ククレブ・アドバイザーズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ククレブ・アドバイザーズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東京証券取引所グロース市場に上場しており、AI等のテクノロジーを活用した企業不動産(CRE)ソリューション事業と不動産テック事業を展開しています。直近の業績は、売上高が前期比約2倍、経常利益も約44%増と大幅な増収増益を達成しており、急速な成長を遂げています。


※本記事は、株式会社ククレブ・アドバイザーズ の有価証券報告書(第7期、自 2024年9月1日 至 2025年8月31日、2025年11月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ククレブ・アドバイザーズってどんな会社?


企業不動産(CRE)に特化したソリューションと、AIを活用した不動産テックを提供する企業です。

(1) 会社概要


同社は2019年に設立され、翌2020年にはCRE営業支援システム「CCReB AI」および事業用不動産マッチングシステム「CCReB CREMa」の提供を開始しました。2021年には子会社ククレブ・マーケティングを設立し、テックシステムの企画・開発体制を強化しました。その後、2022年にポータルサイト「CCReB GATEWAY」をリリースし、2024年11月に東京証券取引所グロース市場へ上場を果たしました。

2025年8月31日時点の従業員数は連結15名、単体15名です。筆頭株主は代表取締役社長の宮寺之裕氏で、第2位はその他の関係会社である株式会社フィールド・パートナーズ、第3位は資産管理会社と思われる合同会社ステルラです。なお、株式会社フィールド・パートナーズとは土壌調査等の分野で業務提携関係にあります。

氏名 持株比率
宮寺之裕 41.35%
フィールド・パートナーズ 9.45%
合同会社ステルラ 3.13%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は宮寺之裕氏です。社外取締役比率は14.3%(取締役4名中1名)です。

氏名 役職 主な経歴
宮寺 之裕 代表取締役社長 興銀リース(現みずほリース)、三菱商事・ユービーエス・リアルティ(現KJRマネジメント)、三井不動産等を経て、2019年同社を設立し代表取締役に就任。2021年より子会社代表取締役も兼務。
小室 仁 取締役常務執行役員営業本部長 東急不動産、三菱商事・ユービーエス・リアルティ(現KJRマネジメント)を経て、2020年同社入社。経営企画本部長等を歴任し、2024年12月より現職。
玉川 和信 取締役執行役員コーポレート本部長広報・IR室長 司法書士事務所、シンプレクス・インベストメント・アドバイザーズ、三菱商事・ユービーエス・リアルティ(現KJRマネジメント)等を経て、2022年同社入社。2024年12月より現職。


社外取締役は、髙橋崇晃(株式会社KNEAD代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「CREソリューション事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) CREソリューションビジネス


企業不動産(CRE)に関する多様なニーズに対し、AI等のテックシステムを活用して最適な解決策を提供しています。具体的には、拠点戦略や遊休地活用、資本効率向上などの課題に対し、アドバイザリー業務、ファンド組成、バランスシートを活用した不動産投資、プロジェクトマネジメント、不動産仲介などをワンストップで行います。

収益は、コンサルティングやアドバイザリーに対する報酬、ファンド組成・運用に伴うアセットマネジメント報酬、不動産売却時の売却収入、賃貸収入、仲介手数料など、多岐にわたる名目で顧客企業や不動産プレイヤーから受領します。運営は主にククレブ・アドバイザーズが行っています。

(2) 不動産テックビジネス


不動産業界のDX推進を目的とし、CRE営業の業務効率化やマッチングを支援するシステムを開発・提供しています。主なサービスには、企業の不動産ニーズをAIで分析する「CCReB AI」、事業用不動産に特化したマッチングシステム「CCReB CREMa」、BtoBポータルサイト「CCReB GATEWAY」などがあります。

収益は、これらのシステムを利用する不動産会社、金融機関、建設会社などの導入企業から、月額利用料(サブスクリプション)や広告掲載料として受け取ります。運営はククレブ・アドバイザーズおよび子会社のククレブ・マーケティング株式会社が担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


第4期から第7期にかけて、売上高は右肩上がりで推移しており、特に直近の第7期では前期比で約2倍の規模に急拡大しています。利益面でも、経常利益、当期純利益ともに順調に増加しており、高い利益率を維持しながら成長を続けています。

項目 2022年8月期 2023年8月期 2024年8月期 2025年8月期
売上高 5.2億円 7.0億円 12.7億円 25.6億円
経常利益 1.5億円 2.3億円 4.2億円 6.0億円
利益率(%) 28.5% 33.3% 32.8% 23.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 1.0億円 1.6億円 2.9億円 4.5億円

(2) 損益計算書


売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益も増加していますが、売上原価の増加率が高く、利益率はやや低下しています。一方、営業利益は確実に伸長しており、事業規模の拡大が利益額の増大に寄与していることがわかります。

項目 2024年8月期 2025年8月期
売上高 13億円 26億円
売上総利益 8億円 11億円
売上総利益率(%) 66.9% 43.8%
営業利益 4億円 6億円
営業利益率(%) 33.2% 24.0%


販売費及び一般管理費のうち、役員報酬が1.2億円(構成比24%)、給料手当が1.0億円(同19%)を占めています。また、売上原価においては、バランスシートを活用した不動産投資における物件売却に伴う売却原価等が計上されています。

(3) セグメント収益


同社は「CREソリューション事業」の単一セグメントですが、テックシステムを活用したソリューション提案や不動産投資案件の売却などが好調に推移し、売上高は前期比で倍増しました。利益面でも増益を確保しています。

区分 売上(2024年8月期) 売上(2025年8月期)
CREソリューション事業 13億円 26億円
連結(合計) 13億円 26億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は**勝負型**(営業CF-、投資CF-、財務CF+)です。
なお、同社は在庫を多く抱える事業を主力としているため、営業CFのマイナスは棚卸資産(商品・販売用不動産等)の増加(事業拡大)に起因している可能性があり、必ずしも業績悪化を意味するものではありません。

項目 2024年8月期 2025年8月期
営業CF -3.0億円 -3.8億円
投資CF -1.9億円 -1.3億円
財務CF 1.4億円 18.9億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は29.1%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は55.2%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「全ての企業不動産へのソリューションを通じて、日本の経済・産業に貢献する。」を企業理念として掲げています。膨大なストックを有する企業不動産(CRE)に対し、デジタル技術を活用したソリューションを提供することで、企業の経営課題を解決し、日本経済の活性化に寄与することを目指しています。

(2) 企業文化


社名の由来でもある「Compact CRE for Re Born」の想いのもと、今ある不動産ストックを大切に再生することを行動の指針としています。AIやDX推進により業務をデジタル化し、蓄積したノウハウをデータベース化することで、少数精鋭のCREプロフェッショナル集団として効率的かつ質の高いサービス提供を目指す文化があります。

(3) 経営計画・目標


同社は経営指標として「売上高」と「営業利益率」を重視しています。また、これらの達成に向けた先行指標(KPI)として、売上の源泉となるマッチングシステム「CCReB CREMa」の「ユーザー数」および「情報登録数」を設定しています。これらを拡大させることで、マッチング機会を増やし、案件組成数の増加を目指しています。

* 営業利益率:25%から30%のレンジを目指す

(4) 成長戦略と重点施策


中期経営計画「A Tech-Driven Platform Strategy」に基づき、不動産テックを起点としたCREソリューションの質と成長性を高め、CREプラットフォーマーとしての地位確立を目指します。具体的には、戦略的アライアンスの拡大、各サービスの強化、CRE×M&A戦略を推進します。また、テックビジネスではシステムの機能強化と利用拡大を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


不動産テックシステムの構築が進む中、システムを使いこなし顧客との関係を構築できる優秀な人材の確保を重要課題としています。生成AIを活用した社内システムの運用により、経験の浅い社員でも早期に戦力化できる仕組みを整えつつ、株式報酬制度(RS)の導入等により、人材の獲得・定着とエンゲージメント向上を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年8月期 39.4歳 2.1年 8,572,000円


※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 -
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全) -
男女賃金差異(正規) -
男女賃金差異(非正規) -


※同社および連結子会社は女性活躍推進法及び育児介護休業法の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、全従業員に占める女性の割合(46.7%)、管理職に占める女性の割合(37.5%)、有給休暇の消化率(56.9%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 不動産市況の動向に関するリスク


景気動向、金利動向、地価変動などの影響を受ける可能性があります。特に不動産価格や建築コストの高騰により、用地確保や開発計画に影響が生じ、案件組成が困難になるリスクがあります。これに対し、投資物件の厳選や共同出資によるリスクヘッジ、リノベーション提案によるコスト抑制などで対応します。

(2) 大型案件の発生時期変更等による業績変動リスク


CREソリューションビジネスでは、案件ごとの規模により取引金額が異なり、大型案件の成否や成約時期のずれ込みによって業績が大きく変動する可能性があります。事業規模拡大によるリスク分散や、精緻な案件進捗管理により、変動の早期発見と対策実行に努めています。

(3) 人材確保・流出リスク


高度な知識と経験に基づくサービス提供には優秀な人材が不可欠ですが、人材獲得の遅れや流出は経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、生成AI活用による業務の標準化や早期戦力化、福利厚生やインセンティブ制度の充実により、人材の定着と組織力の強化を図っています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。