※本記事は、株式会社タカトリ の有価証券報告書(2025年9月期、2024年10月1日 ~ 2025年9月30日、2025年12月18日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
タカトリは、電子機器、繊維機器、医療機器の開発、製造、販売を主たる業務としています。半導体製造機器や新素材加工機器、自動裁断機、モバイル型胸腹水濾過濃縮処理装置などを手掛けています。
単体従業員数は198名、連結従業員数は201名です。セグメントは電子機器事業、繊維機器事業、医療機器事業の3つです。
国内においてはタカトリが生産・販売を一手に担い、海外1社の連結子会社を通じてグローバルに事業を展開しています。
同社グループでは、2025年7月25日に取締役会で高鳥(常熟)精密機械有限公司の解散を決議し、現在清算手続きを進めています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
タカトリは、独自の技術を強みとする「開発先行型企業」を目指し、ものづくりを通じて社会に貢献しています。従業員の平均勤続年数が長く、安定した環境で専門性を高めながら働ける傾向が見られます。社員一人ひとりの成長と活躍を重視し、多様な育成制度や働きやすい職場環境の整備にも取り組んでいます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
タカトリでは、平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高いことから、長期的にキャリアを築いている従業員が多い傾向がうかがえます。これは、同社が従業員の定着を重視し、働きやすい環境を提供していることの表れと言えるでしょう。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,751,685円 |
| 平均勤続年数 | 15年9ヶ月 |
| 平均年齢 | 42歳7ヶ月 |
| 単体従業員数 | 198人 |
| 連結従業員数 | 201人 |
| 単体のグループ内比率 | 98.5% |
同社は確定拠出年金制度を採用しています。これは、会社が拠出した資金を従業員が自ら運用し、その運用実績によって将来の給付額が決まる制度です。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
タカトリは、「創造と開拓」を社是とし、「世界に誇れる独自技術を製販一体となって構築し、最良の製品とサービスを提供し、人々の暮らしを豊かにする」という企業理念のもと、「開発先行型企業」を目指しています。この経営方針の実現と企業価値向上には「人財」が重要であるとし、「採用・育成・活躍」の各フェーズで戦略的な取り組みを進めています。
採用においては、地域密着企業として奈良県橿原市に拠点を構え、県内在住者を中心とした人材確保に努めていますが、労働人口の減少や働き方の多様化に対応するため、採用力強化の施策を検討しています。育成面では、「この世にないモノを創る」ものづくり集団の一員として、社員一人ひとりのスキル向上を支援する教育体制を構築しています。具体的には、階層別研修、目的別研修、新入社員研修、コンプライアンス教育、技能検定取得支援講座、資格取得支援制度、通信教育補助制度、多能工化施策、業務の質的改善施策などを実施しています。
活躍の場としては、「この世にないモノを創る」を実現するため、『新規テーマ提案制度』、『要素技術開発テーマ提案制度』、『改善・改良提案制度』といった制度を設け、社員のアイデアや工夫をものづくりに反映させる風土の醸成に努めています。また、職場環境整備方針として「自分の意見は会社組織の上下関係にとらわれず、はっきり発言するとともに、何でも話し合える輪を作ろう」という企業理念を掲げ、「毎日が楽しく働ける職場」作りを目指しています。安全衛生面では、毎週金曜日をノー残業デーとする過重労働防止対策、時間単位有休制度や取得奨励日を設ける有休取得促進、毎月の安全衛生委員会や安全パトロールによる労働災害防止に取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。女性の職業生活における活躍の推進に関する法律および育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
株式会社タカトリは、電子機器、繊維機器、医療機器の3つの事業セグメントを展開し、それぞれの分野で製品の開発、製造、販売を手掛けています。多様な産業向けに技術を提供することで、収益を上げています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、主に3つの事業を通じて収益を得ています。各事業は、それぞれの専門分野で製品を開発、製造し、顧客に提供するモデルとなっています。海外市場への展開も積極的に行い、特定の顧客への販売も事業を支える要素の一つです。
電子機器事業
この事業では、半導体製造機器、新素材加工機器、ディスプレイ製造機器の開発、製造、販売を行っています。同社グループの主力事業であり、海外ユーザーへのパワー半導体やアナログ半導体製造装置、電子部品製造装置の販売が増加する傾向にあります。しかし、当期はEV市場の成長停滞やパワー半導体向けSiC材料切断加工装置の受注・販売が低調に推移し、前期と比較して売上高、セグメント利益ともに減少しました。
医療機器事業
モバイル型胸腹水濾過濃縮処理装置の開発、製造、販売及び健康機器のOEM供給を行っています。他の医療機器メーカーとの連携も進めており、販売額は堅調に推移しました。前期と比較して売上高は大きく増加し、セグメント損失も縮小する傾向にあります。
繊維機器事業
自動裁断機の製造と販売を主な業務としています。国内のアパレル産業が厳しい状況にある中で、裁断装置への新規設備投資に慎重な姿勢が見られました。このため、前期と比較して売上高は減少し、セグメント損失を計上しています。
同社グループは、アジア地域を中心に海外への売上高も有しており、グローバルな事業展開を行っています。当連結会計年度においては、TOYO ADTEC PTE. LTD.が主要な顧客の一つとなっています。
| セグメント | 売上高(2024年9月期) | 売上高(2025年9月期) |
|---|---|---|
| 電子機器事業 | 157億円 | 69.3億円 |
| 医療機器事業 | 1.1億円 | 2.7億円 |
| 繊維機器事業 | 2.5億円 | 1.3億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの業績は、過去数期にわたり売上高と利益が順調に増加する傾向にありました。しかし、当連結会計年度においては、売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも大幅な減少となりました。これは、EV市場の成長の停滞やパワー半導体向けSiC材料切断加工装置の受注・販売が低調に推移したことが主な要因として挙げられています。
| 項目 | 2021年9月期 | 2022年9月期 | 2023年9月期 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 65.3億円 | 102億円 | 164億円 | 161億円 | 73.3億円 |
| 経常利益 | 4.9億円 | 14.6億円 | 26.0億円 | 27.6億円 | 8.5億円 |
| 経常利益率 | 7.5% | 14.3% | 15.9% | 17.2% | 11.6% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 3.8億円 | 10.3億円 | 19.1億円 | 19.4億円 | 5.8億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 69.18 | 188.33 | 349.42 | 354.92 | 107.15 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は、前期と比較して減少しています。また、従業員1人あたり営業利益(連結)も前期から減少する結果となりました。これは、当期の売上高および利益の減少が影響していると考えられます。
| 指標 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 76.6百万円 | 36.5百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 13.3百万円 | 4.1百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務状況は、事業活動と投資活動を通じて資金が使われている状況を示しています。現在の資金の流れから、将来に向けた投資を継続していることがうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率がプライム市場の製造業平均を上回る水準にあり、安定した状態を示しています。純資産は前期から増加しており、手元資金も一定の厚みを維持しています。ROE(自己資本利益率)は前期から減少していますが、引き続き収益性の改善に取り組む方針が示されています。これらの財務状況は、事業運営の安定性につながる要素です。
| 指標 | 2024年9月期(前期) | 2025年9月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 99.3億円 | 103億円 |
| 自己資本比率 | 56.9% | 64.5% |
| ROE(自己資本利益率) | 21.4% | 5.8% |
| 現金及び預金 | 62.7億円 | 51.2億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当連結会計年度におけるキャッシュフローは、営業活動による資金が使用された状況を示しています。これは主に、税金等調整前当期純利益や売上債権の減少があった一方で、棚卸資産の増加、仕入債務の減少、法人税等の支払いなどが影響しています。投資活動においても資金が使用されており、投資有価証券の取得による支出が主な要因となっています。その結果、事業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュフローはマイナスとなりました。財務活動では短期借入れによる収入があり、資金を調達している状況です。これらの資金の流れは、事業運営における資金の使途と調達の状況を反映しており、今後の事業展開や雇用・給与の安定性を判断する上で注目すべき点となります。
| 項目 | 2024年9月期(前期) | 2025年9月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 2.1億円 | △9.2億円 |
| 投資CF | 1.5億円 | △4.3億円 |
| 財務CF | 14.8億円 | 1.8億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 3.6億円 | △13.5億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、電子部品製造装置市場の設備投資動向や需給環境、特有の市場サイクルによる景気変動の影響を受ける可能性があります。また、革新的な技術の進歩への対応や厳しい販売価格競争、技術革新による既存製品の陳腐化、新製品の市場投入のタイミングも業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、重要な人材の喪失が業績に悪影響を及ぼす可能性を認識しています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
タカトリグループは、「創造と開拓」を社是とし、独自技術を通じて人々の暮らしを豊かにすることを目指す企業です。技術開発を先行し、社会に新たな価値を提供していくことを重視する文化が根付いています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「創造と開拓」を社是とし、「世界に誇れる独自技術を製販一体となって構築し、最良の製品とサービスを提供し、人々の暮らしを豊かにする」ことを企業理念としています。
ユーザーニーズを先取りした新規特徴製品の開発や、高精度・高品質な高付加価値製品の開発を通じて、「開発先行型企業」を目指しています。
経営ビジョンとしては、「信頼されるタカトリ」となることを掲げています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、「世界に誇れる独自技術を製販一体となって構築し、最良の製品とサービスを提供し、人々の暮らしを豊かにする」という企業理念のもと、事業活動を行っています。
行動指針として、「社会的責任を認識し、ステークホルダーの信頼を確立すること」、「法令を遵守し、経営の透明性を高めること」、「社会人として良識と責任をもって行動すること」を掲げています。
経営戦略の基本方針では、競合・競争戦略の実践、オリジナル製品開発をリードする営業活動、組立・調整・サービスに力点を置いたものづくりを重視しています。
「The Power of “T” Technology Trust Teamwork」をスローガンに掲げ、「製品の独自性」や「製品の強さを極める」ことに注力しています。
社員がいきいきと「毎日が楽しく働ける職場」作りを目指し、「自分の意見は会社組織の上下関係にとらわれず、はっきり発言するとともに、何でも話し合える輪を作ろう」という理念を大切にしています。
社員のアイデアや工夫をものづくりに反映させるため、『新規テーマ提案制度』、『要素技術開発テーマ提案制度』、『改善・改良提案制度』といった制度を設け、将来を創造していく風土の醸成に努めています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、グローバル競争に勝ち抜くため、原価力の強化を重要課題の一つとして位置づけています。
戦略的コア技術である「8つのコア技術」(貼付、真空、搬送、切断、制御、研磨、計測、剥離)をさらに強化し、現状事業の付加価値を高めることに注力しています。
また、有望事業機会を目指した技術力の強化や、強い技術の他製品への水平展開、ビジネスパートナーとの技術提携及び協働による革新的価値の提供、既存製品の進化に加え未来を見据えた挑戦を通じて、社会に持続可能な価値を提供していく方針です。
内部管理体制の強化及びリスク・マネジメントの強化も重点テーマであり、内部統制システムの構築を核に、危機管理の浸透やコンプライアンスの周知徹底を推進しています。
顧客の要望に応えるべく、常に原価力の強化を意識し、オリジナル製品の開発を継続していくとともに、「世の中に無いモノを創る」ことを企業価値と捉え、同社独自の技術でソリューションを提供することを目指しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
タカトリは監査役会設置会社であり、取締役会が経営の基本方針決定と業務執行の監督を担っています。監査役会による厳正な監視体制を敷き、任意の指名・報酬委員会を設置することでガバナンス機能の充実を図っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
タカトリの株主構成を見ると、筆頭株主は有限会社コトブキ産業です。次いでタカトリ共栄会、大阪中小企業投資育成株式会社が上位に名を連ねています。特定の株主グループが過半数の株式を保有している状況ではありません。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 有限会社コトブキ産業 | 6.38% |
| タカトリ共栄会 | 4.83% |
| 大阪中小企業投資育成 | 3.44% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性7名・女性1名)で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は増田誠氏が務めています。社外取締役比率は20.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 増田 誠 | 代表取締役社長 | 1986年4月同社入社。2004年10月同社執行役員営業本部営業管理部長。2010年12月同社取締役兼営業本部長兼営業統括室長。2016年10月同社代表取締役社長兼営業本部長。2020年10月同社代表取締役社長より現職。 |
| 松田 武晴 | 代表取締役副社長 | 1973年3月同社入社。2002年10月同社執行役員営業本部海外営業部長。2006年12月同社取締役営業本部長。2016年10月同社代表取締役副社長兼経営企画本部長。2022年10月同社代表取締役副社長より現職。 |
| 重富 謙一 | 取締役 管理本部長 | 2015年9月同社入社。2020年10月同社執行役員管理本部経営管理部長。2022年12月同社取締役兼経営企画本部長。2023年12月同社取締役兼管理本部長より現職。 |
| 正岡 智明 | 取締役 経営企画本部長営業統括 兼 品質管理統括 | 2022年3月同社入社。経営企画本部事業管理部取締役付部長。2023年12月同社執行役員経営企画本部長営業統括。2024年12月同社取締役兼経営企画本部長営業統括兼品質管理統括より現職。 |
社外取締役は、川村真氏(川村公認会計士事務所所長・指名委員長・報酬委員長)です。
同社は監査役会設置会社です。社外取締役1名と社外監査役2名が経営監視機能を担い、取締役会の独立性・客観性を高めるため任意の指名・報酬委員会を設置しています。社外取締役は会計監査業務の専門性を活かし、取締役会の意思決定の妥当性・適正性確保に貢献しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
タカトリの役員報酬は、基本報酬と業績連動報酬で構成されています。特に取締役(社外取締役を除く)に対しては、会社業績と密接に関連付けた利益連動報酬が導入されており、連結経常利益や連結売上高に応じた賞与が支給される仕組みとなっています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 5名 | 2.0億円 | 39.3百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 20百万円 | 19.5百万円 |
| 社外役員 | 3名 | 15百万円 | 5.0百万円 |
当事業年度における役員報酬等の総額は2億3,113万円で、報酬等の支給対象となった役員は合計9名です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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