※本記事は、Chordia Therapeutics株式会社 の有価証券報告書(2025年8月期、2024年9月1日 ~ 2025年8月31日、2025年11月21日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
Chordia Therapeuticsは、新規抗がん薬の市販を目指して研究開発を行う創薬ベンチャー企業です。医療ニーズの高いがん領域において、新しい作用を有する低分子の画期的医薬品(ファーストインクラス)の研究開発を主要な事業としています。
単体従業員数は20名です。同社は医薬品事業の単一セグメントで事業を展開しています。
Chordia Therapeuticsは、候補化合物の探索、評価、最適化、臨床試験といった研究開発業務に集中し、基礎研究、原薬・製剤の製造、流通・販売は外部協力先に委託する形で事業を進めています。
MALT1阻害薬CTX-177については、小野薬品工業とのライセンス契約が2025年4月28日に戦略的判断により中止され、Chordia Therapeuticsが全世界での独占的な権利を回収しました。現在、新たなライセンス許諾先の選定に向けた検討を進めています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
Chordia Therapeuticsは、革新的な抗がん薬の研究開発に特化した企業です。専門性の高い人材が中心となって事業を推進しており、給与水準や働き方にもその特徴が表れています。従業員の定着や多様な働き方を重視する姿勢が見られます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
Chordia Therapeuticsは研究開発型の製薬会社であり、専門性の高い人材が中心となっていることが推測されます。平均勤続年数と平均年齢から、従業員が比較的長く在籍し、経験を積んでいる傾向が見られます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 11,146,752円 |
| 平均勤続年数 | 4.69年 |
| 平均年齢 | 47.45歳 |
| 単体従業員数 | 20人 |
なお、退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
Chordia Therapeuticsは、「日本発」「世界初」の新しい抗がん薬を患者に届けることをミッションとし、2030年には日本発の研究開発型の製薬会社となることをビジョンとしています。このビジョン達成のため、多様な経験や価値観を背景に能力を最大限に発揮する人材の確保と維持が重要であると考えています。
同社は、「Tomorrow is Another Day~明日に希望を感じる社会の実現」を共に目指す人材を、年齢・性別・国籍等にかかわらず積極的に採用し、多様性のある組織生成を目指しています。ひとりひとりの個性や価値観を相互に認め尊重し、個々の持つ能力を最大限に発揮することが、同社の事業推進に最も重要であると考えています。育児や介護といった個々の事情が能力発揮の妨げとならないよう環境整備を行い、「働きやすい職場づくり」の実現を目指しています。
また、持続的な事業拡大に不可欠な要素として、優秀な人材、特に研究開発の知識や技能を有した人材の確保及び育成を重視しています。従来、「働きやすい職場づくり」に向けて、社内管理職への啓蒙活動の実施とWEB研修制度の整備、各事案への個別対応に努めてきました。年一度の頻度で社内職場環境に関する匿名アンケートを実施し、現状把握と経年での職場環境改善状況を管理しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
同社は、女性活躍推進法および育児介護休業法の規定による公表義務の対象ではないため、法定開示項目は記載を省略しています。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
Chordia Therapeuticsは、新規抗がん薬の市販を目指して研究開発を行う創薬ベンチャー企業です。医療ニーズの高いがん領域において、新しい作用を持つ画期的な医薬品の創出に取り組んでいます。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社は、がん領域におけるファーストインクラスの低分子医薬品の研究開発を主要な事業としています。マネジメントと研究業務に集中し、基礎研究や製造、流通・販売といった業務は外部協力先に委託する形でビジネスを進めています。効率的な創薬事業を実現するため、大学や公的機関、事業補完性のある企業、製薬会社などと積極的に共同研究やライセンス提携を行っています。
同社が得る収入は、当面の間、ライセンス契約に基づく提携企業からの収入を想定しています。これには契約一時金、開発マイルストン収入、販売マイルストン収入、ロイヤリティ収入が含まれますが、現時点での受領実績はありません。将来的には、自社で製品を販売して得る収入も視野に入れています。
現在、同社はrogocekib、CTX-177、CTX-439、GCN2阻害薬、新規パイプラインの合計5つのパイプラインを保有しています。最も開発が進んでいるrogocekibは、米国で第1/2相臨床試験が進行中です。CTX-177については、小野薬品工業とのライセンス契約が終了し、同社が権利を回収して新たなライセンス許諾先の選定を進めています。また、CTX-439とGCN2阻害薬に関しては、早期のパートナリングを含めた幅広い可能性を検討しており、がん以外の疾患領域での共同研究も開始しています。同社は医薬品事業のみの単一セグメントで事業を展開しており、本邦以外の外部顧客への売上はありません。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社は新規抗がん薬の研究開発に注力する創薬ベンチャー企業であり、当事業年度および前事業年度ともに事業収益は該当がありませんでした。研究開発費や販売費及び一般管理費が発生しているため、営業損失、経常損失、当期純損失が継続しています。しかし、当事業年度は前事業年度と比較して、営業損失、経常損失、当期純損失のいずれも損失額が縮小する傾向を示しています。
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社は創薬ベンチャー企業であり、現在は医薬品の上市に向けた研究開発フェーズに注力しています。そのため、現時点では収益や利益を従業員数で割った指標は開示されていません。これは、将来の医薬品上市に向けた先行投資段階にあることを示しており、今後のパイプラインの進展とライセンス収入の獲得が、同社の収益性・生産性向上に直結すると考えられます。同社の従業員数は20名であり、少数精鋭で研究開発を進めている状況がうかがえます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
Chordia Therapeuticsは、医薬品の研究開発に注力するバイオベンチャー企業です。そのため、事業の特性上、先行投資が続くフェーズにあり、財務状況もそれに伴う動きを示しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の財務基盤を見ると、純資産は当期で2,437百万円、前期で4,161百万円となっています。自己資本比率は当期で90.9%、前期で89.8%と高い水準を示しています。手元資金である現金及び預金は、当期末で2,548百万円、前期末で4,328百万円を保有しています。医薬品の研究開発には多額の資金が必要ですが、同社は現時点での資金を確保しつつ、将来的な資金調達も計画している状況です。
| 指標 | 2024年8月期(前期) | 2025年8月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 4,161百万円 | 2,437百万円 |
| 自己資本比率 | 89.8% | 90.9% |
| ROE(自己資本利益率) | - | - |
| 現金及び預金 | 4,328百万円 | 2,548百万円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社のキャッシュフローを見ると、本業の資金の出入りを示す営業キャッシュフローは、当期に1,836百万円の使用となりました。これは主に税引前当期純損失の計上によるものです。投資活動によるキャッシュフローは、当期に5百万円の使用にとどまっています。
その結果、事業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュフローは、当期に1,841百万円の使用となりました。財務活動によるキャッシュフローは、当期に61百万円の資金獲得となっています。これは新株予約権の行使による株式の発行による収入があったためです。同社は医薬品の研究開発型企業であり、先行投資が続く事業特性から、営業キャッシュフローは継続的にマイナスとなる傾向があります。しかし、必要な資金は確保されており、将来的な資金調達も計画している状況です。
| 項目 | 2024年8月期(前期) | 2025年8月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △1,937百万円 | △1,836百万円 |
| 投資CF | △10百万円 | △5百万円 |
| 財務CF | 1,478百万円 | 61百万円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △1,947百万円 | △1,841百万円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
同社は、継続的な営業損失と営業キャッシュフローのマイナスを計上しており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象または状況が存在しています。しかし、当事業年度末時点での現金及び預金残高は確保されており、将来的な資金需要にも対応可能な体制を維持していることから、継続企業の前提に関する重要な不確実性はないと認識しています。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は、新薬開発の不確実性というリスクを抱えています。医薬品の研究開発は多額の投資と長い時間を要し、成功確率が低いという特性があります。また、特定のライセンス契約への収益依存と不確実性もリスクとして挙げられています。ライセンス契約の締結や進捗が想定通りに進まない場合、収益に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社は、持続的な事業拡大のために優秀な人材、特に研究開発の知識や技能を持つ人材の確保と育成を重要な要素と考えています。計画通りに人材を確保できない場合や、優秀な人材が社外に流出した場合には、事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
Chordia Therapeuticsは、「日本発」「世界初」の新しい抗がん薬を患者に届けることを目指す創薬ベンチャーです。患者の明日に希望をもたらす社会の実現を追求し、多様な人材が活躍できる組織づくりを重視しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社は、「日本発」「世界初」のこれまでにない新しい抗がん薬を、一日でも早く患者のもとに届けることを目指しています。
『Tomorrow is Another Day~明日に希望を感じる社会の実現』を目標に掲げています。
2030年には日本発の研究開発型の製薬会社に成長していくことをビジョンとしています。
アンメットメディカルニーズの高いがん領域に特化し、新しい作用機序を有する低分子の画期的医薬品(ファーストインクラス)の研究開発に注力しています。
既存治療薬では効果が不十分ながん患者に対し、がんの進行をコントロールできる希望を届けることを目標に事業を推進しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社は、「Tomorrow is Another Day~明日に希望を感じる社会の実現」を共に目指す人材を、年齢・性別・国籍等にかかわらず積極的に採用しています。
多様性のある組織生成を目指し、一人ひとりの個性や価値観を相互に認め尊重し、個々の持つ能力を最大限に発揮することを重視しています。
育児や介護といった個々の事情が能力発揮の妨げとならないよう環境整備を行い、「働きやすい職場づくり」の実現を目指しています。
社員が生き生きと働くことができる組織風土の構築に全社的に取り組む必要があると考えています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社は、パイプラインの創出に際して最先端の科学へのアクセスを維持し、創造的かつ独創的な研究活動を推進する等の優秀な人材の獲得を重要な課題としています。
管理部門においても、適切なタイミングで新たな人材を獲得し、財務・経理・内部統制を含む管理体制の一層の強化を進めていく方針です。
多様な経験や価値観を背景に能力を最大限に発揮する人材を確保及び維持することが重要であると考えています。
社内労働環境の整備、各従業員の健康管理、ワークライフバランスの取れた働き方の実現等を通じ、社員が生き生きと働くことができるような組織風土の構築に全社的に取り組む必要があるとしています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
Chordia Therapeuticsは監査等委員会設置会社であり、取締役会は社外取締役が過半数を占める構成となっています。これにより、経営の透明性と監督機能の強化を図っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
Chordia Therapeuticsの株主構成を見ると、筆頭株主は武田薬品工業であり、事業会社が主要な株主として名を連ねています。また、投資事業有限責任組合や投資法人が上位に位置しており、多様な機関投資家からの支援を受けていることが特徴です。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 武田薬品工業 | 15.59% |
| New Life Science1号投資事業有限責任組合 | 10.51% |
| 日本グロースキャピタル投資法人 | 6.97% |
なお、前事業年度末において主要株主であったイノベーション京都2016投資事業有限責任組合は、当事業年度末現在では主要株主ではありません。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は6名(男性4名・女性2名)で構成され、女性役員比率は33.3%です。代表取締役は三宅洋氏が務めています。社外取締役比率は83.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 三宅 洋 | 代表取締役 | 1998年4月 武田薬品工業入社、2015年4月 同社がん創薬研究所日本サイトヘッド、2017年11月 同社代表取締役より現職。 |
社外取締役は、嶋内明彦氏(INDEE MEDICAL 代表取締役・CEO)、中村学氏(新生キャピタルパートナーズ 代表取締役)、石井幸佑氏(石井幸佑会計事務所 代表・常勤監査等委員)、西方ゆかり氏(エス・エー・スリー 代表取締役・常勤監査等委員)、橋本阿友子氏(骨董通り法律事務所・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役会における監査・監督機能の強化を図っています。議決権を有する3名の監査等委員が経営の意思決定に関わることで、コーポレート・ガバナンスの充実と経営の効率化を目指しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社は、役員の報酬について「取締役の個人別の報酬等の内容についての決定に関する方針」を定めています。役位や職責、経営環境や他社の水準を考慮して設定されており、現時点では業績連動報酬は運用されていません。報酬は毎月定額で支給される現金報酬となっています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 1名 | 24百万円 | 23.6百万円 |
| 社外取締役 | 1名 | 4百万円 | 3.6百万円 |
同社の役員報酬は、取締役(監査等委員及び社外取締役を除く)と社外取締役、社外取締役監査等委員の区分で開示されています。
役員ごとの報酬が1億円以上の者が存在しないため、個人別の開示は行われていません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。