※本記事は、株式会社FIXER の有価証券報告書(2025年8月期、2024年9月1日 ~ 2025年8月31日、2025年11月27日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
FIXERは、クラウドネイティブなエンタープライズシステム構築に強みを持つクラウドインテグレータです。クラウドインテグレーションを起点に、マネージドサービスやSaaS、生成AI事業へと展開しています。
単体従業員数は357名、連結従業員数は357名です。同社グループの事業セグメントはクラウドサービス事業の単一セグメントとなっています。
主な国内グループ会社は、メディカルAIソリューションズなどです。
近年、FIXERは生成AIプラットフォーム「GaiXer」の提供を開始し、医療業務支援に特化した「GaiXer Medical Agent」も展開しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
FIXERは、クラウドサービス事業を展開する企業であり、テクノロジーを駆使して顧客の課題解決に取り組んでいます。若手社員が中心となって事業を推進する環境が特徴です。社員の平均年齢や勤続年数からは、活気ある職場であることがうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、平均年齢が若く、勤続年数も比較的短い傾向にあります。これは、積極的に新卒採用を行い、若手人材が事業を推進する環境を重視している同社グループの戦略を反映していると考えられます。活発な人材の流入と成長機会が期待できる職場環境であることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,707,000円 |
| 平均勤続年数 | 2.6年 |
| 平均年齢 | 28.3歳 |
| 単体従業員数 | 357人 |
| 連結従業員数 | 357人 |
| 単体のグループ内比率 | 100.0% |
退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、「Technology to FIX your challenges.」を理念に掲げ、持続的な成長と企業価値向上において人材を最も重要な経営資源と位置付けています。そのため、人材の確保と育成に重点を置いた戦略を推進しています。
具体的には、クラウドネイティブな技術を持つエンジニアの増員を目指し、新卒の優秀な人材を積極的に採用しています。入社当初からクラウド技術に関する知識と経験を積める環境を提供することで、技術力の高いエンジニアの育成に注力しています。
また、多様な価値観に対応するため、人事制度や働き方の継続的な改善にも取り組んでいます。全ての社員が活躍できる環境を整備し、「若手が推進する会社」を目標に、若手社員の教育と技術力向上、事業推進への貢献を重視しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 16.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 99.4% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用) | 99.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 90.8% |
多様性・登用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 平均年齢 | 28.3歳 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
FIXERは、クラウドネイティブなエンタープライズシステムの構築に強みを持つクラウドインテグレータです。クラウドインテグレーションを起点に、マネージドサービスやSaaSのサービス展開も進めており、生成AI事業への適用も進めています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、クラウドに特化して情報システムの設計・構築・運用等の全工程を一貫して請け負うクラウドインテグレータとして事業を展開しています。主要なパブリッククラウドとしてMicrosoft Azureを主に取り扱い、日本国内でのサービス開始以前から技術検証に着手し、導入実績を積み重ねてきました。一部ではAmazon Web Services(AWS)も取り扱っています。
同社グループのサービスは、主に「プロジェクト型サービス」「リセール」「マネージドサービス」「SaaS」の4つの形態で提供されています。プロジェクト型サービスでは、顧客の要件に基づく新規システム開発や既存システムのクラウド移行を行い、クラウドの柔軟性を活かしたアジャイル開発手法を採用しています。リセールでは、パブリッククラウドベンダーや各種ソフトウェアベンダーからライセンスを仕入れ、顧客に販売しています。マネージドサービスは、cloud.configのブランドで展開され、24時間365日の運用サポートを提供しており、システムのライフサイクルを通じて売上を維持・継続するストック型の契約モデルとなっています。SaaS事業では、生成AI「GaiXer」や医療業務支援に特化した「GaiXer Medical Agent」を提供し、医療業界のDX推進にも取り組んでいます。
同社グループの収益は、主に準委任契約と請負契約から得られています。特定の顧客への売上集中が見られ、デジタル庁、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会、ヤマトシステム開発、大和アセットマネジメントといった主要な顧客からの売上が全体の大部分を占めています。また、本邦以外の外部顧客への売上高はなく、海外での事業展開は行っていません。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループは当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、それ以前の連結経営指標は記載されていません。当連結会計年度においては、売上高を計上したものの、営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失を計上する結果となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローもマイナスとなっており、これは主に税金等調整前当期純損失の計上によるものです。また、特別損失として減損損失も計上されています。
| 項目 | 2021年8月期 | 2022年8月期 | 2023年8月期 | 2024年8月期 | 2025年8月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | - | - | - | - | 39.8億円 |
| 経常利益 | - | - | - | - | △17.2億円 |
| 経常利益率 | - | - | - | - | △43.2% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | - | - | - | - | △21.2億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | - | - | - | - | △143.22 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループは当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前期との比較はできませんが、当期の従業員1人あたりの売上高および営業利益は以下のとおりです。従業員1人あたり営業利益はマイナスとなっています。同社グループは、今後ソフトウェア開発および保守・運用における自動化の推進により、1人あたり売上高の増加を目指す方針を示しています。
| 指標 | 2024年8月期 | 2025年8月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | - | 11.1百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | - | △4.8百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
FIXERグループは、クラウドサービス事業を主軸に成長を目指しています。現在の財務状況からは、事業拡大に向けた投資フェーズにあることがうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
FIXERグループの自己資本比率は高い水準を示しており、プライム市場の平均と比較しても厚みのある財務基盤となっています。手元資金である現金及び預金も確保されており、事業運営に必要な資金を保持している状況です。ROE(自己資本利益率)はマイナスとなっていますが、これは当期の純損失によるものです。
| 指標 | 2024年8月期(前期) | 2025年8月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 58.8億円 | 38.1億円 |
| 自己資本比率 | - | 83.7% |
| ROE(自己資本利益率) | - | △56.3% |
| 現金及び預金 | 41.5億円 | 30.9億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
FIXERグループの当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失があったことなどにより、資金の支出となりました。投資活動によるキャッシュ・フローも、投資有価証証券の取得による支出などにより、資金の支出となっています。一方で、財務活動によるキャッシュ・フローは、非支配株主からの払込みによる収入などにより、資金の獲得となりました。これらの結果、フリーキャッシュ・フローは資金の支出を示しています。同社グループは事業拡大に向けた投資フェーズにあり、今後の事業成長と収益性の改善が、雇用や給与の安定性につながると考えられます。
| 項目 | 2024年8月期(前期) | 2025年8月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | - | △10.5億円 |
| 投資CF | - | △0.7億円 |
| 財務CF | - | 0.4億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | - | △11.1億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、クラウド・コンピューティング・サービスであるMicrosoft Azureのマネージドサービスを中核とするクラウドソリューションを提供しています。Microsoft Azureの市場規模の縮小や米国Microsoft Corporation社の経営戦略の変更がある場合、事業展開や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、同社グループが事業展開するクラウドサービス市場は、競合企業が多数存在しています。競合他社の技術力やサービスの向上、大手資本の参入などにより競争が激化した場合には、事業展開や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループの成長と利益は、IT技術等の専門性に基づいて顧客に価値を提供する優秀な人材の確保・育成に大きく影響されます。優秀な人材の採用・育成が想定どおりに進まない場合、事業展開や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
FIXERは、テクノロジーの力を信じ、顧客やあらゆるステークホルダーのチャレンジを成就することを目指している会社です。日本のエンタープライズシステムにグローバル品質のクラウドパワーを提供することで、DXを加速させることをミッションとしています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「FIXERのテクノロジーで日本中のDXを成就する」というビジョンを掲げています。コーポレートステートメントは「Technology to FIX your challenges.」です。ここでいう「FIX(=成就)」とは、顧客のチャレンジを実現し、事業の価値を高めることを意味しています。また、「your challenges」は、顧客、同社グループの全従業員、あらゆるステークホルダーのチャレンジを示しています。
同社グループのミッションは、「日本のエンタープライズシステムにグローバル品質のクラウドパワーを」です。2008年の設立以来、エンタープライズシステムのクラウド化を推進し、Microsoft Azureの普及に貢献してきました。クラウド・バイ・デフォルト原則が示されて以降、高まるクラウド環境へのニーズに対し、同社グループはクラウドネイティブなテクノロジーで日本のDXを加速させていくことを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、「Technology to FIX your challenges.」を理念に掲げ、あらゆるステークホルダーのチャレンジをテクノロジーで成就することで持続可能な社会の実現を目指しています。最も重要な経営資源である人材の確保と育成に重点を置いています。
同社グループでは、クラウドネイティブな設計・構築・保守・運用ができる技術力の高いエンジニアの増員を図るため、新卒の優秀な人材を積極的に採用し、クラウド技術に関する知識と経験を入社当初より積める環境を提供しています。多様化する価値観に対応するため、人事制度や働き方の改善も継続的に行い、全ての人材が活躍できる環境を目指しています。
「若手が推進する会社」を目標に掲げており、20代から30代の若手を中心に事業を推進する社風があります。外部環境の変化に応じた柔軟なリソースシフトを可能にしています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、優秀な人材の確保と育成を重要な経営課題と認識しています。高い技術力を持つエンジニアの中途採用に加え、高等専門学校生を中心とした新卒を積極的に採用し、クラウドネイティブな開発手法の教育や重要案件での登用を進めています。また、海外のプロフェッショナル人材を含む外部人材の活用も推進し、若手エンジニアの育成を継続的に強化しています。
管理体制の強化・整備も課題の一つです。複数の事業拠点にまたがる営業・開発体制を整備し、内部統制システムの整備を主とした内部管理体制の強化に努めています。
システム基盤の強化として、自社サービスのセキュリティ強化と品質向上に取り組んでいます。ISO/IEC 27001、ISO 9001、ISO/IEC 20000、ISO/IEC 27017、及びプライバシーマークといった各種の公的認証を取得しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
FIXERは、監査等委員会設置会社としてコーポレート・ガバナンスの強化に取り組んでいます。取締役会は社内取締役と監査等委員である社外取締役で構成され、経営の意思決定と監督を行っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
FIXERの筆頭株主は代表取締役社長の松岡清一氏であり、同氏が同社の経営に強い影響力を持つ資本構成となっています。上位株主には複数の個人株主が名を連ねており、安定した株主基盤を形成しています。また、関連会社も上位株主として名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 松岡 清一 | 60.61% |
| 北村 健 | 9.46% |
| mam | 4.48% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は5名(男性4名・女性1名)で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長は松岡清一氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 松岡 清一 | 代表取締役社長 | 1994年野村システムズ関西株式会社(現NRIネットコム株式会社)に入社。2009年11月に同社代表取締役社長に就任し、現在に至ります。 |
| 磐前 豪 | 取締役 | 1999年アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア株式会社)に入社。株式会社ビービット執行役員を経て、2018年5月に同社に入社。2020年9月より同社取締役に就任し、現在に至ります。 |
社外取締役は、梅本麻衣氏(森・濱田松本法律事務所弁護士・監査等委員)、山本敬二郎氏(山本会計事務所所長・監査等委員)、山口貢氏(ドリームファクトリーライツ代表取締役社長・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、監査等委員である取締役3名全員が社外取締役として、独立した立場から経営の監督機能を強化しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
FIXERの役員報酬は、人材獲得・維持のための競争力確保と中長期的な企業価値向上へのインセンティブを基本方針としています。取締役の報酬は金銭報酬で、固定報酬80%と業績連動報酬20%で構成され、業績指標には当期純利益が用いられています。社外取締役には固定報酬のみが支給されています。報酬委員会が取締役報酬制度や個人別報酬について審議し、取締役会の意思決定を補佐する体制です。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 2名 | 57百万円 | 28.5百万円 |
| 社外役員 | 6名 | 39百万円 | 6.5百万円 |
同社の役員報酬等の総額は96百万円であり、対象となる役員の合計人数は8名です。1人あたりの平均報酬は12.0百万円となっています。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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