OBARA GROUP 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

OBARA GROUP 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場する同社グループは、自動車向けの溶接機器関連事業、エレクトロニクス向けの平面研磨装置関連事業、電力向けの電気機器関連事業を展開しています。直近の業績は、売上高が前期比9.4%増、経常利益が3.8%増と増収増益で推移しています。


※本記事は、株式会社OBARA GROUP の有価証券報告書(第67期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. OBARA GROUPってどんな会社?


同社グループは、自動車製造用溶接機器、シリコンウェーハ研磨装置、電力用配電機材等の製造販売を行うグローバル企業です。

(1) 会社概要


1958年に小原金属工業として設立され、抵抗溶接用電極の製造販売を開始しました。1971年には米国企業との合弁でスピードファムを設立し、研磨装置事業へ参入しています。2006年に東京証券取引所市場第一部へ上場を果たし、2011年には持株会社体制へ移行して現商号となりました。2024年にはエナジーコンポーネンツホールディングスの株式を取得し、新たに電気機器関連事業へ参画しています。

連結従業員数は1,926名、単体では22名が在籍しています。筆頭株主は有限会社馬込興産で、第2位は同社取締役社長の小原康嗣氏、第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。

氏名 持株比率
有限会社馬込興産 24.09%
小原 康嗣 16.72%
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 11.34%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.0%です。代表取締役社長は小原康嗣氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。

氏名 役職 主な経歴
小原 康嗣 取締役社長(代表取締役) 1994年同社入社。スピードファム社長などを経て、2011年10月より現職。2023年10月よりOBARA取締役副社長(代表取締役)も兼任。
小林 憲史 取締役 1984年スピードファム入社。同社管理部長、スピードファムクリーンシステム取締役などを経て、2011年8月より現職。
岩崎 相太 取締役 1997年同社入社。生産技術部長、国際部長、OBARA CORP. USA取締役社長などを経て、2025年12月より現職。


社外取締役は、牧野宏司(公認会計士・税理士)、髙橋昌子(公認会計士・税理士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「溶接機器関連事業」、「平面研磨装置関連事業」および「電気機器関連事業」を展開しています。

(1) 溶接機器関連事業


主に自動車ボディー溶接向けの抵抗溶接機器の製造販売を行っています。自動車業界を主要顧客とし、世界各国で製品を提供しています。

製品販売による収益が主となります。運営は、OBARA、洋光産業、OBARA CORP. USAなどの国内外の子会社が行っています。

(2) 平面研磨装置関連事業


主にシリコンウェーハ、酸化物水晶基板向けの平面研磨装置および消耗副資材の製造販売を行っています。エレクトロニクス業界を主要顧客としています。

製品および消耗品の販売により収益を得ています。運営は、スピードファム、スピードファム長野などの国内外の子会社が行っています。

(3) 電気機器関連事業


主に電力業界向けの配電機材の製造販売を行っています。電力会社などによる配電インフラの整備や強化に伴う需要に対応しています。

製品販売により収益を得ています。運営は主に、OBARAエナジーコンポーネンツ、ラインテックなどの子会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は増加傾向にあり、特に直近では600億円規模に達しています。利益面では、経常利益率が16%〜19%台と高い水準を維持しており、安定した収益力を示しています。

項目 2021年9月期 2022年9月期 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期
売上高 455億円 503億円 552億円 564億円 617億円
経常利益 80億円 97億円 97億円 98億円 102億円
利益率(%) 17.7% 19.2% 17.5% 17.4% 16.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 56億円 43億円 124億円 71億円 70億円

(2) 損益計算書


直近2期間の比較では、売上高の増加に伴い売上総利益、営業利益ともに増加しています。原価率は一定水準で推移しており、販管費の増加を吸収して増益を確保しています。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 564億円 617億円
売上総利益 179億円 204億円
売上総利益率(%) 31.8% 33.0%
営業利益 92億円 97億円
営業利益率(%) 16.3% 15.7%


販売費及び一般管理費のうち、給与・賞与が32億円(構成比30.0%)、賞与引当金繰入額が6億円(同5.6%)を占めています。

(3) セグメント収益


溶接機器関連事業は自動車業界の堅調な生産活動により増収となりました。平面研磨装置関連事業は微減収となりましたが、利益面では堅調に推移しています。新たに加わった電気機器関連事業も売上寄与しています。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期)
溶接機器関連事業 331億円 340億円
平面研磨装置関連事業 233億円 229億円
電気機器関連事業 - 47億円
調整額 - -
連結(合計) 564億円 617億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFはプラス、投資CFはマイナス、財務CFはマイナスであり、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」に該当します。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF 84億円 51億円
投資CF -37億円 -185億円
財務CF -18億円 -61億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.1%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は71.8%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「Quality for the Customers = Value for the Company, the Employees, the Society and the Investors; Environment for the Society = Value for the Customers, the Company, the Employees and the Investors」を企業理念として掲げています。

(2) 企業文化


同社は「企業行動基準」を定め、環境・地域社会に配慮し、関係各国・地域の発展に貢献することを目指しています。一人ひとりの人権を尊重し、不当な差別を行わず、互いの個性を大切にすること、また国際的な事業展開にあたり現地の文化・慣習を尊重することを掲げています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、長期的な視野に立った企業価値の向上を目指し、財政状態の健全性と収益性のバランスを重視しています。具体的には、以下の経営指標を長期的な目標として掲げています。

* 自己資本比率:70%以上
* ROE(株主資本当期純利益率):8%~10%

(4) 成長戦略と重点施策


同社グループは、自動車、エレクトロニクス、電力業界に寄与する企業集団として、グローバル展開とローカル市場での優位性確立を目指しています。グループ管理の強化による最大収益の確保、消耗品の受注拡大による業績安定化、および次世代機器の製品化による事業拡大を重点施策として推進しています。

* 自動車業界向け:高速・軽量溶接ガンの開発推進
* エレクトロニクス業界向け:高精度ニーズに対応した高効率製品の開発
* 電力業界向け:信頼性や施工性の高い製品開発の継続

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は持続的な成長を確保するため、従業員を男女差、年齢差等に関係なく、能力、実績によって公平に評価する体制を採用しています。また、女性従業員が働きやすい職場環境の整備や、女性が能力を発揮できる企業風土づくりに取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 53.3歳 19.3年 8,157,000円


※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含み、中途入社者の給与は除いております。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 9.1%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規雇用) -
男女賃金差異(非正規雇用) -


※上記の表は連結子会社であるOBARAの数値です。同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には男性育児休業取得率および労働者の男女の賃金の差異の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 主要顧客の業界動向等による影響


同社グループは自動車、エレクトロニクス、電力業界を主要顧客としており、これらの業界の設備投資や生産動向の影響を受ける傾向にあります。特に自動車関連企業やエレクトロニクス関連企業の動向が業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 技術革新について


自動車車体の技術革新により薄板鋼板の利用が減少する場合や、研磨プロセスの技術革新により顧客要求への対応が困難になった場合、業績が悪化する懸念があります。また、電力業界においても製品への要求仕様の変化に対応できないリスクがあります。

(3) 経営成績の変動について


溶接機器および電気機器関連事業は比較的安定的ですが、平面研磨装置関連事業の顧客であるエレクトロニクス業界は周期的な需要変動があり、これにより同社グループの業績が大幅に変動する可能性があります。

(4) 海外進出に潜在するリスク


生産・販売活動の海外比率が高まっており、進出先での自然災害、テロ、社会的混乱、労働争議等の予期せぬ事象が発生した場合、事業遂行に支障をきたし、業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。