※本記事は、株式会社ラストワンマイル の有価証券報告書(2025年8月期、2024年9月1日 ~ 2025年8月31日、2025年11月28日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。
1. 企業概要:どんな会社?
ラストワンマイルは、創業当初より自社コンタクトセンターを活用した事業を展開しています。不動産管理会社等へのサービス紹介、集合住宅向け無料インターネット、ホテル運営受託など多岐にわたるサービスを提供しています。
単体従業員数は181名、連結従業員数は313名です。セグメントはラストワンマイル事業の1つです。
主な国内グループ会社は、ブロードバンドコネクション、キャリア(アライアンス事業)、HOTEL STUDIO(ホテル運営受託事業)、CITV光などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
ラストワンマイルは、多様な人材が活躍できる職場環境の醸成に力を入れています。従業員一人ひとりが最大限の能力を発揮できるよう、人事評価制度やキャリアプランの整備を進めている点が特徴です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
ラストワンマイルでは、従業員の定着と成長を重視する姿勢が見られます。平均勤続年数と平均年齢からは、比較的若い世代が中心となりながらも、一定の経験を積んだ人材が活躍している傾向がうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 4,847,000円 |
| 平均勤続年数 | 6.27年 |
| 平均年齢 | 34.58歳 |
| 単体従業員数 | 181人 |
| 連結従業員数 | 313人 |
| 単体のグループ内比率 | 57.8% |
同社グループは、従業員の退職給付制度として、給与や勤続年数に応じて給付額が決まる確定給付制度を採用しています。この制度は同社グループの一部の子会社で適用されています。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
ラストワンマイルは、従業員を同社グループの成長を支える重要な存在と認識し、多様な人材が仕事と生活の調和を図りながら能力を発揮できる職場環境の醸成に取り組んでいます。管理職への登用においては、年齢、性別、社歴等で区分せず、全ての従業員が平等に機会を得られるような人事評価制度とキャリアプランを整備しています。
多様性の確保に向けた人材育成と社内環境整備に努めており、今後は実態が方針に基づいていることを定期的に確認する方針です。事業範囲の拡大や多様化に連動して従業員を育成し、管理職として登用していくことを目指しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 20.6% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 69.4% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 72.9% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 83.5% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
ラストワンマイルは、多様なサービスを通じて顧客の生活をサポートし、収益を上げています。同社グループは、独自の営業方針に基づき、既存事業の強化と新たな成長基盤の確立に取り組んでいます。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
ラストワンマイルグループは、アライアンス事業、集合住宅向け無料インターネット事業、コンタクトセンター事業、ホテル運営受託事業、リスティング・メディア事業を主たる事業としています。同社グループは、これらの事業を単一セグメントとして運営しています。
アライアンス事業では、不動産管理会社などから見込顧客を紹介してもらい、自社サービスや提携事業者の各種サービスを提案・販売しています。集合住宅向け無料インターネット事業では、マンションやアパートにインターネット設備を設置し、入居者が無料で利用できるサービスを提供しています。コンタクトセンター事業では、官公庁や不動産管理会社などから顧客対応業務を受託しています。ホテル運営受託事業は、ホテルの所有者から集客や清掃などの運営を成果報酬で受託するものです。リスティング・メディア事業では、マーケティングノウハウを活かしてリスティング広告やランディングページを運用し、顧客を直接獲得しています。
同社グループの収益は、主に顧客との契約から生じるサービス提供によるものです。収益は一時点で移転されるサービスと、一定の期間にわたり移転されるサービスに分類されます。当連結会計年度では、一時点で移転されるサービスからの収益が、一定の期間にわたり移転されるサービスからの収益を上回っています。
同社グループの売上収益のほとんどは本邦の外部顧客から得られており、特定の地域への集中が見られます。また、主要な顧客としてライフイン24とプレミアムウォーターからの売上収益が、それぞれ全体の10%以上を占めています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの業績は、過去5期間において売上収益が継続的に増加傾向を示しています。税引前利益と親会社の所有者に帰属する当期利益も、直近の数期間で大きく伸長する傾向にありました。ただし、当期においては親会社の所有者に帰属する当期利益が前期から減少する結果となりました。
| 項目 | 2021年8月期 | 2022年8月期 | 2023年8月期 | 2024年8月期 | 2025年8月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 83.2億円 | 65.4億円 | 93.5億円 | 118億円 | 155億円 |
| 税引前利益 | - | - | 2.5億円 | 9.0億円 | 11.3億円 |
| 税引前利益率 | - | - | 2.6% | 7.7% | 7.3% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | - | - | 3.2億円 | 8.3億円 | 6.7億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 74.47 | - | 141.54 | 349.49 | 252.16 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上収益は、前期から当期にかけて増加しています。また、従業員1人あたり営業利益も前期から当期にかけて増加しており、従業員一人あたりの稼ぐ力が向上している傾向が見られます。これらの指標の改善は、組織全体の効率化や事業活動の拡大が寄与していることを示唆しています。
| 指標 | 2024年8月期 | 2025年8月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上収益(連結) | 35.8百万円 | 49.6百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 2.9百万円 | 3.7百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
財務の安定性は、企業の持続的な成長と従業員の安心感に直結します。株式会社ラストワンマイルは、本業で安定した資金を創出しつつ、投資活動も行い、財務基盤を強化している状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
ラストワンマイルの自己資本比率は、前期の34.3%から当期は38.9%へと増加しており、財務基盤が強化されていることを示しています。これはプライム市場の非製造業平均(24.2%)と比較しても高い水準です。ROE(自己資本利益率)は前期の34.4%から当期は17.5%に低下していますが、プライム市場平均(9.4%)を上回る高い水準を維持しています。手元資金である現金及び現金同等物も前期の25.2億円から当期は30.6億円へと増加しており、事業継続の安定性や不測の事態への対応力を高める要素となっています。これらの財務状況は、入社後の雇用や給与の安定性にも良い影響を与える可能性があります。
| 指標 | 2024年8月期(前期) | 2025年8月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本 | 33.5億円 | 43.5億円 |
| 自己資本比率 | 34.3% | 38.9% |
| ROE(自己資本利益率) | 34.4% | 17.5% |
| 現金及び現金同等物 | 25.2億円 | 30.6億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
ラストワンマイルの当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期利益の計上や減価償却費及び償却費の計上などにより、13.9億円の収入となりました。これは前連結会計年度と比較して減少しています。投資活動によるキャッシュ・フローは、子会社株式の取得による収入や有形固定資産の売却による収入などにより、2.3億円の収入となりました。前連結会計年度は支出でしたが、当連結会計年度は収入に転じています。
フリーキャッシュ・フローは16.2億円のプラスとなっており、本業で得た資金で投資を賄い、なお余剰資金を生み出している状況です。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出やリース負債の返済による支出などにより、10.8億円の支出となりました。これは前連結会計年度の収入から支出に転じています。
同社グループは本業で安定的に資金を創出し、投資活動も効率的に行っていることから、事業の安定性と成長性を両立している状況がうかがえます。
| 項目 | 2024年8月期(前期) | 2025年8月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 16.5億円 | 13.9億円 |
| 投資CF | △5.1億円 | 2.3億円 |
| 財務CF | 1.2億円 | △10.8億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 11.4億円 | 16.2億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、特定の取引先への依存度に関するリスクを認識しています。2025年8月期の売上収益の13.7%が株式会社ライフイン24に、10.5%がプレミアムウォーター株式会社に対するものです。特定の取引条件の変更が生じた場合、同社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、競合他社の影響もリスクとして挙げられています。生活関連サービス市場には複数の競合企業が存在し、競争激化による収益力の低下や広告宣伝費の増加が事業展開や経営成績に影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、事業拡大のために継続した人材の確保と育成が必要であると考えています。計画通りに人材確保が進まない場合や、在籍する人材の多くが流出する状況が生じた場合には、競争力の低下や計画通りの事業拡大に影響が生じる可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ラストワンマイルは、「全従業員が究極的に経済合理性のある判断をできる集団であり続ける」ことを経営理念に掲げています。業種業態にとらわれず、新たな市場を創造し、持続的な企業成長を目指すことを重視する会社です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループの経営理念は「全従業員が究極的に経済合理性のある判断をできる集団であり続ける」です。その実現のため、判断基準の統一化など、組織的な経営の推進を優先事項としています。
営業方針として「業種業態にこだわらず、あらゆる商品を世の中にまだない販売の手法を考えて新たな市場(ブルーオーシャン)を構築し、独占的に販売する」ことを掲げています。主力事業の拡大に加え、既存リソースを活用した事業参入やM&Aを通じてノウハウを吸収し、新規事業への参入を図っています。安定した事業基盤を複数持つことで、持続的な企業成長を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、従業員が同社の成長を支える重要な存在であると認識しています。多様な人材が仕事と生活の調和を図りながら、最大限の能力を発揮できる職場環境や企業風土の醸成に取り組んでいます。
管理職への登用等においては、年齢、性別、社歴等で区分せず、全ての従業員が平等に機会を得られるような人事評価制度とキャリアプランを整備しています。サステナビリティに関するリスクや機会については、リスク・コンプライアンス委員会で一元的に俯瞰し、監視・管理に努める体制です。総合的なリスク管理においては、各部門の情報連携を重視し、経営会議やリスク・コンプライアンス委員会等で相互に監視・チェックを行っています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、事業拡大を見据え、経営の公正性・透明性を確保するための内部管理体制の強化を重要な課題としています。自社サービスの顧客情報を含む個人情報を取り扱っており、情報管理体制の強化にも取り組んでいます。
社内規程の厳格な運用、定期的な社内教育の実施、システム環境の整備を通じて厳密な管理を行っています。財務報告に係る内部統制の重要性を認識し、経費計上手続のモニタリング機能強化や専門知識を持つ人材の補充など、組織体制の見直しを図っています。今後も引き続き内部統制の一層の改善に努め、その有効性を確保していく方針です。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
ラストワンマイルは、取締役会と監査等委員会を設置する体制を採用しています。各機関が連携し、経営の健全性、効率性、透明性の確保に努めています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
ラストワンマイルの株主構成を見ると、筆頭株主は事業会社であるプレミアムウォーターホールディングスです。また、代表取締役会長 兼 CEOである渡辺誠氏も上位株主の一人として名を連ねています。このように、事業会社と経営陣が主要な株主として同社を支えていることが特徴です。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| プレミアムウォーターホールディングス | 34.39% |
| 渡 辺 誠 | 8.84% |
| 多 田 敬 祐 | 4.04% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は12名(男性11名・女性1名)で構成され、女性役員比率は8.3%です。代表取締役会長 兼 CEOは渡辺誠氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 渡辺 誠 | 代表取締役会長 兼 CEO | 1995年4月 株式会社竹中土木入社、2010年9月 株式会社コール&システム設立、2018年8月 同社取締役、2024年11月 同社代表取締役会長 兼 CEOより現職。 |
| 松永 光市 | 代表取締役社長 兼 COO | 1994年11月 株式会社光通信入社、2012年3月 プレミアムウォーター株式会社入社、2024年11月 同社代表取締役社長 兼 COOより現職。 |
| 市川 康平 | 取締役執行役員 | 2008年10月 株式会社シティクリエイションホールディングス入社、2016年11月 同社入社、2016年12月 同社取締役、2025年9月 同社取締役執行役員経営企画室長より現職。 |
| 栁田 拓也 | 取締役執行役員 | 2008年6月 株式会社NEXT入社、2014年2月 同社入社、2016年9月 株式会社まるっとチェンジ代表取締役、2024年11月 同社取締役執行役員事業本部第1営業部長より現職。 |
| 氣仙 直用 | 取締役執行役員 | 2000年4月 遠藤設備建設株式会社入社、2018年5月 同社入社、日本総合情報通信株式会社代表取締役、2024年11月 同社取締役執行役員事業本部第2営業部長より現職。 |
| 久木宮 然 | 取締役執行役員 | 1997年4月 株式会社薩摩マツダ入社、2015年6月 株式会社コール&システム入社、2018年11月 同社転籍、2024年11月 同社取締役執行役員事業本部CC事業部長兼事業管理部長より現職。 |
| 久木宮 美和 | 取締役執行役員 | 2003年4月 株式会社大洋食品入社、2013年7月 株式会社プレコムジャパン取締役、2018年7月 同社執行役員、2025年5月 同社取締役執行役員会長室長より現職。 |
| 長野 成晃 | 取締役 | 2003年4月 株式会社光通信入社、2015年10月 株式会社プレミアムウォーターホールディングス執行役員、2024年11月 同社取締役より現職。 |
| 矢野 貴文 | 取締役 | 2014年9月 マーケットインサイト株式会社代表取締役社長、2017年7月 株式会社RUTILEA代表取締役、2023年11月 同社取締役より現職。 |
社外取締役は、田中裕也氏(日本板硝子監査部内部監査人・監査等委員)、尾﨑充氏(アクティベートジャパンコンサルティング代表取締役・監査等委員)、石上麟太郎氏(石上法律事務所所長・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社です。監査等委員である社外取締役が取締役会に出席し、業務執行の監査を行うことで、経営の健全性と透明性の向上を図っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
ラストワンマイルの役員報酬は、取締役(監査等委員である取締役を除く)に対しては月額報酬と賞与、監査等委員である取締役に対しては月額報酬で構成されています。業績連動報酬制度は採用していませんが、譲渡制限付株式報酬制度が導入されています。報酬額は株主総会で決定された限度額の範囲内で、各役員の委嘱内容や貢献度を考慮して決定されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 10名 | 1.3億円 | 13.3百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 14百万円 | 2.7百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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