業拡大に対応するため、優秀な人材の確保と育成を重要な経営課題と認識しています。経営理念に共感し、高い意欲と実行力を備えた人材を対象とした中途採用に加え、将来の中核人材を育成するための新卒定期採用も積極的に行っていく方針です。
また、企業価値の持続的な向上には、コーポレート・ガバナンスと内部管理体制の整備・強化が不可欠であると考えています。業務執行体制の見直し・強化を継続的に行い、財務報告の信頼性と業務の適正性を確保するための内部統制システムの整備と運用を徹底しています。さらに、事業継続計画(BCP)の重要性が高まる中、業務インフラや緊急連絡体制の強化、本社・拠点施設の見直しを通じて、様々なリスクに迅速かつ柔軟に対応できる企業体制の整備を図っています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
アスタリスクは、監査等委員会設置会社として、取締役会、監査等委員会、会計監査人を設置しています。これにより、経営の透明性と健全性の確保、迅速な意思決定を目指す体制となっています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の筆頭株主はトリプルウィン株式会社であり、代表取締役執行役員社長である鈴木規之氏の資産管理会社です。また、鈴木規之氏個人も上位株主として名を連ねています。このことから、創業家が関連会社を通じて同社グループの主要な株主として経営を支えている資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| トリプルウィン | 41.04% |
| SBI証券 | 2.14% |
| 鈴木 規之 | 2.07% |
| 熊本 尚樹 | 1.34% |
| 薛 文宝 | 1.06% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性8名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役執行役員社長は鈴木規之氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 鈴木 規之 | 代表取締役執行役員社長 | 1997年4月東レ株式会社入社、2006年9月同社設立代表取締役社長就任、2014年10月同社代表取締役執行役員社長就任より現職。 |
| 加藤 栄多郎 | 取締役執行役員事業部長 | 1998年2月株式会社ディジ・テック研究所入社、2011年1月同社入社、2012年9月同社取締役就任、2014年10月同社執行役員就任、2020年9月同社事業部長就任より現職。 |
| 山本 和 矢 | 取締役執行役員管理統括室長 | 2004年1月青木会計事務所入所、2020年8月同社入社執行役員管理統括室副室長就任、2021年11月同社取締役執行役員管理統括室長就任より現職。 |
| 中川 陽 介 | 取締役 執行役員 技術室長 | 1998年4月株式会社湯山製作所入社、2023年1月同社入社、2023年9月同社執行役員技術室長就任、2024年11月同社取締役執行役員技術室長就任より現職。 |
社外取締役は、辻本希世士氏(辻本法律特許事務所所長)、岩﨑文夫氏(学校法人宝塚音楽学校校長・監査等委員)、山元教有氏(澤電気機械営業部部長・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、監査等委員は3名で構成され、そのうち2名が社外取締役です。社外取締役は、弁護士・弁理士、経営者、中小企業診断士としての専門的な知見と経験に基づき、経営全般への助言や監視・監督を行っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社では、役員の報酬について、株主総会で決議された報酬限度内で、取締役会より委任された報酬委員会において決定しています。報酬水準は、外部専門会社の調査データや同業他社の水準を参考に、役位と職務価値、責任の重みを考慮して設定されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 4名 | 18百万円 | 4.6百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 3百万円 | 3.1百万円 |
| 社外役員 | 3名 | 6百万円 | 2.0百万円 |
上記の取締役(監査等委員を除く。)(社外取締役を除く。)の4名のうち3名は、使用人兼務役員であり、取締役分の報酬のみを記載しております。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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