丸山製作所 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

丸山製作所 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所(スタンダード市場)に上場し、農林業用機械や工業用機械、防災関連機器の製造・販売を主な事業としています。第90期は、国内での大型防除機等の販売増や為替差益の計上などにより、売上高は前期比増収、経常利益も増益となりました。


※本記事は、株式会社丸山製作所 の有価証券報告書(第90期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月17日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 丸山製作所ってどんな会社?


創業130年を超える歴史を持ち、ポンプ技術とエンジン技術を核に農林業用機械や工業用機械などを展開するメーカーです。

(1) 会社概要


同社は1937年に設立され、防除機並びに消火器の製造販売を開始しました。1961年に東京証券取引所市場第二部に上場し、1977年には同市場第一部へ指定替えとなりました。1986年には米国に販売子会社を設立し、2008年にはタイに生産子会社を設立するなどグローバル展開を進めています。2022年の市場区分見直しによりスタンダード市場へ移行しました。

連結従業員数は977名、単体従業員数は591名です。筆頭株主は主要取引先で構成される丸山製作所取引先持株会、第2位は株式会社みずほ銀行、第3位は農林中央金庫となっており、取引先や金融機関が上位株主として安定的に保有しています。

氏名 持株比率
丸山製作所取引先持株会 7.49%
みずほ銀行 5.02%
農林中央金庫 4.91%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.0%です。代表取締役社長は内山剛治氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
内山 剛治 代表取締役社長 1996年同社入社。MARUYAMA U.S.,INC.社長、同社経営企画室長、管理本部長などを歴任。2020年10月より現職。
尾頭 正伸 代表取締役会長 1976年同社入社。MARUYAMA U.S.,INC.社長、同社製造本部長、国内営業本部長、代表取締役社長などを経て、2020年10月より現職。
石村 孝裕 専務取締役営業本部長 1985年同社入社。関東甲信越支店長、海外営業本部長、丸山物流社長などを歴任。2025年10月より現職。
大平 康介 常務取締役生産本部長兼千葉工場長 1989年同社入社。タイ現地法人工場長、調達本部長などを歴任。2020年10月より常務取締役。2022年12月より日本クライス会長も兼務。
髙取 亮 常務取締役管理本部長 1989年富士銀行入社。みずほ銀行北九州支店長などを経て2019年同社入社。経理部長、執行役員を経て2024年10月より現職。


社外取締役は、畑野敬幸(元みずほ信託銀行取締役)、土岐敦司(弁護士)、福地孝一(元農林中央金庫システム企画部部長)、大谷はるみ(公認会計士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「農林業用機械」「工業用機械」「その他の機械」および「不動産賃貸他」事業を展開しています。

農林業用機械


防除機や林業機械(刈払機)、その他部品などを提供しています。主な顧客は国内外の農業従事者や林業従事者であり、全国農業協同組合連合会や株式会社クボタ、特約店などを通じて販売されています。

収益は製品および部品の販売対価によって得ています。製造は主に同社が行い、一部を日本クライス、西部丸山、タイの現地法人が担当しています。販売は同社および米国、タイ、インドの現地法人等が各地域の特約店を通じて行っています。

工業用機械


工業用ポンプや高圧洗浄機などの工業用機械を提供しています。これらは産業用途での洗浄や高圧水の利用が必要な顧客に向けて販売されています。

収益は製品の販売対価によって得ています。製造は主に同社が行い、一部を西部丸山が担当しています。販売は同社が国内特約店や海外総代理店を通じて行うほか、タイの現地法人も販売を行っています。

その他の機械


主に消防機械(消火器など)を提供しています。防災関連機器として、一般家庭からビル・工場などの施設まで幅広い顧客を対象としています。

収益は製品の販売対価によって得ています。この事業の製造および販売は、連結子会社であるマルヤマエクセルが中心となって行い、特約店を通じて製品を供給しています。

不動産賃貸他


同社が保有する不動産の賃貸および売電事業を行っています。

収益は不動産の賃貸料および電力会社への売電収入によって得ています。運営は同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は400億円前後で安定的に推移しています。2022年9月期から2023年9月期にかけて利益率は高水準でしたが、2024年9月期には原材料高騰などの影響を受け利益率が低下しました。当期(2025年9月期)は売上高が増加し、経常利益率も改善傾向にあり、当期純利益も増益となっています。

項目 2021年9月期 2022年9月期 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期
売上高 375億円 396億円 414億円 400億円 413億円
経常利益 13億円 16億円 17億円 11億円 12億円
利益率(%) 3.5% 4.1% 4.2% 2.8% 2.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 5億円 6億円 7億円 4億円 4億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を見ると、売上高の増加に伴い売上総利益も増加しています。売上総利益率は約26%で安定しています。営業利益は販売費及び一般管理費の増加により若干減少していますが、営業利益率は2.6%の水準を維持しています。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 400億円 413億円
売上総利益 103億円 106億円
売上総利益率(%) 25.8% 25.7%
営業利益 12億円 11億円
営業利益率(%) 2.9% 2.6%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料及び手当が28億円(構成比29%)、運賃が14億円(同15%)を占めています。売上原価に関しては、製品製造にかかる原材料費や労務費などが主な内訳となっています。

(3) セグメント収益


当期は、主力の農林業用機械セグメントにおいて国内での大型防除機等の販売が好調で増収となりました。一方、工業用機械やその他の機械セグメントは減収となりました。不動産賃貸他は横ばいで推移しています。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期)
農林業用機械 302億円 320億円
工業用機械 68億円 66億円
その他の機械 28億円 25億円
不動産賃貸他 2億円 2億円
調整額 -2億円 -2億円
連結(合計) 400億円 413億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は「健全型」です(営業CF+、投資CF-、財務CF-)。本業で稼いだ現金を、将来のための設備投資や借入金の返済、株主還元に充当している健全な財務状態と言えます。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF 2億円 19億円
投資CF -15億円 -20億円
財務CF 15億円 -8億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は3.7%で市場平均を下回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は52.7%で市場平均(製造業)を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「誠意をもって人と事に當ろう」という社是を掲げています。創業以来130年にわたり、コア・コンピタンスである高圧ポンプ技術、2サイクルガソリンエンジン技術などを通じて、生産性、安全性、快適性の向上を目指した製品・サービスを提供し、社会貢献を果たしていくことを基本方針としています。

(2) 企業文化


同社は「人と環境の理想的な調和」をテーマとし、社是である「誠意をもって人と事に當ろう」という精神を全社員で共有しています。創業製品の消火器から続く防災関連、農林業用機械、工業用機械の各分野において、変わることなく誠意を持った事業活動を行うことで、社会からの信頼獲得を目指す文化があります。

(3) 経営計画・目標


2022年10月から2027年9月までの5年間を対象とする「第8次中期経営計画」を推進しており、最終年度となる2027年9月期の数値目標として以下を掲げています。

* 連結売上高:480億円
* 営業利益:2,800百万円
* 自己資本利益率(ROE):7.5%以上

(4) 成長戦略と重点施策


「成長事業の創出」を目指し、海外市場の拡大や新規事業の確立に注力しています。海外ではインドやベトナムでの現地生産・販売体制を強化し、米国では大型防除機の市場投入を進めます。国内では工業用機械やウルトラファインバブル製品の新市場開拓を行い、技術本部の新設やR&Dセンター建設により開発体制を強化します。

* 海外市場の拡大:インド、ベトナム、米国、コロンビアでの展開強化
* 新市場拡大:ウルトラファインバブル製品等のラインナップ拡充
* 財務体質強化:在庫削減と資本コスト経営の推進

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「人材活性化」を重点課題の一つとし、多種多様な人材の採用・育成・教育に取り組んでいます。人事評価制度改革や健康経営の推進、部門横断活動を通じて、社員一人ひとりが心理的安全性を感じながら働き甲斐と成長実感を得られる職場環境づくりを進め、組織風土改革と従業員満足度の向上を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 44.5歳 16.9年 6,119,245円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 6.0%
男性育児休業取得率 76.9%
男女賃金差異(全労働者) 73.8%
男女賃金差異(正規) 78.6%
男女賃金差異(非正規) 79.3%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性採用比率(11.5%)、有休取得率(73.2%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経済状況及び農業政策の影響


主力事業である農林業用機械部門は、政府の農業政策(減反政策など)や景気動向の影響を強く受けます。農業従事者の減少や農産物価格の低迷による需要低下、民間設備投資や公共投資の減少が発生した場合、グループの売上高減少につながり、業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 海外情勢及び為替変動


海外売上高比率は約3割を占め、米国、アジア等に拠点を有しています。展開各国の経済情勢や政治体制の変化、貿易摩擦などが市場環境を悪化させるリスクがあります。また、海外売上の約4割が米国向けであるため、対ドルレートの大幅な円高などの為替変動が業績に著しい影響を与える可能性があります。

(3) 天候不順及び自然災害


製品売上の7割以上を農林業用機械が占めるため、冷夏や台風等の天候不順、地震等の自然災害により農産物が被害を受け、農家の購買意欲が減退した場合、売上が減少する恐れがあります。また、自社や仕入先の拠点が被災し、生産・出荷の遅延や部材調達難が生じた場合も業績に影響を及ぼします。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。