プログリット 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

プログリット 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース市場に上場する同社は、英語コーチングサービス「プログリット」及びサブスクリプション型英語学習サービス「シャドテン」等を展開しています。2025年8月期は、主力サービスの受講者増やサブスクリプションサービスの伸長により、売上高57億円、経常利益12億円と大幅な増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社プログリット の有価証券報告書(第9期、自 2024年9月1日 至 2025年8月31日、2025年11月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

プログリット転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

1. プログリットってどんな会社?

同社は、専任コンサルタントが伴走する英語コーチングサービスや、学習アプリ等のサブスクリプションサービスを提供する企業です。

(1) 会社概要

2016年に設立され、英語コーチングサービスを開始しました。2018年にサービス名を「プログリット」へ変更し、2020年にはサブスクリプションサービス「シャドテン」の一般提供を開始しました。2022年に東証グロース市場へ上場し、その後もスピーキング特化やAI英会話等の新サービスを展開しています。

2025年8月期末時点の従業員数は単体で238名です。筆頭株主は代表取締役の資産管理会社であるSO、第2位は代表取締役の岡田祥吾氏、第3位は取締役副社長の資産管理会社であるHOHETOとなっており、創業者とその資産管理会社が上位を占めています。

氏名 持株比率
SO 20.74%
岡田 祥吾 14.24%
HOHETO 10.97%

(2) 経営陣

同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は岡田祥吾氏が務めています。取締役4名のうち1名が社外取締役であり、社外取締役比率は25.0%です。

氏名 役職 主な経歴
岡田 祥吾 代表取締役社長 2014年4月マッキンゼー・アンド・カンパニー入社。2016年9月同社設立、代表取締役社長に就任し現職。
山碕 峻太郎 取締役副社長 人事部長 兼 新規事業開発部長 兼 プログリット事業部長 2013年4月リクルートキャリア入社。2016年9月同社設立、取締役副社長に就任。現在は人事部長等を兼務し現職。
谷内 亮太 取締役CFO 2009年4月ゴールドマン・サックス証券入社。2020年2月同社入社、同年6月取締役CFOに就任し現職。


社外取締役は、相木孝仁(元楽天常務執行役員)です。

2. 事業内容

同社グループは、「英語コーチングサービス」および「サブスクリプション型英語学習サービス」事業を展開しています。

(1) 英語コーチングサービス

専任コンサルタントが受講者一人ひとりに合わせたカリキュラムを提案し、学習習慣の形成や問題解決をサポートするサービス「プログリット」を提供しています。ビジネス英会話やTOEIC対策等のコースがあり、個人だけでなく法人向け研修としても導入されています。

主な収益源は、受講者または導入企業から受け取る受講料や入会金です。運営は同社が行っています。

(2) サブスクリプション型英語学習サービス

リスニング力向上に特化したシャドーイング添削サービス「シャドテン」、スピーキングトレーニングアプリ「スピフル」、AI英会話サービス「ディアトーク」等を提供しています。学習者のニーズに合わせ、手軽に継続可能な学習環境をアプリ等を通じて提供します。

主な収益源は、利用者が支払う月額または年額のサービス利用料です。運営は同社が行っています。

3. 業績・財務状況

同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

直近5期間において、売上高は右肩上がりに成長を続けています。利益面でも、第5期は損失を計上していましたが、第6期以降は黒字化し、経常利益、当期利益ともに増加傾向にあります。特に直近の第9期は大幅な増収増益となり、高い利益率を維持しながら事業規模を拡大させています。

項目 2021年8月期 2022年8月期 2023年8月期 2024年8月期 2025年8月期
売上高 20億円 23億円 30億円 45億円 57億円
経常利益 -0.5億円 3億円 5億円 8億円 12億円
利益率(%) -2.4% 14.2% 16.3% 18.3% 21.0%
当期利益(親会社所有者帰属) -0.8億円 2億円 4億円 6億円 9億円

(2) 損益計算書

直近2期間において、売上高の増加に伴い売上総利益も順調に拡大しており、売上総利益率は70%台の高水準を維持しています。営業利益率も前期の18.5%から20.9%へと向上し、収益性が高まっています。

項目 2024年8月期 2025年8月期
売上高 45億円 57億円
売上総利益 32億円 43億円
売上総利益率(%) 71.9% 74.0%
営業利益 8億円 12億円
営業利益率(%) 18.5% 20.9%


販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が14億円(構成比46%)、給料及び手当が4億円(同13%)を占めています。売上原価においては、労務費が8億円(構成比51%)、外注費が3億円(同22%)を占めています。

(3) セグメント収益

両サービスともに増収となりました。英語コーチングサービスはコンサルタントの採用による供給力増強が寄与し、サブスクリプション型サービスは「シャドテン」の好調に加え、新規サービスの拡大により大幅な増収を達成しました。

区分 売上(2024年8月期) 売上(2025年8月期)
英語コーチングサービス 30億円 36億円
サブスクリプション型英語学習サービス 15億円 22億円
連結(合計) 45億円 57億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

営業CFはプラス、投資CFはマイナス、財務CFはマイナスであり、本業で稼いだ資金で投資を行い、借入返済等も進めている「健全型」です。

項目 2024年8月期 2025年8月期
営業CF 11億円 9億円
投資CF -0.8億円 -1.9億円
財務CF 0.7億円 -3.4億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は43.9%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は50.4%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略

同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念

同社は「世界で自由に活躍できる人を増やす」というミッションを掲げています。最適な学習方法の選択と学習の継続にフォーカスした英語コーチングサービスの提供を通じ、一人でも多くの顧客が英語力と自信を身に付けて世界で活躍する後押しをすることを目指しています。

(2) 企業文化

同社は共通の価値観として「FIVE GRIT」を定めています。具体的には、「Customer Oriented(顧客起点で考えよう)」「Go Higher(高い目標を掲げよう)」「Own Issues(課題は自ら解決に導こう)」「Respect All(互いにリスペクトし合おう)」「Appreciate Feedback(フィードバックに感謝しよう)」の5つです。

(3) 経営計画・目標

同社は、売上高、営業利益および営業利益率を重視する経営指標としています。また、顧客生涯価値最大化の観点から、「プログリット」修了後の継続コース入会率も重要な指標と位置付けています。当面は積極的な再投資による事業成長とポートフォリオ拡大を目指します。

(4) 成長戦略と重点施策

英語コーチングサービスでは、認知広告への注力による顧客数拡大や、学習データの分析に基づくサービス品質向上を図ります。また、法人向けマーケティングを強化し、導入企業数を拡大させます。サブスクリプション型サービスでは、低価格帯サービスのラインナップ拡充により顧客層を広げ、事業成長の安定化と収益性向上を目指します。

5. 働く環境

同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針

ミッションを共有できる優秀な人材の確保と育成を重視しています。コンサルタントを全員正社員として採用し、研修制度の充実や公正な人事制度の運用、メンタルヘルスケア体制の強化を進めています。また、組織エンゲージメントを高めることに注力し、外部機関からも高い評価を得ています。

(2) 給与水準・報酬設計

同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年8月期 30.8歳 2.8年 5,517,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示

同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 38.5%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規雇用) -
男女賃金差異(非正規) -


※男女賃金差異については、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」の規定による公表項目としていないため、記載を省略しています。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、正社員に占める女性労働者の割合(68.1%)などです。

6. 事業等のリスク

事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 広告宣伝活動の成果

同社は新規顧客獲得においてインターネット等の広告宣伝に依存しています。競合他社の戦略やテクノロジーの変化等により広告宣伝費の費用対効果が悪化した場合には、集客数の減少や追加支出が必要となり、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) コンサルタント人材の確保

サービスの質を維持するためには、高い英語力と問題解決能力を持つコンサルタントの確保が不可欠です。必要なスキルを持つ人材を十分に確保できなくなった場合、サービス提供に支障をきたし、業績に影響を与える可能性があります。

(3) シャドーイングアドバイザー人材の確保

サブスクリプション型サービスにおける添削業務は、業務委託先のシャドーイングアドバイザーが担っています。事業拡大に伴う需要の急増等に対し、適切な人員配置ができなくなった場合、事業展開に支障が生じる可能性があります。

(4) 競合企業との競争激化

英語コーチング市場は成長段階にあり、競争が激化する可能性があります。競合他社によるM&Aや新規参入、海外大手IT企業によるAI活用サービスの展開等により競争環境が厳しくなった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。