※本記事は、株式会社大森屋 の有価証券報告書(2025年9月期、2024年10月1日 ~ 2025年9月30日、2025年12月22日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
同社グループは、海苔を中心とした食料品全般にわたる食品製造販売事業を展開しています。主に国内で家庭用海苔、進物品、ふりかけ、業務用海苔製品の製造・販売を手がけています。
単体従業員数は149名、連結従業員数は152名です。
国内においては大森屋が生産・販売を一手に担い、海外1社の連結子会社を通じてグローバルに事業を展開しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
大森屋は食品製造販売を事業とする企業であり、従業員規模は比較的小規模です。このような事業特性から、安定した環境で働くことを志向する方にとって、同社グループの給与水準や働き方は重要な検討要素となるでしょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均勤続年数が長く、平均年齢も高めであることから、従業員が長期にわたって定着し、経験を積んでいる傾向がうかがえます。これは、安定した職場環境が提供されている可能性を示しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,875,000円 |
| 平均勤続年数 | 16.5年 |
| 平均年齢 | 46.8歳 |
| 単体従業員数 | 149人 |
| 連結従業員数 | 152人 |
| 単体のグループ内比率 | 98.0% |
同社は、社員の退職給付に充てるため、確定給付企業年金制度及び退職一時金制度を採用しています。確定給付型は、給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度です。
退職一時金制度では、退職金規定により資格と勤務期間に基づくポイント制に応じた一時金が支給されます。
なお、2025年9月30日時点の退職給付債務は5.0億円、年金資産は1.5億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
大森屋は、人材の多様性確保に向け、中核人材である管理職の育成と社内啓発に積極的に取り組んでいます。経営会議やコンプライアンス委員会などの会議体を通じて、現状の人員配置や社会情勢を検討し、多様な管理職の確保を目指しています。
具体的な施策としては、育児休業、介護休業、時短勤務、在宅勤務、時差出勤といった制度を導入し、従業員の働きやすさを支援しています。また、製品の生産拠点である工場では、安全・衛生面に配慮した作業環境の整備を進めています。
全社的に年次有給休暇取得推進や時間外労働削減にも取り組み、ワークライフバランスの向上を通じて従業員のモチベーションアップと生産性向上につなげています。今後も働きやすい環境整備に努め、一層の充実を図る方針です。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。賃金には賞与および基準外賃金を含んでおり、非正規従業員は臨時従業員を対象に算出されています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 5.3% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 50.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全従業員) | 40.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規従業員) | 73.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(非正規従業員) | 89.2% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
大森屋グループは、海苔を中心とした食料品全般の製造と販売を主な事業内容としています。国内市場と中国市場で事業を展開し、家庭用海苔、進物品、ふりかけ、業務用海苔などを提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
大森屋グループは、主に国内において家庭用海苔、進物品、ふりかけ等、業務用海苔製品の製造及び販売を行っています。連結子会社である大森屋(上海)貿易有限公司は、主に中国で家庭用海苔、ふりかけ等、業務用海苔の販売を営んでいます。
同社グループの事業は「食品製造販売事業」の単一セグメントで構成されており、海苔製品を主力とした食品の製造・販売を通じて収益を上げています。特定の顧客への売上集中が見られ、当連結会計年度においては三菱商事株式会社と伊藤忠商事株式会社が主要な顧客となっています。
地域ごとの売上高については、本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えているため、国内市場が収益の大部分を占めている状況です。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
大森屋グループの直近5期間の業績を見ると、売上高は概ね増加傾向にあります。しかし、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は、直近の当連結会計年度において損失を計上する結果となりました。
これは、原材料費や物流費などのコスト増が利益面に大きく影響したためと説明されています。営業活動によるキャッシュ・フローも大幅なマイナスとなっており、本業でのキャッシュ創出力が低下している状況がうかがえます。
| 項目 | 2021年9月期 | 2022年9月期 | 2023年9月期 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 179億円 | 142億円 | 142億円 | 163億円 | 165億円 |
| 経常利益 | 4.8億円 | 5.8億円 | 3.9億円 | 2.7億円 | △99百万円 |
| 経常利益率 | 2.7% | 4.1% | 2.7% | 1.7% | △0.6% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 3.3億円 | 6.8億円 | 2.4億円 | 1.8億円 | △74百万円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 65.63 | 135.35 | 48.59 | 35.82 | △14.76 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
大森屋グループの従業員1人あたりの売上高は、前期からほぼ横ばいで推移しています。一方で、従業員1人あたりの営業利益は、前期のプラスから当期はマイナスに転じました。
これは、原材料価格やエネルギー価格の高騰、製造コストの増加が影響し、利益面が圧迫されたことによるものです。このような状況は、同社グループの収益体質や組織の効率化傾向を検討する上で重要な情報となります。
| 指標 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 108.7百万円 | 108.6百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 1.8百万円 | △0.4百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
大森屋グループの財務状況は、事業活動による資金流出や投資活動の拡大が見られます。現在の資金の流れと財務基盤から、同社グループの経営の安定性について確認します。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
大森屋の自己資本比率は当期48.9%で、前期の74.2%から減少しています。これはプライム市場の製造業平均(46.8%)と比較して同程度の水準です。ROE(自己資本利益率)は当期△0.6%となり、前期の1.6%からマイナスに転じています。手元資金である現金及び預金は当期13.8億円で、前期の10.9億円から増加しています。これらの財務指標は、同社の雇用や給与の安定性を判断する上で重要な要素となります。
| 指標 | 2024年9月期(前期) | 2025年9月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 117億円 | 115億円 |
| 自己資本比率 | 74.2% | 48.9% |
| ROE(自己資本利益率) | 1.6% | -0.6% |
| 現金及び預金 | 10.9億円 | 13.8億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
大森屋グループの当連結会計年度におけるキャッシュフローは、営業活動によるキャッシュフローが50.1億円の支出となり、前期の17.0億円の支出からさらに増加しています。これは主に税金等調整前当期純損失や棚卸資産の増加、未収消費税の増加によるものです。投資活動によるキャッシュフローは18.7億円の支出で、前期の2.6億円の支出から増加しており、主に有形固定資産の取得による支出が要因です。
その結果、事業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュフローは68.8億円のマイナスとなっています。財務活動によるキャッシュフローは71.7億円の収入となり、前期の10.4億円の収入から大幅に増加しており、主に短期借入金と長期借入金による収入が要因です。この状況は、本業での資金創出が課題であり、外部からの資金調達によって事業活動を支えていることを示しており、雇用や給与の安定性にも影響を与える可能性があります。
| 項目 | 2024年9月期(前期) | 2025年9月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △17.0億円 | △50.1億円 |
| 投資CF | △2.6億円 | △18.7億円 |
| 財務CF | 10.4億円 | 71.7億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △19.7億円 | △68.8億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの主要原材料である原料海苔は、天候や海況により収穫量が左右され、仕入価格が変動することがあります。また、原油価格や為替の変動により、容器類や包装資材等の資材の仕入価格が変動し、業績に影響を与える可能性があります。
中国をはじめとする海外での販路開拓においては、現地における政情不安や国際紛争の発生、法的規制や商習慣の違い、為替の変動により、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
大森屋は、食の分野で「消費者的視点に立った経営」を企業理念とし、日本の食文化の価値創造と社会貢献を目指しています。SDGsへの取り組みも重視し、「つくるひとが楽しい、食べるひとがうれしい」社会の実現に貢献する企業です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、創業以来、食の分野で愛される製品づくりに努めています。「消費者的視点に立った経営」を企業理念とし、時代が求める優れた製品づくりを目指しています。
日本の食文化の素晴らしさを尊び、その新しい価値の創造を提案の柱とすることを基本方針としています。また、社是である「社会的存在価値ある企業」として、SDGsへの取り組みも重要なテーマと位置づけています。事業活動を通じて「大森屋にできることから始める」をコンセプトに、社会貢献・環境・働きがいを中心とした取り組みを行い、「つくるひとが楽しい、食べるひとがうれしい」社会の実現と継続に貢献することを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
大森屋は「消費者的視点に立った経営」を経営理念とし、優れた価値ある製品を提供することで、どのような環境変化にも対応できる強固な企業体質の確立と経営効率の向上を図っています。SDGs活動を推進し、「大森屋からできることから始める」をコンセプトに、社会貢献・環境・働きがいを中心とした取り組みを行っています。
具体的には、国連WFPのレッドカップキャンペーンへの参加、食品ロス削減のためのフードバンクへの寄贈、プラスチックごみ削減への取り組みなどを通じて、社会への貢献を重視しています。また、ブランドメッセージである「つくる人が楽しい、食べる人がうれしい」製品づくりを継続し、従業員のモチベーションアップと生産性向上につなげるため、ワークライフバランスを重視した働きやすい環境整備に努めています。育児休業、介護休業、時短勤務、在宅勤務、時差出勤などの施策や、安全衛生に配慮した作業環境づくりに取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、安全・安心な製品の安定供給に努めるとともに、生産活動の効率化やコスト削減を強力に推し進めています。新製品の開発に注力し、経営効率の向上に向けて努力を続けています。
施策としては、多様化・個性化する消費者の支持を得られる新製品の開発を強力に推進しています。また、製品の安全性、品質の安定性、顧客への安心感を高める取り組みを継続しています。生産性の向上と全社的経費削減を継続して実行していくこと、そして中国をはじめとする海外マーケットを開拓することも重点テーマとしています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
大森屋は、株主総会、取締役会、監査役会を通じて経営の意思決定を行っています。経営判断の迅速化とチェック機能の充実を重視し、透明性の高い健全な経営体制の構築を目指しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
大森屋の筆頭株主は、同社と継続的取引関係のある業者で組織された大森屋共栄持株会です。上位株主には、代表取締役社長の稲野達郎氏や代表取締役副社長の稲野貴之氏といった同社の経営陣が名を連ねています。また、大森屋社員持株会も上位株主として存在しており、同社の資本構成は、取引先や経営陣、従業員によって支えられている特徴があります。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 大森屋共栄持株会 | 8.95% |
| 稲 野 達 郎 | 6.21% |
| 稲 野 貴 之 | 5.75% |
| 稲 野 節 子 | 3.56% |
| 稲 野 惠 子 | 3.04% |
大森屋共栄持株会は、同社と継続的取引関係のある業者で組織されています。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は11名(男性10名・女性1名)で構成され、女性役員比率は9.1%です。代表取締役社長は稲野達郎氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 稲 野 達 郎 | 取締役社長代表取締役 | 1988年㈱松坂屋(現㈱大丸松坂屋百貨店)入社、1993年同社入社。営業本部部長、東京支店長、管理本部長などを経て、2017年6月より現職。 |
| 稲 野 貴 之 | 取締役副社長代表取締役製造本部長 | 1996年同社入社。特販部長、製造本部長などを経て、2014年12月常務取締役、2017年6月専務取締役、2018年12月より現職。 |
| 大 當 敏 仁 | 常務取締役営業本部管掌 | 1990年ダイオー㈱入社、1996年同社入社。特販部長、営業本部長などを経て、2018年12月より常務取締役現職、2023年10月より営業本部管掌現職。 |
| 河 田 信 光 | 取締役管理本部長 | 1988年同社入社。情報システム室長、総務部長、執行役員総務部長などを経て、2021年12月より取締役管理本部長兼総務部長現職。 |
| 日 置 純 司 | 取締役営業本部長 | 1987年同社入社。大阪支店長、執行役員営業本部副本部長などを経て、2022年12月より取締役現職、2023年10月より取締役営業本部長西日本統括兼大阪支店長現職。 |
社外取締役は、叶裕一氏(叶法律事務所弁護士)、岡井紀代香氏(武庫川女子大学生活環境学部教授)です。
同社は監査役制度を採用しており、監査役が取締役会や重要会議に出席し、経営監視に努めています。また、取締役会の透明性向上とガバナンス体制強化のため、法務や食物分野の専門知識を持つ社外取締役2名を選任しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
大森屋の役員報酬は、基本報酬を主体とした固定報酬で構成されています。取締役の報酬は、役位や在任年数などを基礎として算定された額が毎月現金で支給される仕組みです。監査役の報酬も同様に基本報酬で構成されており、各監査役の協議によって決定されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 5名 | 1.1億円 | 22.1百万円 |
| 監査役(社外除く) | 2名 | 13百万円 | 6.3百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 12百万円 | 3.1百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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