※本記事は、株式会社キャスター の有価証券報告書(2025年8月期、2024年9月1日 ~ 2025年8月31日、2025年11月26日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
同社グループは、リモートワーカーを活用した企業のバックオフィス業務代行・支援を行うBPaaS事業と、人材派遣・紹介、EC企業向け業務効率化ツールの開発・提供、生成AIを活用したプロダクト開発・運用を行うその他事業の2事業を展開しています。
単体従業員数は444名、連結従業員数は458名です。セグメントはBPaaS事業、その他事業の2つです。
主な国内グループ会社は、(連結子会社)グラムス、LUVOなどです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
キャスターは、リモートワークを軸とした柔軟な働き方を推進している企業です。時間や場所にとらわれない働き方を実現し、多様な人材が活躍できる環境を整備しています。このような働き方は、個人のライフスタイルに合わせたキャリア形成を可能にしています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、平均年齢が30代後半であり、比較的若い層が中心となって事業を推進している傾向が見られます。平均勤続年数は4年未満となっており、組織の流動性や成長フェーズにある企業の特徴を示していると言えます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 3,974,000円 |
| 平均勤続年数 | 3.9年 |
| 平均年齢 | 38.4歳 |
| 単体従業員数 | 444人 |
| 連結従業員数 | 458人 |
| 単体のグループ内比率 | 96.9% |
同社は、確定給付型の退職給付制度(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度)を採用しています。この制度は、一部の従業員等を対象としています。退職一時金制度があり、退職給付として給与と勤務期間に基づいた一時金が支給されます。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
キャスターは、リモートワークを最大限に活用した人材戦略を推進しています。時間や場所の制約にとらわれず、多様な人材が自分らしく働ける環境を整備することで、プライベートと仕事の両立を支援しています。選考プロセスも完全にオンライン化し、国内外から優秀な人材を確保しています。
人材育成においては、基本オペレーションの丁寧な教育に加え、定期的なeラーニングや各種相談窓口の整備を通じて、業務効率化と従業員の成長を支援しています。また、全社的にフレックスタイム制度や時短勤務制度を導入し、働く場所だけでなく時間の柔軟性も確保することで、多様な働き方を実現しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データを示します。連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、記載を省略しています。管理職とは執行役員・パートナー職・マネージャー職・サブマネージャー職と定義されています。労働者の男女の賃金差異は、賃金制度や体系に性別による差異はなく、時短勤務従業員に女性の割合が多いことに起因しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 67.4% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 73.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 71.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 75.3% |
同社グループでは、人的資本および社内環境の整備を重要なサステナビリティ項目としていますが、現時点では具体的な指標は設定していません。今後、取締役会で指標策定に向けた議論を行い、開示を検討していく方針です。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
株式会社キャスターは、リモートワーカーのリソースを活用し、企業のバックオフィス業務を代行・支援するBPaaS事業と、人材派遣・紹介、EC企業向けの業務効率化ツール開発などを行うその他事業を展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、当社および連結子会社3社で構成されており、主に「BPaaS事業」と「その他事業」の2つの事業を展開しています。BPaaS事業は、フルリモートワークのノウハウとリモートワーカーの活用により、企業のバックオフィス業務を代行・支援するサービスです。SaaS型業務ツールやAI技術を組み合わせ、業務設計から実行・改善までを包括的に支援するBPaaS型のサービス体系へと進化しています。
中小企業を中心に、独自の自動マッチングシステムを活用し、オフィスワークのリソースを月額2.5万円からの小ロットで提供するなど、時間単位での柔軟なサービス提供が特徴です。その他事業では、人材派遣・紹介サービスやEC企業向けの業務効率化ツールの開発・提供、生成AIを活用したプロダクト開発及びサービス運用などを行っています。子会社及び新規事業の売上計上が今期より始まったことから、その他事業は増収となりました。
BPaaS事業
BPaaS事業は、経理・労務・マイクロロット領域の好調な推移が寄与したものの、その他の領域が伸び悩み、事業全体では横ばいに推移しています。収益は、バックオフィス業務代行サービスからの役務提供から得ています。運営は、キャスターが行っています。
その他事業
その他事業は、子会社及び新規事業の売上計上が今期より始まったことから増収となりました。収益は、人材派遣・紹介サービス、EC企業向けの業務効率化ツールの開発・提供、生成AIを活用したプロダクト開発及びサービス運用などから得ています。運営は、キャスター、グラムス、LUVO(現:キャスターテックジャパン)、CASTER TECH VIETNAM CO., LTD.が行っています。
同社グループの売上高は、本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えており、特定の地域への集中が見られます。また、特定の顧客への売上集中はなく、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先はいません。
| セグメント | 売上高(2024年8月期) | 売上高(2025年8月期) |
|---|---|---|
| BPaaS事業 | 36.0億円 | 35.7億円 |
| その他事業 | 8.4億円 | 10.2億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は直近で増加傾向にあります。一方で、営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失が継続しており、損失額は前期から拡大しています。営業活動によるキャッシュ・フローは引き続き減少を示していますが、のれん償却額などの非現金項目も影響しています。
| 項目 | 2021年8月期 | 2022年8月期 | 2023年8月期 | 2024年8月期 | 2025年8月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | - | - | - | 44.4億円 | 45.9億円 |
| 経常利益 | - | - | - | △1.6億円 | △3.9億円 |
| 経常利益率 | - | - | - | △3.6% | △8.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | - | - | - | △2.2億円 | △3.9億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | - | - | - | △113.47 | △200.59 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は前期から減少しています。従業員1人あたり営業利益も前期から減少しており、損失幅が拡大しています。これらの指標は、同社グループの生産性が直近で低下傾向にあることを示しています。
| 指標 | 2024年8月期 | 2025年8月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 11.2百万円 | 10.0百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | △0.4百万円 | △0.8百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、本業の資金の流れや投資活動において支出が先行しており、成長投資フェーズにあることがうかがえます。今後の収益改善とキャッシュフローの安定化が、経営の安定性につながると考えられます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は、非製造業のプライム市場平均と比較して高い水準を示しています。しかし、ROE(自己資本利益率)はマイナスとなっており、収益性の改善が課題となっています。手元資金である現金及び預金は前期から減少しており、今後の資金状況を注視する必要があります。
| 指標 | 2024年8月期(前期) | 2025年8月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 11.0億円 | 7.1億円 |
| 自己資本比率 | 44.9% | 37.9% |
| ROE(自己資本利益率) | - | △43.4% |
| 現金及び預金 | 16.4億円 | 11.8億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、前期に引き続きマイナスとなり、支出が拡大しています。これは主に税金等調整前当期純損失の計上や未払金の減少などによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前期の支出から当期は収入に転じています。これは定期預金の払戻による収入があった一方、有形固定資産や無形固定資産の取得による支出があったためです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前期の収入から当期は支出に転じています。短期借入金の純減額や長期借入金の返済による支出が主な要因となっています。
フリーキャッシュ・フローは当期もマイナスとなっており、本業の稼ぎだけでは投資を賄いきれていない状況を示しています。同社グループは成長過程にあり、事業拡大のための投資を継続していることがうかがえます。今後の収益改善とキャッシュフローの安定化が、雇用や給与の安定性につながると考えられます。
| 項目 | 2024年8月期(前期) | 2025年8月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △1.5億円 | △3.7億円 |
| 投資CF | △3.0億円 | 0.2億円 |
| 財務CF | 5.7億円 | △0.7億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △4.5億円 | △3.5億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、生成AIをはじめとする新技術の進歩により、従来請け負っていた業務の一部が代替・減少する可能性があることをリスクとして認識しています。また、競合他社の動向によっては、同社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、今後の人材市場の変化により、計画どおりの採用が困難になった場合や、採用コストや人件費が増加した場合に、事業及び業績に影響を及ぼす可能性があることをリスクとして挙げています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
キャスターは、リモートワークを基盤に、働くことの未来を「創り変える」ことを目指す企業です。多様な人材が自然体で合理的に働ける世界を実現するため、AI技術を積極的に活用した事業展開を進めています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、創業以来「リモートワークを当たり前にする」というミッションを掲げてきました。2025年9月には、生成AIの進化を踏まえ、ミッションを「創り変える。働くの全てを。」(Work. Created Anew)に刷新しています。
ビジョンには「自然体で合理的な世界」を掲げ、全ての事業・サービスにおいてAI駆動開発を基本とする「AI FIRST」をストラテジーとしています。リモートワークという働き方の選択肢にとどまらず、働き方そのものを再定義し、社会全体の労働構造のアップデートに貢献することを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
キャスターは創業以来、フルリモートワークを実践しており、取締役会を含むあらゆる会議体や業務をオンラインで運営しています。これにより、時間や場所といった制約にとらわれず、プライベートと仕事を両立できる就業環境を整備しています。
人材確保においては、選考プロセスも全てオンラインで完結させ、国内外から多様な人材を集めています。全社的にフレックスタイム制度を導入し勤務時間の柔軟性を高めるほか、時短勤務の契約形態も設けることで、社員に合った働き方を提供しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、組織として統一した品質を提供し、適正な営業利益を獲得する体制を整備する方針です。事業の中核を占めるコミュニケーション・ディレクション領域では、AI駆動開発による業務構造改革を推進し、生産性の向上と適正利益の確保を目指しています。
また、顧客情報や機密情報の管理徹底、および業務の属人性を排除した社内管理体制の強化とシステム化、内部統制システムの充実は、継続的な成長に向けた重要な課題として取り組んでいます。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
株式会社キャスターは、株主総会、取締役会、監査役会、会計監査人を設置する監査役会設置会社です。社内取締役と社外取締役、社外監査役を含む体制で、経営の効率化と監視機能の強化を図っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
株式会社キャスターの株主構成を見ると、筆頭株主は事業会社のマネーフォワードです。第2位には代表取締役が代表を務める株式会社ブルーマンデイが名を連ねており、創業者の影響力がうかがえる資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| マネーフォワード | 20.30% |
| ブルーマンデイ | 17.34% |
| インキュベイトファンド2号投資事業有限責任組合 | 9.93% |
| Wiz | 5.83% |
| WiL Fund Ⅱ, L.P. | 5.66% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性6名・女性3名)で構成され、女性役員比率は33.0%です。代表取締役は中川祥太氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 中川 祥太 | 代表取締役 | 2008年4月自営業にて古着店を開店、2011年1月株式会社オプト(現 株式会社デジタルホールディングス)入社、2012年4月イー・ガーディアン株式会社入社、2014年9月同社創業 代表取締役就任、2019年2月株式会社ブルーマンデイ代表取締役就任、2020年9月一般社団法人リモートワーカー協会理事就任、2024年6月同社執行役員就任、2024年9月株式会社LUVO(現 株式会社キャスターテックジャパン)取締役就任より現職。 |
| 森岡 由布子 | 取締役 | 2005年4月株式会社ケーブルテレビ神戸入社、2006年10月株式会社リクルートスタッフィング入社、2008年2月イー・ガーディアン株式会社入社、2017年2月同社入社、2017年11月同社取締役就任、2022年12月同社新規事業部マネージャー就任、2023年8月合同会社jinbee代表社員就任、2024年6月同社執行役員就任より現職。 |
| 清田 尚志 | 取締役 | 1998年4月株式会社キーエンス入社、2005年6月株式会社オプト(現 株式会社デジタルホールディングス)入社、2012年10月ソウルドアウト株式会社入社、2014年4月ソウルドアウト株式会社に転籍、2016年4月株式会社電通デジタル・ネットワークス取締役就任、2021年1月STORES株式会社入社、2023年11月同社入社、2023年12月同社営業本部パートナー就任、2024年6月同社執行役員就任、2024年11月同社取締役就任より現職。 |
社外取締役は、本田浩之氏(元リクルート取締役兼専務執行役員)、池村公男氏(元ソウルドアウト取締役CFO)、君島寿章氏(マネーフォワード事業戦略推進)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会と監査役会が経営を監督する体制です。社外取締役と社外監査役を複数選任することで、客観的かつ中立的な経営監視機能を強化しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は固定報酬のみで構成されており、業績連動報酬制度や退職慰労金制度は採用していません。報酬額は、株主総会で決議された限度額の範囲内で、担当職務や貢献度を総合的に勘案し決定されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 3名 | 48百万円 | 16.1百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 11百万円 | 10.9百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 21百万円 | 4.1百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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