TVE 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

TVE 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東京証券取引所スタンダード市場に上場しており、原子力・火力発電所用バルブの製造・メンテナンス、鋳鋼製品の製造、電気設備工事を主要事業としています。2025年9月期の業績は、主力であるバルブ事業の工事売上の減少などが響き、売上高、各利益ともに減収減益となりました。


※本記事は、株式会社TVE の有価証券報告書(第26期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. TVEってどんな会社?


同社は、エネルギーインフラを支える各種産業用バルブの開発・製造・メンテナンスを主力とするメーカーです。

(1) 会社概要


同社は1940年に虫印バルブ製造として設立され、1942年に東亜バルブへ改称しました。1999年に持株会社体制へ移行し、2000年に株式移転により持株会社を設立、市場第二部に上場しました。その後、2010年に事業会社を吸収合併して商号を東亜バルブエンジニアリングに変更し、2020年に現在のTVEへ商号変更を行いました。2022年の市場区分見直しに伴い、スタンダード市場へ移行しています。

2025年9月30日現在、連結従業員数は400名、単体従業員数は300名です。大株主については、筆頭株主は同社の製品販売を行う総合商社で、第2位・第3位は投資・保有を目的とする事業会社となっています。

氏名 持株比率
西華産業 21.54%
UH Partners 2 7.83%
UH Partners 3 7.57%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性2名の計10名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長は奥井一史氏が務めています。社外取締役比率は30.0%です。

氏名 役職 主な経歴
奥井 一史 代表取締役社長 1989年東亜バルブ入社。営業本部長、TVEリファインメタル社長などを経て、2023年12月より現職。
笹野 幸明 取締役会長 1982年東亜エンジニアリング入社。営業本部長、社長などを歴任し、2023年10月より現職。
飯田 明彦 専務取締役 1983年東亜バルブ入社。管理本部長、トウアサービス社長などを経て、2024年12月より現職。
三宅 利幸 常務取締役 1983年東亜エンジニアリング入社。メンテナンス本部長、TVEリファインメタル社長などを経て、2023年12月より現職。
川上 浩 常務取締役 1985年東亜エンジニアリング入社。製造本部長、調達部長などを経て、2025年12月より現職。
桝村 英孝 取締役 1992年東亜エンジニアリング入社。営業本部長、若狭事業所長などを経て、2024年4月より現職。
田中 博之 取締役 1983年東亜バルブ入社。品質保証統括、プロジェクト統括室長などを経て、2022年12月より現職。


社外取締役は、原田英美子(ひとひらく代表取締役社長)、浜本光浩(浜本綜合法律事務所代表弁護士)、宮本文子(中村文子公認会計士事務所所長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「バルブ事業」、「製鋼事業」、「電気設備関連事業」および「その他」事業を展開しています。

バルブ事業


原子力発電所や火力発電所などの電力プラント用高温高圧バルブを中心に、船舶用や石油化学プラント用などの各種産業用バルブの製造販売および保守作業を行っています。主な顧客は電力会社やプラントメーカーです。

収益は、バルブ製品の販売代金や、分解・点検・修理などのメンテナンスサービス料から得ています。運営は、製造・販売を同社が行うほか、メンテナンス等をトウアサービス、海外事業をTVE GLOBAL ASIA PACIFIC Pte.Ltd.が担っています。

製鋼事業


バルブ製造の素材となる鋳鋼製品のほか、建設機械向けなど他産業向けの外販用鋳鋼製品の製造販売を行っています。顧客は同社グループ内のほか、産業機械メーカーなどが対象となります。

収益は、鋳鋼製品の販売代金から得ています。運営は主に同社(製鋼製造部)が行っています。

電気設備関連事業


原子力発電所および東日本地区における電気設備工事業務を行っています。公共施設や発電所等の電気工事や保守点検を提供しています。

収益は、電気設備工事や保守点検作業の請負代金から得ています。運営は主に太陽電業が行っています。

その他


福島県を拠点とした地域復興事業や、福井県を拠点としたクリアランス金属のリサイクルを主とするリファインメタル事業を展開しています。

収益は、地域インフラ整備や金属リサイクル事業等から得ています。運営は主にTVEリファインメタルが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は85億円から112億円の間で推移しており、受注生産型ビジネスの特性上、年度による変動が見られます。2025年9月期は前期比で減収となりました。利益面では、2022年9月期に一時的に赤字となりましたが、その後回復し、黒字基調を維持しています。

項目 2021年9月期 2022年9月期 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期
売上高 105億円 85億円 94億円 112億円 102億円
経常利益 8億円 0.3億円 5億円 11億円 7億円
利益率(%) 7.4% 0.3% 5.7% 10.1% 7.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 5億円 -1億円 3億円 6億円 6億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高の減少に伴い、売上総利益および営業利益が減少しています。売上総利益率は3ポイント程度低下しており、採算性がやや低下傾向にあります。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 112億円 102億円
売上総利益 32億円 25億円
売上総利益率(%) 28.3% 24.9%
営業利益 10億円 6億円
営業利益率(%) 9.2% 5.8%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が約6億円(構成比34%)、雑費が約4億円(同22%)を占めています。

(3) セグメント収益


当期は主力のバルブ事業が定期検査工事や海外案件の減少により減収減益となり、全体の業績を押し下げました。製鋼事業は主要顧客への売上が好調で増収となり、赤字幅が縮小しました。電気設備関連事業は微減収減益、その他事業は減収となったものの黒字転換しています。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期) 利益(2024年9月期) 利益(2025年9月期) 利益率
バルブ事業 80億円 68億円 19億円 12億円 18.2%
製鋼事業 12億円 15億円 -2億円 -0.4億円 -2.8%
電気設備関連事業 18億円 17億円 3億円 3億円 17.3%
その他 3億円 2億円 -0.3億円 0.1億円 6.8%
連結(合計) 112億円 102億円 10億円 6億円 5.8%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、本業で現金を稼ぎつつ、将来のための投資を積極的に行い、借入金の返済も進めている「健全型」のキャッシュ・フロー構造となっています。なお、当期の投資CFのマイナス幅が大きいのは、主にポートアイランド産業用地の取得等による有形固定資産の取得支出によるものです。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF 18億円 0.3億円
投資CF -3億円 -32億円
財務CF -3億円 -4億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.2%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は75.0%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「信頼される企業として社会の進歩に貢献する」「誠実と融和により健康で活気ある職場をつくる」「経営の刷新と技術の開発につとめる」を社是として掲げています。顧客ニーズに沿ったバルブの製造からメンテナンスまで、トータルライフにわたるサービスを提供し、社会・地域の健全な発展に貢献することを目指しています。

(2) 企業文化


同社は「誠実と融和」を重視し、全役職員のベクトルを合わせることでグループ力の結集を図る文化を持っています。組織横断的な活動である「TOMOS-Project」などを通じ、働きがいのある職場環境づくりやサステナビリティ経営の実践に取り組んでいます。また、協力工場や外注技術者など関係取引先への感謝を忘れず、相互発展に基づく信頼関係の構築を大切にしています。

(3) 経営計画・目標


同社は長期ビジョン2030の実現に向け、2023年度から5か年の「中期経営計画2023」を推進しています。安定成長と持続的収益性の確保による企業価値向上を図るための基盤整備期間と位置付け、以下の数値目標を掲げています。

* 売上高:100億円
* 営業利益:7億円

(4) 成長戦略と重点施策


長期ビジョン「高品質弁と設備保全で、世界エネルギーインフラの安全安定運転に貢献するグローバルニッチトップ」の実現に向け、既存事業の深化と新規事業投資を進めています。特に水素・アンモニアなど次世代燃料への対応や、廃止原発からの金属廃棄物をリサイクルする「リファインメタル事業」の推進、福井県おおい町での新工場建設による製造拠点強化、ポートアイランド産業用地取得によるBCP対策・研究開発機能強化に注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「人」を最も重要な資産と位置づけています。新たな発想と挑戦する心を持ち、価値を創造できるプロフェッショナルな人財の育成を目指しています。ベテラン社員からの技術伝承や、女性・中途採用・障がい者雇用など多様性の確保に取り組むとともに、OJTや階層別研修を通じて個人の能力を最大限に発揮できるキャリア形成を支援しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 43.3歳 15.6年 6,468,369円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 3.3%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 71.1%
男女賃金差異(正規雇用) 75.1%
男女賃金差異(非正規雇用) 82.7%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給休暇取得率(81.2%)、配偶者出産休暇取得率(100%)、育児休業等の平均取得期間(女性:307日)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 事業環境の変化


売上の多くを国内電力市場(特に原子力・火力発電所)に依存しているため、国のエネルギー政策の変更、電力自由化、脱炭素化に伴う市場縮小などが業績に影響を与える可能性があります。特に、主力である加圧水型原発の稼働状況や、次世代技術への対応遅れがリスク要因となります。

(2) 大規模自然災害や事故による影響


製造拠点が兵庫県尼崎市と三重県伊賀市の2カ所に集中しており、代替機能を持たないため、地震や津波などの災害による被災は生産停止に直結します。特に本社工場は建屋の老朽化が進んでおり、南海トラフ地震等のリスクに対し、工場の移転・建設などの対策を進めています。

(3) 製品、メンテナンス上の瑕疵


製品が重要プラントで使用されるため、製造上の欠陥やメンテナンスの不具合により事故や運転停止が発生した場合、多額の損害賠償につながる可能性があります。品質マネジメントシステムの運用や従業員教育により品質維持に努めていますが、リスクは内在しています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。