※本記事は、株式会社ABEJA の有価証券報告書(2025年8月期、2024年9月1日 ~ 2025年8月31日、2025年11月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
ABEJAは「ゆたかな世界を、実装する」を企業理念に掲げ、ミッションクリティカル業務へのAI導入支援を行うデジタルプラットフォーム事業を展開しています。ABEJA Platformを核に、AIの導入支援を行う「トランスフォーメーション領域」と、人とAIの協調による運用を行う「オペレーション領域」を提供しています。
同社の単体従業員数は133名です。同社はデジタルプラットフォーム事業の単一セグメントで事業を展開しています。
ABEJAは、デジタルプラットフォーム事業の単一セグメントとして、ABEJA Platformを核に、多種多様な業界・業態300社以上のAI導入を支援するデジタル版EMSを提供しています。コンサルティングからオペレーションまでを一括支援し、顧客は最先端の技術・ノウハウを活用できます。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
ABEJAは、AI導入支援を主軸とするデジタルプラットフォーム事業を展開しており、テクノロジーを活用して社会にイノベーションをもたらす「テクノプレナー人材」の育成に力を入れています。従業員の平均年齢は30代半ばで、比較的若い組織構成となっています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均年齢が30代半ばであり、平均勤続年数は短めの傾向が見られます。これは、成長フェーズにある企業で、新しい人材が継続的に加わり、組織が活発に変化している状況を示唆していると考えられます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 9,527,000円 |
| 平均勤続年数 | 2.7年 |
| 平均年齢 | 36.7歳 |
| 単体従業員数 | 133人 |
なお、退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
ABEJAは「ゆたかな世界を、実装する」という企業理念のもと、「テクノプレナーシップ」の行動精神を体現する「テクノプレナー人材」の継続的な創出を人材戦略の基本方針としています。市場の拡大や顧客ニーズの多様化に迅速に対応するため、高い意欲を持つ多様な人材の採用、定着、育成に注力しています。
人事評価制度としては、各自の職務役割の期待に基づくミッショングレード制を採用しており、客観的な評価と柔軟な人材任用を可能にしています。半期ごとのパフォーマンス評価と、行動精神に関する360度多面評価を総合することで、適切な人事評価を行っています。また、従業員持株会の設立や連続休暇取得者への手当支給など、働きやすい環境とエンゲージメント向上に向けた施策も導入しています。
具体的には、性別、年齢、国籍を問わない多様な人材の採用を目指し、リファラル採用やインターンシップの受け入れ、従業員インタビュー記事や技術記事の発信に取り組んでいます。定着施策としては、テレワークやフレックスタイム制度による多様な働き方の実現、入社者向けの「コネクター」制度や社内交流促進のための支援、行動精神を体現するメンバーの表彰制度「ABECON」などを実施しています。育成面では、社内DXや人材育成に関する全社横断プロジェクトを推進し、書籍代やオンライン講座受講料の支援、新技術検証の促進、マネージャー以上が中長期的な視点で成長支援を議論する「人材プロデュース会議」などを通じて、自発的な成長を支援しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
管理職に占める女性労働者の割合及び労働者の男女の賃金の差異については、女性活躍推進法に基づく公表項目として選択しておらず、公表されていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性労働者の育児休業取得率 | 75.0% |
採用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 従業員数 | 133人 |
| 男性従業員比率 | 88.0% |
| 女性従業員比率 | 12.0% |
| 外国籍従業員比率 | 1.5% |
| 新卒採用数 | 4人 |
定着
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 平均年齢 | 36.7歳 |
| 平均勤続年数 | 2.7年 |
| 平均年間給与 | 9,527,000円 |
| 有給休暇取得率 | 75.5% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
ABEJAは「ゆたかな世界を、実装する」を企業理念に掲げ、ミッションクリティカル業務へのAI導入支援を行うデジタルプラットフォーム事業を展開しています。同社は、AIの導入支援から運用までを一貫して手掛けるビジネスモデルを構築しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
ABEJAは、基盤システムであるABEJA Platformの開発、導入、運用を通じて、産業界へのテクノロジー社会実装を支援しています。同社はデジタルプラットフォーム事業の単一セグメントで、AI導入支援と周辺サービスを提供する「トランスフォーメーション領域」と、人とAIの協調による運用を行う「オペレーション領域」に区分して事業を展開しています。
ABEJA Platformは、生成AIをはじめとする最先端技術を人とAIが協調して運用するプラットフォームであり、多種多様な業界・業態でのAI導入支援で培ったノウハウを活かしています。コンサルティングからプラットフォーム上でのオペレーションまでを一括で支援する、デジタル版EMSに近いビジネスモデルが特徴です。
トランスフォーメーション領域では、顧客ニーズに対応したABEJA Platformの導入支援と仕組みづくり、構築フェーズを担っています。この領域の収入は都度契約が中心ですが、長期間にわたる計画的なプロセスであるため、継続顧客の割合が高い傾向にあります。
オペレーション領域は、ABEJA Platform上で人とAIが協調して運用を行うフェーズであり、主な収入は継続的なストック型です。小売業、不動産業、製造業、金融業など幅広い業界で活用されており、例えば小売業向けには消費者の行動分析を行うABEJA Insight for Retailを提供しています。
同社は、両領域で得られた知見をABEJA Platformに還元し、相互に連携することで事業全体のシナジー効果を高めています。直近の販売実績では、トランスフォーメーション領域が全体の大部分を占め、オペレーション領域も収益に貢献しています。
当期はさくらインターネット株式会社とSOMPOホールディングス株式会社が主要な取引先となっており、特定の顧客への売上集中が見られます。同社は本邦以外への外部顧客への売上高がないため、海外売上比率は発生していません。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社の業績は、当事業年度において売上高と各利益が増加しました。特に、売上高は各四半期で前年同期を上回り、主にLLM案件が成長を牽引しています。販管費の伸びが売上高の伸びを下回ったことで、営業利益も増加する結果となりました。
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社は、本業で得た資金を元手に事業を拡大しており、財務基盤は安定しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の自己資本比率はプライム市場の平均と比較して高い水準にあります。また、ROE(自己資本利益率)もプライム市場平均を上回っています。手元資金である現金及び預金も増加傾向にあり、安定した財務状況を示しています。
| 指標 | 2024年8月期(前期) | 2025年8月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 3,898百万円 | 4,472百万円 |
| 自己資本比率 | 91.9% | 84.1% |
| ROE(自己資本利益率) | - | 10.7% |
| 現金及び預金 | 2,869百万円 | 4,586百万円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社の営業活動によるキャッシュフローは、当期に大幅なプラスとなりました。これは主に税引前当期純利益の計上や、公的プロジェクトに関する助成金の回収によるものです。投資活動によるキャッシュフローは、有形固定資産の取得や差入保証金の差入により、わずかな支出となっています。財務活動によるキャッシュフローは、新株予約権の行使による株式発行収入によりプラスとなっています。
本業で安定的に資金を生み出し、事業に必要な投資を行いながら、新株予約権の行使による資金調達も実施している状況です。これらの資金の流れは、同社の事業拡大と安定的な経営を支えていることを示しています。
| 項目 | 2024年8月期(前期) | 2025年8月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △760百万円 | 1,621百万円 |
| 投資CF | △29百万円 | △28百万円 |
| 財務CF | 117百万円 | 124百万円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △789百万円 | 1,593百万円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は、SOMPOホールディングス株式会社及びさくらインターネット株式会社への売上高依存度が高い状況です。SOMPOホールディングス向けの売上高は当期で12.9%、さくらインターネット株式会社向けの売上高は当期で17.2%となっています。特定の取引先への依存度が高い水準で推移することが考えられ、取引関係に変化が生じた場合には、同社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社は、事業拡大のため優秀な人材の採用・育成を重要視しています。特に生成AIやAIロボティクス関連の人材獲得競争が激化しており、計画どおりに人材を確保できない場合には、同社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ABEJAは、「ゆたかな世界を、実装する」という企業理念のもと、テクノロジーの社会実装を通じて産業界にイノベーションをもたらすことを目指しています。同社は、AIや最新技術を駆使し、社会の変革を推進する企業風土を醸成しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
ABEJAの企業理念は「ゆたかな世界を、実装する」です。同社はテクノロジーの産業界への社会実装を支援し、産業横断的なイノベーションを創出し、社会に貢献し続けることを目指しています。
行動精神として「テクノプレナーシップ」を掲げています。これは進化するテクノロジーを用いて、どのような社会を実現していくかを問い続ける姿勢と、この円環を推進する力の造語です。
「テクノロジーの力で産業構造を変革する」をミッションとし、「イノベーションで世界を変える」をビジョンとして事業活動に取り組んでいます。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社は「テクノプレナーシップ」を行動精神とし、テクノロジーとリベラルアーツ、アントレプレナーシップを融合した姿勢を重視しています。従業員には、最先端技術を活用した案件に携わり、実運用を目指す思想とノウハウを身につけることが求められています。
技術に対する意識が高く、職種の垣根なく幅広い経験を積める「CDO輩出集団」であることを同社の魅力としています。
また、社会課題の解決にAIが寄与する一方で指摘される情報管理やプライバシー等の問題に対し、外部有識者が倫理的・法務的観点から協議する「Ethical Approach to AI(EAA)」委員会を設置しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
ABEJAは、顧客ニーズの多様化や生成AI、AIロボティクスなどの技術進化に迅速に対応するため、「テクノプレナー人材」の確保と育成を優先課題としています。働きやすく自己研鑽できる環境・仕組みの整備にも取り組んでいます。
企業及びサービスの認知度向上にも継続的に取り組んでおり、自社カンファレンス開催や広報活動、技術ブログの発信などを推進しています。
また、インターネットを介したサービス提供を行うため、システムの安定性強化を重要視しています。情報管理体制の強化や内部管理体制の強化も重要な課題としています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社は、株主総会、取締役会、監査役会、会計監査人を設置しており、取締役会が経営の意思決定と職務執行の監督を担っています。全員が社外監査役で構成される監査役会が公正かつ独立の立場から監査を行い、任意の報酬委員会も設置されています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の株主構成を見ると、筆頭株主はSOMPO Light Vortexが務めています。同社は業務提携関係にあるSOMPOホールディングス傘下の関係会社です。また、代表取締役CEOである岡田陽介氏も上位株主の一人として名を連ねています。主要な事業パートナーと経営陣が上位株主として同社を支えている構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| SOMPO Light Vortex | 17.34% |
| 岡田 陽介 | 13.09% |
| ヒューリック | 4.43% |
| インスパイア・インベストメント | 2.87% |
| 外木 直樹 | 2.52% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は10名(男性10名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役CEOは岡田陽介氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 岡田 陽介 | 代表取締役CEO | 2011年2月株式会社響取締役CTO。2012年9月同社設立代表取締役社長。2019年6月同社代表取締役社長CEO。2020年11月同社代表取締役CEOより現職。 |
| 小間 基裕 | 代表取締役COO | 2002年4月ヤフー株式会社入社。2015年4月同社ディレクター。2020年9月同社入社社長室長。2021年11月同社代表取締役COOより現職。 |
| 英 一樹 | 取締役CFO | 2003年4月公認会計士登録。2013年10月株式会社アイリッジ入社執行役員CFO。2021年11月同社入社執行役員CFO。2022年3月同社取締役CFOより現職。 |
| 外木 直樹 | 取締役CSO | 2012年4月株式会社オープンアソシエイツ入社。2013年6月同社入社。2013年9月同社取締役。2023年11月同社取締役CSOより現職。 |
社外取締役は、田中邦裕氏(さくらインターネット代表取締役社長)、麻野耕司氏(ナレッジワーク代表取締役)、的野仁氏(SOMPOダイレクト損害保険取締役常務執行役員)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会による経営の意思決定と監督、監査役会による監査が行われる体制です。社外役員は、経営全般に対して客観的かつ公正な意見を述べ、経営監視機能の客観性と中立性を確保する役割を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の取締役(社外取締役を除く)の報酬は、固定報酬と業績連動報酬である賞与で構成されています。社外取締役の報酬は、業務執行から独立した立場であることに鑑み、固定報酬のみとなっています。年間標準報酬額を基準に、固定報酬が約60%、業績連動報酬が約40%を占める構成です。業績連動報酬は売上と営業利益に連動する仕組みです。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 1.4億円 | 35.1百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 25百万円 | 4.9百万円 |
当事業年度において報酬の支給対象となった役員は合計9名で、報酬等の総額は1.7億円となっています。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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