マテリアルグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

マテリアルグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース市場に上場するマテリアルグループは、PRコンサルティング事業を中核に、デジタルマーケティングやPRプラットフォーム事業を展開しています。2025年8月期はPR事業の拡大等により前期比で増収となりましたが、営業外費用や特別損失の計上などにより経常利益は減益となりました。(145文字)


※本記事は、マテリアルグループ株式会社 の有価証券報告書(第12期、自 2024年9月1日 至 2025年8月31日、2025年11月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. マテリアルグループってどんな会社?


PR発想とストーリーテリングを核としたマーケティングコミュニケーション支援を行う専門事業集団です。

(1) 会社概要


2005年に有限会社マテリアルとして設立されテレビPR事業を開始しました。2014年に持株会社を設立し、2015年に現社名へ変更しました。その後、デジタルマーケティング領域へ進出し、2024年に東証グロース市場へ上場しました。直近ではTikTok支援やSEOコンサル企業の子会社化も進めています。

連結従業員数は347人、単体では35人です。筆頭株主は投資事業組合で、第2位も関連する投資会社となっており、経営陣によるMBO後の再上場案件であることがうかがえます。第3位は資産管理を行う信託銀行です。

氏名 持株比率
戦略PR投資事業有限責任組合 32.43%
10X Investment Ltd. 10.46%
野村信託銀行株式会社(投信口) 5.73%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性1名の計6名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表者は代表取締役CEOの青﨑曹氏で、社外取締役比率は66.7%です。

氏名 役職 主な経歴
青﨑 曹 代表取締役CEO 2010年Coach Japan LLC入社。2011年マテリアル入社、2013年同社取締役を経て、2019年2月より現職。
吉田 和樹 取締役CFO 2010年あずさ監査法人入所。2016年ボストンコンサルティンググループ入社。2019年同社入社、2021年11月より現職。


社外取締役は、喜多慎一郎(アドバンテッジパートナーズ代表取締役)、中田正樹(元ヤマトインターナショナル常勤監査役)、市川雄介(アドバンテッジパートナーズパートナー)、山口さやか(公認会計士山口さやか事務所所長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「PRコンサルティング事業」「デジタルマーケティング事業」および「PRプラットフォーム事業」を展開しています。

(1) PRコンサルティング事業


PRの手法を中心に、広告を含むマーケティングコミュニケーションの各種施策を用いて、企業のブランド・商品・サービスの情報をステークホルダーに届ける支援を行っています。戦略設計から施策実行までを手掛け、主に国内大手企業が顧客です。

プロジェクトごとのスポット契約または継続的なリテナー契約に基づき、顧客から対価を受け取ります。運営は主にマテリアル(中核子会社)、ルームズ、キャンドルウィックが行っています。

(2) デジタルマーケティング事業


デジタル領域におけるマーケティング戦略設計、広告運用支援、クリエイティブ制作に加え、Web接客ツール「Flipdesk」の提供を行っています。ECサイト運営事業者など、中堅から大手企業を主な顧客としています。

役務提供や制作物の納品、デジタル広告配信額に応じた手数料、ツールの月額利用料(サブスクリプション)として収益を得ています。運営はマテリアルデジタルおよびBridgeが行っています。

(3) PRプラットフォーム事業


中小・スタートアップ企業向けに、TikTokを活用した採用支援サービスや、広報支援プラットフォーム「CLOUD PRESS ROOM」などを提供しています。

サブスクリプション方式の月額利用料や、プロジェクトごとのスポット契約により収益を得ています。運営はトレプロ、マテリアルリンクス、CONNECTED MATERIAL、PRASが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は順調に拡大を続けており、5期間で大幅な増収トレンドにあります。一方、利益面では経常利益が高い水準を維持しているものの、直近では減益となり、当期純利益は特別損失の計上などにより赤字に転じています。

項目 2021年8月期 2022年8月期 2023年8月期 2024年8月期 2025年8月期
売上高 2.8億円 42億円 47億円 53億円 63億円
経常利益 0.5億円 4.0億円 7.0億円 7.6億円 7.5億円
利益率 19.4% 9.5% 14.9% 14.5% 12.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.1億円 3.5億円 -0.3億円 7.5億円 -1.8億円

(2) 損益計算書


売上高は増加しましたが、売上原価および販売費・一般管理費も増加しており、営業利益の伸びは小幅にとどまりました。コストの増加が利益率を圧迫する構造となっています。

項目 2024年8月期 2025年8月期
売上高 53億円 63億円
売上総利益 32億円 38億円
売上総利益率 60.5% 61.2%
営業利益 8.1億円 8.3億円
営業利益率 15.3% 13.2%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が11億円(構成比37%)、地代家賃が3.3億円(同11%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力のPRコンサルティング事業が増収増益で全体を牽引しています。デジタルマーケティング事業も大幅な増収増益を達成しました。PRプラットフォーム事業は黒字転換を果たしています。

区分 売上(2024年8月期) 売上(2025年8月期) 利益(2024年8月期) 利益(2025年8月期) 利益率
PRコンサルティング事業 45億円 53億円 11億円 12億円 21.5%
デジタルマーケティング事業 5.0億円 7.0億円 1.4億円 1.7億円 24.3%
PRプラットフォーム事業 2.6億円 2.7億円 -0.2億円 0.6億円 22.7%
調整額 -0.4億円 -0.6億円 -3.9億円 -5.4億円 -
連結(合計) 53億円 63億円 8.1億円 8.3億円 13.2%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は22.4%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は55.4%で市場平均を下回っています。

項目 2024年8月期 2025年8月期
営業CF 10億円 7億円
投資CF -2億円 -0.6億円
財務CF -3億円 -5億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「Switch to Red.」(個性に情熱を灯し、価値観や常識を変え、世界を熱くする。)をビジョンに、「Switch the Materials to Red.」(すべての個性に情熱を灯し、可能性を最大化する。)をミッションに掲げています。中長期ビジョンとして「PR発想をコアとしてマーケティング業界の第4極となる」ことを目指しています。

(2) 企業文化


ビジョン・ミッションを実現するために、「Fun First」「Focus on」「Be a Hero」「Aim Higher」「Make New」という5つのバリューを設定しています。これらを経営戦略の策定や意思決定における根幹の価値観と位置づけ、グループ全体の持続的成長を目指しています。

(3) 経営計画・目標


2026年8月期から2028年8月期を対象とした中期経営計画を発表しています。グループ全体の主な経営指標として以下の項目を重視しています。
* 売上高
* 粗利
* 営業利益
* EBITDA
* PRパーソン数(マテリアルの年間平均従業員数)
* PRパーソン1人あたり粗利額

(4) 成長戦略と重点施策


中期経営計画における重点施策として、以下の4点を掲げています。また、M&Aによる周辺領域への進出も継続的に図っていく方針です。
* 採用の加速によるサービス供給体制の強化
* AI活用による生産性の向上
* TikTok活用によるPRプラットフォーム事業の成長加速
* 東南アジアへの進出

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


成長戦略の遂行には人材の採用と育成強化が重要と認識しており、福利厚生や研修の充実、グループ間人材交流等を通じて魅力を高める方針です。また、多様な人材や働き方を受け入れる風土醸成、新卒採用の積極化、グローバル人材の育成・採用にも注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年8月期 34.9歳 2.8年 6,358,399円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 42.1%


※同社および連結子会社は、男性労働者の育児休業取得率および労働者の男女の賃金の差異については公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、年次有給休暇取得率(92.9%)、平均残業時間(17.7時間/月)、女性役員比率(21.7%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 景気の変動


企業のマーケティング予算は景気動向の影響を受けやすく、不況時には削減されやすい傾向にあります。国内景気が著しく悪化した場合には、同社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。これに対し、様々な業種へ取引を拡大することでリスク分散を図っています。

(2) 災害・事故等


自然災害やパンデミック、戦争等が発生した場合、サービス提供の継続が困難になり、業績に影響する可能性があります。同社グループでは、災害時の事業継続計画を策定し、速やかに事業を再開できるよう準備を進めています。

(3) メディアとの関係


事業においてメディアとの良好な関係維持は重要です。誤った情報の提供による信頼失墜や競争激化による関係弱体化が生じた場合、業績に影響する可能性があります。同社グループは長期的かつ継続的に有用な情報を提供することで、メディアとの良好な関係を維持するよう努めています。

(4) 情報管理


業務上、クライアントの機密情報や個人情報を取り扱うため、情報の漏洩や不正使用が発生した場合、損害賠償や社会的信用の失墜により業績に影響を及ぼす可能性があります。ISMS認証取得の方針のもと、管理体制の構築や社内教育、内部監査を実施し、情報の取り扱いに細心の注意を払っています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。