※本記事は、株式会社オーバーラップホールディングス の有価証券報告書(2025年8月期、2024年9月1日 ~ 2025年8月31日、2025年11月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。
1. 企業概要:どんな会社?
オーバーラップホールディングスは純粋持株会社であり、単体従業員数は6名、グループ連結従業員数は85名です。
同社グループは、ライトノベルやマンガなどのコンテンツIPを取り扱うエンターテインメント事業を運営しています。ゼロから作品を生み出し、マンガ、ノベル、アニメ、ゲーム、WEBなど最適なメディアミックス展開を組み合わせることで、コンテンツIPの価値最大化とヒット作の創出を目指しています。連結子会社2社を中心に事業を展開しています。
オーバーラップホールディングスは、2024年12月1日に旧オーバーラップホールディングスを吸収合併し、商号変更しました。また、2025年10月3日には東京証券取引所グロース市場に上場しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
同社グループは、人材確保と定着を経営上の重要な課題と認識しています。性別や国籍、新卒・中途を問わず多様な人材を積極的に採用し、柔軟な働き方を可能にする環境整備に取り組んでいます。従業員が健康でモチベーション高く、やりがいをもって働ける環境を目指していることがうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、平均年齢が30代後半であり、平均勤続年数は比較的短めとなっています。これは、グループ企業からの転籍・受入出向者の勤続年数を含めて算出されているため、多様なキャリアを持つ人材が活躍している状況を示していると考えられます。
なお、同社は持株会社であり、傘下の関係会社は以下のデータと同水準とは限りません。各社の求人情報や口コミサイト等を別途参照してください。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 8,488,333円 |
| 平均勤続年数 | 3.8年 |
| 平均年齢 | 37.0歳 |
| 単体従業員数 | 6人 |
| 連結従業員数 | 85人 |
| 単体のグループ内比率 | 7.1% |
同社グループは確定給付型の退職給付制度を設けており、国内グループ会社が対象です。退職一時金制度もありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、優秀な人材の確保と定着を経営上重要な課題と位置付けています。従業員を事業成長を支える重要な存在と認識し、性別、国籍、新卒・中途の区別なく、経験、能力、多様な価値観を持つ社員を積極的に採用する方針です。
人材育成においては、定期的な役職者向けの階層別研修を通じて、モチベーション向上と能力開発に取り組んでいます。また、社内環境整備として、テレワーク勤務やフレックスタイム制度を導入し、柔軟な働き方を可能にしています。
さらに、各種福利厚生制度の拡充にも取り組み、多様な人材が健康で、モチベーション高く、やりがいをもって働きやすい環境の整備を進めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社及び連結子会社は、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の規定による公表義務の対象ではないため、提出会社単体の法定開示データは開示されていません。
任意開示
同社グループでは、サステナビリティに関連する指標及び目標は、組織が拡大中であることから定点観測が困難であり、現時点では定めていません。しかし、取締役会及びリスク・コンプライアンス委員会において適宜情報共有を行い、現状分析及び対応策について議論しています。今後、人材育成方針及び社内環境整備方針を含めた人的資本に関する指標及び目標についての策定も検討していく方針です。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
オーバーラップホールディングスは、コンテンツIPを軸にエンターテインメント事業を展開する持株会社です。ライトノベルやマンガの創出からメディアミックスまで一貫して手掛け、その価値を最大化しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、主にライトノベルやマンガをはじめとしたコンテンツIPを取り扱うエンターテインメント事業を運営しています。持株会社であるオーバーラップホールディングスと、事業を担うオーバーラップ、オーバーラップ・プラスの連結子会社2社で構成されています。
ビジネスモデルは、小説投稿サイトやSNSを通じてアマチュア作品の中から優れたコンテンツIPの原石を発掘し、プロの編集を経てライトノベル作品として刊行することから始まります。ヒットしたライトノベル作品は最適な漫画家と組み合わせてマンガ作品として刊行され、さらにヒットした作品はアニメ化されることでコンテンツIPの認知度を高め、ライトノベルやマンガ作品への波及効果による売上増加を目指しています。
このように、ライトノベル化等を通じてコンテンツIPを創出し、マンガ化、アニメ化とメディアミックスの段階を経てコンテンツIPの価値を最大化させるよう取り組んでいます。また、シリーズ化によって長年にわたり収益に貢献するコンテンツIPを多く創出していることが特徴です。継続的な新刊発売による売上に加え、過年度に刊行した関連商材も売れ続けるという相乗効果により、長期間にわたって収益を生み出す基盤を構築しています。
主要な取扱商品はライトノベル(「オーバーラップ文庫」「オーバーラップノベルス」など)とマンガ(「コミックガルド」「コミッククリエ」など)であり、同社グループの売上の大部分を占めています。特に電子書籍領域は高い成長が見られ、収益の大きな部分を占めています。アニメ関連では、原作の許諾や製作委員会への出資を通じて原作使用料や出資金の分配を収受しています。
その他、他社が保有する原作IPをもとにした商品の販売も行っており、ポケモンのゲーム攻略本やサウンドトラックのCDなども発売しています。主要な顧客としては、株式会社メディアドゥ、LINE Digital Frontier株式会社、株式会社カカオピッコマからの売上収益が連結損益計算書の売上収益の10%以上を占めています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
過去3期(第2期、第3期、第4期)の連結経営指標を見ると、同社グループの売上収益、税引前利益、親会社の所有者に帰属する当期利益は一貫して増加傾向にあります。特に当期は、売上収益が前期から増加し、税引前利益と親会社の所有者に帰属する当期利益は大幅な伸びを示しています。
これは、同社グループが継続的な新規IPの創出と既存IP価値の維持向上に取り組んだ結果であり、原作アニメ作品の放映開始なども寄与しています。
| 項目 | 2021年8月期 | 2022年8月期 | 2023年8月期 | 2024年8月期 | 2025年8月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | - | - | 77.8億円 | 84.0億円 | 85.3億円 |
| 税引前利益 | - | - | 12.8億円 | 17.7億円 | 28.7億円 |
| 税引前利益率 | - | - | 16.5% | 21.1% | 33.6% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | - | - | 8.1億円 | 11.5億円 | 20.7億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | - | - | 40.33 | 57.38 | 103.36 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上収益(連結)は前期から減少していますが、従業員1人あたりの営業利益(連結)は前期から増加しています。これは、売上収益の伸びが従業員数の増加を下回った一方で、営業利益が大幅に増加したことによるものです。
組織全体の効率化が進み、従業員一人ひとりの利益貢献度が高まっている傾向が見られます。
| 指標 | 2024年8月期 | 2025年8月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上収益(連結) | 125.4百万円 | 100.4百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 32.1百万円 | 35.6百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
株式会社オーバーラップホールディングスは、堅実な財務基盤と安定したキャッシュフローを維持しています。本業で着実に資金を生み出し、事業活動に必要な投資も賄えている状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率が前期から上昇し、当期は43.8%となっています。これはプライム市場の非製造業平均と比較して高い水準を示しています。ROE(自己資本利益率)も当期27.8%と、プライム市場平均を大きく上回る水準で推移しています。手元資金である現金及び現金同等物は28.0億円を確保しており、安定した事業運営を支える基盤があると言えます。これらの財務状況は、事業の持続性や将来的な成長投資の余力につながるものです。
| 指標 | 2024年8月期(前期) | 2025年8月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本 | 67.7億円 | 81.3億円 |
| 自己資本比率 | 37.1% | 43.8% |
| ROE(自己資本利益率) | 16.9% | 27.8% |
| 現金及び現金同等物 | 27.7億円 | 28.0億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローが当期14.0億円のプラスとなっています。これは税引前利益の計上などがあった一方で、法人所得税の支払いや営業債権の増加、その他の金融負債の減少などが主な要因です。投資活動によるキャッシュフローは当期△0.1億円と、前期に比べて減少幅が縮小しています。これは敷金及び保証金の差し入れによる支出があった一方で、利息及び配当金の受取額があったことなどによるものです。財務活動によるキャッシュフローは当期△13.7億円と、長期借入金の返済や配当金の支払いにより資金が減少しています。フリーキャッシュフローは当期13.9億円のプラスであり、本業で得た資金で投資を賄い、なお余剰資金を生み出している状況です。このキャッシュフローの状況は、同社グループが安定した事業運営を継続し、将来の成長に向けた基盤を維持していることを示しています。
| 項目 | 2024年8月期(前期) | 2025年8月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 19.3億円 | 14.0億円 |
| 投資CF | △0.4億円 | △0.1億円 |
| 財務CF | △25.8億円 | △13.7億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 18.9億円 | 13.9億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、IP市場の商品ニーズやユーザー嗜好の変化に対応できない場合、売上収益の成長が鈍化する可能性があると認識しています。また、類似ビジネスへの新規参入など競合他社の動向により、同社グループの優位性が確保できない場合には、財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、事業環境の変化に対応するため、優秀な人材の確保が不可欠であると認識しています。必要な人材の確保が追いつかない場合、同社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
オーバーラップホールディングスは、多様なメディアと才能を融合させ、世界に広がるIPを創出し続けることを経営理念としています。エンターテインメント業界の最前線を目指し、挑戦を続ける企業文化が特徴です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
オーバーラップホールディングスグループは、「マンガ・ノベル・アニメ・ゲーム・WEB─―あらゆるメディアと多彩な才能をオーバーラップさせ世界に広がるIPを創り出し続ける。」という経営理念・経営方針を掲げています。業界の常識や一つのメディアに縛られず、最適なメディアでコンテンツを生み出すことを目指しています。
メディアミックスを通じて作品世界を拡大・波及させ、業界・国境の垣根を越えてエンターテインメント業界の最前線へと駆け上がっていくことを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
オーバーラップホールディングスグループは、業界の常識や一つのメディアに縛られず、挑戦し続ける姿勢を大切にしています。新しい才能とともにエンターテインメント業界の最前線を目指すカルチャーがあります。
従業員は事業の成長を支える重要な存在と認識しており、性別、国籍、新卒・中途の区別なく、経験、能力、多様な価値観を持つ社員を積極的に採用しています。柔軟な働き方を可能にするテレワーク勤務やフレックスタイム制度、各種福利厚生制度の拡充など、多様な人材が働きやすい環境の整備に取り組んでいます。サステナビリティ関連のリスクも「リスク管理規程」に基づき総括的に管理しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
オーバーラップホールディングスグループは、優秀な人材の確保・育成を重要な課題としています。編集担当者には幅広い知識とスキルが求められるため、中途採用の積極活用や新卒採用の実施、業務を通じたトレーニングや研修制度の充実に努めています。
また、魅力的なコンテンツIPの創出のため、クリエイターとの良好な関係構築と新たなクリエイターとのつながりを深めることに取り組んでいます。事業の更なる成長に向けて、業務の効率化や事業規模に応じた内部管理体制の強化も重点テーマです。リスク管理規程やコンプライアンス規程の改定、社内教育の充実を通じて、適正な内部管理体制の整備を進めています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
オーバーラップホールディングスは、持株会社としてグループ全体の経営企画及び管理・監督機能を担っています。同社は監査等委員会設置会社として、経営に対する監査・監督機能の強化を図る体制を構築しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
オーバーラップホールディングスの株主構成を見ると、上位には複数の海外ファンドが名を連ねています。また、事業会社である小学館やポケモン、さらには代表取締役社長である永田勝治氏も大株主として名を連ねており、多様な主体によって支えられている資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| NIC Fund II Cayman, LP | 17.37% |
| Cerasus Fund II Cayman, LP | 14.62% |
| Wisteria Fund II Cayman, LP | 14.14% |
| Camellia Fund II Cayman, LP | 13.32% |
| 小学館 | 10.00% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は6名(男性6名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は永田勝治氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 永田 勝治 | 代表取締役社長 | 1989年リクルート入社、メディアファクトリーを経て、2012年オーバーラップ入社、代表取締役社長に就任。2022年よりオーバーラップホールディングス代表取締役社長より現職。 |
| 原田 直樹 | 代表取締役副社長 | 2004年コーエー入社、メディアファクトリーを経て、2012年オーバーラップ入社。2023年よりオーバーラップ代表取締役副社長、オーバーラップホールディングス代表取締役副社長より現職。 |
| 岸川 雄吾 | 取締役 管理部長 | 2001年プライスウォーターハウスクーパースコンサルタント入社。ゴンゾ・ディジメーション、メディアファクトリー、アサツーディ・ケイを経て、2023年オーバーラップホールディングス入社、取締役管理部長より現職。 |
社外取締役は、名子俊男氏(元SORABITO監査役・常勤監査等委員)、谷田昌広氏(元ライフエンジェル代表取締役社長・監査等委員)、秋里英寿氏(日本企業成長投資パートナー・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、監査等委員が取締役会において議決権を有しています。過半数の社外取締役で構成される監査等委員会が、経営に対する監査・監督機能の強化を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
オーバーラップホールディングスの役員報酬は、取締役(監査等委員及び社外取締役を除く)に対しては固定月額報酬で構成され、役職や業績の状況を考慮して決定されています。監査等委員である取締役の報酬は固定基本報酬であり、持続的な企業価値向上に資する監査実績や職責を勘案して決定されます。また、取締役に対しては有償の新株予約権が付与されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 5名 | 1.9億円 | 39.0百万円 |
| 社外役員 | 2名 | 16百万円 | 8.0百万円 |
なお、報酬等の総額には、旧オーバーラップホールディングスを吸収合併したことによる同社の金額が含まれています。また、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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